暗黒時代のAからZまで
暗黒時代は、ファンタジー・ロールプレイング・ゲームの伝統的な舞台である「盛期中世」に対する多くの人々の認識とは、通常、大きく異なる時代です。
本章では、暗黒時代に生きる人々の生活について、多くの人々にはあまり知られていない側面や、予想とは大きく異なる側面を、AからZまで概観します。
入門編の試食版とお考えください。
ここで紹介する概念のほとんどは、特定の文化に特有なものではありません。
むしろ、これらはヨーロッパ全域に見られるかなり一般的な考え方です。
また、クトゥルフの暗黒時代に登場するキャラクターを、一般的なファンタジーのステレオタイプよりも真に迫ったものにしたいと考えているグループへの提案でもあります。
前章「アングロ・サクソン時代のイングランド」では、暗黒時代のイングランドを舞台にしたゲームに関連するより深い情報を提供しました。
その詳細の一部は、この章でさらに掘り下げて説明します。
戦い
暗黒時代の戦いは、後の中世に比べると小規模なものでした。
軍隊の規模は数百人単位であることが多く、小競り合いが大規模な戦闘よりもはるかに一般的でした。
待ち伏せもよく使われた戦術です。
城
10世紀と11世紀は、城の発展の初期段階にあたります。
ほとんどの城は中央に天守閣(要塞化された建物)があり、それを防御壁が取り囲んでいます。
防御用の設備としては、塀、塔、弓狭間などはまだ発達していませんでした。
この時代、城は木と土で造られるのが一般的でしたが、ノルマン人の城には石造りのものもありました。
可能な限り、城は防御力を高めるために、川、丘、峡谷などの周囲の地形を利用していました。
防御の目的以外にも、城は行政や経済の中心地でもありました。
コミュニケーション
メッセージの伝達には時間がかかります。
ラジオも携帯電話も定期的な郵便配達もありません。
ある人物から別の人物にメッセージを伝えるには、口頭または文書で伝えるしかありません。
文書で伝える場合は、まず、通常は修道士や商人など、メモを書いてくれる人を見つけなければなりません。
次に、メッセージの受け取り人のいる方向へ旅している人を見つけなければなりません。
メッセージが発信者から受信者に届くまでに、2人以上の旅行者の手に渡ることも珍しくありません。
これには数週間、あるいは数ヶ月を要することもあります。
通信手段が限られているため、探索者が遠距離での行動を調整することは困難です。
探索者が別れて行動すると、修道院の捜索を調整することさえ難しくなります。
携帯電話などないため、即座に連絡を取り合うことはできません。
コミュニティ
家族単位のコミュニティ、そして村全体のような広域社会のコミュニティという概念は、暗黒時代において非常に重要です。
コミュニティがなければ、資源は限られています。
暗黒時代において、人は真に自給自足することはできません。そのため、コミュニティは協力し合い、できるだけ多くの人々を支援します。
これは、誰もがニーズを満たされるユートピアを意味するものではありません。
戦い、口論、陰口、脅迫は依然として発生し、しかも頻繁に起こります。
共同体グループは自分たちを助けます。
定義された共同体の一員でない人に対しては、助ける義務はありません。
小さな暗黒時代の村には、いくつかの共同体が存在することがあり、時には互いに反目し合い、時には互いに助け合うこともあります。
共同体は経済的および感情的な支援体制を提供します。
人が病気にかかると、そのコミュニティの他の人々がその家族を助け、食料や労働力を提供する。
家族が狂人や「白痴」に「呪い」をかけられた場合、コミュニティの他のメンバーがその人の世話を手伝う。
馬が故障して畑を耕せなくなると、別の農家が数時間だけ馬を貸してサポートする。
共同体から外れることは、死刑宣告を受けるのと同じことでした。
追放刑は頻繁に下され、命を落とすこともよくありました。
追放された者は、何の支援も受けられず、自力で生き延びるしかありません(そして、生き延びられることはほとんどありません)。
グレティルのような有名な無法者でさえ、追放された共同体から離れた場所では、生き延びるために苦労しなければなりませんでした。
村や町から離れた場所で孤独な人物を見つけた場合、その人物は疑いの目で見られます。
犯罪を犯して追放された無法者である可能性もありますし、あるいは神の啓示を受けた宗教的な隠者である可能性もあります。
また、放浪中の狂人で、見つけた人に暴行を振るったり、不運をもたらしたりする可能性もある。
さらに悪いことに、それは人間ではなく、人間の姿をしたチェンジリング(妖精)で、農民を死に誘うために罠を仕掛けている可能性もある。
よそ者が新しいコミュニティに入ると、疑いの目を向けられ、信用されない可能性が高い。
彼は不安定さを象徴している。
たとえその人物が法を犯す者、泥棒、殺人犯でなかったとしても、彼はコミュニティを支える繊細な絆を理解しておらず、それを簡単に崩してしまう可能性がある。
コミュニティの派生形として、確執という概念がある。
確執においては、家族や一族、あるいはコミュニティといった社会集団は、その一員が傷つけられたり殺されたりした場合に復讐する権利を持つ。
傷つけられるとは、必ずしも肉体的な傷害を意味するわけではない。
侮辱や窃盗も確執のきっかけとなる。
復讐を求めることを制限することで暴力をなくすことを目的としているが、どちらの側も制限を守らないため、何世代にもわたって流血が続くというケースも珍しくない。
闇
夜は暗い。
現代の先進国のほとんどの地域では、真夜中でも周囲をぼんやりと照らす光があるが、そのような光は存在しない。
暗闇は最大の都市にも広がっている。
ヨーロッパ最大の都市コンスタンティノープルでは、主要な通りの一部だけが松明の明かりで照らされている。
残りは闇に包まれたまま放置される。
そのため、人々は夜間の外出を好まない。
日が暮れると、人々は火やランタン、ろうそくを灯し、屋内に留まる。
夜に出かけることは愚か者のすることだと考える人も多い。
