リプレイ/【栄光は誰がために】

Last-modified: 2021-01-11 (月) 13:49:07

新和が刊行したD&D関連雑誌において不定期連載されたリプレイ。
D&Dのリプレイとしてはかなり初期のものとなる。

概要

連載回数は4回のみだったが、小説風の書き方や独特のキャラクター視点を記した記事などの工夫、ウォーマシンルールの使用などが好評となり、リプレイ作品としては知る人ぞ知る隠れた名作として扱われている。
連載されたシナリオはキャンペーンストーリーとして成立しているが、間にレベル上げの冒険がある。
リプレイはサークル「迷神組合」。サークル参加者はシミュレーションゲーマーでもある。

ダンジョンマスターとワールド設定

DMはALUCKY。『リフトウォー』『リングウォーサーガ』を好み、一人で世界を変えてしまうRPGよりも、刻々と変化する状況の中で自らに与えられた能力を最大限に引き出そうとするRPGを好むと述べている。
このため、ALUCKYのワールドでは「ウィッシュ」や「レイズデッド」は無く、ルールブックはベーシック・ルール・セットエキスパート・ルール・セットのみ、コンパニオン・ルール・セットウォーマシン領地経営のみが採用という規定になっている。これによりキャラクターのレベル上限はNPCで14、プレイヤーキャラクターで8となる。

登場プレイヤーキャラクター

ストーリー

ブルーカル公国の東部領のはずれに、ノースランドという場所がある。そのノースランドには「レドウデ」という名の小さな砦と砦に近い「アンズー村」があり、そこを治める「スクワイア・ローランド」という領主がいる。しかし、その領主の姿を見た者は誰もいない。

「伯爵の私的な依頼」

ドラゴンマガジン2号に掲載された。キャンペーンとしてはシナリオ20になる*1


公国東部領を治めるブローチャック伯爵は、公国で所有を禁じられた魔法の品「ワンド・オブ・ビクトリー」のある場所の手掛かりをつかんだ。「ワンド・オブ・ビクトリー」を手に入れるべく、伯爵は三通の手紙を送った。手紙により、集められたのはミユキタッカーシャルーバッシウッディヴォルテガゲーレッツの6人。
6人は南部の山岳地帯にある滅びた文明の廃墟にたどり着いた。廃墟の中で待つものは・・・。

「嘆きの聖地」

ドラゴンマガジン4号に掲載された。キャンペーンとしてはシナリオ23になる。


大山脈を挟んで対峙する西のブルーカル公国と東のジャコバン帝国。鉱物資源などを巡り緊張が高まる中、レドウデ砦に1人のドワーフが訪れていた。
彼の名はフンメル。モドック族の若者であり、モドック族の使いとして伯爵への面会をするため紹介状を欲してやってきたのだ。彼の属するモドック族は、もう一つのドワーフの部族「ズニ族」と聖地「シャスター山」を共有している。しかし最近ズニ族とも聖地とも連絡がつかないのだ。
ミユキはドワーフの聖地と聞き「伯爵へ詳しい報告をする」という名目で自ら調査に乗り出し、フンメルの案内でタッカー・シャルーバッシ・ウッディ・ターツを率いてモドック族の村へと向かう・・・。

「野望の黄昏」

ファンタジー・ゲーマーズ・ジャーナル7号に掲載された。
コンパニオン・ルール・セットウォーマシンルールを用いたリプレイという希少な記事。
なおDMのALUCKYは当時仕事でオーストラリアに赴任したため、次のラストシナリオのプレイはかなり先になってしまったらしい。


ブローチャック伯爵は約5000の軍勢を率いて進軍する。冬が来る前にダネイン山脈の台場「ホワイトマット」を占拠し、山脈を越えた先にあるジャコバン帝国の要衝を叩く「グッドウッド」作戦を敢行するために。そんな中、参戦した諸侯軍の中にレドウデ砦独立小隊が参戦していた。
開戦当初のホワイトマットを巡る戦いで、ジャコバン帝国軍の西方野戦軍を破ったブローチャック伯爵軍。しかしその直後、突然黒雲がわき雪が降りはじめた。これを魔法による仕業と看破した伯爵は各独立小隊や義勇兵たちから有能と思われる隊長や冒険者を呼びだし、その原因究明と排除を命じた。
タッカーはミユキ・シャルーバッシ・ウッディ・ターツと兵5人を率いて雪中の強行偵察の任務に就く・・・。

「マイウェイ」

オフィシャルD&Dマガジン7号に掲載された。


ブローチャック征東軍は壊滅し、伯爵の遺剣を手に入れたタッカーは敗残軍を率いて戻った。しかし、春になればジャコバン帝国が軍勢を率いて侵攻してくると噂される中、旧ブローチャック伯爵領は急激に治安が悪化していく。各々は自分の目的のためにばらばらに行動を起こすが、やがて再び結集する。
雪解けが始まった頃、ジャコバン帝国魔術団を率いるタイソンは軍事総督となり「春の目覚め作戦」にかかる。彼と彼の魔術団は兵二万と共にダネイン山脈に侵攻を開始したのだ。タッカーが指揮するブルーカル公国軍はわずか三百の手勢。因縁ある「ホワイトマット」での戦いが再び始まる。

「再会」

オフィシャルD&Dマガジン7号に掲載された。


後日談となる話。ミユキとタッカーは9レベルとなりNPCとなったため、ウッディ・ターツ・シャルーバッシが登場する。


*1 ドラゴンマガジン4号2ページ。