敷浪

Last-modified: 2016-07-23 (土) 15:26:33

もしかして敷波

No.018s
※公式です敷浪(しきなみ)敷浪型 1番艦 駆逐艦
ステータス
耐久 火力 
装甲 雷装 
回避 対空 
搭載 対潜 
速力 索敵 
射程  
最大消費量
燃料 弾薬 
搭載装備
弾力のあるぷにほっぺ(もどき)
圧倒的姪っ子力(もどき)
装備不可
装備不可
改造チャート
敷浪 → 敷浪改
CV:東山奈央、イラストレーター:しばふ

彼女について

  • セガが実装した新型駆逐艦
    • 容姿や声は敷波に似ているが全くの別物である
    • 放置ボイスが「朝の光眩しくて…ウギェ!!」である辺りから察せられる
  • 実家
    • 石川県羽咋郡にある
    • 近くの浜には千里浜さざなウェイがあり日本で唯一車で波打ち際を走れる
  • 多分姉妹艦に式波とか式浪とかがいる

ゲームにおいて

  • 敷波にそっくりではあるが性能は駆逐艦版まるゆと言っていい性能
    • 速度はなんと秋月よりも遅い

敷浪の作り方

「手紙だよー。ちゃーんと見とけよー」
 執務室に餅が入ってきたと思ったら敷波だった。
 どうやら工廠の明石からの連絡を預かってきたらしい。何やら手紙を手渡してきた。
「ふぅん、近々また新しい艦が着任するんですね」
「秘書艦だからって覗き見はやめなさい大井。機密文書だったら事だろう」
「はあ? 機密文書? 駆逐艦のお使いで?」
 ごもっともですはい。
「ありがとう敷波、そんなに頬を膨らませて怒らなくてもちゃんと読むからな」
「あたし普通にしてるだけだよ。…どうせ下膨れだよ」
 おお餅が膨らんだぞハハハ。
 と指差して笑おうとしたら隣で拳を鳴らす音が快く聞こえた。
「提督? あまり駆逐艦で楽しく遊ばないでくださいね。…ロリコンの謗りと制裁を受けたくはないでしょう?」
 うちの秘書は時々怖い。
 お使いが終わった敷波は、帰っていいか迷っているのか手を後ろに組んでつまらなそうにしている。
 せっかくだから嫌がる大井に相手させて見守るかと思ったところでコンコンと執務室のドアが鳴った。
 新規艦がもう来たらしい。手紙の意味ないな明石!
「あら、来たみたいですよ」
「きっと可愛い子でしょうね…ふんっ」
 大井は小首を傾げ、敷波は「ふん」と「ほん」の間の音で拗ねた。
 自己評価の低い敷波はしばしば新しい艦にこういう態度をとる。可愛い。
「どう思う大井。俺は90点を進呈したい」
「あざとさが鼻につきますね、55点」
「元練習艦は厳しいな」
「なんだよー! なんであたしの採点してんだよー!」
 ぷんすこ怒る餅を放っておいて大井に出迎えさせた。
 そろそろ雪風とか来ないかな。と少し期待して着任演出を見守る。

