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Last-modified: 2023-04-12 (水) 08:41:29

新王国の神々

〈新王国〉の世界で最も知られているのは〈混沌〉の神々で、次いで〈法〉の神々です。この両陣営は絶えず戦っており、〈新王国〉もその戦いの中で変化してゆきます。
そして、〈法〉にも〈混沌〉にも属さない、中立の神々である〈精霊の王〉そして、滅多に知られていない〈天秤〉、その配下の〈野獣の王〉〈草木の王〉が続きます。
〈宇宙の天秤〉の制限により、〈法〉と〈混沌〉の神々は人間の運命に直接介入することを禁じられており、〈戦士〉すなわち、執行人、手駒を通じて行動しなくてはいけません。
また、神々は定命の者に召喚されないかぎり、地上で実体をとることはできません。

混沌の神々

〈地獄の公爵〉〈エントロピーの神々〉などさまざまな名前で知られる〈混沌の神々〉は、人間にたいへん関心を持っています。
彼らは情熱と終わりなき変異とほとんど無限の力をそなえた生き物です。
変化と無秩序が、彼らの本質であり、存在そのものです。
人類におよぼす影響から、人間には邪悪だと思われていますが、彼らは、わたしたちが理解するような善悪を超越しています。
彼らは、〈多元宇宙〉のあらゆる次元界が〈混沌〉に支配され、心を持たない完全な絶え間ない変化の中に閉じこめられるのを望んでいます。
〈新王国〉の大半の地域では、〈混沌〉の信者はののしられ、恐れられています。
ヴィルミールやアルギミリアのような国家では、〈混沌〉の信仰は禁じられており、その儀式は秘密に行なわれます。
〈混沌〉の狂信者は、見つかるとしばしば処刑されます。
ですが、〈混沌〉の信仰を許容したり、積極的に奨励したりしている国もあります。
パン・タンには、祭礼と儀式を司る組織化された〈混沌の教会〉がありますが、〈エルリック・サーガ〉が進むにつれ、パン・タンの神政政治の力は〈新王国〉のほかの国々をも巻き込んでいきました。

変幻なる八神
伝統的に、8という数字は〈混沌〉を象徴しています。また、〈混沌〉の万神殿にいる神の伝統的な数でもあります。
万神殿にいると言われる神々は場所によってさまざまですが、最も古く、最も強力な3柱の(混沌の神々〉―スローター、チャードロス、マベロードーの名は常にあがります。
〈新王国〉では、ほかの数え切れないほどの〈混沌〉の小神が至るところで信仰されています。
例えば、マロヒン、ゾートラ、〈静かなる監視者〉マルク、〈灼きつくす炎〉のハボリム、〈物乞いの神〉ナージャンです。儀式、礼拝、綴り、発音はさまざまです。
メルニボネでは、〈混沌の神々〉はありえないほど美しい姿で現れます。
一方、めったにないことですが〈新王国〉で実体化するときは、人間が〈混沌〉を本質的に邪悪だと思っていることにふさわしく、ふつうはぞっとするような恐ろしい外見をとります。

〈老神〉スローター

スローターは最も古く、最も美しい神であり、快楽主義、放蕩、退廃、放縦をつかさどります。
スローターの信者たちはこの信条に勤勉に従います。
パン・タンでは、スローターの神官たちは自らの外見を損ない、対照的にスローターの美しさがもっと際立つようにしています。

〈顔のない神〉、〈剣の王〉マベロード

実体をとるとき、マベロードの顔は常に影に包まれています。
あるいは顔がなく、顔のあるべきところに、のっぺりと白い皮膚が広がっているだけのこともあります。
彼は〈剣の王〉であり、戦士と兵士の神で、献身と引き換えに、狂戦士の怒りで祝福を与えることで知られています。
マベロードのカルトは血に飢えていますが、〈処刑者〉ハイオンハーンの信者ほど残忍というわけではありません。

〈刈り入れ者〉チャードロス

骸骨の顔と草刈り鎌を持つチャードロスは、死と暗闇をつかさどる恐るべき神です。メルニボネ人はあまり彼が好きではありません。
そこでは彼は、豪華な黒い服を着て、背が高くてやせこけた、青白い人間らしくない紳士の姿で現れます。
不死の呪いは、チャードロスの力のひとつです。
彼の領域は墓所にあるすべてのものと、そこに結びつく恐怖を取り巻いています。草刈り鎌が彼の象徴です。