獣や盗賊、怪物の噂を聞くだけで、勇敢な者でも屋内に留まることを選ぶ。
特に田舎では、道に迷うという現実的なリスクも存在する。
悪魔
悪魔は、暗黒時代の多くの人々にとって、人類が直面する最大の脅威と考えられていた。
悪魔は堕落させ、影響を与え、邪悪な望みを叶える存在である。
悪魔は侮れない存在であり、教会は自らを防衛の第一線とみなしていた。
初期の教会法文書である『司教規範』には、「司教およびその役人は、自らの教区から悪魔が発明した有害な〈妖術〉や〈呪術〉を徹底的に根絶するために、全力を尽くさなければならない。そして、もしこの悪しき術の信奉者を見つけたら、その者を教区から汚名を着せられて追放しなければならない」と記されている。
教区からの破門は、死刑宣告にも等しい。
共同体から追放された者は放浪し、自力で生き延びなければならない。
ソロモンの黙示録は、ソロモン王に帰せられる1世紀から3世紀の魔術のテキストであり、暗黒時代の最も人気の魔導書の一つである。
この一節では、悪魔の王子であるベルゼブルが、悪魔のヒエラルキーにおける自身の役割について説明している。
私はソロモンが彼に言った。「ベルゼブルよ、汝の職務とは何だ?」すると彼は私に答えた。
「私は王を滅ぼす。私は外国の暴君と手を組む。そして、私の配下の悪魔たちを人間に送り込み、彼らがそれらを信じて滅びるように仕向ける。
そして、神に選ばれたしもべである司祭や信仰深い人々を、邪悪なサタンの罪や悪の異端、無法な行為への欲望へと駆り立て、彼らは私の言うことを聞き、私は彼らを破滅へと導く。
そして、私は人々に妬みや殺人、戦争、その他の悪事を吹き込む。そして、私は世界を滅ぼすだろう」
異端
暗黒時代は異端だらけである。
キリスト教会は強力ではあるが、時として考えているほどカトリック的ではない。
異端の最も一般的な形態は、個人崇拝である。
カリスマ性のある男たちは、聖人や神に触れられ、奇跡を起こすことができると主張する。
中には、聖人やキリストであると主張する者さえいる。
この種の異端者は、時には数千人の信者を集めることもあります。
これほど多くの人々が田舎をさまよえば、略奪が起こるのは必至です。
町は略奪され、旅人は襲撃されます。
コミュニケーションが口コミに頼っているため、聖典が誤って記憶されたり、誤解されたりしやすいのです。
アドルベルトとして知られるカリスマ的指導者は、信者に武器を与え、旅人や商人を襲うことを常習化しました。
犯罪による収益はすべて、困窮者に再分配された。
教会の対応は様々であり、通常はその時点で法王がどれほど強力であるかを考慮して決定される。
司教は会議を開き、異端の影響について話し合い、決議を宣言する。
異端者の中には破門を命じられる者もいれば、処刑される者もおり、アデルバートのケースのように法王が狂人であると宣言した場合は、無視される。
反応が様々であった理由の一つは、異端審問のような異端に対処する単一の機関が存在せず、地方の司教区の秩序の要は世俗の領主と協力する司教であったことである。
教会が異端と遭遇した際、彼らの最初の使命は異端者を教会に復帰させることである。
処罰は常に最後の手段である。
教会が拷問を認めるのは13世紀までである。
異端者が処刑されるような稀なケースでは、処刑は教会ではなく世俗の権力者によって行われる。
ほとんどの異端について覚えておくべき重要なことは、もし特定の異端者が信奉者を惹きつけることができるのであれば、たとえそれが短期的な反抗心の解放に過ぎないとしても、おそらくその異端者は人々の何らかのニーズを満たしているということである。
階層
社会は階層的である。
貴族は戦士の上にあり、戦士は聖職者より上位に位置し、聖職者は一般の自由民の上に立つ。
誰もが小作農や奴隷の上に立つ。
暗黒時代の考え方では、これは神が天使や人間の上に位置する天国を反映している。
階層社会の各人は、自分より上位の者に対して何らかの忠誠を誓う。
この忠誠心は、農作業、建設、戦争などの奉仕活動を行うこと、あるいは織物や農作物などの物品を提供することとして表される。
1022年には、修道士、修道女、フランス王妃の告解師を含む20人の異端者が異端の罪で告発され、処刑された。
彼らは自ら考案した儀式として、乱交、人食い、幼児殺しを行っていた。
教団内部の密告者によると、この集団は「教会の保護」を利用し、教会の秘跡をすべて拒否し、罪を犯さず、「天国の食べ物」を食べていたという。
この天国の食べ物とは、後の年代記編者によると、「殺された赤ん坊の灰で作った悪魔の聖餐」であった。
異端者たちは逮捕され、フランス王と王妃、および司教会議によって裁判にかけられた。
彼らは有罪判決を受けた。
2人は信仰を撤回したが、残りのメンバーは信仰を撤回することを拒否したため火あぶりの刑に処された。
人質
暗黒時代には、戦闘中・戦闘外を問わず人質を取るのが一般的であった。
誰かの言葉を確保する必要がある場合、人質として、通常は家族、特に子供が差し出された。
戦士が戦いで相手を打ち負かした場合、敗者を人質として捕らえ、相手の家族に身代金を支払わせることができる。
また、敵対する2つのグループ間の理解を深める方法としても人質が用いられる。敵対するグループの子供たちが敵の保護の下で成長すれば、将来の世代で理解が得られるという理論に基づいている。
人質は新しい主人と何年も一緒に暮らすことになるかもしれません。
人質は人質を取った犯人の子供たちと一緒に育ち、その家庭で《教育》を受けることになるかもしれません。
虐待されることはほとんどありませんが、人質は人質を取った犯人の所有物と見なされます。
借金を返済できなかったり、合意が成立しなかった場合、人質は奴隷として売られることもあります。
ユーモア
暗黒時代の物語には、ブラックユーモアのエピソードが満載です。
当時の生活を物語が反映しているとすれば、暗黒時代の人は、他の人と同じくらいブラックユーモアを楽しんでいたことになります。
ユーモアは、日常生活の苦難を和らげる手段となります。
