逸男

Last-modified: 2023-11-04 (土) 11:22:41

福岡ソフトバンクホークスの蔑称。由来は2015・2016年のチームスローガン「熱男」、および松田宣浩が同時期から行っていたホームランパフォーマンス。
そこから転じて、松田自身の蔑称や後逸の総称として使われる場合もある。


逸男2016

ソフトバンクは「熱男2016」を2016年のスローガンに設定し、前半戦を首位で独走。日本球界史上最速マジック点灯*1の話題が出るほどの勢いだった。
しかし打線の主力である松田宣浩内川聖一が不振に陥るとチームも7月頃から勢いを落とし始め、この間に15連勝した日本ハムの猛追を受けることに。そんな中、8月25日の楽天戦(ヤフオクドーム)では8回裏にソフトバンクが1点を勝ち越すが、9回表の一死一・二塁の場面で柳田悠岐が茂木栄五郎の放ったライナーを後逸ランニング3ランホームランを献上し逆転負けしてしまい首位から陥落した

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それでも諦めないソフトバンクは一度は優勝マジックを点灯させたが、直ぐに消滅。日本ハムと熾烈な首位攻防戦を繰り広げ、どちらかに必ず優勝マジックが点灯する9月21日・22日の直接対決*2(ヤフオクドーム)を迎える。9月21日は一打サヨナラの大チャンスで江川智晃が外野の頭を超えるであろう大飛球を放つが、日本ハムセンターの陽岱鋼にこれを好捕されてゲームセット。翌22日もソフトバンクは敗戦、そのまま日本ハムにマジックが点灯。28日には遂にソフトバンクのV逸が確定した
そして6月24日の最大11.5ゲーム差から優勝をさらわれた歴史的V逸や、後逸が原因で首位陥落したことなどから「逸男」が生まれた。

その後迎えたクライマックスシリーズでは、ファーストステージこそロッテにストレート勝ちしたが、日本ハムとのファイナルステージ第5戦(札幌ドーム)にて4点差を逆転されて力尽きた。

なお、日本シリーズに進出した日本ハムは広島に第1戦・第2戦こそ敗れたものの、その後4連勝し10年ぶりの日本一に輝いた。


逸男2019

2019年のソフトバンクは7月から首位を走るも、7月・8月と調子を落としたことにより8月中旬から猛追してきた西武が8月末の時点で接近していた。8月31日の2位・西武との直接対決(メットライフドーム)で柳田の後逸をきっかけに失点し、敗戦したことでゲーム差なしまで追いつかれてしまう。一度は優勝マジックを点灯させたが西武の勢いを止められず、最大8.5ゲーム差からの逆転優勝を許した
このV逸を目撃したなんJ民からは2018年と2019年のチームスローガンを捩った「もう逸頂*3」や「V脱sh!*4」と揶揄された。
しかし、その後のCSで勝利し、日本シリーズでも巨人をスイープ撃破し日本一になることはできた


逸男2022

開幕8連勝で順調なスタートを切ったソフトバンクは春先こそ楽天に首位を走られるも、楽天の急ブレーキ*5により首位に再浮上。その後は5月以降毎月勝ち越していた西武・8月中旬以降徐々に調子を上げてきたオリックスとの三つ巴の戦いとなる。9月に入り西武が脱落、オリックスとの一騎打ちになった後の9月15日にソフトバンクが抜け出しマジック11を点灯させたが、9月17日から19日のオリックスとの直接対決(京セラドーム大阪)で3タテを被弾。
それでもマジック消滅は防ぎ、9月30日の楽天戦に勝利し遂にマジックを1まで減らした。

【9月30日終了時点での順位表】

順位チーム勝率ゲーム差残り試合
1ソフトバンク76632.547M12
2オリックス75652.5361.51
3西武71673.51432
4楽天69703.4962.51
5ロッテ68731.48221
6日本ハム58813.41791

