神に祈りを捧げた姫が遺した
雅なる槍。散りゆく花の如き
美しき死を獲物にもたらす。
(狐槍ハナモハナナレ)
雅なる槍が華を刺す。乱れ散る
花片は、舞姫の如く麗しい。
狐槍ハナモハナナレ強化/最終型。
(きみがきる笠槍の突刺)
笠霊の如く、愛し君をこの槍で
庇い、永久に護り抜かん。
願わくは万古長青、笑顔たれ。
(きみがきる笠雲天通槍)
MHXに登場する四天王の一角、泡狐竜タマミツネの素材を用いて作られるランス。
本項では、MHXXで登場した二つ名持ちモンスター・天眼タマミツネの武器についても解説する。
及びMHR:Sで登場した焔狐竜タマミツネ希少種の武器についても解説する。
目次
概要
- 神に祈りを捧げた姫が遺した雅なる槍。散りゆく花の如き美しき死を獲物にもたらす。
タマミツネのヒレで包まれた槍は錫杖の形をしていて、静かに納刀した時などに4つの金輪が小さく音を立てる。
古代紫に桜模様と槍身の色彩が美しい一方で、
幅広な先端は鋭く研がれており、獲物を斬り裂く実用的な作りをしている。
また、丸く先の尖った盾は、よく観察すると三度笠を模していることが分かる。
現実世界の三度笠は江戸中期まで女性用として用いられていて、
下に垂れた紐は本来髷の下にかけ、顎の下で結ぶためのものだったと思われる。
性能
MHX
- 生産段階での性能は
- 攻撃力130
- 水属性12
- 会心率0%
- 長めの緑ゲージ
- スロット1
スパイラルランスもほぼ同等の性能であるため、この時点では好みで良いだろう。
- 最終強化するときみがきる笠槍の突刺となる。
その性能は、- 平均的な攻撃力200
- 高めの水属性26
- 会心率10%
- 素で青40、斬れ味+1で白25が出現
- スロット1
斬れ味+2を発動させたときの白ゲージの長さは、水属性ランスでトップである。
MHXX
- 通常種の究極強化と共に、新たに二つ名ミツネの武器も実装。
通常種武器の究極強化であるきみがきる笠雲天通槍の性能は- 攻撃力310
- 水属性32
- 会心率10%
- 素で白40、匠追加分は全て紫
- スロット1
- 上位の性能そのままに進化させたような、バランスが非常に良い良品に仕上がっている。
ライバル的にはハプル槍の究極強化、強襲破槍ハウルドクーだろうか。
あちらは防御+26のオマケ付きで僅差ではあるが物理・属性共に期待値で負けている。
スロットがなく、匠+2にしないと紫運用も難しい点で差を付けたい。
MHRise
- タマミツネの復活と共に本武器も復活。
なお、発売当初から最終強化が可能であった。
最終強化に破壊しづらい泥翁竜の尖爪を使用するため、少々厄介。
きみがきる笠槍の突刺の性能はというと、 - …実用性に著しく欠けているわけではないにしても、イマイチパッとしない性能である。
特に、本作は物理重視の環境であるため、攻撃力の低さは致命的である。
無属性ランスではトップクラスの物理火力を持つ轟槍【独虎】を引き合いに出すまでもなく、
他の属性ランスを見ても暁の突槍シルリッターやゴシャガドシュ、ギガドリルランス、
神淵ノ風穿チといった攻撃力210超え&属性持ちたちがひしめいている。 - 属性強化【水】IIを施せば属性値は34になるため、
カウンター突きなどで手数を稼いで属性ダメージを与えよう…にも、
本作にはグラビモスやウラガンキン、希少種といった水属性武器の仮想敵代表とも言えるモンスターが
悉く未登場なのも向かい風である。
MHX時代は鮫に圧勝するほどの性能だったのに…。
尤も、その鮫は本作には未登場なのだが
水属性にした百竜鎗の外装をこれにして気分だけでも楽しもう
MHR:S
- きみがきる笠槍の突刺改でMRデビュー。
きみがきる笠雲天通槍を経て、最終強化きみがきる笠雲天通槍改に強化可能。
性能は- 攻撃力320
- 属性値水44
- 斬れ味紫10、白50
- 会心率15%
- スロットLv1×1
- 百竜装飾品スロットLv2
今作は属性にテコ入れされランスも属性値の重要度が上がった為、高い属性値は嬉しい要素。
それに加え、会心率にボーナスがあり、渾身や力の解放がなくとも会心100%構成が可能という
物理面の強みも備える。
