Book11:水の神秘に関する本。水には魔力があり、古代アウロラ人は<泉>と呼ばれる門を使うことでユーフラニアのあちこちを瞬時に行き来したと書かれている。

Last-modified: 2008-11-19 (水) 20:26:02

<水の神秘>

 

水は古来より道に通じ、空間やときには時間をもこえて、異なる場所を結び合わせる力をもつとされてきた。
水鏡に遠く離れた場所のできごとをうつしだしたり、過去や未来のできごとをうつしだしたりする技は、まさにその水の力を利用したものである。

精霊と近しかった古代アウロラの民は、水の魔力に深く通じていた。
彼らはユーフラニアの各地に<泉>と呼ばれる水の門をつくり、アウロラとその地を瞬時に行き来できるようにしていたといわれている。
残念ながら、現代においてはその技はうしなわれて久しく、水の門を再現することはできない。もっともそのような技が現代に蘇れば、便利さとともに多大な危険や脅威をももたらすことになるだろう。

<大崩壊>の後、魔導師ネクが<泉>を使ってアウロラの深奥部に入り込んだ話は有名である。この事件の後、アウロラの民は、各地に存在した<泉>をすべて破壊してしまったと云われる。
精霊の存在も消えつつある現代では、水の魔力をこれほど大規模にもちいることはもうできないだろう。

我々がいまだに比較的よく目にする魔法は、水に真実を語らせる技である。
水は、誰かがほどこした魔法のベールをはぎとるために、とても有効である。呪いや穢れに対しても同様だ。
魔法によって隠された言葉、消された言葉、はては心に秘めた言葉さえも、水の魔力によって表面に浮かびあがらせることができる。
しかし、実際にこの魔法を使える魔導師は、そう多くはいない。ほとんどの魔導師が見せるのは、彼ら自身が作りだした幻影である。

古代アウロラの云い伝えには「白き水は秘密を、碧き水は未来を、赤き水は欲望を告げる」とあり、その言葉通り、当時の人々は特殊な魔力を秘めた水を作ることができたようである。
また、古代のアウロラでは花の精の魔力をこめた、魔法液なる液体が作られ、それを用いて秘密の文書や魔法の呪文書などが書かれていた。この魔法液も、水の魔力に極めて近しかった古代アウロラの民や妖精たちにしか、作ることができないと考えられている。