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Last-modified: 2022-09-27 (火) 00:32:34

6巻

◇魔獣図鑑
■アース・リーザド
 スワラ王都付近にある森の奥いる土トカゲ。でっぷり肥えていて動きが鈍い。その細い舌を鞭のようにしならせて獲物を捕らえる。
 お肉はそこそこおおいしい、珍味扱いされている。

■ウニュイ
 ヴェーチェル付近の初心者用ダンジョン下層に生息するトゲトゲのいがぐりのような魔獣。体当たりや、その針を飛ばして攻撃してくる。
 ドロップ品はその針だったのだが、レアドロップで内臓がドロップすることが判明。
 オレンジ色のそれはクリーミーで濃厚な味わいが特徴。乳製品と相性がよく、のちにアヴレディの名物となる。なお、酒飲みには塩漬けが根強い良い人気を誇る。
 到達し、発見した冒険者の強い希望で名づけられた。(本人が意図していない発音に落ち着いたのだが、誰もわからなかった)

■ギガント・マーダー・クロウ・ベア
 帝国の森にいる熊。基本的に出会ったら人のいない場所に逃げろと言い聞かせられる程にやばい熊である。
 こいつの毛皮は王宮に献上されてもおかしくないのだが、どっかの冒険者は家の敷物にしている。

■グロース・コンク
 グロース湖にいる巻貝の魔獣。大きさはソフトボールぐらい。
 いい出汁が出る。身を焼いて食べても美味しい。
■グロース・パイク
 グロース湖にいるカワマスの魔魚。とても気が荒く、自分より大きな獲物でも突撃していくし、共食い上等な性質である。
 冬の間は湖の中央で集まって静かにしているが、雪解けとともにはじまる大乱闘は湖周辺に住む人々にとっては春の訪れを知らせる光景である。

■シャドウ・サモン・ビー
 クレートの町の傍で見かけた『サモン・ビー』の一種。日陰を好む。
 
■スモーク・ブル
 大樹のダンジョンの四十階に出没するイノシシの魔獣。全身から蒸気を吹き出しており、その肉質はしっとり艶々。ベーコンも美味しいが、一押しは蒸し料理。野菜と一緒に蒸した日には大量摂取間違いなしである。
 のちのパーティーではラインハルザによって多量の角煮にされたが、食いしん坊たちにすべて食い尽くされた。

■スリム・コッコ
 メルクの町にあるダンジョン奥で出現するニワトリの魔獣。通常個体よりもほっそりとしている。真正面から見ると顔がやや愉快。それ以外は通常のコッコと同じである。

■トルネード・スカラップ
 回転しながら海中を飛び出し、浜辺にいる人間を襲うホタテ。別に捕食するわけではないので、何のためにそんなことをしているかは不明。彼らにとっては遊びなのかもしれない。
■パープルレッド・スネイク
 大樹のダンジョン五階にあるズミヤーの樹を墨かとするトラップ系の魔物。音もなく近づき、上から丸呑みする。Bランクなのだが、勇利の前では一撃で首を刎ねられて終わった。

■ビッグ・グレイ・スターリング
 メルクのダンジョンに出没する鳩に似た灰色の鳥の魔獣。『メルク・グミ』をドロップする。

■フォレスト・ラビット
 いつでもどこでも貴方の傍に、ご存じ森のウサギさん。ただし狂暴である。

■フライング・イエローアイ・シャーク
 ヴェーチェル付近の初心者用ダンジョンの最下層にいる空飛ぶ鮫。倒すと卵を詰めた宝箱がドロップする。
 なお、本来は皮、牙、魔石がドロップするだけだったが、誰かの強い希望でこの度ヒレがドロップするようになった。

■フライング・オイスター
 空飛ぶ牡蠣。どうやって飛んでるんだとかいうツッコミは無粋なのでしないように。名前の通り飛んでくる牡蠣である。とても美味しい。
 
■ブラック・ボア
 メルクのダンジョンの奥地で遭遇する黒い猪の魔獣。お肉が美味しい。
■ブラックレッド・スネイク
 パープルレッド・スネイクの変異種。強力な毒素を飛ばしてくる。のだが、酒に目がくらんだ勇利とヴィクトルの前では気が付かれることなく首を落とされた。

■ブラッド・バット
 メルクのダンジョンに出没する吸血蝙蝠。ドロップは火属性耐性のある皮革。ただし、ヴィクトルによってまとめて燃やして倒されているので、その耐性性能は疑問が残る。

■ミニ・イエロー・サモン・ビー
 クレートの町の傍で見かけた『サモン・ビー』の一種。お腹に黄色い縞々があるらしい。

■ムーシュルーム
 大樹のダンジョンの七十二階に出没するキノコに寄生された牛の魔獣。寄生しているキノコも胞子を飛ばして攻撃してくる。
 なお、Mooshroomであって、Mushroomではない。
 美味しいお肉とキノコがドロップする。どこかにこいつばかりが棲んでいる小島があるという話だが、真相は不明。

■リトル・ベア
 大樹のダンジョンの五階に出る熊。全然「リトル」ではないのだが、買取屋での取引名はリトルベアである。蜂蜜がドロップするため、勇利たちには『七色の実』を採取する傍ら、見つけ次第倒された。

■レッド・サモン・ビー
 クレートの町の傍で見かけた『サモン・ビー』の一種。お腹が真っ赤だそうだ。

■レッド・ミノタウロス

 クレートの町にあるダンジョン奥に生息するAランクの魔獣。お肉が美味しかったばかりにどこぞの冒険者たちによって乱獲された。

■ロック・タートル
 クレートの町のダンジョンに生息する亀。

■ロック・ダイル
 クレートの町のダンジョンに生息するワニ。

◇用語解説

■エリクサー
 深いダンジョンでたまに手に入る伝説の薬。欠損部位すら再生させ、あらゆる病が治るという。
 聖薬が再現した際の素材は次の通り。
 ・ラカイックのダンジョン最下層に自生するユドグラシルの葉。
 ・ドラゴンの血。
 ・オリエンシア大陸にある三百階クラスのダンジョンの地下二百階以降の宝箱にたまに入っているという聖油。
 ・帝国最凶の魔獣、『ギガント・マーダー・クロウ・ベア』の肝。
 ・カリディア大陸の標高1万ヤードクラスの山脈に住む『キリング・エンジェル・ハーピー』の羽。
 それから他のいくつかの鉱石や薬草が山盛り。

■オートマタ
 工学系錬金術師の悲願ともいわれている魔導生物。二万年前には普通に稼働していたらしいが、そのコストの悪さゆえに淘汰された。
 一部でオートマタに魂を宿そうという試みが行われ、やがて非人道的な実験が行われるようになったらしいが、現在ではそれらも含めてオートマタに関する資料は散逸してしまっている。

■きらめく子豚亭(inn Glittering piglet)
 メルクの町にある美味しい料理を提供する宿。
 連日レッド・ミノタウロスやらブラック・ブルやらの肉が持ち込まれ、腕を振るいまくっていた。

■グール草
 スワラ王都の森の奥で発見された草。赤い花に小さな実がついている。食べると強い幻覚を見る。

■クレート・フルーツ
 クレートの町にあるダンジョンでドロップする植物。鬼灯に似た形をしており、避妊薬の材料になる。

■ゴーレム
 工学系錬金術師が作り出す魔導生物。魔石によって単純な命令をこなすことができる。主に土木作業や簡単な生産の助手、タンク役などに利用されているが、とある東洋の島国ではとてもに滑らかに動くからくり人形が存在するという。

■ゾーラタ
 エルフの古い言葉で黄金を意味する。クレートの町で冒険者の間で流行っていた薬。
 飲むといつも以上の力を発揮でき、疲れ知らずになるという。その正体は特殊な処理をした触手の粉末と麻薬が混ぜられている。
 強い依存性があるうえ、薬を飲めば飲む程体内で触手が濃くなり、やがて生命力を奪い取られていくことになる。
 売っていた薬師ギルドが町長によって摘発されたため、以降は売りに出されておらず、また残った薬も効果が失われていたという。
 
■ターイナ
 エルフの古い言葉で秘密を意味する。クレートの町の富裕層の女性の間で人気になっていたお香。
 早い話が麻薬であり、摂取した人間の思考力を奪い、暗示にかかりやすくなる。また摂取し続ければ当然廃人一直線である。
 販売していた薬師ギルドの摘発により、販売中止となった。

■トキシの花
 子供の手のひらくらいの小さい花。香りはいいがたんぱく質に特効を持つ強力な酸毒を持つため、魔物も近寄らない。燃やすと毒素が空気中にばら撒かれ、吸い込んだだけで内臓が焼けただれるので注意。
 この度、花びらと花粉に甘味成分を含むことが判明したが、抽出には非常に繊細な作業が要求されるため、活用される日が来るかは不明。

■デッドリーパンサー
 豹のような魔獣。滑らかな毛皮が高く取引されている。

■バシ
 スワラ北部でよくみられる穀物。
 実はずんぐりしているトウモロコシを想像してもらえればいい。使い方もほぼ一緒である。

■ポト
 早い話が新ジャガのような根菜。

■メルク・グミ
 メルクのダンジョンに生息するビッグ・グレイ・スターリングからドロップする。
 生の特性はコーヒー、処理した後はナタ・デ・ココだと思ってもらうと近い。
 
