怪文書(Thunder)

Last-modified: 2021-01-30 (土) 14:56:19
より深い関係に

サンダーと付き合い始めて数か月経ったある日、寝室で私はサンダーに襲われた。
戦術人形の膂力に抗えるわけもなく瞬く間に私の服は剥ぎ取られ、サンダーに馬乗りにされた。
「指揮官、セックスをしましょう」
彼女は提案という形で語ったが、そこに私の意思が入り込む余地はなかった。
この時の私は深い後悔の念に駆られていた。結局彼女にこのようなことをさせてしまったのだと。
過去に彼女を好き勝手に玩んだ屑共と同じになってしまったのだと。
愛とは肉体関係だけのものではないことを伝えられなかったのだと。
しかしそのような思考も顔面に落ちてきた水滴によって止められる。サンダーは笑いながら泣いていた。
「ようやく、あなたと繋がれました。」
「指揮官が私との性交渉を避けていたことは知っています。それが私の為であることも。」
「でもごめんなさい、私はこんな方法でしかあなたに応えられないんです。」
「愛しています。指揮官。」

ガツンと頭をハンマーで殴られたような衝撃だった。
彼女にずっと自分の感情を閉じ込めることを強いてしまったのは私の方であった。
何がサンダーのためだ、愛を伝えられない彼女の気持ちを一度でも考えたことがあったか?
結局ただの独りよがりだったではないか。
私は体を起こし彼女の涙を指で拭った。
「指揮官…?」
──すまなかった。君の気持ちを考えていなかった。
「違います。悪いのは私の方で…んっ…!?」
謝罪の言葉を出そうとする彼女の口をキスで塞ぐ。
最初は驚いたサンダーであったがすぐに彼女の方から舌を入れてきた。
相手を貪るようなキスを続けること数十秒、口を離しお互いを見つめ合う。
短い時間であったが彼女の深い愛を感じることができた。
──もっと君の気持ちを教えてほしい。
「んっ…はい、指揮官。もっと私の愛を感じてください。」
最早彼女の瞳に涙は無く、愛らしい笑顔だけがあった。

「そして私たちはその日からより深い関係になれたということなんだ。」
「ヘーそれはよかったね。で?それがどうしてあたしのベッドをせい…体液塗れにすることに繋がるわけ?」
「いやそれはその…百合カップルの片割れを寝取るプレイをしてみようって話になって…」
「発案したのは指揮官の方です。」
「あっ!なんで言っちゃうんだ!それにキャリコのベッドを使おうって言ったのはサンダーの方だろ!?」
「どっちでもいいわよこの変態カップル!最低!このことはカリーナさんに伝えとくから!!」
「待ってくれキャリコ!」
「なに!?言っとくけど何されても許す気はないからな!」
「いやせっかくのクリスマスだしサンタプレイをしようと思って、俺がソリでサンダーがトナカイになるからキャリコはサンタを「死ね変態!」…行っちゃった…」
「仕方ありませんね。指揮官はトナカイとソリを兼用してください。」
「俺がサンタ役をやらないのは確定なんだな…」
今日もグリフィンは平和だった。