〈処刑者〉ハイオンハーン

ハイオンハーンは〈絞首台の神〉であり、その信者は暗殺者や処刑執行人の地位に就いています。
野蛮で残酷で、流血と犯罪を喜びます。実体をとるときは、目が落ちくぼみ、血のこびりついたあごひげを生やし、もじゃもじゃ髪をした巨体の木こりとして現れます。
ときどきこめかみから、狂暴そうな角が飛び出していることもあります。メルニボネにおいてさえも、ハイオンハーンの外見はまったく優美ではありません。
ハイオンハーンに捧げられた魂はいずれも、永遠に貢め苦を受け続けることになります。斧が彼の象徴です。

〈剣の女王〉キシオムバーグ

性別を持たず、女性というわけではありませんが、ふつうは女性らしい姿をとり、信者の大半は女性です。
〈剣の女王〉は戦争と狡猾さをつかさどるもう一人の神であり、暴力的な破壊よりも、微妙なやり方や残酷な復讐を好みます。
キシオムバーグは愛情を求める人々だけでなく、かつての恋人に受けた侮辱への報復を求める人々からも信仰されています。

〈ありえざる秘密をささやく触手を持つ神〉ピアレイ

ビアレイの力は〈天秤〉やその制限の影響を受けません。
ピアレイの領域は深海です。そこでは溺死した船員が乗り組む呪われた海軍、〈混沌の艦隊〉が航行しています。
海上に(混沌の艦隊〉が現れるのは、世界の終末の前兆ということです。
ピアレイは正気を失った船員や精神が錯乱した海兵、それに波の下で失われた知識や海に関する力を求める者から崇められています。
宿敵は〈精霊の王〉ストラーシアで、彼の持つ海の上の方、浅瀬、真水の支配権を、ビアレイは欲しがっています。ピアレイの信者は三叉槍を好みます。

〈冷酷なる神〉バラーン

ありとあらゆる形の苦痛をつかさどる神です。
洸惚とさせるような苦悶の神として信仰されることもあり、また別の場所では、拷問人の神としても崇められています。
彼の顔は常に、肉にボルトでとめられた鉄か鋼の仮面に隠されています。
メルニボネでは、バラーンは、美しい定命の人間からはぎとった顔を、濡れて血の滴る仮面として着け、その下の自らの容貌を隠しています。

〈地獄の公爵〉〈七つの闇の王〉〈剣の騎士〉アリオッチ

メルニボネの守護神であり、そこの皇帝は長い間、必要なときにアリオッチを召喚する権利を持っています。
アリオッチはほとんどの場合、この世のものとは思えないほど美しい人間かメルニボネ人として現われます。
エルリックが気づいたとおり、アリオッチは気まぐれで残酷です。
アリオッチは、少なくとも〈新王国〉の次元界においては、最も力のある〈混沌の神々〉の1柱です。
ストームプリンガーとモーンブレイドの2本の魔剣を守っていて、これらはのちに、エルリックとその従兄のイイルクーン、そしてディヴィム・スロームが振るうことになります。

〈幻減の青の貴婦人〉エクオル

〈エルリック・サーガ〉に名前の登場する唯―の女神で、そこでは狡猾なソラナが彼女を信仰しています。
エクオルの領域は青一色だけで構成されており、この世界にはほかの色はありません。
彼女の信者はときどき、〈新王国〉の次元界からエクオルそのひとの次元界へと移動する能力を与えられます。
彼女は、知識と悲しみに満ちた孤独をつかさどる女神で、厳寒な気候を好みます。彼女の教団はパン・タンでさえも繁栄しています。
そこでは女性は魔術を練習することを禁じられていますが、そこでのエクオルのための秘儀は、秘密主義の女性信者の手によって実行されています。

法の神々

〈法の神々〉も万神殿を構成し、その力は〈新王国)を取り巻いていますが、あまり呼び出されることはありません。
ロルミール、ヴィルミール、〈紫の街の島〉のように文明が進んだ国家は、時に〈法の神々)の別名となる(白の神々)を信仰しています。
この国の人々は、〈法の神々〉が、道徳上の公正さをつかさどり、秩序と安定を象徴する神々だと信じています。
実際は、〈法〉は〈混沌〉と同じくらい容赦がなく、人類にとって有害であり、変わることがなく、融通がききません。
〈混沌の神々〉は人間を、興味深い新しい姿に作り直そうとしますが、〈法の神々〉は人々を人間らしくするもの、すなわちその不完全な心を消し去ろうとします。
完全な(法〉の世界では、個性と感情が存在する余地はどこにもありません。
〈法〉は完璧さ、安定、伝統、秩序、組織を目的としますが、人類の言葉でそれは停滞を意味します。〈法〉を表す1本の矢は、〈唯一不変の道〉を象徴しています。
〈新王国〉では、〈法の神々〉は、超然としていて感情がないものの、善良で、(混沌〉の狂気じみた邪悪さに対抗するものと見られます。
しかし人類は、〈多元宇宙〉の本質を理解していません。
メルニボネ人は〈法〉に敵対し、〈法〉は、自分たちの生活を構成する激しくて一種異様な喜びを抑えるものだと正しく認識しています。
〈法の神々〉が実体化するときは、正視するのが苦痛なほど完全無欠なに美しい人間の姿をとります。