問題を笑い飛ばすことができれば、それを乗り越えられるかもしれません。
暗黒時代のユーモアの素晴らしい例は、『ニャルズ・サガ』に登場します。
復讐を誓う武装集団がグンナルの家に近づいた。東夷のトールグリムは〈登攀〉を始め、グンナルは窓の明かりに照らされた赤い〈チュルド〉(コートまたはチュニック)が目の前を通り過ぎるのを見て、〈手形〉を突き出し、彼の腹を強打した。
トールグリムの足はすべり、彼は〈盾〉を落とし、屋根から転落した。
そして、地面に座っているギズールとその仲間たちのところへ行った。
ギズールは彼を見て言った。「さて、グンナルは家にいるのか?」 「それは自分で確かめろ」とトールグリムは言った。「だが、これだけは確かだ。奴の〈鉤爪〉は家にいる」そう言って、彼は死んだ。 騎士たち 鎧を身にまとい、勇猛な馬にまたがり戦場に〈騎乗〉する中世の典型的な騎士像は、暗黒時代には存在しない。
当時の鎧は鎖帷子(くさりかたびら)であり、戦場に〈騎乗〉した軍隊の多くは、戦闘時には馬から降りて戦ったか、あるいは最初の突撃の後に馬から降りていた。
馬の飼育費が高額であったことと、鐙(あぶみ)が不足していたことから、馬に乗ったままの戦闘は稀であった。
鞍は突撃には便利であるが、馬に乗ったままの白兵戦闘を可能にするのは鐙である。
読み書き
識字率が広く行き渡っている現代では、大多数の人々が文字を読めなかった時代を想像するのは困難ですが、暗黒時代にはそれが現実でした。
読み書きは、まったく異なる技能です。
現代では読み書きは同時に習得されますが、暗黒時代ではまず読み方を〈指導〉し、必要に応じて書き方を教えるという方法が取られていました。
暗黒時代の読み書きには、実用的な読み書きと文化的な読み書きの2つの基本的な形態があります。
実用的な読み書き能力を持つ人は、自分の名前を読み、場合によっては書くこともできる。
また、憲章、遺言状、令状など、自分の生活に直接影響する法的文書を読むことができ、少なくともその要点を理解することができる。
文化的な読み書き能力を持つ人は、散文や詩を読み書きできる人である。
社会で最も読み書き能力の高い層は教会である。
司祭、修道士、修道女の多くは、教会に入った時からラテン語を読み書きできるが、全員がそうというわけではない。
一般信者の間では、読み書きは通常、より実用的なものであり、日常語かラテン語であり、上流階級の要素である。
忠誠
封建制度は、ほとんどの人が想像するように、暗黒時代に始まったばかりである。
ベネフィスは一部の地域、特にフランク王国で用いられていたが、封建制度が持つと解釈されるような硬直性は欠いていた。
その代わり、個人的な忠誠心に基づくシステムが多くの戦士集団を結びつけていた。
ベオウルフ、アイスランドのサガ、アレクシス、ヴォルスンガ、中世の騎士物語などでは、男たちの集団における忠誠の必要性が強調されている。
10世紀から11世紀にかけて、この忠誠は封建制度として体系化されていく。
しかし、忠誠は双方向的なものでもある。
彼らは、リーダーに支援を与える見返りとして、戦闘の機会や戦利品を十分に報酬として得られることを期待していた。
英雄文化の要素は、特に社会の周辺部では今でも存在している。
封建制度が発展するにつれ、封建制度について語られる際にしばしば想像される理想的な忠誠の概念が生まれた。
実際には、複数の人物が複数の領主と契約を結ぶという、非常に複雑な忠誠システムが存在し、それは暴力を招くこと必至の複雑な人間関係のネットワークを生み出していた。
理想的な忠誠とは、シャルトルのフルベール司教がアキテーヌ公ギヨーム5世に宛てた手紙の中で、無害、安全、名誉、有用、容易、可能であると記されている。
無害であること、つまり、人は主君に危害を加えてはならない。安全であること、つまり、秘密は守られるべきである(特に、主君の要塞の秘密の通路などに関するもの)。名誉であること、つまり、人は正義に基づいて行動し、他者の名誉を傷つけてはならない。有益であること、つまり、その者の所有物が領主にとって有害であってはならない。そして、容易かつ可能であること、つまり、その者が領主に困難をもたらしたり、不可能なことをさせたりしてはならない。一方、領主も家臣に対して同様の態度を取るべきである。
実際には、実際の忠誠心とは、領主と家臣の関係が明らかに一方的なものであることを意味する。領主は領地に対して絶対的な権力を持っているため、領主は利益を得ることができ、望むものを何でも要求できる。
家臣は、実際に忠誠心を持っている場合、文句を言わずに従うだろう。そして、従う以外にできることはほとんどない。
魔法
魔法はほとんどの人にとって現実のものである。
しかし、これは火の玉や魔法のミサイル、枯れさせる魔法ではない。
ほとんどの魔法は、くじ引きから悪魔や天使の召喚まで、未来を明らかにし、詠唱者に肯定的な結果をもたらすために行われる。
また、人を呪ったり、家屋を呪ったり、人を癒したりする目的で用いられる魔術もあります。
魔術を用いる人々は注意深く監視され、安易に信用されることはありません。
教会はほとんどの魔術を嫌悪しており、一部の地域では魔女や魔術師を積極的に追跡しています。
しかし、地域によっては、キリスト教の神と神が創造した世界が人間を向上させるために利用できることを示すことで、〈地位〉を強化する魔術には目をつぶっているところもあります。
中世では、少なくとも聖職者の間では魔法はよく話題に上るテーマであった。
魔法の本質だけでなく、それが現実のものなのかどうかについても意見は分かれている。
多くの神学者は、自分たちが戦っているのは魔法ではなく、魔法信仰であると信じていた。
ヨーロッパでは、魔法は地域によって様々であった。
アングロサクソンのイングランドでは口頭によるエルフチャームが人気で、ドイツでは小枝の占いが頻繁に行われ、ローマやコンスタンティノープルでは学術的な魔法が一般的でした。
以下は、暗黒時代の魔法に関する簡潔な一般論です。
