ENDING-5~8 王との会話

Last-modified: 2009-02-07 (土) 22:48:48

 「ルシーヌ、よく来た。おまえをずっと待っていたのだよ」 
 「地上へ降り、我が剣となって、世界を脅かすものどもを葬り去れ。そのために、おまえを喚んだのだ」 
 「……待て、おまえは何を持っている?ルシーヌ、それはおまえの剣ではないね。愚かなことを。何に心を惑わされたと云うのだ。その剣はおまえには扱えぬ。それどころかおまえを傷つける危険な刃だ。その剣を捨てなさい」 

  • 「はい」▽
  • 「いいえ」▽
  •  「何故、拒む?」 
  • 「……わたしは……誰のものでもなく、わたし自身のあるじとして、地上に降りたいのです」
  •  「それで何を望む?それで何を得られると思っているのだ、我が心よ。我が恩寵を拒んでまで選ぶべきものなど、おまえには何も無い」 
  • 「あなたの恩寵?――完全に誰かの手のうちにあり、己のすべてを握られていることが『恩寵』なのですか?」
  •  「そうだ。私を受け入れれば、世界はおまえの前にひれふし、おまえはあらゆる富と至上の快楽を得られよう。これほどの未来の、いったいどこが不服だと云うのだ?」 
  • 「所詮は籠の鳥です」
  •  「我がものならずとも、人の世にあれば心のままになど生きられぬぞ。少なくとも我が手を取れば、おまえは生涯何不自由なく、人の世の痛みや苦しみとは無縁に美しくありつづけることができる。むしろ他の多くの者たちよりはるかに自由な存在でいられよう。それで十分ではないのか」 
  • 「いいえ、王よ……痛みすら知らぬ者が、世界を跪かせようと云うのですか? それは僭越と云うものです。世界は苦痛をはらみながら前進していくものです。歓喜や悦楽とおなじように、苦痛や悲劇もまた地上に生きるものたちの運命の一部のはずです」 
    「その一部をもたぬことが欠落でないとは、わたしには思えません。そして、そのような欠落をもつ者が、世界を護れるなどとも思えません」 
  •  「愚かな。おまえは何もわかっておらぬ。おまえはルシーヌであり、他の生きものたちとは違う。至福と充足に見放された時、おまえに残るのは死よりも過酷な運命でしかない」 
  • 「それでも――たとえ、一瞬の開放の後には永劫の苦しみしか続かないとしても、翼ある竜は大空を望むのです。わたしを籠から出してください。それに……あなたの言葉は必ずしも真実ではない」
    「確かにあなたは瑕疵のない世界をくれるけれど、かつてティリュアンがルシーヌにあたえることができたような充足は決してあたえられない。どんな者たちにもできることが、あなたにはできない。あなたは常に完全だから――一部なりとも他の者にあなたをわけあたえることはしないから」 
  •  「かつて同じような台詞を口にした心があった。あくまでも私を拒み、私が織ろうとした運命を解きほぐし、己さえも失った。その結果、神聖王国は聖龍王を失い、いまや地上世界そのものが崩壊しようとしているのだ。おまえは己の選択が真に何を意味するのかさえ理解しておらぬ」 
  • 「わかっています、王よ。世界を護ろうとするあなたの意図は疑いません。それに背こうとも思いません。けれど方法はひとつではないはずです。私の運命は、私の手で織りたいのです。私の選んだ運命のなかで、私の信じる方法で、ルシーヌとしての役割を果たしたいのです」 
  •  「それは無理だ」 
  • 「何故無理と云い切るのですか。カリスは使命を果たし、ジュリアとて戻って来たではありませんか。あなたの支配なくとも、ルシーヌは世界を護れます。わたしに、わたしの世界を下さい。わたし自身の意思で、あなたの意図を実現させてください」 
  •  「私は賭事師ではない。無駄に心を死なせると思えば、そのような真似はせぬ。残された時は少なく、新たな実験など試みている余裕はないのだ。いま一度云う。その剣を捨てよ」 

「はい」

 「よろしい。さて……これで、おまえと私の間を隔てるものは何も無くなった。もはやおまえに用は無い。我が意図に背く者は消えよ」⇒×ENDING-5 

 

「いいえ」(2回目)

 「私には従わぬ、と云うことか。やむをえまい……。ならばその剣で私を倒してゆくがよい。さもなくば、私がおまえを壊す」 

  • 「わかりました」▽⇒×ENDING-6
  • 「あなたと戦うつもりはありません」▽
  •  「それではおまえはここで果てようと云うのか? 私を拒み地上へ降りようと云うのならば、その剣で私を倒せ」 
    • 「仕方ありません。では、あなたを倒します」▽⇒×ENDING-6
    • 「わたしを壊したいのならそうすればいい。私は行きます」▽
    •  「……なんと云うことだ。ここまで来て、ルシーヌが我が手をすり抜けてゆくとは――!」 
       「おまえは知っていたのだね。私はその剣を砕けぬ、それに護られたおまえのことも――」 
       「行くが良い。おまえが何を選ぼうとも、私の庇護と希望がつねにおまえのうえにあることは変わらぬ。地上でおまえの道を見つけなさい。そして、できればメルキュールの子孫を護っておくれ――」