不変なる九神
〈混沌〉は8という数字に敬意を払います。(法〉はいくつかの数字に意味を見出します。「1」という数字がもっと重要です。
というのも、それは最初に来るものであり、〈法〉の道が多様性を認めないように、1はそれ自身でのみ構成されるからです。
「3」という数字は次に主要な数字です。最も強固な構造の形である三角形を表現しており、〈法〉の中でも主要な神々であるドンプラス、アーキン、ゴルダーの強力な3柱も示しているからです。
「9」という数字は3の3倍であるため、3倍神聖であり、〈法の万神殿〉にいる神の数とも合っています。
地方によっては、〈法〉の亜神も崇められています。
例えば、ロルミールにあるオーベックとシメッシュの教団や、ヴィルミールにあるタールガノの教団などです。

〈正義の作り手〉ドンプラス

ドンブラスは〈正当なる報復の神〉とも呼ばれ、戦いを通して自分に価値のあることを示した者に勝利をもたらします。
彼は容赦のない正義の大義名分を象徴しており、それはあらゆるものを眼前に追いたて、その罪を押しつぶします。
ドンブラスの司祭は裁判官、政治家、王の相談役であることが多く、一方で聖騎士、狂信者、公正な復讐を熱望する者だったりもします。

〈小心なる者〉〈自然の法則の神〉アーキン

アーキンは、哲学者、錬金術師、美を愛する隠遁者、自由思想家、数学者、発明家の神です。
信者には科学的な成功で報います。
潮の満ち引き、惑星の軌道、季節の変化は、彼によって定められています。
科学は彼の考案したものであり、彼の力です。

〈益をなす者〉〈発展と幸福の神〉ゴルダー

ゴルダーの信者の言葉を借りれば、規律正しい経済のしくみは、この次元界に対するゴルダーの偉大なる贈り物ということです。
ゴルダーは交易の神であり、〈紫の街の島)で熱心に信仰されていますが、ほかの場所ではそうでもありません。
信者は富を蓄えることで自らの地位を上げ、神のように完璧に何かを手に入れ消費することで、自らが徳のある人間であることを証明します。
ゴルダーの司祭は、銀行員や財務官であったり、信仰の守護者であったりします。
また商人、店主、交易家など熱心に利益を求める人々が彼の信者になります。

〈白き手〉〈限りある運命の神〉ミラス

青白きミラスは、死と時間をつかさどる(法〉の神です。
彼女はそれぞれの生き物がどれだけ長く生きるかを決めます。
すべての道は、最後には彼女の黄昏の王国の門で終わります。
ミラスは残酷にもあわれみ深くもなれます。
というのも、彼女は喜びだけでなく、苦しみと悲しみにも終わりをもたらすからです。
ミラスの司祭は、婚礼、誕生、死、葬儀の場に居合わせます。
また治療の技術も学びますが、どのような手段でも、前もって運命を定められた魂をミラスが要求するのを遅らせることはできないと知っています。

〈容赦なき者〉〈暴力の神〉トーヴィク

トーヴィクは、動物界にある自然の掟を象徴しています。
腕力でのし上がってきた狂戦士、戦士、戦の長、国王が信仰しています。
彼の司祭は残忍で荒々しい日をした予言者で、ミラスの胃袋へと軍隊を導いていきます。

〈賢き者〉〈達成の神〉ヴェイリン

ヴェイリンは知識と学問をつかさどる女神です。
あらゆる教師がそうであるように、厳格で駿慢です。
またあらゆる恋人がそうであるように、信者に忠実さを要求します。書記、学者、賢者がヴェイリンを信仰しています。
彼女は特に愛情をかたむける者たちに、夢という形で知識を授けることがあります。
謎と試練の答えは実体のない公式として垣間見えるだけで、数分間だけなら思い出せますが、そのうちほとんどの夢が消えてしまいます。