6世紀のセビリア大司教であり、「古代世界の最後の学者」であるセビリアのイシドールスは、キリスト教と異教の両方の資料を引用した百科事典『エチモロギア』を編纂しました。
「de Magis(魔術)」の項目は、暗黒時代のキリスト教における魔術信仰の基礎となっている。
イシドールは、魔術が最初に人間に伝わったのは悪天使の仲介によるものであり、最初の魔術師として注目すべき人物はペルシャ王のゾロアスターであったと記している。
魔術師、または魔術師は、〈隠密〉を求める。
彼らは自然界を混乱させ、人の心を乱し、呪文だけで、時には悪魔の力を借りて、人を殺すことさえある。
彼らの一般的な道具は、血、生贄、死体である。
死霊術師は、呪文を使って死者を呼び出し、人間の知覚を超えた〈知識〉を問いただす。
イシドールは、病人の病を癒すために呪文を唱える魔術師を特に憎んでいた。
イシドーレにとって、あらゆる魔法は人間と悪の天使の協力の賜物である。
8世紀に活躍した後の教会関係者ラバヌス・マリウスは『エティモロギア』を大いに参考にしたが、異なる結論に達した。
ドイツにおける改宗運動の最前線にいたラバヌスは、魔法は幻想であると考えるようになった。
『魔術師について』の中で、ラバヌスは異教の魔術師や魔女は、その行動の背後に真の力を持たないイリュージョニストであると主張している。
魔術に関する3人目の論評者であるヴォルムスのブヒャルトは、11世紀初頭に『デクレタム』を著した。
ブヒャルトは、イシドールスとラバヌスの両方に言及し、魔術は現実のものであると結論付けたが、魔術師には軽い処罰を提案している。
- 魔術の種類
宗教的献身と魔術の境界線を明確に区別することは困難です。
魔術の最初の区分は、合法か非合法かであり、これはキリスト教か非キリスト教かに帰結します。
キリスト教徒がキリスト教の目的のために魔術を使用する場合は、奇跡と見なされ、聖人になるための一歩とみなされます。
異教徒が同じ魔術をキリスト教以外の目的で使用した場合、それは教会によって罪とみなされます。
多くの異教の場所、儀式、信仰は、初期の暗黒時代にキリスト教の慣習に取り入れられました。
多くの異教の聖地の上に教会が建てられました。
異教の癒しの儀式では神々の名前が聖人の名前に置き換えられましたが、病人の治療には引き続き使用されました。
教会は自然魔術と悪魔魔術を区別しています。
自然魔術は、治療の呪文でよく使われるもので、神が地上に作り出した自然を利用するものであり、教会もこれを認めています。
一方、悪魔魔術は、悪魔との何らかの交信や悪魔への生け贄を必要とします。
2つ目の区分は、学問的なものと民間伝承的なものです。
学問的な魔術は、占星術、占い、悪魔召喚、そしてグリモア(魔術の呪文や呪文が書かれた本)の使用を必要とするその他の「知的」魔術です。
これはコンスタンティノープルや大都市以外ではほとんど行われていない。カリファのクトゥアティ・アクアディンゲンの写本。ヨーロッパ全土で行われていた民間伝承の魔法は、治療、呪い、占いであり、くじ引き、天候の観察、その他の「自然」な手段によって行われていた。
暗黒時代には癒しの護符は存在するが、それらは『クトゥルフの呼び声』における万能薬に過ぎず、〈医学〉の薬草を用いることで癒しのプロセスを促進することはできるかもしれないが、そのことを保管者は覚えておくべきである。
基本的に、魔法が強力すぎて人間には理解も処理もできない場合、超自然的な力との取引、利己的または気まぐれな理由で実践される場合、他者の自由意志に対する敬意の欠如が見られる場合、または魔法の力が人の血や骨に組み込まれている場合、それは教会にとって不愉快であり、処罰の対象となります。 - サンプルのお守り
暗黒時代において、最も一般的な魔法の形態はお守りです。
お守りは、文字で書かれたもの、口頭で伝えられたもの、または護符のようなものがあります。
お守りは、治癒や呪いのために作成されることがあります。
お守りの効果はキーパーによって決定されます。以下の選択ルールを考慮してください。
お守りは純粋に心身に作用し、受け手の精神状態に影響を与えます。
お守りには実質的な効果はないが、〈説得〉の判定とよく似た効果があり、受け手に、ある種のネガティブなものを回避したり、祝福の恩恵を受けるために、特定の行動を取るべきだと納得させることができる。
• お守りは、古代の神話の源から信じられないほど抽出された、些細な魔法を行う。
特定のフレーズや単語を発音すると、現実の世界に微細な宇宙の波紋が生じ、神話の呪文の淡い反射が解き放たれる。
• お守りは天然の素材でできており、その中には実際に医学的にも有益なものもある(例えば蜂蜜は天然の消毒薬であるなど)。
そのようなお守りは、回復や治癒のダイスにボーナスを与えることがある。
このお守りは、瘰癧(リンパ節の腫れ)を治す。
ノースの姉妹は9人いた。その後、9人は8人になり、8人は7人になり、7人は6人になり、6人は5人になり、5人は4人になり、4人は3人になり、3人は2人になり、2人は1人になり、1人は無になった。
これにより、あらゆる種類の苦悩、腎臓結石、皮膚病、不幸から解放されるでしょう。
「ベネディクテ」を9回唱えなさい。
悪魔の攻撃に対するおまじない:
レッド・マレンは、流水の近くに生えるハーブの名前です。
このハーブを身につけ、枕の下に敷き、家のドアの上に置くと、悪魔はあなたに危害を加えることができません。
このお守りは頭痛に効く:
ツバメの胃袋の中の小さな石を探し、それらが土や水、他の石に触れないように注意して持ち帰る。
その中から3つを選び、苦しんでいる人の体に置く。すぐに良くなるだろう。
これらは頭痛や目の痛み、悪魔の誘惑、夜の悪魔、熱病、夢魔、性的な締め付け、魔法、邪悪な呪文などに対して効果がある。
石を見つけるには、十分に成長した雛鳥でなければならない。
手足の痛みのための呪文:
手足の痛みの場合は、以下の呪文を9回唱え、患部に唾を吐きかける。「Malignus obligavit, angelus curavit, dominus saluavit.