■リゲーンダ
 エルフの古い言葉で伝説を意味する。『七色の実』だけで作った非常に濃厚なワイン。
 王太子の婚約祝いに作られ、献上された。以降二千年間誰にも作られないまま、その逸話だけが独り歩きしていた。
 今回再現されたことにより、いろいろと動き出すだろう。
■ワイン樽の子豚亭(inn Piglet in Wine barrel)
 クレートの町にある料理の美味しい宿屋。ただし勇利たちはゆっくり味わっている暇がなかった。

■怨鬼
 怨みによって変化(ヘンゲ)してしまった鬼のこと。特性としては堕竜に近いが、魔力がない人間でも成る事がある。
 オリエンシアの一部や、勇利の故郷で事例が多く発生する。鬼女や山姥、落ち武者などを想像してもらえば問題ない。

■炎の牡牛
 スラヴァにある下町の宿屋。
 宿屋と言うよりも普段はもっぱら一階の食堂に多く客が来る。週に一度の巨大パンケーキが朝食に出るときは、屈強な船乗りたちが少年の顔でいそいそとやってくるという。

■子豚のチュルチヘラ(inn Piggy churchkhela)
 ヴァナグの町にある料理が美味しい宿。自家製のチェルヘラを売っている。

■子豚の釣り堀亭(inn Piglet fishing pond)
 ヴェーチェルにある料理が美味しい店。
 昼になると食堂には周囲の婦人たちが集まってお茶会をしている。

■七色の実
 大樹のダンジョンの五階で採取できるブドウに似た実をつける植物。名前の通り、その粒一つ一つが色が異なる。味は同じ。
 濃厚な甘さとさらりとしたくちどけの美味しいブドウ。『パープルレッド・スネイク』の縄張りに生成されるいわばダンジョントラップの一種。採取の難しさからAランク素材に分類される。
 この実だけで作ったワインはかつてスワラ王家に献上された。

■導きの緑石
 大樹のダンジョンにて各層のボスからドロップする魔道具。
 ダンジョンの移動用魔法陣を起動させるためのアイテム。帰るだけでなく、行くことも可能。
 使い捨てではないが、ランダムで壊れる。

◇資料編
 あくまでもざっくりとした年表です。
 隣に書いてあるからと言って翌年に起きたわけではないです。

 約五千年前
    エルフ族の国家、ヴォイス王国が樹立。
    周辺諸国を併呑して拡大
    ヴォイス王国、帝国を名乗る。
    ラトーニア国、帝国に併呑される。

 約二千年前
    覇権戦争勃発する。
    覇権戦争強硬派がスワラ国独立を宣言。
    スワラ国王都をドラゴンを襲う。
    聖薬の乱が発生。
 約二〇〇年前
    『お父様』失踪
    ギルベルトが自我を取り戻す
    フォリアが冒険者ギルド長に就任

 約一七〇年前
    ニッツァ村周辺を激しい嵐が襲う。

 約一五〇年前

       ヴィクトルドラゴンを倒す。
       長谷津に吟遊詩人が来る。
       勇利、冒険者に憧れる。

    先生が長谷津を訪れる。

 約一〇〇年前

       ヴィクトル表舞台から姿を消す。
       勇利大陸に渡る。

    ギルベルトが『人形』の起動を始める。

 約五〇年前
   ゴーレティが王宮を奔出。

 約二〇年前
   ユルク・ドナードの婚約者が亡くなる。

 約十年前

     ユルク・ドナードの奔出

   ジラーニー・ポッフィが王都を出る

 七年前
   セイラディア北西部でドラゴンが目撃される
   クレートの町で『ターイナ』が出回る。

 五年前
   勇利、ヴィクトルとユリオと出会う。
   アベルの失踪。
   カイン、レオナ、貴族街を脱出
   コヴァールニがメルクの町に戻る。

 四年前
   バラファシルからドーン女王国へ
   オタベックと出会う。
 
 三年前
   セフェン入国。巨大イカを倒す。
   クレートの町で『ゾーラタ』が出回る。

 二年前
   ロリーナにて、クリス、マスミと再会
   ロリーナにて堕竜を討伐
 一年前
   勇利たち一行、帝都到着

 半年前
   勇利たち一行、長谷津を訪れる。
   長谷津から帰還後、毒ダンジョンを踏破。

 一年目
   帝都でオークションが行われる。
   エリクサーの材料が発表される。
   バルカイ湖に巨大アザラシが現れる。
   初夏、バルカイ湖のヌシが倒される。
   夏、テピール近郊で過ごす。
   冬、国境付近で過ごす。

 二年目
   初春、スワラ国入国。
   春、ズィルノーの町近郊で過ごす。
   秋、ワイン造り
   秋から冬にかけてアヴレディ領で過ごす。

 三年目
   春、アヴレディ領出発。
   初夏、スワラ国王都 スラヴァに到着
   晩秋、スワラ国、王権交代

4巻

資料編
 あくまでもざっくりとした季節です。
 南と北で気候が違うため、殆ど目安みたいなものですね。
 大体ロシアからインドぐらいまでの気候が違うので、大陸の北から南に領地のある帝国は、国内でもかなり気候の差があります。

 
 一五〇年前

       ヴィクトルドラゴンを倒す
       長谷津に吟遊詩人が来る。
       勇利、冒険者に憧れる。

 一〇〇年前

       ヴィクトル表舞台から姿を消す。
       勇利大陸に渡る。

 二年前 物語開始時

   春、セイラディア北部でドラゴンが目撃。
   夏、オシティックの街中で遺跡が発見。
   秋、アエス国で一部貴族で騒動が起きる。
   冬、チェレスティーノ領に到着。
   冬を越す。

 一年目

   春にアエスを出発
   夏、バラファシルへ入国
   夏にから秋にかけてバラファシル国を北上
   秋に入ってダンジョンの村へ到着
   ヴィクトル、ユリオ、勇利合流

  本格的な冬の到来の前に村を出る。
  バラファシルの森の中にて冬を越す

    
 二年目
  春、バラファシルからドーンへ
  夏、イチゴの村あたり
  秋、ドーン首都からオタベックの出会い
  冬、ドーンのダンジョンで冬を越す

 三年目
  春、村人全滅の村を通過
  夏、セフェンの入国
  秋、セフェン首都出発
  冬、湖の村にて冬を越す

 四年目
  春、湖を出発
  夏、ロリーナのダンジョン
  秋、クリスの町からラスボスのいた遺跡
  冬、クリスの町で冬を越す

 五年目
  春、クリスの町から五人で山脈越え
  夏、ユリオの故郷に到着
    帝都へ到着
  秋、本格的に寒くなる前に帝都出発
  冬、港町へ到着

 六年目
  春、船が大陸を離れる

  夏、長谷津到着


第一部 セイラディア国

国の概要
 大陸の東側に位置する小国。バラファシル、アエスと同盟を組んでいる。
 気候は温暖で、小麦のほか、オリーブの栽培も盛んであり、農作物が豊かな国である。

□ノーエア(北の森の町)
 シェラディア国の西側にある町の一つ。北に豊かな森が広がっている。
 
□まどろむ子豚亭
 一泊銀貨一枚で夕食付。夕食不要なら大銅貨六枚。
 宿屋としては良心的。料理が自慢。
 勇利はひと月分前払いで泊まってる。
 宿の主人としては夕飯食べない日もあるだろう的な算段だったが、毎日帰ってきてしっかり食べて寝てる。

■モーラ
 宿の主人。元冒険者。
 妻のシェラには尻にひかれている。娘が一人いる。

■シェラ
 厨房を預かるおかみさん。
 恰幅の言い体格のザ・おばちゃん。声も大きい。若いころは細くて美人さんだったらしい。元冒険者で弓使い。

■オルフェン(ムキムキさん)
 三十代後半で、田舎のガキ大将が村を飛び出して冒険者になった感じ。
 いろいろ苦労しているが、基本的には面倒見のいい兄ちゃん。

■マッシ(細マッチョ)
 貴族の三男坊で三十代前半。槍使い。

■マルラ(黒髪のお姉さん)
 そこそこいいところのお嬢さんで魔術師兼薬師、大体二十代後半。

□ノースファイターズ

 セイラディアで活躍しているAクラス冒険者クラン。生産、戦闘、斥候といくつかのチームに分かれている。

■オズマ
 剣士。ノースファイターズの斥候チームに所属しているAクラス冒険者。
 人の良い性格で、身内には「お人よしのオズマ」と呼ばれている。家を出た際、幼い弟妹がいたのが原因だという。

■ラジ
 槍使い。オズマと同じチーム。オズマの性格を知りフォローしてくれる程度に仲がいい。
 勇利に対してはやや薄情な反応であるが、世界観としてラジの反応が一般的である。

■バローナ・フォトレート
 エルフの血を引いている老女。見かけ以上に長生きしている。
 現在はセイラディアの薬師ギルド長を務めているが、もともと腕がよく、セイラディアの王都でも名が知れている。そのため、各地に彼女の弟子や知り合いは多い。
 帝国の英雄の一人、ミラ・バビチェヴァの親戚である。