 餅が入ってきた。

「あたしの名はシキナミ、以後よろしく」
 スッと無表情になって振り向いた大井を無表情で迎え撃つ。
「可愛い子が来たなぁ大井」
「そうですねぇ、ほんとに可愛らしい」
 棒読みの大井と共に視線を向ければ敷波は真っ赤になってしゃがみ込んでいた。
 艦娘のくせに自爆するとは何事だ。
 あれ? でも敷波被り?
「セガ的には同じ艦が出たら吸収合体されて強化されるんじゃあなかったか?」
「あらそういえば。出会ったら目の前が真っ白になっていい感じに一つになって元がどっちの自分だったか分からなくなるのが常なんですが」
 何それ怖い。艦娘怖い。
 するとなんだ、つまりシキナミと名乗って同じほっぺを持ってはいるが敷波とは別の艦ということだろうか。
「同じ顔の奴見ると死ぬって海外の都市伝説になかったか?」
「ニオコマドでしたっけ?」
「それは絶対に違う」
 新規艦の方のシキナミ――紛らわしいから敷波乙とする――は不思議そうにぷにっと頬を傾げている。
 一方元祖の敷波甲は大井の背に隠れてガタガタ震えていた。
「ちょっと、鬱陶しいから袖つかまないでくれる? 伸びちゃうじゃない」
「で、でもあたしと同じ顔だよ? あたし死んじゃうの?」
「ああもう、あんなの馬鹿な提督が適当に言っただけで同じ顔の人間が世の中には三人はいるものなの!」
 馬鹿って言ったね大井。
 しかし語調とは裏腹にぽんぽんと頭を叩く手つきがすごく優しいぞ大井。
 ぐずる敷波甲と状況を計りかねているらしい敷波乙を並べてみるが、表情こそ違えどどちらも敷波にしか見えない。
「見分けつくか大井」
「全然。私はそもそも敷波と綾波の区別もつきませんが」
 ひどっ。
「ぐすっ…なんだよー…大井さんお土産とか買ってくるときチョコ好きのあたしと餡子好きの綾波とでちゃんと別々にくれるくせにさー…」
 今度は大井が真っ赤になった。
「ひゃー大井っちやっさしいじゃぁーん」
「ぶん殴りますよ!?」
 今の北上によく似てたと思ったんだけどなぁ。
 大井を宥めつつ泣き止んだ敷波甲の頭を撫で、敷波乙に歓迎の握手をすると、間髪入れず操舵で鳴らした腕で敷波甲と乙をぐるぐると回した。
「なんだよー」「なんだよ~」
 おお反応も同じだし、声も同じように東の山から聞こえるような姪ロリボイスだ。
 目を回してふにふにと前後する敷波甲と敷波乙のどっちがどっちだかもはや俺にも分からない。
「どうだ見分けつくか大井。部下の駆逐の活躍を一つも見逃さず戦果報告にしたためるその慧眼で!」
 提督殴られた。
「いや…まぁ同型艦でもありえないぐらいそっくりで本当に見た目じゃ分かりませんけど」
「ていうか本当に同艦が合体しない不具合じゃないのか…? ちょっと提督ほんとにわかんなくなったから敷波なんか好きな歌歌ってみ」
「なんでだよー!」「嫌だよー!」
 両サイドから姪の声が聴こえてくる幸せ!!
 この多幸感は後で大本営に報告するとして、今後の軍務に支障が出るとか何とか言って姪を言いくるめた。
 左側の敷波がもじもじしながら手を後ろで組んで歌い始める。
「はーてーしなーいーあの雲ーのかなーたーへーあたしをーつーれてーいーってー」
 敷波Aは超流行のアイドルの歌をたどたどしく所々音程を外しながら歌った。可愛いね!
 寝る前に綾波と共に歌っていることは知っている。恐らくこれは本物の敷波だろう。
 大井は心底興味なさそうに手帳に北上の2文字を延々と書き連ねている。時間が空いたときああすると徳が貯まるらしい。サイコか。
 拍手で敷波Aの健闘をねぎらい、次は右側の敷波Bだ。
 こちらはAより多少自信があるような表情で眉を立てると、すぅっと息を吸い歌い始め
「朝の光眩しくて…ウギェ!」
taiha.png
 口から血を噴いて倒れた。
 敷波Aがドン引きして大井の腰に抱きつく中、それを引きずりながら大井は速やかに備え付けのバケツで殴って敷波Bを修復した。
「盛大に噛んだな」
「いやいや大破してましたよこの子…ありえないでしょう」
 さすがの大井も困惑している。
 敷波A…いやこっちが敷波でいいだろう。今後は大破した方を敷波カッコカリとする。
 敷波はただでさえ同じ顔がやってきてビビってるとこに盛大なスプラッタショーを見せつけられすっかり萎縮している。可愛い。
 敷波カッコカリは「はー危ない危ない」とほのぼのした表情で額など拭っておられる。
「いや…もしかしたら上手いこと入れ替わって敷波に成り代わろうとする深海の罠かもしれん、もう一個テストしよう」
「うわ…こいつ今の状況楽しんでるだけだわ…」
 こいつって言ったね大井。
「ともあれ次のテストだ。なに簡単だ、二人とも後ろを向いてくれ」
 疑問符を浮かべながら敷波と敷波カッコカリはくるりと後ろを向いてエッチな艤装をモロ見えにした。
 実際やることは簡単だ。まずは敷波の肩をちょんちょんとつつく。ついでにはみ出たほっぺもぷにぃとつつく。
「なんだよー」
 敷波はくるりと振り替えると少し照れた感じで控えめにピースサインをした。
 これこれこれですよ。敷波の新必殺振り向きピース!
 呼ばれたかな?というちょっと戸惑い気味のターンとかまってくれた!という喜びを密かに表す密やかなピースサイン!
 この姪加減は偽物が一朝一夕に身につけられるものではない。こいつは間違いなく本物の敷波だ! 知ってたけど!
 さぁ本家の圧倒的姪力に対しお前はどんな反応を返す! 敷波カッコカリ!
 同じように敷波カッコカリの肩をつんつんとつつく。
「ギャア! …ウギェ!!」
taiha.png
 敷波カッコカリは驚きのあまり前のめりにビターンと顔面から倒れると至近弾喰らった砲撃サークルのようにビクンビクンと痙攣している。
 弱い! 弱すぎる!
 大井は備え付けのバケツを敷波カッコカリに食わせ、何事もなかったように修復した。
 驚いたこともあってかさすがに凹み気味のカッコカリは、頬をぽてーんと垂らして落ち込んでいる。
 いやほっぺがぽてーんとしてるのは敷波もか。ハハハ。あっ睨まれた。
 