」すぐに良くなるだろう。
- 魔術書
魔術の呪文や呪文が書かれた魔術書は、暗黒時代には珍しい。
初期の教会による努力により、多くの魔術書が破棄された。
最も有名なものはソロモンの遺言で、悪魔の階層における悪魔の役割を記したガイドである。
魔術書が再び人気を博し、広く出回るようになったのは、中世後期になってからである。
暗黒時代における魔術書とは、古代から伝わる作品か、あるいはネクロノミコンのフィレタス訳のように暗黒時代に作成された数少ない作品を指す。
処罰
教会が魔術を認めない場合、その使用は処罰の対象となります。
最も一般的な処罰は懺悔です。
懺悔にはさまざまな種類があり、どのような種類の魔術に対してどのような懺悔を行うかについては、厳格な規則はありません。
一般的なものとしては、髪を剃って着るヘアシャツの着用、巡礼、修道院への入所、教会の建設などの善行を行うことなどがあります。
懺悔の期間も数週間から数年とさまざまです。
ほとんどの場合、その件は地元の司祭によって決定される。
魔術師、呪術師、魔女は魔術を実践したという理由で殺されることがある。
最も一般的な処刑方法は溺死と生き埋めである。
呪術や呪いのために生き埋めにされる場合、顔を下にして埋められる。
異端審問はまだ存在していないため、魔女狩りは行われない。
魔術への信仰、魔術信仰の歴史は、複雑な主題であり、本書の範囲を超えるものである。
ゲームに暗黒時代の魔術の雰囲気を取り入れるために、キーパーが利用できる追加の書籍については、参考文献(261ページ)を参照のこと。
口承
暗黒時代における〈読み書き〉の水準はきわめて低く、読み書きができるのは、少数の修道士や貴族などだけである。
ほとんどの人々にとって、自分の名前を読み書きでき、短い詩を暗唱できる程度がせいぜいでした。
そのため、歴史、伝説、文化伝統、そしてその日のニュースなどの情報を伝える手段として、物語が主な手段となりました。
本が珍しく、理解するのが容易ではない世界では、口頭での言葉が大きな意味を持ちます。
- 書面による証拠
探索者が読み書きができたとしても、暗黒時代に彼らが目にする文書は現代のものと大きく異なります。
文書の多くは、読み書きが部分的にできる人々によって書かれており、長文を作成するのが困難であったため、多くの手紙や記録は簡潔な要約にすぎません。
断片的または簡略化された文書は、すべてを説明することなく、疑いを抱かせるような不完全な情報を探索者に伝えるのに適しています。
ほとんどの文書はラテン文字で書かれていますが、それより古い文字もあります。
ルーン文字は、古ノルド語を書くために使用されるアルファベットと似ていますが(全く同じではありません)。
この文字を完全に理解している人はほとんどいません。このルーン文字を読むには、ハードの読み書き(古英語)ロールが必要です。
キーパーの裁量により、読み書き(古ノルド語)の能力を持つキャラクターは、これを理解できる場合もあります。
この文字は現在では使用されていないため、神秘的な文字として一定の評価を得ています。
ルーン文字による魔法の碑文は一般的であり、教養のある作家は、謎やパズルにこれを使用することがあります。
ルーン文字は、探索者が理解しにくいだけでなく、手がかりとなる文章に神秘性と古風な雰囲気を加えます。
試練
試練とは、神の審判(judicium Dei)によって証拠の価値を判断するための肉体的試練です。
試練の内容によっては、試練を生き延びること、試練後に回復すること、あるいは時には死によって、有罪または無罪が証明されることもあります。
宣誓や証人と同様に、試練は裁判における証拠の判断の中心的な手段となります。
オズウィンがウルフスタンを窃盗の罪で告発した場合、どちらの当事者も試練を受けることを選択できます。
オズウィンが試練を受け、成功すれば、彼の告発が正当であることが証明される。
一方、ウルフスタンが試練を受ければ、彼の無実が証明される。
試練は驚くほど効果的である。なぜなら、無実の者は通常試練を受けることに同意するが、有罪の者は、神が自分のために奇跡を起こすことはないと知っているため、自白するからである。
昔話は、〈知識〉を明らかにする最も一般的な方法であった。
火による試練は、恐ろしい正義の追求方法である。
試練は常に自発的なものである。
試練を課すことはできない。
試練は通常、影響を受ける本人が受けるが、権力者や富裕層は、代わりに試練を受ける者を立てることもできる。
試練の種類:
火による試練:試練を受ける者、すなわち被験者は、規定の距離を熱した鉄の上を歩かなければならない。
試練の後、傷口は包帯で覆われる。
3日後、神父が傷口を調べ、治癒の兆候が見られる場合、被験者の供述は事実として受け入れられる。
熱湯による試練:
鍋で水を沸騰寸前まで熱する。
次に、鍋の中に石を落とす。
被験者は手を水に浸し、石を取り出す。
やけどの箇所は包帯で巻く。
3日後に僧侶が判定する。
やけどが治りかけている場合は、証言が認められる。
水の深さは、その人が罪を問われた回数によって決まる。
一度告発された場合は、水の深さは手首まで。
三度告発された場合は、水の深さはひじまで。
水による試練:
被験者は首に石臼を縛り付けられ、水中に投げ込まれる。
被験者が浮いていれば、その証言の真実性が認められる。
十字架による試練:両当事者がこの試練に参加することに同意しなければならない。
木製の十字架が立てられ、2人の当事者は十字架を背にして左右に立ちます。
彼らは腕を梁と平行に上げます。
最も長く腕を上げた者が、最も正確な証言をしたと判断されます。
飲食物による試練:
被験者は司祭に祝福された乾パンを食べさせられます。
もし喉に詰まらせれば、証言は偽りです。