前作とは打って変わって頼もしい性能になった。
- こちらより更に大躍進した強力なライバル、水衝ドロスパイラル改が立ちはだかる。
攻撃力、属性値、スロット、百竜スロットの全てでこちらより勝っており、純粋な火力ではあちらの方が上。
とはいえ、こちらは10とはいえ元々紫ゲージが出ているため、特に剛刃研磨の運用等では
匠スキルを浮かせることが出来、あちらのスロットを考慮してもスキルの自由度で優る。
そのぶんの火力スキルを搭載することでほとんど遜色ないダメージになるため、好みで選べるレベルだろう。
破邪之槍オサキトウガ
遁世の退魔師は、錫杖以て魔を
祓う。心鎮めよ、一撃は静謐で
慈悲深く、鬼をも極楽へ導く。
MHR:S
- MHR:Sで登場したタマミツネ希少種のランス。
通常種からの派生で作成するか、天鱗を使うことで一発生産もできる。 - その性能は
- やや低めの攻撃力320
- これまた低い火属性19
- 会心率10%
- 長めの紫60。匠で更に延長可
- 目を引くスロットLv2x3
- 百竜装飾品スロットLv1
期待値は控えめだが斬れ味と武器スロットが非常に優秀で、手持ちの護石が不安なうちは
Lv2スロット3つという抜群の拡張性でスキル回りをカバーしてくれる。
流行りの周回対象たちの火属性の通りの良さも追い風ではあるが、
この武器は属性値が低いため、どちらかというと拡張性の高い無属性武器と見做される傾向が強い。
- 物理・属性・会心の三要素がいずれも物足りないため、ひたすらに火力を求める場合には
他の火属性ランスを押し退けてまで候補に上がることはまずない。
しかしながら、神おまや神錬成を引けるまでのつなぎとしては十分過ぎる性能を持っているため、
とりあえず作って各属性の特化装備が完成するまでは担いでおく、という使われ方が多い。
装備揃えるのが面倒くさいからとにかくスキルを盛れるこの武器を使う、なんてことも。
純粋な「強さ」より「便利さ」がこの武器の長所と言えるだろう。
- 百竜スロットLv1は明確な弱点。
錬成で拡張こそできるが、その場合高レベルほど効果が高い属性強化をフルで積めないのが痛い。
割り切って攻撃強化に振ってしまうのも手。
- また、同時期に作れてしまうカクトスベギールテの存在も気がかり。
素の物理性能と斬れ味こそ勝っているが、隠し毒属性のおかげで蓄撃が乗る上
あちらの武器スロットもかなりの拡張性があり、
なにより属性値にダブルスコアをつけられてしまっている。
- スペシャルプログラムFinalでは武器種ごとに使用率がトップの武器が発表されたが、
ランスではこのオサキトウガがトップとなっている。
斬れ味や武器スロットに裏打ちされた汎用性の高さを評価され、
多くの狩人に愛用された結果だろう。
武器の期待値自体は高くないので、この順位に疑問を呈するハンターも一部いるが、
火力だけが武器の全てではないことが示された好例であると言えよう。
- その後Ver.16では、なんとLv4スロット3つに百竜スロットLv3を擁する刻銀の襲槍が登場。
属性の違いや紫ゲージの長さなどの差はあるが、スキル拡張性という分野においては
刻銀の襲槍にその座を明け渡すこととなった。
天眼槍・飛花落葉
MHXX
- MHXXでは、天眼タマミツネの素材を用いて生産する天眼槍・飛花落葉が登場。
その究極強化、おおきみの笠貫壊世槍の性能は- 攻撃力310
- 水属性27
- 会心率20%
- 白30、匠で白40+紫15、+2で紫40まで増加する。
- と、通常種武器と比較して物理性能は上回るが、属性値は低下。総合的な期待値はほぼ変わらない。
同じ二つ名水属性槍のウィルギガントランスと比べると、
紫維持の楽さと会心率100%到達のハードルがやや低いのがメリットか。
向こうが紫ゲージだと物理性能で完敗しているが、白ゲージ状態だとこちらの紫ゲージと期待値はほとんど変わらない。
ランスはストライカースタイルも人気が高いので、二つ名武器特有の狩技ゲージの溜まりやすさも相性がいい。
余談
- 「 散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ 」
