ハンカチ世代

Last-modified: 2023-12-10 (日) 23:47:51

1988年度*1生まれのプロ野球選手の総称。
由来はかつて筆頭と見なされていた「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹から。

概要

2006年夏の甲子園決勝における斎藤(早稲田実業)と田中将大(駒大苫小牧高)の壮絶な投げ合い*2を筆頭に、高校時代からこの世代は多くの注目と期待が集まる有望株世代と見なされてきた。激闘の末に斎藤が甲子園で優勝した事から、彼の愛称の「ハンカチ王子」を取って「ハンカチ世代」「佑ちゃん世代」と呼ばれるようになった。

 

この後斎藤は早大進学、田中はプロ入り*3という進路選択。そしてその期待を裏切ることなく、「ハンカチ世代」の高卒プロ入り組が入団した2007年から現在に至るまでの17年間、常時世代の誰かしらがタイトルや連盟の表彰を取り続けているという超黄金世代として知られている*4

 

しかし、田中がプロでも真っ先に芽を出しメジャーでも活躍と現在まで出世頭と言うに相応しい活躍を残している一方で、肝心の斎藤が大学で肩を故障して以降1位指名*5を受けたとは言えプロにおいては目立った活躍を残せずに引退してしまった事から、近年のメディアでは田中の愛称である「マー君世代」または各選手の生年度である「88年組」「88年世代」という表現を使うようになっている。週刊ベースボールでは「プラチナ世代」と呼称していた。
なお、該当選手たちの間では呼び方が別れており、大野雄大や柳田悠岐は「ハンカチ世代」「佑ちゃん世代」、坂本勇人と前田健太は「マー君世代」、田中は「88年世代」と表現している。*6

年度別タイトルホルダー/表彰者一覧

B9…ベストナイン、GG…ゴールデングラブ賞

年度選手名(タイトル、表彰、達成記録など)
2007田中将大(新人王)
2008坂本勇人(新人特別表彰)
2009坂本勇人(B9)
2010前田健太(沢村賞、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、B9、GG)
2011田中将大(沢村賞、最多勝、最優秀防御率、最高勝率、B9、GG)、前田健太(最多奪三振)、澤村拓一(新人王)、塩見貴洋(優秀新人賞)
2012吉川光夫(MVP、最優秀防御率、交流戦日本生命賞、B9)、田中将大(最多奪三振、GG)、前田健太(最優秀防御率、GG、ノーヒットノーラン)、坂本勇人(最多安打、B9)
2013田中将大(沢村賞、MVP、最多勝、最優秀防御率、最高勝率、交流戦日本生命賞、B9、GG*7)、秋山翔吾(GG)、前田健太(最優秀防御率、B9、GG)
2014梶谷隆幸(盗塁王)、柳田悠岐(B9、GG)、前田健太(GG)、石川歩(新人王)
2015柳田悠岐(MVP、首位打者、最高出塁率、交流戦MVP、B9、GG)、前田健太(沢村賞、最多勝、B9、GG)、秋山翔吾(最多安打*8、B9、GG)、増田達至(最優秀中継ぎ)、秋吉亮(最多登板)
2016坂本勇人(首位打者*9、最高出塁率、B9、GG)、柳田悠岐(最高出塁率*10)、秋山翔吾(GG)、石川歩(最優秀防御率)、澤村拓一(最多セーブ)、秋吉亮(最多登板)、福山博之(最多登板)
2017柳田悠岐(最高出塁率、交流戦MVP、B9、GG)、秋山翔吾(首位打者、最多安打、B9、GG)、宮崎敏郎(首位打者、B9)、坂本勇人(GG)、會澤翼(B9)
2018柳田悠岐(首位打者、最高出塁率、B9、GG、サイクル安打)、秋山翔吾(最多安打、B9、GG)、宮崎敏郎(B9、GG)、坂本勇人(B9)、會澤翼(B9)、石山泰稚(交流戦日本生命賞)
2019坂本勇人(MVP、B9、GG)、秋山翔吾(最多安打、B9、GG)、大野雄大(最優秀防御率、ノーヒットノーラン)、會澤翼(B9)
2020柳田悠岐(MVP、最多安打、B9、GG)、大野雄大(沢村賞、最優秀防御率、最多奪三振)、増田達至(最多セーブ)、坂本勇人(B9、GG)
2021柳田悠岐(B9、GG)、坂本勇人(B9、GG)
2022柳田悠岐(B9)
2023宮崎敏郎(首位打者、B9、GG)、柳田悠岐(最多安打、B9)
 