聖餐による試練:
被験者は真実を述べることを誓い、聖餐(聖体拝領)を受ける。
嘘をついていた場合、被験者は1年以内に死亡する。
泥炭による試練:
アイスランド独特の試練で、被験者は吊り下げられた泥炭の下を歩く。
泥炭が落ちた場合、その供述は偽りである。
宗教
宗教は暗黒時代の社会の中心にある。
それは最大のコミュニティであり、自己を定義する方法でもある。
暗黒時代では、ほとんどの決定は宗教的な観点から行われる。
キリスト教、東方正教会、ユダヤ教、イスラム教、マニ教、または現在も存在するさまざまな異教のいずれを信仰しているかに関わらず、人々は熱心に信仰を信じていた。
彼らは主にこの信仰を通じて、自分たちの周囲の世界と関わっていた。
異端者はただ処刑されるだけではありません。
異端者とは真理から逸脱した人々のことであり、彼らを真理へと導くことが目的なのです。
頑固な異端者や、一度は改心したものの再び誤りに戻った異端者だけが、死刑の対象となります。
また、1100年以前の西洋では、通常考えられているよりも異端ははるかに少なかったのです。
確かに、トゥールのグレゴリウス(6世紀)はアリウス派やその他の後期古代のキリスト教の変種について論じています。公式の著述家たちは、その後数世紀にわたって、概ねこれらの異端について懸念を表明し続けました。
しかし、1100年以前に個々の異端者が特定され迫害されていたという証拠を探しても、ほんの一握りしか見つかりません。
異端の時代は、教会の制度がより発展した時代と一致しており、それゆえ、1100年頃以降、
1100年以降、暗黒時代のヨーロッパで支配的な宗教はキリスト教であり、それは今日では想像もできないほど多くの面で、ほとんどすべての人々の生活に影響を与えていた。
暗黒時代のカトリックの教義は、ニカイア信条(ニカイア信条)を言い換えて要約することができる。ニカイア信条は、父と子と聖霊への信仰、そして唯一のカトリック教会と使徒教会への信仰を公言する信仰の標準的な声明である。
社会全体と同様に、教会にもヒエラルキーがあります。
最も基本的なところでは、教皇が教会のトップであり、教皇の下にさまざまなレベルの司教がおり、司祭は司教に報告し、信徒は最下層に位置する、と要約できます。
この階層は、ある程度流動的です。
司祭は自分の司教には報告しますが、必ずしも別の教区の司教に報告するわけではありません。
多くのことは、個人の性格や家族関係、政治的な駆け引きに左右されます。
暗黒時代には、ローマ法王はまだ無謬性もペトロ的首位権も有していませんでした(ペトロ的首位権とは、ローマ法王がカトリック教会のすべての司教の上に立つことを意味します)。
首位権は叙任権闘争の後の1075年に確立され、無謬性は19世紀に確立されました。
- 教会の腐敗
暗黒時代におけるキリスト教会、特に教皇の選出は、腐敗の時代であったと簡単に描くことができます。
結局のところ、教皇の選出には正式な方法がありません。
あらゆる意味で、10世紀前半にはトゥスクルム伯家が教皇を選出しており、その後974年から1012年まではクレセンツィ一族が事実上すべての教皇を選出していました。
1012年から1049年の間、3人の連続したトゥスクルム伯が自らを教皇に任命したのが、トゥスクルム教皇庁である。
興味深いことに、両家ともその家系を教皇庁の財務および衣装担当官であったテオフィラクト1世にまで遡ることができる。
しかし、腐敗の問題全体は困難なものです。
中世初期には、聖職は神によって定められたものであり、聖職に就く者(王、伯爵、司教、教皇)は、その職務の権利により、宗教を正し監督する義務があると考えられていました。
つまり、11世紀以降のローマ教皇の改革者たちにとっての腐敗は、それ以前の時代においてはまったく正常なことだったのです。
例えば、シャルルマーニュは、司教の任命や解任を自由に行うためにその権限を行使しました。
また、ローマ教皇の地位をめぐる競争が買収可能な候補者を生み出していると彼らが考えた場合、さまざまな皇帝たちは、教皇庁そのものの改革のためにその権限を行使しました。
修道院生活
修道院や修道院はヨーロッパ各地にあり、規模は数人のメンバーしかいない小さなものから、風景や近隣住民を支配するような大きな石造りの建物まで様々です。
修道院の中には社会から孤立しているところもありますが、一方で日常生活に完全に溶け込み、修道院の周囲に平信徒の小さな村が発展しているところもあります。
修道院は国際貿易においても重要な役割を果たしています。
修道院で生産された商品はヨーロッパ全土で販売され、遠く離れた港から運ばれてくる珍しい品々が修道院に運ばれることもよくあります。
修道士は清貧の誓いを立て、個人的な所有物を一切持たないことを意味します。
しかし修道院という組織は莫大な財産を蓄えることができます。
貞潔の誓いは修道士が性的関係を断つことを意味します。
貞節の誓いは、修道士がひとつの修道院にとどまることを意味します。
服従の誓いは、修道士が修道院長の命令に従うことを意味します。
修道院長という肩書きは一般的です。
暗黒時代のヨーロッパでは、修道院長は必ずしも特定の肩書きではなく、修道院の指導的立場にあるメンバーを指す言葉として使われていました。
この言葉は徐々にベネディクト会の修道院長に代わるものとなりつつありますが、その進展は遅々としています。
- 修道会への入会
貴族は、誓いを立てる意思さえあれば、いつでも修道会に入会することができます。
戦うことのできなくなった退役軍人、修道院で養育された幼い子供たち、
結婚の見込みのない娘たちが、最も一般的な入会者です。
修道院での生活の様子
「ブライトン神父の噂を聞きましたか?