この時点でソフトバンクは、

  • 残り2試合のうち、1試合でも勝つか引き分ければ即優勝
  • 仮に2連敗しても、(マジック対象チームである)オリックスが最終戦で引き分け以下なら優勝

という極めて有利な状況に駒を進めたのだが、その後の2日間は

  • 10月1日 対西武(ベルーナドーム)
    ●1-3x(9回表に柳田悠岐の本塁打で同点に持ち込むも、11回裏に山川穂高のサヨナラ2ランで敗戦
  • 10月2日 対ロッテ(ZOZOマリンスタジアム)
    ●3-5(一時2点リードも、6回裏に山口航輝の逆転3ランを被弾しそのまま敗戦)

と2連敗。
一方のオリックスは2日の最終戦(楽天生命パーク)で楽天に勝利した。

【全143試合終了時の順位表】

順位チーム勝率ゲーム差残り試合
1オリックス76652.539優勝0
2ソフトバンク76652.53900
3西武72683.5143.50
4楽天69713.49330
5ロッテ69731.48610
6日本ハム59813.42190

結果、最後の最後で順位が入れ替わりオリックスの優勝が確定*6*7。ソフトバンクは史上初となる最終戦での順位逆転V逸という壮絶な屈辱を受けてしまった*8

それでもクライマックスシリーズでは西武をストレートで下し、京セラドーム大阪でCSファイナルに臨むも、1・2戦目で敗北*9。3戦目は勝利するものの、4戦目にサヨナラ負けを喫し力尽きた。
なお、日本シリーズ(対ヤクルト)に進出したオリックスは初戦から2連敗(1つの引き分けを挟む)したものの、その後4連勝し日本一を達成した。

なお松田はこのシーズンを最後に自由契約となり、巨人が獲得したものの戦力として活躍することはなく、2023年シーズンを持って現役引退が発表された。



用法の拡散

現在ではソフトバンクの選手がやらかす拙守そのものを指す場合もある。特に元はチームスローガンであった「熱男」が事実上松田個人の渾名になったため、松田が失策をしたり打撃不振に陥った際は松田を指して「逸男」と呼ばれることもある。

また他球団でもトンネルエラー(後逸)を「逸男」と呼ぶことがたまに見受けられる。また何らかのチャンスや権利を圧倒的有利な状況から最後の最後に逸することに対するネットスラングとして使われるケースも見受けられるようになっている。

関連項目


*1 後に2022年のヤクルトが最速マジック点灯記録を57年ぶりに更新。ちなみに記録更新前は1965年の南海ホークス(ソフトバンクの前々身球団)が最速だった。
*2 この2連戦でソフトバンクは1勝すればマジック再点灯だが、日本ハムは2連勝しないとマジック点灯ではなかった。
*3 元ネタは2018年の「もう一頂」。
*4 元ネタは2019年の「奪sh!」および終盤戦からのスローガンである「V奪sh!」。
*5 5月10日時点で最大18あった貯金があれよあれよと溶け8月13日にはゼロに。結局後述のシーズン最終戦で敗れたことにより最終的に借金2で4位に沈んだ。最大貯金18→借金フィニッシュ、及びCS逸は史上初。
*6 パ・リーグの規定では、2チーム以上が同勝率で並んだ場合、当該チーム間の対戦成績で順位を決定する。本シーズンではオリックスがソフトバンクに15勝10敗で勝ち越しているため、オリックスが上位となる。
*7 勝率が一致した上での優勝はNPB史上初。また、オリックスは「2年連続マジック無点灯ながら優勝」「シーズン中首位に立ったのが開幕日、9月10日、最終日の3日間だけ」の珍記録も残した。
*8 シーズン最終戦で優勝チームが決定したケースは過去にいくつかあるが、いずれも上位チームがそのまま優勝していた。
*9 これにより、2019年のクライマックスシリーズから続いてきたポストシーズンでの連勝が18でストップした。この年の京セラドームでの相性は非常に悪く、主催試合を含めて3勝11敗という惨状だった。