■スランカ
 ノーエアの町を出た後に出会った商人。川の町から北の森の町まで商売をしている。本店はノーエアの方にある。

■スラーナ
 十四歳のすらりとした美少女。なお魔術師の才能があり、彼女自身も才能に自信を持っている。
 再登場予定だったが作者が完全に忘れていた。

■ラムース(隊長さん)
 スランカ達の護衛を務めていた冒険者チームのリーダー。ちなみに犬の獣人である。割と脳筋気味だがメンバーには慕われている。
 勇利相手に一生懸命ヴィクトルの逸話を思い出して話した。気分は巨大アナコンダの鼻先で歌って踊っている気分だったそうだ。

■シネリオ(幼馴染み)
 ラムースの幼馴染み。同じく犬系獣人。雇い主と娘の警護をしていた。決して勇利の接待を相方に押し付けたわけではない。耳がへたってる? うるせぇ分かれよ。
 角度的な問題で勇利の一部始終を見てしまった不幸な人。気が回るタイプの器用なタイプで、ラムースをよくフォローしている。幼馴染みと二人でAクラスクランを作ることを夢見ている。
□オーティス村(コケモモ村)
 セラディア西部にある村。川の近くにあり、コケモモの収穫で生計を立てている。
 コケモモ畑に住み着いてしまったBクラスの魔獣、レッサーレッドマカクに頭を悩ませていた。

■ジーノ(村長)
 オーティス村の村長。気の良い性格で、村人の命を救った勇利に村のワインを振る舞う。酔った勇利にその夜の記憶がないことに深く突っ込まない善良な性格である。

■アルノルド
 レッサーレッドマカクに襲われて死の淵にいた村人。たまたま訪れた冒険者に命を助けられる。来年の春には子供が生まれる予定だ。

□オリビエ(オリーブの町)
 オリーブで有名だが、最近は土馬車の中継地点として発展し始めている。

□太陽の子豚亭
 セイラディア国オリビエの町にある冒険者用の宿。
 特徴的な話し方の看板娘がいるらしい。

□おぼれる太陽

 オリーブの油漬けが美味しいと勧められた店。

■バルカス
 ルバール子爵家衛兵隊
 男爵家の三男と言う下手に身分を持っていたので、個性豊かな面々を押し付けられた苦労人。言うまでもないが、衛兵隊の中では結構異質なチームである。
 勇利に対して誠実に対応したため、無事にビックブ・ラック・サーペントの皮を手に入れることが出来た。

■ドノン
 槍使い。バルカスとは同期。無口な男。

■バッティ
 弓兵。帝国出身のエルフ。時間停止可能なマジックボックス持ち(ただし容量はさほど広くはない)で魔術も扱える。
 軽い口調と態度のちゃらいにーちゃんに思えるが実際にはかなり思慮深い。
 勇利に、手伝ってもらったし説明するにも必要かな? と言うふわっとした理由でヘビの頭を押し付けられた可哀そうな人。
 シェレナは時間停止までは持ってないので彼が押し付けられた。実はギオルギーの甥である。

■シェレナ
 魔術師。
 ヒューマンではかなりの実力者ではあるが、魔力量ではバッティにはやや劣る。

■ガレン
 熊の獣人。がっしりした体格の素朴な性格。チームのタンク役として活躍している。
 その反面、多くの敵の攻撃を受けてきたため、勇利の「得体の知れなさ」にかなり警戒していた。
■ルバール子爵家
 オリビエの町を含むいくつかの町の領主を務める。馬車による流通の発達や人の行きかいに目をつけて乗合馬車を取り入れたりしてなかなか革新的な思考の持ち主。
 別にいい人と言うわけではないが、領民にとってはそれなりにいい領主である。

□オシティック(川の町)
 セイラディア西部を流れるテーヴェレ川の上流部にある町。川を挟んで東西に発展している。国の西部の物流を担う。

□漂う子豚亭
 冒険者ギルドが進めている宿。料理がおいしいらしい。
■ミーナ
 冒険者ギルド職員の猫人族の女性。ギルドに勤めだしてまだ数年程度。気を抜くと語尾に「にゃ」がついてしまう。
 綺麗系の整った顔立ちで、人当たりが柔らかいためか冒険者の人気も高いが、高嶺の花になっている。

■イゴール
 冒険者ギルドで不動産関係を管理している人。実家が東にある不動産関係の仕事をしている。家は兄が継いでいる。

■ロブロ老
 元西の薬師ギルド長を務めていた老人で、現在は故人である。町の名士の一人である。

■マッシーモ・フォルチ
 町の東にある薬師ギルド長。
 眼鏡をかけた面長な顔立ちの三十代男性。薬師であるが商人でもある。奥さんも薬師で娘さんが一人いる。
 胃腸がちょっと弱いらしい。神経質そうというよりもストレスが少々。

■モッシュ(飯屋のおっちゃん)
 冒険者ギルドおすすめの飯屋の親父。南の漁村出身で、燻製を作るのがうまい。弟が宿屋を経営している。
 ビックボア肉の燻製肉はちょっとした話題となり、町での燻製の認知度を上げるきっかけになった模様。

 
■キャレット家
 オシティックの東側をおさめている自治家。自治家とは領主から町の統治を許可されている家で、町長よりは権限が多く、準貴族として扱われる。

 キャレットは町の小麦や蒸留酒などの権利を抑えている。元ネタはご存知「ロミオとジュリエット」のキャピュレット家である。

 現当主は誠実な性格の人物。祖父の時代に仲が悪くなったモンギュー家と仲を改善しようとしているが、アレックスだけは気に食わない。娘に近づくからではないとは言っているが……。

■アリアッサ・キャレット
 十代中盤ほど。恋に恋する乙女。
 美女と言うよりも美少女。恋に恋する乙女だったが、勇利にぞんざいな扱いをされ、怒りを覚えるよりも、一周回って冷静に戻った。

■クラリッサ・キャレット
 アリアッサの母。政略結婚ではあるが、お互い気があったのか、現在でも仲のいい夫婦である。
 だがその反面、自分たちがそうであったため、娘にもゴリゴリの政略結婚を持ち込んだことは少しだけ後悔している。

■ギリー・キャレット
 アリアッサのハトコ。まだ五歳であるが、アリアッサに何かあった場合は彼がキャレットの養子になって跡を継ぐことになる模様。

■エンバス・カッティーニ
 キャレット家に仕えている老執事。
 本音がボロッと頃ぼれてしまうところが玉に瑕。これでも先代が若い頃は主人とともにブイブイ言わせていたらしい。
 現在家令は息子に譲り、アリアッサの専属になっている。

■アミントレ・グリッリ(トニー)
 王都の大きな商家の三男坊。ちょっとぽっちゃりしている穏やかな風貌の青年。アリアッサの婚約者である。
 おっとりとした性格ではあるが、商品知識は確か。キャレット家の婿養子となる。

■ポンペオ・ヴァッカイ(学者さん)
 古代遺跡の文字を研究している人。
 古代文字は西の冒険者の間ではそこそこ話題にはなったが、東まではどこかで途切れた模様。
■モンギュー家
 オシティックの西側をおさめている自治家。元々大きな網元であり、オシティックの川の物流を抑えている。
 現当主の妻は貴族から娶った女性で、夫婦仲は冷え切っているらしい。ただよくある相互理解及び歩み寄りが足りなかった話であるが、息子であったアレックスの死が両者の間に決定的な溝を作った。

■アレックス・モンギュー
 シルバーブロンドの同じく十代中盤ほどの美少年。尊大な態度をとっているが、彼自身の実力に裏付けがあるものではない。ちょっと脳みそがお花畑な少年。自分以外に跡取りがいないと思っていたため、駆け落ちした後もほとぼりが冷めた後に戻るつもりだった。
 ところが隠し子の弟がいたことが判明し、いろいろと壊れた。
 彼としてもアリアッサには好意を持っていたのだが、ひょっとしたらそれは、劣等感の裏返しであったのかもしれない。

■ビリー・モンギュー
 モンギュー家当主の隠し子。モンギュー家のメイドをしていた母親と町で平和に暮らしていたところを「今日からお前が跡取りな!」と屋敷に連れてこられた。果たして彼にとってそれが幸せかどうかは不明。

■マヌエラ・モンギュー
 モンギュー家当主の妻。実の息子のあれやこれやや、夫が隠し子を連れてくるなどで精神的な負担が大きく卒倒。
 そのまま郊外の別荘で療養生活と言う名の隔離が行われた。

◇魔獣図鑑
■フォレストラビット
 人間を見ると積極的に襲い掛かってくる凶暴な兎。北の森の個体は一メートル未満程度で、どこの森でも見かける。
 繁殖力が強いため、間引く目的で多くの冒険者ギルドで恒常依頼が提示されている。
 強力な後ろ脚を持ち、それで蹴飛ばされると屈強な男でも内臓破裂を覚悟が必要。Bランクが二人以上で事に当たり、集団で出会ったら逃走一択である。
 肉質はいいが、毛皮はそこまで需要はない。

■ブラックファンブボア
 セイラディアの北の森に生息する黒毛並みの猪。一メートル半から二メートル程度の個体が多い。肉質がよく、毛皮も高級品として取り扱われる。
 その大きくて立派な牙に鎧ごと貫かれて死んだ冒険者は数知れず。基本Bランク以上が三、四人で倒すのが一般的。