農民は修道院の使用人になることはできても、
特別な事情がない限り修道士になることはできません。
- 修道院の業務
修道士の主な義務は世界のために祈ることであり、彼らは「業務」を通じて祈りを捧げます。この業務は「時の典礼」とも呼ばれています。
聖ベネディクトは
「働くことは祈ることである。
祈ることは働くことである」と述べています。
業務には、通常午前2時頃に行われる「ラウズ(lauds)」を伴う「マチネス(matins)」、
午前2時頃、
プライム(Prime)は1日の最初の1時間で午前6時頃、ティエルス(Tierce)は1日の3時間目で午前9時頃、セクスト(Sext)は1日の6時間目で正午頃、ノーネス(Nones)は1日の9時間目で午後3時頃、ヴェスペル(Vespers)は日没頃、そして、就寝直前にコンプリネ(Compline)があります。
- その他の任務
修道士は、各自の技能に応じて修道院の周辺でも働きます。
中には学者として、原稿の書き写しや翻訳を熱心に行う修道士もいます。
また、修道院や商業用の食料を生産するために畑で働く修道士もいます。
さらに、他の修道士が使用したり、商業用に販売する製品を生産する修道士もいます。
- 修道院の階層
暗黒時代の生活の他の側面と同様に、修道院にも階層があります。
• 修道院長は、コミュニティの父親的存在です。
すべての修道士は、疑問や遅延なく、彼に従います。
時には、修道院長は副院長に職務を代行してもらうこともあります。
• 副院長は、修道院長に次ぐ地位です。
この役職は、学部長や院長とも呼ばれます。
• 大院長は、宿舎でのサービスを確保し、入居式を入念に計画する。
他の修道士や使用人が、彼を補佐する。
• 神父は、礼拝堂の管理を担当し、数人の使用人の助けを借りて、週に一度、近隣の病人を看護する。
繁栄している修道院では、神父は貧しい人々への食料配給も組織する。
修道士が1年以上着用した衣服は、寄付される。
• 財務長は、衣類、寝具、照明を担当する。
彼は、修道院の土地や年貢から家賃を徴収する権限を持つ。
• 司厨長は食料貯蔵室を管理し、多くの部下を従えています。
食堂の修道士は食堂での奉仕を監督し、屋根裏部屋の修道士は穀物置き場、水車小屋、パン焼き小屋を監督し、看守は厩舎を管理し、庭師は菜園や果樹園の世話をします。
• 教会と典礼用の家具の管理責任者は、教会管理官です。
説教師は司会者であり司書でもあります。
説教者は聖歌隊の指揮者です。
• 病人看護係は病人を看護し、受胎告知の日には健康な修道士に儀式的な瀉血を行います。
病気の治療として最も広く受け入れられていたのは、病人に肉を食べさせることでした。
• 俗人兄弟は修道院では比較的新しい制度である。
11世紀以前は、日々の作業のほとんどは修道士によって行われていた。
1000年頃から、修道院によっては、修道院での肉体労働や事務作業のみを目的とする男性を受け入れるようになった。
彼らは「時の典礼」には参加しなかった。
俗人兄弟は、通常、修道士とは異なる修道服を着用していた。
ベネディクト会の場合は、平信徒は頭巾を着用しませんでした。
平信徒は、多くの修道院が肉体労働のために雇った労働者と混同されてはなりません。
平信徒、雇われた労働者、またはその両方を活用するかは、通常、個々の修道院の判断に委ねられます。
女子修道女は修道士と同様に平信徒の女性に仕えられますが、男性司祭はチャプレンとして奉仕します。
- 聖人
暗黒時代のキリスト教において重要な要素は、聖人(「神の友」)への崇敬です。
聖人とは、模範的な生き方や犠牲的な死、あるいはその両方によって崇敬される存在であり、永遠の命が与えられます。
聖人への崇敬は、礼拝(latria)ではなく尊敬(dulia)に値するものであることに留意することが重要です。
崇拝されるべきは神のみです。
それ以外は偶像崇拝となります。
聖人の中でも最も重要なのは聖母マリアである。
その他の聖人は、職業、場所、あるいは個々のキリスト教徒の保護や援助と関連付けられている。
聖人の例示リストは付録(260ページ)に記載されている。
ほとんどの聖人は、天国での誕生日(すなわち、死亡日)に公的な祝祭が行われる。
また、一部の人は、保護のために聖人の小さな象徴を身につけている。
これが神話に対して何らかの利益をもたらすかどうかは、キーパー次第である。
田舎
暗黒時代におけるヨーロッパの大半は田舎である。
ヨーロッパ全体で4000万人に満たない人口である。
アルプス以北では、そのほとんどが5000人未満の集落に住んでいる。
ヨーロッパ最大の都市であるコンスタンティノープルに暮らす人口は50万人に過ぎない。
キリスト教の首都であるローマの人口は5万人である。
ほとんどの人々は、1,000人未満の住民が暮らす小さな集落に住んでいます。
そのような規模の村では、少なくとも顔見知りになることは誰にでも可能です。
秘密
生存が共同体に依存し、共同体がコミュニケーションに依存しているため、暗黒時代では秘密は良くないことでした。
秘密裏に犯罪を犯すことは、公然と犯罪を犯すよりも重い処罰を伴う。
公然と犯罪を犯すことは、事前に意図を表明することを意味するわけではない。多くの犯罪は機会犯罪であるため、たとえ容疑をかけられていなくても、犯罪を犯した後に罪を認めることになる。
たとえ便所に食べ物を持ち込むことだけだとしても、秘密裏に犯罪を犯すことは、罰金や追放の対象となる。
農奴制
暗黒時代の大陸ヨーロッパで広く見られた、奴隷制の変形形態。
一般に「ヴィレイン」として知られる農奴は、地主から土地付きまたは土地なしの家屋を借りる。
彼らの年貢は小麦やその他の労働奉仕で支払われる。
ヴィレインは領主の土地で決められた期間、農作業やフェンスの修繕、屋敷周辺の作業に従事する。
農奴は領主の森や畑で狩猟を行うことは禁じられている。
農奴にもいくらか権利はあった。
彼らが借りている土地で生産された農作物は、彼らの自由裁量で処分することができ、市場で売ってまとまった金額を稼ぐ農奴もいた。
農奴は地主の所有する森林から枯れ木を集めることが許されていた。
農奴の子供たちは、父親が亡くなった際に、追加の税金を支払って父親の土地と責任を相続する選択肢があった。
