オーストラリア・ニュージーランドと日本との講和

Last-modified: 2024-03-12 (火) 13:00:51

オーストラリア・ニュージーランドと日本との講和とは、1945年2月20日に締結された講和条約。正式名称はオーストラリア及びニュージーランドと日本との間の講和条約。これは、連合国の中で唯一行われた単独講和である。この講和条約の締結によって、連合国軍の主力である、オーストラリアに存在した約130万人のアメリカ軍人と10,000機程度の航空機、その他大量の兵器を放棄することとなった。それらは全て日本軍に接収され、鹵獲品として実験されたほか、実戦部隊にも配備され、アメリカ本土上陸作戦にも大々的に使用された。

背景

1941年11月18日にアメリカの対日宣戦布告に呼応する形で、オーストラリアとニュージーランドの両国は日本に対して宣戦布告を行い、第二時世界大戦へ参戦した。当初の予定では、オーストラリアは東南アジアとフィリピン間の防衛にあたり、アメリカがハワイ・グアム・フィリピンの直線上に存在する、日本の軍事基地を破壊・無力化することで戦争の早期決着を目論んでいた。しかし、日本海軍の猛反撃により第1次マリアナ沖海戦では、空母2隻を喪失し、続く硫黄島沖海戦で空母1隻と戦艦2隻、フィリピン沖海戦に至っては戦艦5隻の喪失に加えて、2隻戦闘不能、空母1隻沈没と完敗を喫し、フィリピンから撤退した。そして、フィリピンの代わりとしてオーストラリアがアメリカ陸軍の根拠地とし、そこからソロモン諸島などを防衛することになった。それでも、日本海軍による進撃は止まらず、1943年の8月にはシンガポール・ボルネオ・ジャワ・スマトラ・セレベス全土を占領され、続くニューギニアの戦いでは、海軍戦力で劣るアメリカ海軍の妨害をすり抜けて、潜水艦による通商破壊が行われるなどして、1943年11月にポートモレスビーを失陥したことで、ニューギニアも喪失し、オーストラリアは南方における最前線となった。その後の戦闘では、日本軍によるFS作戦によってアメリカとオーストラリアとの連絡船が脅かされ、潜水艦が展開した時には1944年の3月~8月にかけて、輸送船420隻、170万トンが破壊され、オーストラリアの経済・軍事に多大な影響を及ぼした。その間に幾度となく海戦が行われたものの、交戦距離が短く夜戦を得意とした日本の水雷戦隊によってそのほぼ全てにおいて敗北した。最終的には、アメリカ軍が立案した1945年中期にオーストラリアからの一大反攻作戦の決行のため、戦力をオーストラリアに集結しつつあった。しかし、1944年11月3日にハワイ沖海戦で大敗し、翌年の2月にハワイを喪失したことで、オーストラリアとニュージーランドは完全に孤立し、反攻作戦どころか防衛戦を強いられることとなった。最終的に、ニューカレドニアを喪失したことで、アメリカとオーストラリアの連絡船は完全に遮断され、アメリカに対して失望したオーストラリアの首相はニュージーランドとともに日本領フィリピンのマニラにて、休戦協定を締結しようと交渉することとなったが、日本側からの大きな圧力により最終的には戦争からの離脱を条件に講和条約が締結された。

条約内容

マニラ講和条約は大きく分けて5つで構成される。
1,オーストラリア・ニュージーランドに存在する自国軍を含めた武装勢力の即時武装放棄とそれらの引渡し。
2,オーストラリア・ニュージーランドに対する日本軍の進駐。
3,日本との間で中立を守った上での可能な限りの相互協力。
4,これから独立する国家の承認。
5,アメリカとイギリスに対する最大限の努力を持って、今次大戦を早期に終結すること。

1,オーストラリア・ニュージーランドに存在する自国軍を含めた武装勢力の即時武装放棄とそれらの引渡し。

これは、日本側からの意見で、オーストラリア・ニュージーランド領内に存在するアメリカ軍の事実上無効化することを目的としていた。また、オーストラリアとニュージーランドの自国軍を含めている理由としては、アメリカ側からの、無力なオーストラリア、無力なニュージーランドを作り上げ、アメリカ国民に対するイメージを操作するとともに、宣戦布告された際の日本側の正当性を得ることがあった。

2,オーストラリア・ニュージーランドに対する日本軍の進駐。

条文1の全ての武装勢力の無力化は、オーストラリア・ニュージーランド両国の無法地帯化を意味するため、日本軍によって治安維持を行うとともに、その地域に存在するアメリカ軍の引渡しや、その他武装勢力の制圧を目的としている。ここには、「最低限の武装をもった治安維持を行うための部隊」と明記されているため、ここに日本軍がいるからといって、完全な武装戦力とは限らない。

3,日本との間で中立を守った上での可能な限りの相互協力。

これは、オーストラリアとニュージーランドが中立国として日本を支援するとともに、日本からは貿易を行うことなどが明記されている。

4,これから独立する国家の承認。

これは、日本が各植民地にあった国家と、満州国・中国を国家として認めることである。逆に、日本はオーストラリアとニュージーランドを国家承認している。

5,アメリカとイギリスに対する最大限の努力を持って、今次大戦を早期に終結すること。

これは、この講和条約の締結自体を正当化するため、第二時世界大戦というものを早期に終結させるために、中立国としての立場を利用して、連合国との仲介を行うことなどを認めさせた。そして、日本は「早期講和」を目的として戦争を続行し、早期終結に不要なもの「人道的被害(民間人への攻撃)」や「国家中枢機関への攻撃」を最小限にすることなどが含まれている。

オーストラリアにあった兵力

アメリカ陸軍

兵員:106万人
航空機:8,860機
戦車:6,000両
火砲:20,000門