■グラスボア
 草原や背の低い木々(または背の高い草)の中に住む猪。
 一メートル未満の個体が多く、Cランクや駆け出し冒険者でも慎重にすれば狩ることが出来る。多くの村や町では主食の一つである。

■ビックオストリッチ
 空は飛べない鳥。およそ首から足までが4メートルはある。早い話でかいダチョウ。大きい分速度はあまり出ない。(それでも人間よりはだいぶ早い)
 卵を狙わなければそこまで強敵でもないので、グラスボアと並んでよく食べられる肉。頭があまりよろしくないので、落とし穴が最強。
 卵を狙うと怒って反撃してくる。その恐ろしさはダンプカーに迫られるのとだいたい同じだ。

■レッサーレッドマカク
 赤い毛の猿。賢い魔獣で、集団による攻撃を得意とする。果実が主要な餌だが、実際には雑食であり、人間を襲うこともある。木の高い所に住み、上から旅人にたいして石などを投げて攻撃する。
 その攻撃方法から、Bランクの魔獣ではあるが、かなりの強敵で知られる。

■ビックブラックサーペント
 でっかいヘビ。お肉が美味しい。舌は珍味。サイズは様々であるが、大体五メートルからが「ビック」がつく。
 セイラディアの子爵家に全長七メートルの一枚皮があると話題になった。
 数年後、セフェン東部で全長二十メートルクラスが目撃され、その一枚皮が帝国の冒険者ギルドに白金貨三十枚で納品された。

■リトルサモンビー
 ラビットとかネズミを使役して巣を守ってるが、対策した冒険者にとってはボーナスチャンス。
 毒や蜜から麻薬が精製出来るため、見つけ次第巣の破壊は冒険者の義務。大陸全土にサモンビー種は生息している。

■コクローチ
 黒くて早くてカサカサ動くあんちくしょうである。めちゃめちゃでかいのもいる。

■チカネズミ
 遺跡や古い家屋で繁殖するネズミの魔獣。不衛生で、病気の温床になりやすいため、嫌われている。

  
アエス国
 セイラディア、バラファシルと同盟を組んでいる国の一つ。魚介類のほか、砂糖、ハチミツなどでも有名。また、国土の一部でコショウの栽培がおこなわれている。
 地方分権と言うか荘園制度と言うか封建社会と言うか、アエス国貴族は自身の領地に関してはある程度の裁量権を持っています。
 貴族は男爵、子爵、伯爵の三つ。その上に王族がある。ただし、偉いのは王および王太子でそれ以外の王族は実権を持たない。(王太子でも伯爵に対する命令権は持たない)
 侯爵は存在せず、公爵は王族が臣下する際に本人に対して一代限り、例外としてその直系の子のみが叙爵される地位。(公爵本人が早死にしてしまって、公爵名義の公共事業がとん挫しそう、みたいなときに子が継ぎます)なので公爵は地位はあれど土地はない。遊んで暮らせる程度の財産は王家の個人財産から分けてもらえます。
 ちなみに男性優位ではありますが女性も王位継承権を持ち、例は少ないですが女王の時代もある。それに従い、貴族も女性が当主になる例がある。

□アリラボの町
 町道沿いにある川と森に挟まれた村。立地はかなり良く、それなりに栄えている。実は婚約破棄騒動をやらかした男の家の領地。
 近年急激に発展し始めたため、あちこちで歪みが出ている。

■ウォーリオ・アルジュ
 アエス国子爵家、アルジュ家の次男。
 優秀ではないが愚鈍でもなかった兄と、優秀な義姉のおかげで家も安泰だなぁ。と思ってた矢先に兄貴がやらかしてくれたせいでいきなり借金を背負うとこになった可哀そうな青年。
 いま必死になって嫡男教育を受けている。
 両親も尻に火が付いた状態で領地経営に追われている状態である。
 そのせいで内陸部や海上治安が後回しにされているため、チャルディーニから突かれる羽目になる。なお、チャルディーニの長男と同世代でそれなりに顔見知り。

■ラナリーリア・フィラデルフィア
 婚約破棄騒動でブリュー家長女の立場にあった女性。
 現在は母方の姓を名乗る。子爵の地位にある。ちなみに旦那は男爵から婿を取った。こちらもなかなかのお金持ち。
 ちなみにアルジュ領の錬金術師クランの騒動に一枚かんでいる野心高き才女。最終的にはブリュー、アルジュを飲み込んで伯爵にのし上がりたいところだが、とん挫中。

□囁く子豚亭
 冒険者ギルド近くに構える宿。最近は料理がおいしくなったと評判。
 それまでは素材の味を生かしたスープとか肉料理が出ていた模様。(素材の味しかしないともいう)

■ジンガ
 囁く子豚亭の主。お酒が好き。嫁さんと娘に頭が上がらない。

■モニカ
 町に住む女性。
 祖父が死にかけたところで通りかかった勇利に薬を処方してもらった。

■コルネロ
 とある錬金術ギルドのお偉いさん。資金力にものを言わせて配下の薬師や錬金術師の独占販売をもくろんだ。
 勇利が大量の薬草を毎日納品するものだから、材料の買い占めが出来なくなり、止めに薬師ギルドから大量の薬草がコルネロ以外の錬金術師や薬師に流れたため破綻した。

■ビトール
 勇利に因縁を吹っかけたコルネロ配下の錬金術師。
 勇利に因縁をつけに行ったが、がアームレスリングに巻き込まれて腕が折れた。腕は自分で作ったポーションで治りました。

■タマラ(ギルドのお姉さん)
 コルネロと懇意にしており、勇利の薬草買い取り価格を下げた。もちろん無断で行ったうえ、そのことを勇利本人から薬師ギルドに話されてしまったので、そこから冒険者ギルド長に問い合わせが行われ、あっけなくばれたのち解雇される。敗因は子供にしか見えない勇利が薬師免許を持っているとは思わなかったこと。
 勇利視点では一切描写はないが、美人の部類である。勇利に何とか取り直してもらおうと探していたが、旅立った後である。
□ポムブの町

 アエス国の中央に位置する町。アエスでも第二の都市と言われるほど栄えている。

 領主はチャルディーニ伯爵である。

□チャルディーニ伯爵
 アエス国としてはかなり古い歴史を持つ貴族。(土地も広いし王都にも近いのはそのため)
 三代ぐらい前に帝国貴族のフェルツマン家からお嫁さんをもらっている。なお本人は存命で、領都の口外の静かな場所で余生を過ごしている。

■ピチット・チュラノン
 ホビット族の青年。長命種に当たるため、見た目の成長速度は緩やか。
 チェレスティーノの相談役としてはかなり優秀。個人で事業もいくつかしている。
 現在はヒューマンでいうところの二十才ぐらい。
 好奇心旺盛でいたずら好きが基本スペックな種族。チェレスティーノとの関係は、チェレスティーノの別荘近くで友達になったことから始まる。個人スキルとして「直感」能力を持つ。
 それなりに高い魔力を持ち、時間停止まではいかないものの、二四〇分の一程度に遅延させることができるインベントリ能力者。
 勇利とは無二の親友であり、勇利の言う「どこにでもいる普通の冒険者」がひどい過小評価であることは理解しているものの、自覚させるのがほぼ不可能であることも同時に理解しているため、そっと見守り体制に入っている。だからこそ勇利の親友をやっていられるともいう。

■チェレスティーノ・チャルディーニ
 現伯爵。先代伯爵である父とその妻は隠居して現在は王都のタウンハウスに移り住んでいる。
 ヤコフの親戚であり、幼いころにピチットと友人になり、さらに勇利とも知り合いとなった作中屈指の良縁持ち。
 現在は同じ伯爵家から奥さんをもらい、一姫二太郎(誤用)なお父さんでもある。
 最近は物流やヒトの流入の速度に頭を抱えている。特に海運関係は治安維持も含めて頭が痛い。特にお隣のアルジュ家が治安維持を放り出して活性化に驀進しているせいで海の治安が今最悪に近い模様。

■リディノア・チャルディーニ
 チェレスティーノの奥さん。同じ伯爵家から嫁いできた女性。
 嫁いできた当初はピチットの存在やふらりとやってくる勇利の存在はやや疎ましく思っていたが、賢い女性なので徐々に状況を理解するとともに受け入れた。
 なお勇利に関しては酔っぱらった彼と一回ダンスを踊っただけで、チェレスティーノのダンス教師が彼であることを看過した程度には彼女自身もダンスや芸術に関しては造詣が深い。
 それでも勇利がくれた翡翠のゴブレットはどうかと思う。勇利視点で殆ど姿が見えないのは基本的に貴族の女性は庶民と顔を合わせないのが普通です。

■ファラノア・チャルディーニ
 チェレスティーノの娘。もうすぐ子爵家に嫁ぐ予定。
 勇利に大きなペリドットの石をもらい恐ろしいやらなんやら。旦那にも絶対言えない秘密の財産になってしまった。ぶっちゃけそれうっぱらったお金で子爵家が乗っ取れる勢い。
 おかげで嫁姑問題にも心強くいられた。

■カイン・チャルディーニ
 チェレスティーノの長男。現在二十代前半。五年前に勇利にケンカを売って瞬殺され、そのまま冒険者になってしまった。現在ランクはAに上がった。
 脳筋気味だが我が身を持って勇利の実力を体験しているため、たとえ相手が下位ランクであろうとどれほど童顔であろうとも真摯な対応を心掛けている。そのため職員や同じ冒険者に評判がいい。