織田信長を討った明智光秀の三女であり、細川忠興の妻になった後、
関ヶ原の戦いの直前に敵方の人質になる事を拒み自害した*1
細川玉*2の辞世の句である。
現代語で「散る(死ぬ)べき季節を知っているからこそ、花は花として、人は人として美しい」と意訳できる。- 敬虔なキリシタンでもあったガラシャは教義に反する自害に悩みぬいたのち、
「人として美しく散りたい」という心情を込めてこの句を詠んだのだろう。 - 辞世の句がテーマのミツネ武器であるが、このランスの生産時の銘「ハナモハナナレ」は
この儚くも趣を感じる辞世の句から引用したものである。
だが武器の解説文から推測すると「獲物は獲物らしく美しく散れ」と
獲物を挑発するような物言いをしているようにも取れてしまう。
さらに、ガラシャはキリシタン*3であるが、
この武器の形状である錫杖は仏教のもの。モチーフと少々ちぐはぐな感じもするが……。
- 敬虔なキリシタンでもあったガラシャは教義に反する自害に悩みぬいたのち、
- 強化後の銘に含まれる“きみがきる”は、
現実世界では「君が着る」御笠から転じて地名の三笠にかかる枕詞。
モンハンの世界に三笠は存在しないだろうから、盾のモチーフである「笠」にかかる……
だけとは言い切れない。この枕詞は銘の中でもうひとつ意味を持っているのではないだろうか。- 一つの言葉に複数の同音異義語の意味を持たせる修辞法を「掛詞」と呼ぶ。
ここで「きみがきる」という枕詞を「君が斬る」と読み換えることを考えてみよう。
概要で説明したとおり、このランスの槍身は獲物を斬り裂くことに長けた作りをしている。
「きみがきる」に「君が着る」の他に「君が斬る」の意味を持たせ、
後者は槍にかかる、と解釈する。
すると、「きみがきる」はさらに掛詞となることで笠槍両方の枕詞の役割を果たしていることになる。
笠を着て身を守り、槍で斬り獲物を狩る。
攻防の連携が重要なランスならではの趣ある銘と言えるだろう。
kill(キル)ともかかってる可能性もなくはない…かも。 - 玉の死に関連し「笠」の字がある者に、介錯を務めた後に殉じた小笠原少斎という
人物が居り、彼の名字も関連しているのかもしれない。
- 一つの言葉に複数の同音異義語の意味を持たせる修辞法を「掛詞」と呼ぶ。
- 希少種武器の銘「オサキトウガ」の由来は、人間に憑く狐の霊「御先稲荷」であると思われる。
日本では昔から狐のことを霊威のある動物と考えており、稲荷神の使いとして信仰したり、
人に取り憑いて精神の異常を引き起こすとして畏れたりした。
「御先稲荷」はこの「人に憑く狐」の呼び名の一つで、主に関東地方において伝承されてきた名である。- なお、「御先稲荷」の本来の読みは「オサキドウカ」であり、
「オサキトウガ」という呼び方は一般的ではないとされている。
しかしながら、フィクションなどでは神の眷属の白狐を指して「オサキトウガ」という呼称が使われることもあり、
モンハンもその風潮に沿ったものだと思われる。
- なお、「御先稲荷」の本来の読みは「オサキドウカ」であり、
- 盾として使われる三度笠だが「史実例では、主に女性が使用する場合が多かった」話であれ
男性が使うケースも普通に存在するため、男女兼用として設定上の破綻は無い。
元来の目的は、MH世界的に言えば頭装備ではあるが、その目的は防御力の確保のみならず、
悪天候(風雨、吹雪、炎天日光)に対応したり、人の多い町中にて顔を隠したりと用途は広い。
そして、頭部に被らず手に構え、不意の急襲から身を守る『盾』として使われる事例も多い。
実際の性能は片手剣の盾ほどのガード性能しか無いが
本武器はランスであるため、ランスに準じた堅牢な硬さを誇るので御安心あれ。
「ミツネ装備の『盾』は物理防具では無く魔法防具である」なんて俗説もあるが、俗説に留まっている。- 頭装備としての三度笠も、例えばユクモノシリーズ等で採用されている。
ユクモノカサ等と併せて装備すると「三度笠を被り、三度笠で身を守る」と言う不思議な恰好になるが、
あまり違和感を感じさせないのは、やはり、ミツネ武器だからこその風流の為せる業であろうか。
- 頭装備としての三度笠も、例えばユクモノシリーズ等で採用されている。