怪文書(M9)

Last-modified: 2019-08-13 (火) 23:43:32
劇場版ドルフロ

輝いているM9!銀幕で大活躍なの!!
今日は何して遊びましょうか指揮官♪
鉄血のクズどもをぶちのめしてやるの!!
前売り券でゴジナインちゃんもらえるの!!
劇場版ドールズフロントライン!同時上映のゴジラvsメカゴジラもよろしくなのー!!

M9_M9でシコれなの
 

「あ、出る」

 

警告にするにはあまりに唐突で気の抜けた呟きとともに陰茎の先から欲望が迸り、M9の顔面を白くデコレーションした。一拍の沈黙。

 

「ふっ……ざけんななのハゲ!洗うの大変だからぶっかけはやめろってあれほど言ったの!」
「ごめん」

 

素直に謝る。あとハゲてないです。

 

「んもー、三発目なのにギットギト!どんだけ性欲有り余らせてるの!?髪ガビガビになっちゃうなの……」

 

今朝はもうおしまい、という合図をしてシャワールームに行くM9。
口汚く罵りながらもこうして欲情を吐き出す朝に付き合ってくれる、この奇妙な関係を始めてどれだけ経っただろう?
子供のように小柄な肢体。それに反して性の主張の強い乳と尻、こんな行為に付き合ってくれる女の度量。
この人形はどんな道筋を辿って此処に辿り着いたのか。そこに思いを馳せるたび、先程までとは違う感情が股間を熱くする。
シャワールームに入った。

 

「……まだしたりないなの?」

 

呆れたように言うM9を抱きしめた。中に出したい、と伝える。ナマで出したい、と伝える。人と人が子供を作る真似事をしたい、と伝える。
彼女は嘆息した。

 

「……洗っちゃったから今朝はもうおしまい。帰ってきたら付き合ってあげるなの」

 

言い聞かせるような言葉に頷く。それでもキスを交わすだけはしてくれた。

 

「それじゃ、今日も輝いてるM9いってきますなの!」

M9

「さっすが指揮官なの!褒めてあげるの!!」

 

心にもないことを言っていれば指揮官にかわいがられグリフィンの中でもいいポジションにいられる。
そう思った私は指揮官を接待してやることにしていたの。媚を売るのは得意なの。

 

「そんなこと言ってくれるのか。嬉しいよM9」

 

でも…なんでなの?私はこの男を都合よく利用しようとしているだけなのに、今までに言われた無茶や待遇のことを考えるだけで何か胸がぽかぽかしてくるの。
思えばこの指揮官私をロクな目にあわさないの。
後方支援漬けにしてみたり訓練でパワーレベリングしてみたりかと思えば飛行場に卸してそのまま待機させてみたり…やってることめちゃくちゃなの。
でも、金装備を優先的に配備してくれたり修復もまめにしてくれたり、帰ってくるたび撫でてくれたり…考えてみればみるだけやったことにはご褒美やかわいがってくれたりしてくれるの……
もしかして私のことをだまそうとしてる…?
確認が必要なの…私は『前職』の服を着て、夜な夜な指揮官の部屋を訪ねることにしてみたの。

 

「指揮官?もう寝てるの?」

 

指揮官の部屋に入ったの。寝巻に着替えた指揮官は驚いた顔で私の顔を見ると、春とはいえ夜にそんな恰好では寒いだろう。
布団に入りなさいと私を布団に招き入れたの。
ほら見たことなの!男なんて所詮こんなもんなの!と思って目をつぶって指揮官が私の身体をめちゃくちゃに嬲るのを待つの。
されたらされたで指揮官に対して大きなアドバンテージがつくの。
でも、いつまで待ってもその時は来ないの。
うっすらと目を開けると、そこにはマグカップを二つもった指揮官が椅子に座っていたの。

 

「コーヒーなの?」

 

「いや、ホットミルクだ。こんなうすら寒い夜はこっちの方がほっとするんだ。子供っぽいって笑われちゃうかな?用意した俺に免じて付き合ってくれないかな」

 

もう…もう…!なんなの?なんなの!?
私は大きめのマグカップを受け取って、ふーふー膜の張ったホットミルクをさましながら口をつけたの。

 

「甘い……」

 