■アベル・チャルディーニ
 チェレスティーノの次男。現在十代後半。兄とはちょっと年が離れている。お嫁さんは年上の人。と言うかぶっちゃけると元兄の婚約者。
 いろんな貴族なあれやこれやの結果、そのまま次男の嫁にスライドした。貴族の間なら珍しいことでもない。よくあることでもないけどな! 一応長男は三年前の流行り病の時に儚くなったことになってる。

■ナターシャ・バランキージャ
 チェレスティーノ次男くんのお嫁さん。子爵家令嬢。(元長男の婚約者)
 別に長男との仲も悪くはなかったのだが、そう言うのを投げ捨てる勢いで長男が奔出してしまった。恨みとか以前に「はぁぁぁぁ!?」みたいな反応しかできなかったのが本音。
 貴族令嬢としての結婚適齢期は余裕で突破している、チャルディーニとしても令嬢に非がないというか、一〇〇%長男が悪いなどの理由によりそのまま次男の婚約者にスライドした。

■ハンナ
 チャルディーニの遠縁に当たる子爵家出身の女性で、淑女教育を受けている。
 現在四十代前半。いろんな事情で結婚をあきらめ伯爵家に勤めに出ている。勇利が目をつける程度にダンスは得意。

□アエス国王都 ネイロ
 チャルディーニ伯爵の先代夫妻が暮らしているタウンハウスがある。

□鼻歌の子豚亭
 王都で勇利が泊まった宿屋の名前。

□海神の盃亭
 勇利とピチットが食事をした店。スイギュウの煮込み料理がおいしい。

◇魔獣図鑑
■アースヒュージーラット
 アエス国南部に生息。一メートルぐらいのサイズのネズミ。いわゆる土ネズミなので肉にはくせがあるものの食えないことはない。
 土の魔術を使い、獲物を地面に埋めて窒息死させる。強敵が森にいた際は、地中近くに潜ってやり過ごす習性がある。

■グリーンビックラビット
 アエス国南部、アリラボ周辺に生息する3メートルサイズのウサギの魔獣。Bランクの魔獣ではあるが、風を体にまとって素早く動いてキックしてくる。
 身体に纏う風のせいで弓矢が通じないうえ、下手に近寄ると切り刻まれるなどかなりの強敵。
 肉も美味いが毛並みもいいので、最近は高級品として輸出されている。

■グリーンベア
 アエス国で登場した風邪魔術を使う熊の魔獣。癖はあるが肉が多く取れ、毛皮も高級品である。

■グリーンボア
 風の魔術を使うボア。アエス国南部の比較的森の浅い位置で群れを作っている。
 Bランク魔獣。アリラボでよく食べられている。

■キング・フォレスト・ディア
 立派な角を持った大きな鹿の魔獣。
 アエス東部の人があまり立ち入らなくなった森に生息していた。この魔獣のせいで近くの村は村を捨てる決意をすることに。
 その皮はグリーンベア七頭分ほどの金額になる。

■ゴールデンキラービー
 森の小さな軍隊と呼ばれる蜂の魔獣。そのハチミツは超高級品である。

■フォレスト・マッド・ホーネット

 静かな暗殺者と呼ばれる蜂の魔獣。そのハチミツは超高級品である。

■スイギュウ
 水辺近くに住む巨大種の魔獣。そのミルクは栄養豊富で高値で取り引きされているほか、肉も高級品である。

■レッドブル
 背中に小さいけど羽っぽい物が生えてる牛の魔獣。
 敵に体当たりとともに風魔術をかけて敵を空高く舞い上がらせ、そこから落とすという戦法を採る。


バラファシル国
 立憲君主制を採用している王国。サモンビーの麻薬のせいで政治体制がぐちゃぐちゃになった後、革命により当時の上層部が総入れ替えになった。
 薬師、錬金術師には修羅の国であった。現在は文明の明らかな衰退により規制は解除されているが、国内の貴族の利権などにより、なかなか難しいところ。ワインが特産品で、最近は酪農にも力を入れている。

□ドガンダ村(ダンジョンの村)
 バラファシル北東部の山のふもとにある最近ダンジョンが見つかった村。

■ピョーチャ
 ユーリの友人でもある風の精霊。猫の姿をしており、気まぐれ。今回はヴィクトルを探すのを手伝った。
 フルネームはピューマ・タイガー・スコルピオンというらしい。

■ジブリル・ゲドン
 村に新しくできた冒険者ギルドのマスター。元々は王都のギルドの職員だった。四十代の男性。

■ニルス
 ドガンダ村の村長の息子。三十代前半の男性。色々な忖度の結果、冒険者ギルドのサブマスターに就任した。
 怒りっぽい性格で、根に持つタイプであった。
■ヒグーロ

 村唯一の薬師の家である一家の跡取り息子。セイラディアまで錬金術の修行に出ていた。

 祖父が、ヒガーロ、父はヒギーロと言う。

■ウリエン・ブラン

 ジブリルと懇意にしているAランクの冒険者。勇利とヴィクトルと一緒にダンジョンに潜り、上には上がいることを知る。

 ぐったりしていたが、ちゃんと書類はしっかり出した出来る男。

◇魔獣図鑑

■ビック・クリスタルシュガー・アント
 体長十五センチほどの巨大な蟻。
 腹部に蜜をため込む種類の蟻で、死ぬとその蜜が結晶化する。レア種であるレインボーがいる。
 クリスタルシュガー種の結晶は高級品で知られるが、レインボーは拳大のサイズで白金貨1枚ほどの価値である。


第二部 ドーン女王国
 大陸北部に東西にまたがる大国。覇権戦争とそれに伴う独立運動などでしばらく戦火に包まれていた国。
 現在は落ち着いているが、平和ボケした第二王子がやらかした模様。

□パノンの町
 ドーン女王国最南部に存在する山岳部にある町。バラファシルとの国境に近い。

□疾風の子豚亭
 勇利たちが最初に泊まった宿。豚なのに早いとはこれいかに。

■ラシャーヌ
 兎の獣人の魔術師。風魔術が得意で、コクローチの群れに動揺して魔術をぶっ放した。

■レーシャ
 ヒューマンの治癒師。大体三十代後半の女性冒険者。
 故郷の村をバンパイアに滅ぼされており、大陸のバンパイアやアンデットを殲滅することを目標に掲げている。ソロ冒険者。

■ファイロ
 勇利が頭がよさそうな。と言った男性冒険者。
 ツガートと同じパーティの一人。

■ツガート
 腕周りが勇利の腰くらいある男性冒険者。年は三十代後半。
 レーシャとは任務などで臨時パーティを組んだ頃があり、お互いに顔見知り。

■ザボック
 レギュラー陣に名前を憶えてもらえない人。ヴィクトルもひどいが勇利も結構ひどい。地方の町によくいるチンピラもどきの冒険者。

■領主の家族
 一人娘が病魔に冒され、あらゆる治癒師、薬師、錬金術師が匙を投げる中、とある魔術師に縋りついた。
 ただその方法は邪法ともいえる他者の生命エネルギー(魔力)を使うものであった。町でバンパイアに殺されたとされた人は、多くはその犠牲になった人である。
 しかしながらその邪法は失敗。娘は人ならぬ化け物に代わり、魔術師は姿を消した。
 残された家族は娘を地下牢に閉じ込めるものの、あっさり殺されアンデットとして使役されることになったのが今回の真相である。

□チェオンの町(羊毛の村)
 ドーン女王国にある羊毛の村。古くから羊タイプの魔獣を飼いならすことに成功し、羊毛の安定的な供給を実現した。チェオン織と言えばドーン女王国の特産物の一つである。
 年に一度、三日間にわたって行われる「羊狩り祭り」ではドーン国内から多くの観光客が詰めかける。

□子豚の機織り亭
 勇利たちが泊まった宿屋。
■リーズ
 勇利とユリオが買い物をした羊毛品のお店の女性。四十代。

□グァンソンの町
 チェオンの川向にある町。こちらも羊毛が盛んで、チェオンとはライバル関係にある。

□ブチェオンの町(ストロベリーの町)
 広大なベリー畑を持つ村。

□ベリー畑の子豚亭

 ブチェオンにある宿屋。ボアのバラ肉の煮込みが名物料理。

■フリュドラ
 古くからブチェオンの町で薬師をしている一家の女性。父親がヘビ除けのお香を開発しており、そのおかげでベリー畑が現在の大きさにまで拡大した。
 未婚女性で、そこそこ美人。そのためか、最近変な男に求婚されていた。

■ボッフェル
 最近町に来た錬金術師。三十代の男性。猛毒を持つレッドトクシンスネークの解毒剤を生み出したと大々的に売り出していた。

□赤い閃光
 ブチェオンを中心とした周辺で勝とうどうしていたBランクの冒険者チーム。
 ボッフェルに雇われていたようだが、ある日突然姿を消す。
□ルネージュ村(とある村)
 ドーン女王国から南へ向かう際に訪れる村の一つ。