領主は正当な理由なく農奴を土地から追い出すことはできず、その理由は通常、税金の支払いができないことである。
領主は農奴を暴力から守り、飢饉の際には慈善活動を行うことも期待されていた。
農奴にとって最も困難なことは、領主の仕事が自分の仕事よりも優先されることである。
領主の畑が収穫の時期を迎えると、農奴は自分の畑の収穫を前に、まず領主の畑の収穫をしなければならず、自分の畑の作物が畑で枯れてしまう危険性がありました。
農奴は、その隷属状態を終わらせることができます。
農奴が逃亡し、1年間逃げ続けると、自由の身とみなされます。
残念ながら、彼には生活の手段がすべて失われてしまいます。
逃亡した農奴の多くは犯罪に手を染めます。
領主の許可があれば、勤勉な農奴は自由を買うことができます。
奴隷
奴隷制度は今でもヨーロッパ、特に北と東で存在しています。
時には、借金を返済したり、家族の生活を楽にするために、子供たちが奴隷として売られることもあります。
しかし、通常は戦争の戦利品が奴隷となります。
捕虜の身代金がまともにもらえると思えない場合、捕虜は奴隷として売られてしまいます。
奴隷となるのは貧しい人や恵まれない人だけではありません。
後にノルウェーに剣を突きつけてキリスト教を強要する王となるオラフ・トリグヴェソンも奴隷として過ごした時期があった。
少年の頃にエストニアで捕らえられ、雄羊と交換され、その後、良い毛皮と交換された。
従兄弟が彼の正体を知り、彼を購入し、ノヴゴロドの宮廷に住むために連れて行くまで、彼は6年間奴隷として過ごした。
超自然
暗黒時代は迷信の時代です。
人々は天使や悪魔、妖精やその他の生き物を信じていました。
彼らの世界観の一部として、奇妙な生き物の話を聞いたり、実際に生き物を目にしても、人々は驚きませんでした。
もちろん、話を聞くのと実際に超自然的なものと対面するのとでは大きな違いがあります。
猜疑心
暗黒時代の人は、特に田舎では、内向きになりがちでした。
知り合いであれば、信頼できる可能性が高い。しかし、コミュニティ外の誰かと出会う場合は、疑いの目を向ける理由がある。
その人物は泥棒、無法者、魔女、異教徒である可能性がある。
外国人を信用してはならない。彼らは、どんな取引でも自分に有利になるように仕向けるだろう。
そのため、特に農村部では、コミュニティから別のコミュニティへ移り住む人はほとんどいなかった。
限られた善の理論
限られた善の理論とは、一部の社会では、この世には善が限られていると信じられており、自分に何か良いことが起これば、知り合いの誰かに悪いことが起こるという考え方である。
農民が豊作に恵まれれば、村の誰かが牛をすべて失うことになることを知っている。
この考え方は、暗黒時代にも生き続けている。
通常、それは人々が幸運を手にしてもそれを表に出さない、あるいは幸運が転がり込んできても腹を立てるという形で現れます。
また、共有するという結果も生みました。
農民が豊作を手にしたら、その幸運から目をそらすために、その収穫を地域社会と共有します。
幸運を共有することで、その幸運は村全体に広がります。うまくいけば、不運は他の村に降りかかるでしょう。
また、一人の人間が幸運を享受し続けると、周囲の人間の間には敵意や疑念が生じます。
他の共同体メンバーは、自分たちにどんな災難が降りかかるのか、また幸運を手にした人物が成功を手にするに値するようなことをしたのかどうかを心配します。
時間
暗黒時代の人々は、鶏の鳴き声を頼りに夜明けを告げる合図としたり、近くの修道院から聞こえてくる正規の祈りの時間を告げる鐘の音を〈聞き耳〉を立てていました。
天体の位置を観察することで、時間を知るのに十分な精度を得られることがよくありました。
時計は日時計、砂時計、水時計(水時計)だけである。
夜は主にろうそくで計った。
年は自然に季節と週に分けられ、日曜日は休息日で、宗教的な祭事、祝祭、断食期間で区切られていた。
聖職者は年、月、月の日を〈追跡〉し、復活祭やその他の宗教的儀式の日付を計算していた。
新年は1月1日ではなく、場所によって異なります。
フランスの王の宮廷では3月1日です。
ドイツやイギリスでは、クリスマスが新年です。
最も広く受け入れられている年代学によると、西暦1000年には世界は4952歳となり、学者たちは、人類が生きているこの時代が歴史上最後の時代、すなわち第6の時代であると考えています。
旅行
暗黒時代の旅行は困難であり、生涯に20マイル以上を旅する人はほとんどいません。
ほとんどの人は徒歩で移動します。
かつてヨーロッパを横断し、軍団や商人たちが都市から都市へと移動することを可能にしたローマの道路網は、ローマ劫略後に荒廃しました。
現在、多くの道路は草木が生い茂り、橋は崩壊しています。
人や物の移動には、河川、湖、海洋のいずれかを航行する水上交通が一般的です。
ノルウェー人、デンマーク人、スウェーデン人、ベネチア人など、海洋民族としての気風が強い文化圏では、さらに遠くまで海路で移動します。
しかし、海岸線の見えない未知の海域を航海するのは、勇敢な船乗りのみです。
誰も旅をしなかったというわけではありません。
アイスランドのサガには、コンスタンティノープル、ノルウェー、イングランド、アイルランド、フランス、イタリアへと旅した人々の話が数多く登場します。
アングロ・サクソン人の要塞化された住居(ブルフ)には、東洋のスパイス、ビザンチウムの紫の絹、ドイツの高価なワインが持ち込まれました。
富裕層や教会関係者は、通常はローマへの巡礼を行いました。
農民の中にも巡礼を決意する者もいました。
旅の途中で宿泊場所を見つけるのは困難な場合がある。
宿屋のシステムは存在せず、小さなコミュニティは外部の人間に対して疑い深い。
最も一般的な休憩場所は修道院である。
修道士たちは修道会への寄付と引き換えに旅人を泊めてくれる。
土地を所有する旅人は、その領地内の家屋で休息を取ることができる。
他に選択ルールがない場合、人々は星空の下で眠る。
荒野
荒野とは、集落の外側の区域を指します。
荒野には、野原、森林、丘陵、山などが含まれます。
荒野では、人々に悪いことが起こります。
エルフやその他の生き物は、油断して家から遠く離れた場所をさまよう人々を待ち構えて、荒野を歩き回っています。