 改めて新規艦の彼女に聞いたところ、こういう文字だと名札を見せつつこう名乗った。
「あたしは敷浪型一番艦敷浪…だよ」
 知らない子ですね…

 聞けば敷浪は艦船としての記憶を持たず、工廠で目を開けたのが最初の記憶らしい。
 妖精さんが仕上げの段階で一斉にパスタ食いに出かけたりするとこういう艦娘が出来ることがあったりなかったりするようだ。
「それで不安になりながら来てみたら沈めかけられるしなんだよ~…なんなんだよ~…」
 いやさすがにあれで大破するとは想定外です。
 というかよく執務室まで来られたなって思い始めている。
「うんうん分かるよ、駄目な司令官のとこに配属されると大変だよ…」
「そうね…ほんっと迷惑だわ…」
 敷波と大井も昔辛いことがあったようだ、いつのことかは知るすべがないがお察し致します。
 二人は敷浪のほっぺをふにふにと撫でて慰めている。
 敷浪はよほど疲れたのか砲塔もふにゃりとほっぺのように垂れている。あれれそういうもんだっけ艤装。
「それで敷浪…は一応正式にこの鎮守府に配属されたわけだけどどうする? やっていけるか?」
 正直イ級にT字有利で撫でられただけで死にそう。
「うん…やる以上はちゃんとやるよ! 敷浪こう見えてネームシップだから…!」
 うわ無駄にやる気十分だ。
 敷波も尊敬の目で見るんじゃあない。
 とはいえこのままだと出撃なんてもってのほかである。
「まずは訓練かな…とりあえず神通あたりに…」
 となんとか今後のことを考えていたところにドアが勢い良く開いた。
「たいちょ! かいぐんが! かいぐんがりくぐんのけっていにさからいます!!」
 剣呑なことを叫びながらのとまるゆが駆け込んできた。
 セガ的には存在をまだ認められていないが雨の日に木曾が拾ってきてうちで保護している個体だ。
 そのまるゆが何事かと振り向いた敷浪に激突した。
「わーっ!」「えっ何…ウギェ!」
 虚弱なまるゆはそれだけでなんか体の前面が平たくなって中破した。
 一発だけなら中破で済むのはまるゆ特有の安全装置だ。5分休めば直る。サウスパークみたいな奴だ。
 一方の敷浪はと見ると後頭部が床に叩きつけられブリッジの形で痙攣していた。
taiha.png
 マジかー…

「提督…悪いことは言わないから除隊を認めてあげて…」
 バケツを敷浪に塗り込み終えた大井はげっそりとそう言った。
「うん…まぁ仕方がないな。従軍したら死ぬわこいつ」
 正直イ級に索敵マップで発見されただけで死にそう。
「迷惑はかけられないしあたし帰るね…」
 リボンとほっぺをへなへなと垂らして敷浪はまた落ち込んだ。起伏の激しい奴だ。
「ところで帰るってあてはあるのか?」
「うん…石川県羽咋郡が実家だから…」
「そうか…」
 なにが工廠で目を開けたのが最初の記憶だこの野郎。
 敷波と敷浪は親愛の表現としてほっぺを寄せ合いもちもちと触れさせている。
「同じ顔なのも何かの縁だし、困ったことがあったらいつでも訪ねてきてね敷浪」
「うん! 敷波こそその下膨れをバカにする奴がいたら敷浪が出てやっつけてやるからね!」
「…なんだよー」
 戦意だけは高い敷浪は一礼すると、数分前に入ったドアに手をかけ、
「それじゃあ今までお世話になりました! 敷浪、実家に帰りま…ウギェ!!」
taiha.png
 ドアが突然開いて吹っ飛んだ。
「あたしの名は式波。以後よろしく」
 新しく入ってきた三人目の餅はそう名乗った。
 大井は既に構えていたバケツを敷浪に投げつけた。