■ダルコ
 勇利達が滞在した村の村長。特筆することなく普通に善良な村人。
 奥さんと娘さんの三人暮らし。奥さんの料理がうまいのが自慢。滞在費に大きな鹿の皮をもらったので今年の冬はちょっと安心して過ごせそう。

■イサーク
 Aランク冒険者。よく商人であるルドルの護衛を担当している。

■ルドル
 ドール女王国の南の方を移動する行商人。息子が一人いる。
 そこそこの規模の商隊を持っており、そろそろ行商は息子に任せ、店でも構えようかと思っている。

■ホセファ
 ルドルの息子。ハンサムというタイプではないが、不細工というわけでもない。商売柄愛想がよくてマメ。

■アルノ
 ダルコの娘。ホセファといい仲ではあるが、恋人かというとちょっと微妙なライン。

□ロンブブの村(様子のおかしい村)
 魅了スキルも血の少女のせいで村全体が異常状態にある。勇利達がいなくなった後に発生したスタンピードで壊滅する。

■ゼップル・シェレンバーグ
 ロンブブ村の冒険者ギルド長。王都の権力争いに負けてほぼ左遷状態でこの村に来る。
 村としてはそこそこの規模があるギルド長に収まったが、本人はやさぐれている。スタンピード後、責任を追及されて財産没収の上、鉱山送りにされる未来が待っている。

■メータ
 魅了スキルの持ち主の少女。
 勇利曰く、村娘ならそこそこの線であり、まぁ大体そんな感じ。
 あの村の出身で、薬草採取で生計を立てていた。

□ドーン女王国王都

 ドーン女王国の中心部にある。王都内には数多くの店が立ち並び、賑やかである。

 また、王都には他国にはない「学園」と言う貴族や裕福な商家の子息令嬢をターゲットとした学習機関がある。

□ボンゴレ
 ドーンの首都に店を構える大店。主に輸入業を営んでおり、帝国や東の大陸の方とも取り引きがある。

■ミケーレ・クリスピーノ
 ドーン女王国西方に領地を持つ公爵家嫡男。
 大変なシスコンで妹に近づく男を片っ端から排除してたら闇討ちされた。
 ちなみに襲撃犯は王都に根を張る裏組織の連中に拿捕され、公爵家に届けられたらしい。

■サーラ・クリスピーノ
 ドーン女王国東方に領地を持つ公爵家令嬢。
 数々の縁談やらいい感じの男性との仲を兄につぶされてきた。
 別に全員が全員黒髪だったわけではない。現在は東の大陸からきた商家の息子にアタック中。
 なぜなら貴族相手は悪名が浸透してしまってまともな嫁ぎ先がないためでもある。

■イ・スンギル
 東方の大陸から来た商人(見習い)
 彼個人の正直な感想としては、面倒なのに目を付けられたな。と思っている。

■エミル・ニコラ
 名前は登場していませんが、憲兵の一人。
 兄妹と面識があり、今回もミケーレ闇討ちの計画を知って町中を探していた。

■ルイ
 憲兵小隊の隊長。エミルの直接の上司。なかなかのベテランで、街の人からの信用も篤い。
 実はイケメンなのだが、当然のことながら勇利にはちゃんと認識されていない。なお、妻帯者である。

□ヴェサン村
 ドーン女王国王都の西部にある村。リンゴで有名。

□子豚の微笑み亭
 ヴェサン村近くの村にある宿屋。
 ディアのステーキが美味しかった模様。

■オタベック・アルティン
 ドーン女王国西部の公爵家の三男である。幼い頃は冒険者にあこがれていたが、家の使命を知り諦めた過去がある。十八歳(ドーンでは成人)
 今回勇利たちと短い間ながら旅をしたことでまた冒険者へのあこがれが再燃した。

■エルヴェ・ル・ノートル
 オタベックと同じ調査隊の一人。無事に戻った後、再びオタベックとともに調査隊に戻る。三十代。

■ジョエル・ヴィンセント
 オタベックと同じ調査隊の一人。足を食いちぎられていたが、勇利のおかげで一命をとりとめた。
 無事に戻った後は文官に転向した。十九歳。

■カンタン・ブランシュト
 オタベックと同じ調査隊の一人。二十代。三人で戻った後は、調査隊に復帰した。

□サンウォンの町(ダンジョンの町)
 ドーン西部にあるダンジョンの町。多くの冒険者でにぎわっているが、最近は人が減少傾向にあった。久しぶりに最下層まで踏破した冒険者が出たため、再び活気を取り戻す。

□黄金の子豚亭
 勇利たちが泊まった宿。玄関に金メッキの子豚の像が置かれている。

■ジャン・ジャック・ルロワ
 ドーン女王国出身の良いところの坊ちゃん(貴族ではない)
 自信過剰で自意識も過剰だが、それに見合うだけの実力は持っている。
 現在ドーンのダンジョンの六十階から七十階までの間を攻略中。前衛特化型。

■ジ・グァンホン
 ドーン女王国の東のはずれにある移民たちが集まってる村出身の少年。名を上げようとダンジョンにやってきた。格闘メインのいわゆる避けタンクの役割を担う。

■レオ・デ・ラ・イグレシア
 ドーン女王国出身の青年。回復役及びエンチャンター。ジャンの昔馴染みでもある。

■イザベラ・ヤン
 ジャンの恋人。薬師であり魔術師。
 無茶をしようとする三人の襟首掴んで地上に戻ってきたら、百階まで踏破した人間が久々に出ててびっくりした。
□シュルク村(ドーン西部の滅びた村)
 ドーン西部にある人口五十人ほどの小さな村。近くに遺跡ともいえない古代モニュメントがあったために村人全員が惨殺された。

□ヴェンベリの町
 ドーン西部にある町。ダンジョンのあるサンウォンに人がとられるため、新人の冒険者教育に力を入れている。

□森の子豚亭
 勇利たちが泊まった宿屋。

■インサフ
 シュルク村に住んでいた青年。
 八人兄弟の六番目(下に弟妹)で、成人(十八歳)とともに村を出た。
 年の離れた一番上の兄貴がほとんど父親代わりだったという。割と面倒見がいい性格で、パーティのリーダーを務める。

■ロジオ
 シュルク村に住んでいた青年。
 そこそこ広い畑の持ち主の生まれで、ちょっとぽっちゃり目だった。冒険者生活でだいぶシュッとした感じに。脳筋気味。
 
■リュディ
 シュルク村に住んでいた青年。
 独立した兄と、姉と弟がいる。知識欲が高く、簡単な魔術が扱える。インサフたちが村を出るときに自分も同行を申し出た。
 
■ダグ
 シュルク村に住んでいた青年。
 父親が優れた狩人であったが、魔獣にやられた傷がもとでなくなり、母親も病で亡くなった後、姉に育てられた。
 町で働いていた姉が村に戻って来たことに引け目を感じており、インサフ達についてきたのも自分がいなければ姉が自由にできるのでは……と思ったからでもある。

■リッキー
 作中にあるようにフォレストウルフ。生まれながら身体が小さかったせいで、兄弟との生存競争に負ける。
 空腹で鳴いていたところをインサフの兄に拾われ、インサフとは兄弟のように育つ。インサフに俺の代わりに家を守ってくれよな。と言われていたため、ずっと家を守っていた。
 なお、マッカチンが近寄ってきたときは彼の感覚ではでかいワイバーンが「なんじゃわれ?」と寄ってきたようなもの。
 性格はどちらかと言うとお調子者の部類。

□ドーン女王国セフェン国国境砦
 セフェンとの国境にある砦。不定期に侵略してくるセフェンに備えるために建設された。
 ここのところセフェン国内の治安悪化に伴い、戦力が強化されていた。この砦に勤める職員の多くは現役の軍人または退役軍人である。

◇魔獣図鑑
■フォレストウルフ
 山岳部に生息する一般的な狼種。肉はまずいが、毛皮が防寒着として一般的に流通している。

■カイザー・ウォーグウルフ
 ドーン国南部の山岳部に生息するウォーグウルフの変異種。カイザーと呼ばれるSランクの強力な魔獣。

■アンデット
 死体や屍骸が何らかの要因があって動き出したものを言う。バンパイア、ゾンビ、バンジーなど種類は様々。
 アンデット専門の冒険者もいる。

■バンパイア
 知性あるバンパイア。闇の貴族、などと呼ばれて恐れられていたころもあるが、現在はアンデットの一種と言う位置づけ。
 人間や魔獣から血を媒体に魔力を奪い取り、またそうやって魔力を奪った人間を操ることが出来る。
 非常に珍しい存在であるが、たまにバンパイアに滅ぼされた村などは存在する。

■グラス・シープ
 チェオンで人の手で繁殖に成功した羊の元魔獣。チェオンではもこもこの毛を縒って糸にしている。

■ホロホロ鳥
 真っ黒な羽根の鳥。飛べない。肉は美味しい。

■ゴールデン・エリアル・シープ
■エルダー・ゴールデン・エリアル・シープ
 自分の三倍以上の毛を持つ黄金色の毛の羊の魔獣。高さは四メートルほどに及ぶ。ただエリアルの名前の通り、毛がとても軽く、自身でも重さは感じていないようだ。
 毛の長さを確保するため、周辺の村や町では狩りができる日を決めている。
 エルダーの肉は珍味として扱われている模様。

