有原航平の日本ハムからソフトバンクへの移籍の顛末のこと。
概要
有原は日本ハムに在籍していた2020年オフ、ポスティング制度を利用してのメジャー挑戦を表明。2015年に新人王、2019年に最多勝のタイトルを獲得していたとはいえ、NPBで圧倒的な成績を記録していたとは言い難い*1有原をポスティングで放出することに疑問を呈する者も少なくなかったが、1億5000万円という比較的安価な譲渡金でテキサス・レンジャーズに移籍した*2。
渡米1年目の2021年、有原は開幕当初は好投するも5月に右肩動脈瘤が判明し手術。その後復帰するもメジャーでもマイナーでも打ち込まれてしまう。
翌2022年はマイナーでスタート。途中メジャー昇格し勝ち星を上げるも、のちの登板では4回途中11失点と打ち込まれ、オフにFAで放出。結局、MLBでの通算成績は15登板で3勝5敗、防御率7.57という結果に終わった。
その後、NPBにおいて巨人・阪神の2球団が獲得に動いていると報道があった中、2023年1月10日にこのオフ補強を活発に行っていたソフトバンクと3年12億円で契約した。
一連の流れについて
有原のソフトバンク入団はルール上の問題はない…のだが、
- 本来であれば国内FA権すら取得していない実働年数ながら、海外移籍を挟むことによりNPB他球団へ移籍*3。
- メジャーで実績を残せていないにもかかわらず、日本ハム時代はおろかTEX在籍時よりも大幅に年俸上昇*4。
- あくまで「日本ハムが自由契約にした選手」という扱いのため、ソフトバンクから日本ハムに対する補償なども発生しない*5。
以上を実現させたことで、一連の流れが「有原式FA」と言われるようになった。
また、下記のような経緯のため心情的に許せないファンも多い。
- 在籍期間が(大卒とはいえ)わずか6年間、譲渡金も安価であり日本ハムに大きな利益を残していないこと。
- メジャー挑戦前に綴った手記で日本ハムへの愛着*6とメジャーで戦っていく覚悟を語っていたこと。
- メジャーでは活躍ができずわずか2年でNPBに復帰するも、ポスティングを容認した古巣の日本ハムではなく同一リーグの他球団に移籍したこと*7。
- ソフトバンクの入団会見で「この強いチームでやりたいと思った」と発言したこと。
- 同時期に古巣でNPB復帰した澤村拓一*8、マイナーから再昇格を目指し続けた筒香嘉智を引き合いに、「MLBで挑戦し続けるか古巣に復帰するのが筋」というムードが醸成されていたこと。
自由契約で古巣復帰へ
3年契約を終えた2025年オフ、有原にメジャー再挑戦の意思があることが各紙で報じられる。
ソフトバンクはポスティングを認めておらず、海外FA権も未取得であることから球団の判断が注目されたが、契約満了時に自由契約になる条項を有原側が盛り込んでいたことが判明。制約なく移籍できる立場を再び手に入れる。
だが、その後もメジャー移籍にあたっての具体的な動きはないまま、12月に入り日本ハムが獲得に動いていると報じられ*9、12月28日に契約合意が正式発表された。
古巣復帰とはいえ、「自由契約となり補償を発生させず移籍」を複数回成功させたような感じになり、有原は無敵の人的な扱いを受けるに至った。
なおホークス側もファイターズの提示した契約(4年30億相当とされる)以上の条件を提示していたとされており、ファンからは名誉外様認定され、いなかったことにされている。
過去の例
「ポスティング移籍からのNPB復帰に際し、古巣からのオファーを蹴って古巣以外の球団に入団する」というルート自体は、有原以前にも井川慶*10、西岡剛*11、牧田和久*12の3例が存在しており、当時のなんJでもルールや本人の選択に疑問を呈する意見は散見されていた。
132 : 風吹けば名無し : 2012/11/19(月) 13:10:22.28 ID:TRZL2l/X
でも海外FAは一年じゃ保有権あるのに
ポスティングは契約破棄して戻ってくるの自由っておかしなシステムだよな
148 : 風吹けば名無し : 2012/11/19(月) 13:13:04.12 ID:YcbAExKB
あれだけロッテ愛とか言っておいて結局は金か
西岡の畜生度は相当なもんやで
特に牧田に関しては西武が譲渡金を半額に下げてまでメジャー移籍を後押ししていたにもかかわらずたった2年間で同一リーグ球団に流出したためなんJ外でも非難が見られたが、当時は西武と楽天の関係そのものがよりネタにされていたこともあり、有原ほどの騒動にはならなかった。
有原式FAの再来
2023年オフ、日本ハムの上沢直之がポスティングでメジャーに挑戦。マイナー契約でレイズに入団したのちレッドソックスでメジャーデビューも果たしたが、わずか2登板でマイナー落ちし、肘の故障もあってそのままシーズン終了となった。
2024年オフには再渡米と日本復帰の両面で検討するとされていたが、12月16日にはかねてよりオファーしていたソフトバンクが上沢と基本合意したことが各紙で報じられ、18日に正式発表*13。移籍の経緯が有原と共通しており、しかも有原より短いたった1年での他球団移籍となったことには、「有原式FAの再来」「上沢式FAにアップデート」などと揶揄する声が相次いだ。
また、以下の事情から有原以上に嫌悪感を示すファンも少なからずいた。
- 有原以上に実績がなく、日本ハムに大きな貢献や利益を残したとは言い難い中でのポスティングだったこと。
- 新庄剛志監督がマイナー契約は避けるべきと忠告したにもかかわらずメジャー契約のオファーを蹴ってまでレイズとのマイナー契約を選択した結果、球団への譲渡金が約92万円 *14にとどまったこと。
- そのレイズ入団の決め手には「投手育成の実績と、勝利の伝統」を挙げていたにもかかわらず、春季キャンプ終了後に自らオプションを行使してレッドソックスに移籍していたこと。
- 渡米に際して日本ハムから通訳を引き抜いていたこと*15。
- 帰国後に日本ハムのリハビリ・練習施設を利用していたこと。
- ダルビッシュ有、日本ハム吉村GMには移籍を報告していたが、渡米中も連絡を取り合っていた新庄監督には連絡することなくソフトバンク入りを決めたこと。
今後のポスティングへの影響
元々ソフトバンクはポスティングによる選手の移籍を許可しておらず、海外FA権を行使しニューヨーク・メッツに移籍した千賀滉大が「球団はもっとポスティングに寛容になってほしい」という趣旨の意見を述べていた*16。
本件は、「ポスティングを認めることで同一リーグに主力選手が数年で移籍してしまう可能性がある」「事実上のFA取得の短縮」という一つのデメリットをソフトバンク自身が証明する結果となっており、これを見ている他球団はポスティングに慎重になっていくのでは、という声が上がっている。