イーハトーブ物語

Last-modified: 2014-05-28 (水) 01:15:54

わたしたちは、氷砂糖を欲しいくらい持たなくても
綺麗に透き通った風をたべ、桃色の美しい朝の日光を飲むことができます。
また私は、畑や森の中でボロボロな服が素晴らしいベルベットや羅紗や、
煌びやかな宝石入りの服に変わっている様子を度々見ました。

 

私はそういった綺麗な食べ物や服が好きです。
これらのお話は、全て林や野原や鉄道線路やらで虹や月明かりから貰ってきたのです。
実際に、かしわ林の青い夕方を一人で通りがかったり、
11月の山の風の中に震えながら立っていると、どうもこんな気がしてならないのです。
どうしてもこんな事があるようで仕方がないと言う事を、私はその通りに書いたまでです。

 

ですから、これらの中にはあなたの為になることもあるでしょうし
それっきりの所もあるでしょうけれど、私にはその見分けがつきません。
何のことだか訳が解らない事もあるでしょうが、そういう所は私にも訳が解らないのです。

 

けれども私は、これらの小さな物語の幾切れかが最終的には
あなたにとっての透き通った本当の食べ物になる事をどんなに願うかわかりません。


                  宮沢賢治著

長編
『銀河鉄道の夜』
『風の又三郎』
『ポラーノの広場』
『グスコーブドリの伝記』

童話集
『注文の多い料理店』
『どんぐりと山猫』
『狼森と笊森、盗森』
『注文の多い料理店』
『烏の北斗七星』
『水仙月の四日』
『山男の四月』
『かしわばやしの夜』
『月夜のでんしんばしら』
『鹿踊りのはじまり』
『貝の火』
『よだかの星』
『カイロ団長』
『フランドン農学校の豚』
『ツェねずみ』
『クンねずみ』
『鳥箱先生とフウねずみ』
『雁の童子』
『雪渡り』
『やまなし』
『氷河鼠の毛皮』
『シグナルとシグナレス』
『オツベルと象』
『ざしき童子のはなし』
『猫の事務所』
『ビジテリアン大祭』
『土神と狐』
『楢ノ木大学士の野宿』
『マリヴロンと少女』
『タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった』
『虔十公園林』
『なめとこ山の熊』
『北守将軍と三人兄弟の医者』
『セロ弾きのゴーシュ』

(wikiより抜粋)