■レッドトクシンスネーク

 赤い蛇。かなり強力な毒を持つ。

■レッドベリーパイソン
 赤い蛇。レッドトクシンスネークによく似ているが、こちらは毒は持っていない。

■オーガ
 人型の魔獣。地域によっては鬼とも呼ばれている。硬い皮膚を持ち、武器を振り回す。
 肉には毒があって食えないが、どこかの一地方では食べられるようにしたらしい。

■ブレードウルフ
 鋭い刃のようになっている牙を持つ狼の魔獣。
 森に五から十頭ほどの小規模な群れを作って暮らしている。

■ワイバーン
 翼ある爬虫類種の魔獣。ドラゴンとは明確に別の種である。
 大型種は主にダンジョンに生息しているが、小型、中型などは深い森や山脈などに生息している。
 固い鱗に炎のブレスを吐くSランクの魔獣であり、間違っても一撃で倒していい相手ではない。
第三部 セフェン国
 周辺を険しい山岳と湖に囲まれた盆地にある国。独自の動植物の進化が見られる。ここ十数年、国内には不穏な気配が漂っていた。

□ファーファルスの村
 勇利たちがセフェンに入って最初に訪れた村。内乱の余波も少なくごく普通の平和な村である。

■トマ
 ファーファルス村の村長。勇利たちに王都での不穏な噂を伝えた。

□セフェン国首都
■ルマン
 セフェン王国最後の王。兄に対する劣等感をこじらせたうえ、楽な方に流れた結果、貴族の傀儡王となる。

■ダルフ・パラミティーズ
 セフェン共和国代表。もともとは王兄であった。
 母親が出生の地位が低いため、長男ではあったが王位継承権は弟のルマンより低かった。
 なりたくて代表になったわけじゃないのにほかに道がなかった苦労人。

□ボンゴレ
 ドーン女王国首都にもあったお店。歴史の裏で暗躍する秘密組織の面を持つ。
 特別のお客様には貝の飾りをプレゼントしている。ちなみにダルフは持っていない。
 多種族で構成された巨大な組織であり、その武力や情報力、経済力は「土地を持たない国家」ともいわれる。
 とはいえ、歴代盟主(ボス)は平和主義者が多く、敵対行動をとらなければ至って無害。現在の盟主は東方出身の長命種だそうだ。
 セフェンの支店でヴィクトルの対応をした人は、小鳥の名を持つ戦闘狂(雲雀恭弥)。もし勇利とガチ戦闘したら、王都が焦土になるので回避して正解。

□リンキルの村
 ペトリ湖の近くにある村。漁業が中心となっている。アブサンと言う薬草を漬け込んだ緑色のリキュールと淡水魚料理が名物。

□湖の子豚亭
 リンキルにある宿屋兼食堂。宿の主人と村長は友人同士である。

□ペトリ湖
 セフェン国北部にある淡水湖。スズキ、マス系を主とした魚が豊かな湖。冬は凍結するが、向こう岸のロリーナ共和国との国境でもある。

◇魔獣図鑑

■クラーケン
 海魔。全長五メートル以上に及ぶ。魔力が豊富で魔術も使える模様。
 現実世界のダイオウイカは食えたものではないが、ここはファンタジーなので、食えるし美味い。

ロリーナ共和国
 大陸北西部やや中央寄りにある国。昔から帝国、セフェンに挟まれており、何かと戦乱に巻き込まれてきた。
 現在は領地ごとに異なる政策をとる都市が集まっている都市同盟である。北部では塩と魔道具作成が、南では酪農と農業が盛ん。

□ロンレルの町
 ロリーナ側のペトリ湖の町。昔はセフェンに所属していた。

□マレン湖
 ロリーナにある塩湖。ここの塩は質が良く、ロリーナでは高級品になっている。

□アウドの町
 マレン湖のほとりにある町。ダンジョンが有名で、多くの冒険者でにぎわっている。

■ジェダス
 Bクラスになってダンジョンに潜り始めたばかりの少年。剣士。
 まじめで貧乏くじを引きやすいタイプだが、今回はそれが功を奏した。
 あまり物事を深く考えず流されやすい性格だが、いろいろあってだいぶ気を付けるようになった。

■クンツ
 ジェダスと同じパーティを組んだ魔術師。
 実は女の子。という設定があったのだが全く出てこなかった。性別を偽ってパーティに参加。ジェダスは全く気が付いていないが、他二人は気が付いていた。

■ネフラ
 後衛の少年。職業的には斥候役。
 小器用で目端が利くタイプ。楽して利益を得るタイプであるが、今回関わったメンツがまずかった。
 あまりにも勇利達があっさり倒すものだから、そのすさまじさを実感できないまま死亡した。
 死亡原因としては、 ジェダスの想像通り、積極的に殺されたりはしなかったけれど、守っている余裕もなく、巻き添えで死亡した。

■ゾイ

 ジェダス同様に前衛担当。ジェダスのことを内心でライバル視しており、今回のことも彼を出し抜くつもりだった。

 なお、クンツが女性であることを知っており、あわよくばこのことでいい仲になろうとしていた。
 あまり深く物事を考えられず、ネフラが 「浮浪する鋼鉄」に向かったのを受けて、「灼熱の境界」へと赴く。

□チーム「三日月の瞳」
■ナマン
 猫獣人のおっさん。顔はネコみが強い。ふさふさなメインクーンタイプ。
 クロネコでちょっと強面。赤ん坊が見るとギャン泣きする。
 お人よしの部類で、ギルド職員に便利に使われている節もあるものの、人徳もある感じ。
■ダリダ 
 ナマンの奥さん。同じく猫獣人。こちらは人間味が強い。
 ザ・肉食ぅ~。って感じの美女。旦那がべたぼれらしいが、奥さんもなかなかに旦那ラブの人。
 ちなみにクンツが女性であることは彼女が気が付いている。

■バルタザール
 猫獣人のおっさん。無口なタイプで、猫獣人ではイケオジの部類。ブリティッシュショートヘアタイプ。

■ドミンゴ
 ドワーフのおっさん。見かけは髭もじゃでおっさんだが、実はドワーフでは若い部類。
■アレク
 地下七階で仲間に囮にされて放置されたところをナマンに拾われた冒険者。
 ちなみに斥候担当。

■ロワ 
 役に立たないとパーティから追放され、ナマンに拾われた冒険者。アレクとはまた別のパーティ出身。
 魔術師だったが、ユリオ同様に攻撃的素養が少ないタイプ。現在は回復師として腕を振るう。死んでなきゃ僕が治しますから! とか言っちゃう感じに成長する。

□クラン「白銀の魔弾」
 安定しているクランで、既婚者も多い。その分危険なことはしたがらない感じ。ちなみにクランマスターはエルフの妖艶な美女。
 今回妹弟子がやらかしたため頭が痛い。なお、彼女は彼女で妹弟子へのコンプレックスを持っているが、いわゆる「隣の芝は青い」の部類である。

□クラン 「浮浪する鋼鉄」
 今回のことで精鋭部隊がほぼ壊滅して頭が痛い。
 メンバーが死亡して半日間程度だったので、多くの遺体や遺品が回収出来たのは幸いだったと言える。それらも含めて勇利達には礼を尽くした。

□クラン「灼熱の境界」
 ここ数年で台頭したイケイケドンドンな感じのクラン。
 他二つに比べて歴史が浅い分勢いがある。若干二つのクランに対する劣等感の裏返しなのか、攻撃的な態度をとっていた。ゆえにほかの二つのクランからは「ごろつきの集団」「野盗か冒険者かわからない」などと言われていた。
 「金貨五万枚」の依頼を最初に直接受けたのがここのクラン。その際に彼女の持っていた魅了の魔道具の餌食となり、本人たちが知らないうちに麻薬の摂取にまで至る。社会復帰できるかどうかは本人と周囲次第である。

■エレナ・ベラングェ
 赤毛の女性。何者かに命じられ、大きな魔石を買い取る依頼を出す。
 他者を魅了する魔道具を渡され、彼女自身もまた何者かに操られていたようだ。
 「白銀の魔弾」のクランマスターの妹弟子でもあり、彼女の魔力量はユリオを超えるため、ユリオやギルド長などもまとめて魅了された。

□コルテマンの村
 三軒目の踊る子豚亭がある町

□タヴァンの村
 四軒目の踊る子豚亭がある町

□トーウの町
 ロリーナの北にある程々な大きさの町。
 元Sクラス冒険者が経営する、歌と踊りとお酒を楽しむお店、キャバレー「酩酊(Intoxicated)」で有名。
 かつて伝説の踊り子、「プロッスレット」で一世を風靡した。ついでに裏社会もだいぶ綺麗になったらしい。
■マスミ
 クリスの恋人。元A級冒険者。魔術師である。
 西の大陸出身の鬼人族で、右のこめかみあたりに小さな角が生えている。ユルク・ドナートに捉えられ、魔力をギリギリのラインで搾り取られ続けられていた。
 勇利に助けられた後は疲労のためか多少の思考の低下がみられていた。

■クリストフ・ジャコメッティ
 元Sクラス冒険者。ヴィクトルとともにダンジョンアタックに挑戦したことがある。
 クワド・ルッツと言う伝説級のクワドシリーズの所有者でもある。