そのホットミルクは、優柔不断で優しい指揮官のようだったの。

M9といちゃいちゃ

「あ、ハゲお帰りなの!」
任務を終えて宿舎に変えると決まってM9は私の事をハゲと呼ぶ。
誰がハゲだ、髪はちゃんとあるぞ。
M9は悪びれもせずにいーの!いーの!一部分がハゲてるからハゲでいーの!と笑いながら言う。
お前後で覚えとけよ…と自称人気者に返答し自室に向かって歩き始める、これがM9との日課になっている。
M9の言う通り私の髪は一部分が、ハゲている。これは幼少期の候補生時代に出来た傷だ。別に大した傷でもないので直していない。
とりあえず今日は帰り遅いし夕飯どうするかな…と考えていたらハゲは食事はまだなの?何ならM9が付き合ってあげてもいいなの~と呑気なM9が声を掛けてくる。
別にいいぞと声を掛けると、やった~ゴチになるなの~と生意気だから割り勘に決まってるだろと頭を軽く叩きながら返答する。
非番でM9もそう出かける準備はかからないらしいので、たまにはM9と一緒に食事をするのも悪くない。
15分ほど過ぎた頃だろうか、財布が入ったバッグを持ったM9が嬉しそうに手を振りながら宿舎入り口で待っていた。
久しぶりに二人で、基地内の売店に買い出しへ出かけた。

 

売店までの会話はまずまずだった。鉄板ネタのM1911への悪口に、自分がどれだけ輝いているか…無難に雑談をしながら目的地まで足を運んでいた。売店でそれなりに満腹になる食材を購入し、宿舎に戻り調理をしようと食堂に向かおうとすると突然M9が私の手を握った。
「ねぇ指揮官……その傷…直さないの…?」
あぁ別に大した傷じゃないから大丈夫だぞ、と返答するがM9の様子は何処か落ち着きがない。ゆっくりとM9の顔を見つめるとそこには、濡れた瞳を微かに震わせながら儚げな表情をするM9がいた。
「その傷…私を庇って出来たものでしょ…まだ治らないの…?」
私の頭部右のこめかみ部分にはやけどのような跡が残っている。これは幼少期に…M9を庇って出来た傷だ。確か暴徒鎮圧訓練で暴走した標的をM9を庇って生まれたもの。幸い私もM9も大した傷にはなっていないが、これがキッカケでM9と交流が生まれたし…記念として治療せずにいた。
あの事故があったからM9と仲良くなれたし、気にしてないぞ。

 

そう思いもよらぬ返答に驚きつつも、M9は黙って私の言葉に耳を傾ける。数秒ほどの沈黙の後、M9は今まで溜め込んでいた思いを私に打ち明けていった。
私、実はこの傷を残してくれてた事とっても嬉しいの。よくも悪くも指揮官と仲良くなれたし、この傷があるからなかなか他の人形も私に出を出せずに指揮官のそばにずっといれたの。それに、この傷を忘れないで残してくれて…ついハゲって呼んじゃうの!悪いことはもちろんわかってるの!いつもハゲって呼んでごめんなさい……指揮官…大好きなの…
冗談めかしつつも、M9は本気を口にした。だんだん私を握る手が強くなる。普段の明るいM9とは全く違う素をさらけ出したM9を初めて見た。
心配しないでいいよM9、としゃがんでM9を抱きしめると落ち着いたのか片手で背中をサワサワと撫で回す。
「あの時よりもっと頼もしくなってるの…」
想像以上に成長した広い指揮官の頼りがいのある胸元へ、小さな頭をコテンとM9が頭を預ける。
鮮やかなブロンドからほのかにだだよう清楚な甘い香りに包まれ、なんだか懐かしい気持ちになる。

 

落ち着かせようとM9を抱きしめたまま暫くしていると、だんだんM9の息遣いが荒くなっていく。これ以上は関係にヒビが入るかもしれないと思いつつも、内心抑え込んでいた感情が溢れ出そうとしている。
そっと私の抱きしめる力が強くなり、だんだんM9が私に体を預ける割合が高くなっていく。ねぇ指揮官…腐れ縁の女って嫌い?そっと胸を寄り添わせM9が耳元で囁く。私…もうだめなの………私は指揮官が…ほしいの…。
そっと瞳を閉じ、薄い唇をついをこちらに向けている。
私は何も答えず、折れんばかりにM9の華奢な体を抱きしめ。その唇に深く唇を重ねた。
それが私の答えだった。