海軍国防所要兵力整備十二年構想とは、大日本帝国海軍の海軍軍備計画。
1936年(昭和11年)に海軍軍縮条約脱退後の海軍軍備計画の指標として提唱されたもので、主に戦艦、航空母艦、巡洋艦の総排水量を現在の倍量確保することを目標としていた。
概要
海軍軍縮条約を脱退したことで、海軍における軍備計画の制限を解かれたことで、アメリカやイギリスなどの国家に後れを取っていたこともあり、現在のアメリカの総排水量の1.5倍を目指すため、日本海軍全体の戦力を倍増することを目的としている。
この計画は、前期・中期・後期の4か年計画ごとにわかれており。それぞれ、「③計画」「④計画」「⑤計画」として計画された。
そして、本計画は1937年(昭和12)から1949年(昭和24年)にかけてで完遂されることとなっていたが、アメリカの海軍軍縮条約からの脱退と世界大戦の勃発、日英同盟の破棄などが合わさり計画は破綻した。そして、この計画は10か年計画にまで短縮された他、戦時建造計画などを優先して行ったため、全体の6割程度しか実行されることはなかった。しかし、戦時計画を含めて1944年9月には、海軍全体の総排水量は1937年時点から2倍にすることには成功した。
計画内容
主に、戦艦、航空母艦、巡洋艦(重巡・軽巡)の総排水量の倍増(空母4倍、軽巡3倍)と、それらを護衛する駆逐艦を160隻、艦隊決戦用の潜水艦100隻、後方破壊用(通商破壊・基地攻撃)の潜水艦100隻を整備する大規模な計画となった。
また、計画は世界情勢によって変化を受けたうえで策定されるため、元々の計画目標とは大きく逸れたものとなった。特に④計画策定以降には計画の改定が2度行われており、特に駆逐艦と巡洋艦の建造数が大きく変化した。
戦艦
この計画策定時の戦艦保有数は全12隻で、総排水量は30万t。
計画された新規建造戦艦(最終)
- ③計画戦艦(大和型)、排水量64,000t×2隻
- ④計画戦艦(大和型[改大和型])、排水量64,000t×2隻
- ⑤計画戦艦(超大和型)、排水量80,000t×2隻
総排水量は43万2000tとなる。
航空母艦
航空母艦は艦隊型空母と呼ばれる主力艦として運用される艦種と補助艦として空母に2分されて計画された。
主力艦は3倍、補助艦は2倍で合計総排水量を4倍にする。
主力
この計画策定時の航空母艦保有数は全4隻で、総排水量は11万t。
- ③計画空母 甲(翔鶴型)、排水量24,500t×2隻
- ③計画空母 乙(大鳳型)、排水量28,500t×1隻
- ④計画空母 甲(白鳳型)、排水量47,000t×3隻
- ⑤計画空母(白鳳型)、排水量47,000t×3隻
補助
この計画策定時の航空母艦保有数は全12隻で、総排水量は30万t。