合算タイトル数

タイトル回数達成者
MVP5回柳田悠岐(2)、吉川光夫、田中将大、坂本勇人
新人王3回田中将大、澤村拓一、石川歩
新人特別表彰1回坂本勇人
優秀新人賞1回塩見貴洋
沢村賞5回前田健太(2)、田中将大(2)、大野雄大
最優秀防御率9回前田健太(3)、田中将大(2)、大野雄大(2)、吉川光夫、石川歩
最多勝4回田中将大(2)、前田健太(2)
最多奪三振4回前田健太(2)、田中将大、大野雄大
最高勝率2回田中将大(2)
最優秀中継ぎ1回増田達至
最多セーブ2回澤村拓一、増田達至
首位打者6回柳田悠岐(2)、宮崎敏郎(2)、坂本勇人、秋山翔吾
盗塁王1回梶谷隆幸
最多安打7回秋山翔吾(4)、柳田悠岐(2)、坂本勇人
最高出塁率5回柳田悠岐(4)、坂本勇人
交流戦MVP2回柳田悠岐(2)
交流戦日本生命賞3回吉川光夫、田中将大、石山泰稚
ベストナイン31回柳田悠岐(8)、坂本勇人(7)、秋山翔吾(4)、前田健太(3)、會澤翼(3)、宮崎敏郎(3)、田中将大(2)、吉川光夫
ゴールデングラブ27回秋山翔吾(6)、柳田悠岐(6)、前田健太(5)、坂本勇人(5)、田中将大(3)、宮崎敏郎(2)

記録達成人数

ノーヒットノーラン2人前田健太、大野雄大
トリプルスリー1人柳田悠岐
サイクル安打1人柳田悠岐
最多登板2人(3回)秋吉亮(2)、福山博之
2000本安打1人坂本勇人
150勝*112人田中将大、前田健太

また、2021年*12東京オリンピックでは田中、大野、坂本、柳田の4名が金メダルを獲得し、この内坂本はショートのベストナインを受賞した。

関連項目


*1 1988年4月2日~1989年4月1日
*2 2度目となる甲子園決勝再試合が行われ、再試合でも延長こそなかったが1点差決着であった。因みに最後の打者は田中将大で、三振した瞬間の「ああ、終わった、、、」という表情や「早実、90年越しの夢が叶いました!」という実況は甲子園名場面集にも収録されている
*3 4球団指名の末楽天が交渉権獲得・入団。
*4 ただし阪神にとっては「空白世代」「ロストジェネレーション」とされている。当時、俗に「黒田ドラフト」期と呼ばれるドラフト暗黒時代真っ只中でこの世代の有望選手を獲得できなかった上、後に就任する監督の方針で一軍での選手育成がほとんど行われなかったことも加わり、12球団で唯一、この世代の選手の恩恵に与れなかったためである。
*5 田中と同じく4球団指名を受け日本ハム入団。
*6 ちなみに松坂世代に関しても、松坂大輔と一括りにされるのを嫌って久保田智之らが反発していたが、知名度・実績等から現在ではほぼ異論は無い状況である。
*7 24-0-1達成年度。
*8 216本でシーズン最多安打記録
*9 セリーグの遊撃手として初めての首位打者。
*10 長打率も1位でリーグ最高のOPSを記録していたにも関わらず、ベストナインから外れた上年俸を下げられた事が話題となった。
*11 いずれもMLBを含んだ勝利数。
*12 本来は前年の2020年に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響によりオリンピック史上初の開催延期となった。