〈種を授ける者〉〈豊穣の神〉サリク

サリクは農業と生殖と誕生の神です。
人々は息子を授かるように、また作物と狩りの獲物が豊かであるようにと、サリクに祈りを捧げます。
彼はブドウと穀物の神であり、情熱と生命の神でもあります。
最初の酒造家にその技術を教えたのも、人類にブドウの収穫方法を教えたのもサリクです。
女性の信者はほとんどいません。

〈差し示す手の〉〈発想の神〉セリル

詩人、画家、作家、音楽家のための創作の術をつかさどる女神です。
彼女への信仰は、ヴィルミールではあまり見られません。
セリルが、音楽を譜面に残すことを人類に教えたため、歌は時間を超えて変わることなく保存できるようになりました。
彼女は、呼びかけを無視する怠惰な芸術家をすぐに見捨て、けっして許しません。

〈洗練されたる者〉〈調和の神〉エルギス

平和と文明をつかさどる神で、啓発された支配者や外交官に信仰されています。
エルギスの信者は行ないと言葉によって、世界に愛と調和をもたらします。
無秩序な(混沌)を追い返し、蛮族の間に文明とその価値を広めます。

精霊の王

地、風、火、水が、〈新王国〉の元素を構成しています。
この次元界は出来たばかりなので、これらの元素はまだ活動していますが、過去に比べるとそれほど活発ではなくなっています。
何百万という知的存在が、それぞれの元素を構成しています。
すべてのものが感じ、考え、記憶し、意志を疎通します。
彼らは本質的に生命の味方ですが、ときどき気まぐれを起こしたり好き勝手に行動したりします。
というのも、彼らは生きているようには見えますが、誕生してくるわけでも自然に死ぬわけでもないからです。
純粋な〈法〉の世界に、精霊は存在できません。彼らは自然の世界が魔術によって具現化したものであり、〈法〉は魔術の正反対にあるものだからです。
しかし、同時に精霊は〈混沌〉がむしばみ、常に書き変えようとしている自然の中で体系だてられた秩序を表しています。
精霊の宗派を信仰すること、特に(精霊の王〉自身を信仰することは、〈新王国〉中でよく見られますが、形式はさまざまです。
〈紫の街の島〉では、〈海の王〉ストラーシャと〈風の女王〉ラサを祭ったきらびやかな教会が発展しています。
一方〈嘆き野〉で行なわれる儀式では、単純な詠唱、舞踊、太鼓の演奏をラサとストラーシヤに捧げます。
何世代も離れた〈精霊の王〉の子どもたちが下級と上級の精霊で、その元素が少しでも存在する場所ならどこでも見かけられます。
魔術を使わなければ、彼らの姿はたいてい見えません。
サラマンダーは山火事や暖炉の中で踊り、シルフはそよ風と共に漂い、ウンディーネは波頭の上で歌い、ノームたちの笑い声は地震の中から聞こえたり、彼らの歯が石英の中できらめいていたりします。

〈地の王〉グローム

グロームは嫉妬深い心の持ち上です。大昔、グロームとストラーシャは協力して、驚くべき(海と陸をゆく船〉を建造しました。
この船は、水上に負けないくらいたやすく陸上も航行できます。
グロームは議論の末に船を失い、いまではグロームとストラーシャは敵同士です。グロームの信者たちは、ストラーシャのカルトと対立しています。
彼に捧げる儀式は常に地下で、たいていは暗闇の中で行なわれます。

〈炎の王〉カタタル

太陽がカタタルの宮殿だと言われています。彼の信者は炎による口づけを喜びとすることが多く、単純な社会では、彼の神官は村の鍛冶屋であったりします。
カタタルとラサは敵同士で、カタタルの信者は常に、風のカルトのじゃまをします。
〈風の女王〉ラサ
シルフの女王は心やさしい生き物ですが、けっして自分が不利になるようなことはせず、カタタルを常に脅かしています。
彼女とカタタルは敵同士で、風の信者は常に炎のカルトの破減を求めています。

〈海の王〉ストラーシャ

ストラーシャは、船乗りや沿岸の住民、農民など、豊富な水が生活に不可欠な人々に好かれている神です。
彼はよくラサと結びつけられます。二人は協力して雨をもたらします
(ただし〈嘆き野〉では、雨はストラーシャの涙だと言われています。彼は長い間引き離されている恋人、ラサを思って泣くということです)。

