有原航平(日本ハム→MLB→ソフトバンク)の移籍の顛末のこと。
【目次】 |
概要 
有原は日本ハムに在籍していた2020年オフ、ポスティング制度を利用してのメジャー挑戦を表明。大卒実働6年という短期間での移籍な上、NPBで圧倒的な成績を記録していたとは言えない*1有原をポスティングで放出することに疑問を呈する者も少なくなかったが、1億5000万円という格安と言える譲渡金でテキサス・レンジャーズに移籍した。
渡米1年目の2021年、有原は開幕当初は好投するも5月に右肩動脈瘤が判明し手術。その後復帰するもメジャーでもマイナーでも打ち込まれてしまう。
翌2022年はマイナーでスタート。途中メジャー昇格し勝ち星を上げるも、のちの登板では4回途中11失点と打ち込まれ、オフにFAで放出。結局、MLBでの通算成績は15登板で3勝5敗、防御率7.57という結果に終わった。
その後、NPBにおいて巨人・阪神の2球団が獲得に動いていると報道があった中、2023年1月10日にこのオフ補強を活発に行っていたソフトバンクと3年15億円で契約した。
一連の流れについて 
有原のソフトバンク入団はルール上の問題はない…のだが、
- 本来であれば国内FA権すら取得していない稼働年数*2ながら、海外移籍を挟むことによりNPB他球団へ移籍。
- メジャーで実績を残せていないにも関わらず、日本ハム時代はおろかTEX在籍時よりも大幅に年俸上昇*3。
- もちろんソフトバンクから日本ハムに対する人的補償なども発生しない。
以上を実現させたことで、一連の流れが「有原式FA」と言われるようになった。
また、下記のような経緯のため心情的に許せないファンも多い。
- 日本ハム在籍期間がわずか6年という短期間でのポスティング容認であったこと。
- 譲渡金が格安であり、日本ハムに大きな利益を残していないこと。
- メジャー挑戦前に綴った手記
で日本ハムへの愛着*4とメジャーで戦っていく覚悟を語っていたこと。
- メジャーでは活躍ができずわずか2年でNPBに復帰するも、ポスティングを容認した古巣の日本ハムではなく同一リーグの他球団に移籍したこと*5。
- ソフトバンクの入団会見で「この強いチームでやりたいと思った」と発言したこと。
- 前月にソフトバンクが日本ハムからFA権を行使した近藤健介を獲得していたこと。
- 同時期、下記のように有原以外のMLB所属選手らが誠意や信念を貫いた言動を見せたこと。
- 筒香嘉智
2022年シーズンはマイナー契約止まりだった事もあってオフにNPB数球団からのオファーがあったが、引き続きメジャー昇格を目指す道を選んだために断っている。
- 澤村拓一
第一次ロッテ在籍期間は僅か3ヶ月程であったものの、「(海外FA権行使の際)快く送り出してくれた義理を果たすため」と発言しロッテに復帰。
皮肉にも有原と澤村の入団会見は同日であったため、尚更引き合いに出されてしまう事となった。
- 筒香嘉智
今後のポスティングへの影響 
元々ソフトバンクはポスティングによる選手の移籍を許可しておらず、同オフに海外FA権を行使しニューヨーク・メッツに移籍した千賀滉大が「球団はもっとポスティングに寛容になってほしい」という趣旨の意見を述べていた*6*7が、今回の有原獲得によって、国内FA権がなくともポスティングで海外移籍をさせれば数年で同一リーグに主力選手が移籍してしまう可能性があるという「ポスティングで選手を放出することの一つのデメリット」をソフトバンク自身が証明する結果となった。
また、今後図らずも有原式FAを行う選手が現れる可能性もあり、過剰にポスティングの容認が渋られるケースが出てくるのではないかという懸念の声も上がっている。