野獣の王、草木の王

〈野獣の王〉はそれぞれ自分と同じ種類の動物だけを支配し、その種類の動物に関係のある能力だけを持っていますが、そうした能力は神に匹敵するくらい大きなものです。
例えば巨大トカゲのハーシャースタークは、ばかでかい〈混沌〉の昆虫をのみ込んでしまいます。
同様に、〈草木の王〉は同じ種類の植物――穀物、草、針葉樹、広葉樹など――だけを支配し、姿も似ており、またそれらにしか関心がありません。
彼らのことをひっくるめて、〈原型の王〉と呼ぶこともあります。
それぞれの王は〈半世界〉と言われるもう1つの宇宙に住んでいます。そこにいるのは、王とそのいろいろな子孫だけです。
これらの〈半世界〉は、ぼんやりとしか知られていません。
〈新王国〉の次元界のように何かがはっきり存在するのではなく、もっと制限された場所のようです。
ムアコックは、そこでは本能が最も重要だ、とほのめかすくらいで、特に定義していません。
〈半世界〉の中には、〈新王国〉の次元界で暮らすさまざまな自然の生き物にとっての原型が住んでいま
す。おそらくは、〈多元宇宙〉のほかのあらゆる次元界の原型も存在するでしょう。
これらの存在はすべて、事故や生存競争から守られています。その次元界の〈野獣の王〉や〈草木の王〉が意図した場合を除き、〈半世界〉に行くことはできません。
通常の魔術では、〈半世界〉につながる穴を開いたり、そこに影響を及ぼしたりすることはできません。
〈新王国〉の中でも原始的で未開の部族は、さまざまな〈野獣の王〉や〈草木の王〉を信仰していて、そうすることで、自分たちがますます繁栄するよう願っています。
このことが、王たちにどのような影響を及ぼしているのか、知られていません。
部族の中には、特定の〈野獣の王〉を祖の霊として崇め、自分たちとその祖霊との間に何か神秘的な関係があると信じているところもあります。
そうした人々はたいてい、その祖霊にあたる動物を殺すことを禁忌としています。
これらの部族はふつう、人間は退化した動物であると信じています。
その証拠として、動物たちは頑丈で自立した生き物であるのに対し、人間は幼少期と老年期には無力で、仲間の動物より劣っているように思えることがあります。
野獣の王には以下のような王が居ます

  • ヌウウルクク:昆虫の王
  • ハーシャースターク:トカゲの王
  • フィーリート:鳥の女王
  • ミーアクラア:猫の王
  • ルーフドラック:犬の王
  • ヌル=ア:牛の王(鹿やカモシカも含む)

〈天秤〉

万物が存在する以前から、〈宇宙の天秤〉は存在しました。
〈天秤〉は常に存在し、これからも存在し続けるでしょう。
これは微妙でとらえがたい力であり、自らが作り出した〈多元字宙〉のあらゆるものを愛しています。
哲学者たちは〈天秤〉を達成しようと努力しますが、ほとんどの者は〈法〉に傾いてしまうか、もっと多くの場合は〈混沌〉に屈してしまいます。
(天秤)は生と死の間にあり、〈法〉と〈混沌〉の間にあります。調和のとれた自然の無秩序なのです。
〈天秤〉は〈法〉と〈混沌〉だけでなく、数多くの亜神や神を生み出したあと、彼らの行動のよりどころとなるべき自然の法則を定めました。
〈法〉はこれらの命令に従っていますが、しばしばその意図は無視します。
一方〈混沌〉はこれらの拘束に積極的に背こうとしています。
どちらも、できることなら〈天秤〉をひっくり返そうと思っています。
〈天秤の戦士〉はめったに見られない特別な人々で、霊的に豊かであり、根本的なレベルで〈多元宇宙〉と触れ合っています。
しばしば国から国へ、次元界から次元界へと放浪し、旅の途中で〈天秤〉の教えを広めています。
どんなときも〈法〉と〈混沌〉の安定を保つことと、人類の間の均衡を探し求めています。

〈灰色の神々〉

これらのほとんど知られていない存在は、〈情性の神々〉と呼ばれています。
タネローンで最大の影響力を持っています。
彼らは〈天秤〉のしもべであり、その安定を求めるようにで奉仕していると思われています。
〈灰色の神々〉は停滞と倦怠に魅了されており、このような状態では〈法〉と対立することはありません。
しかし、〈惰性の神々〉は気まぐれでという点で、〈混沌〉に似ています。