■ヨゼフ・カルピーシェク
 クリスたちの元チームメンバー。ドワーフのタンク役だった。既婚者。
 トーウの町にある店のオーナーの一人でもある。

□プロッスレット
 ロリーナの古い言葉で「子豚ちゃん」の意味。
 トーウの町で百年前に一世を風靡した踊り子。清潔な色気が話題になったという。

□キャバレー「酩酊」
 元Sクラス冒険者であったクリスがオーナーを務める酒場。プロッスレットで有名になったが、現在は大陸各地から多くのダンサーやダンサー志望者がやって来る。
 約百年ぶりに「プロッスレット」がステージに登場、その清廉な色気とふとした瞬間に見せる男くささに、町中の女も男も魅了されたらしい。
 ついでに金髪と銀髪のダンサーも時々登場したらしい。

□デキストの町
 カバントゥ伯爵が治める古い町。領主の権限が強い。
 ただし今回の一件で町の評議会の発言力は増すこととなる。
 伯爵家の代替わりと、町に滞在する冒険者が少なくなっていたことなどにより一時的に治安と食糧自給が悪化したが、たまたま滞在していた冒険者によってなんとかギリギリのところでとどまることが出来た。

□カバントゥ伯爵
 デキストの領主。クリスの異母弟の子孫にあたる。
 ユルク・ドナートに利用され、極度の麻薬中毒となり物事の判断がつかなくなったまま処刑された。
 なお、屋敷のものはすべてユルク・ドナートによって操られていたため、彼を諫めるものは誰もいなかった。
 現在は元伯爵の長男が爵位を継承。弟がいたのだが、気がついたら消えていた。

◇魔獣図鑑

■ギガ・ミノタウルス

 ロリーナ国、アウドのダンジョンの百十九階に生息している。ドロップは肉、斧、魔石である。

■ギガント・ダブルヘッド・ミノタウロス
 ロリーナ国、アウドにあるダンジョンの最下層のボス。ドロップは肉、斧、魔石である。

■バンシー
 さまよう女の霊魂が何らかの形で変化した存在。


ヴォイス帝国
 大陸西部にある最大級の領土を持つエルフの国。大陸で一番歴史がある国で、二万年前の遺跡も多く残る。
 特産物はダンジョンです。と言うほどに、大小多くのダンジョンが存在する。
 他人種に対する差別があるわけではないが、国民の多くがエルフであるため、ナチュラルに他種族に対する配慮がなかったりする。

■ユルク・ドナート
 赤毛のエルフの魔術師。
 恋人を失い、生きる気力を失っていた。そんな彼が見つけたのは死者の魂を再度引き寄せる「反魂術」だった。
 彼は恋人の存在を取り戻すため、超えてはならない一線を越えてしまった。死者を生き返らせる「魔法」などないのに。
 帝国の結界の魔石を使った「反魂術」を使用するものの失敗。彼はより強力な魔石を手に入れるために帝国を飛び出す。
 そしてその果てに、より深い知識を持つ存在のことを知る。その存在ならば、彼女を生き返らせる方法を知っているのと思った彼は、よりその大いなる存在について調査を開始。
 そしてユルク・ドナートはその存在を「強大な魔力を持って呼び出すもの」だと理解した。果たしてこの時のユルク・ドナートにすでに正気はなかったのかもしれない。彼はこの時より、より大きな魔力を、魔石を手に入れるための行動へと変化していく。
 帝国の宮廷錬金術師であり、第一研究所の所長にも上り詰めたほどの傑物である。専門は工学系ではあるが、薬学にも精通している天才であった。
 彼は呪われた魔石を生み出す方法をなぜ知っていたのか、どこで「強大な存在」を知ったのかはすでに理解していない。ただ、「誰か」に教えてもらった事だけは覚えている。
 いや、そもそもなぜ己は「反魂術」などを知っていたのか……?

■エルザ
 ユルク・ドナートの恋人。
 死亡した後、ユルク・ドナートが結界の魔石を使った反魂術によってバンジーの姿となった。
 その後、暴走するユルク・ドナートを止めようとする者の、彼女の姿はユルク・ドナート二は見えず(もしくは認識できず)、彼女自身の生前の記憶や意識も時間とともに失われていった。
 彼女にはもはやわからない。なぜ自分はこんなに悲しいのか。ただわかるのは「彼を止めなければ」それだけである。

□ウルーラ山脈
 帝国北部にある山脈。大変険しい山として有名。Aランク魔獣が存在しており、Aランク冒険者チームでも踏破は難しいと言われている。
 通常は六人パーティで一か月ほどかかると言われているが、ヴィクトルがマッカチンと一週間で踏破したことがあり、それがヴィクトルの伝説の一つである。

□ラカイックの町
 帝国最北部のダンジョン。宝石、鉱石系のダンジョンである。脱出方法が自力オンリーのため、採算性はいいのだが攻略が難しいダンジョンとして有名。
 最下層にはユドグラシルと言う大樹が生えており、その実や葉は貴重な錬金術の素材である。

□スモアの町
 帝国北部にある小さな町の一つ。ユリオの故郷である。
 町の北部に薬草畑とストロベリーの畑が広がっており、夏には帝都から多くの観光客がやって来る。

□子豚のピロシキ亭
 勇利たちが泊まった宿屋。ピロシキが名物な模様。

■コーリャ・プリセツキー
 ユリオの祖父。腕のいい薬師である。
 孫の活躍を楽しみにしながらも、心配している。あと娘の恋も心配している。

■ユリオの弟妹
 今のところ弟二人、妹一人の三人である。

■テオドール・グルィズノフ
 冒険者ギルドの副マスター。勇利にジャイアント・キラー・ベスパの巣のあった場所を案内してもらうついでに、森のキノコについていろいろと教えた。

■アリベルト
 ユリオより(人間感覚で)一、二歳ほど年上の少年。
 町の悪ガキでありユリオの他、年少の子供たちのリーダーを気取っていた。ユリオに突っかかっていたのは、当時からユリオの魔術の才能がとびぬけていたことと、ユリオの性格によるところである。
 ユリオがリリアとヤコフに引き取られるのに前後し、彼らも帝都に向かっていた。

■ルスタン
 アリベルトの腰巾着の一人。

■フョードル
 アリベルトの腰巾着の一人。

 
□チャーミュギュ
 帝都。巨大な結界に覆われて発展した大陸最大の都市。数万人の人間が暮らしていると言われている。

□バルカイ湖
 帝都近くにある大きな湖。ヌシと呼ばれる巨大なヘビが棲んでいると言われている。

■ヤコフ・フェレツマン
 帝国貴族の一人で、元宮廷魔術師筆頭。ヴィクトルとユーリの師でもある。魔術の才能のある子供を引き取って手元で育てている。
 ギオルギー、ミラもそのひとりである。

 
■リリア・バラノフスカヤ
 元宮廷治癒師筆頭。ヤコフの妻でもある。ユーリの才能をいち早く気が付き、世界一の治癒士になるために修行をつけていた。
 ミナコとも知り合いの模様。

■ギオルギー・ポポーヴィッチ
 元ヴィクトルのパーティメンバーの一人。魔術師兼、錬金術師。武器へのエンチャントが得意であった。
 ドラゴン退治の褒賞により、宮廷錬金術師となる。現在は第二研究所の所長に昇進した。
 恋には少々エキセントリックではあるがまじめな性格で、所員には慕われている。若くして隠居状態にあるヴィクトルを心配していた。

■ミラ・バビチェヴァ
 元ヴィクトルのパーティメンバーの一人。本職は薬師兼治癒師なのだが、格闘も得意であり、素手での攻撃を得意としている。
 現在はドラゴン退治の褒賞により、騎士候の爵位とエリクサー研究の予算を貰い、宮廷薬師として王宮に勤めている。

■セルゲイ
 元ヴィクトルのパーティメンバー。
 タンクを務めていた熊の獣人。現時点ではすでに故人である。

■アナスタシヤ・ポルヤノヴァ
 帝都の薬師ギルドのギルドマスター。年代はリリアとミラの間ぐらいなので、ミナコとは直接面識はない。
 勇利が持ち込んだ薬草や希少な素材の山を前に、「お空、綺麗」と薄汚れた天井を見上げながら呟いたため、ユリオのトラウマになる。

■ウラディミル・ルィジョフ(ウーリャ)
リリアの屋敷の菓子職人。
 とんでもねー希少素材を持ち込まれてお菓子作って! って言われてめちゃめちゃ冷や汗かいた人。ちなみに師匠にも泣きついた。師匠も困った。頑張ってパイを作ったよ!

■ヴァレリ・パシチェンコ
 王宮の筆頭菓子職人。ウラディミル・ルィジョフの師匠。
 独り立ちした弟子に緊急で呼び出されて、なんだ。と思ったらテーンと厨房に置かれた希少食材に泡拭いて倒れそうになった。
◇魔獣図鑑

■フォレスト・ベスパ
 森によく生息している肉食の蜂。蜜は取れないので冒険者には面倒なだけの相手である。

■ジャイアント・キラー・ベスパ

 帝国北部に生息する厄介な蜂。小犬程度の大きさの蜂で、猛毒を持つ。

 毒に侵され、動かなくなった獲物を巣に持ち込んで溶かしていく習性がある。

■ギガント・マーダー・クロウ・ベア
 帝国に生息するとにかく巨大な熊。
 出会った場合は村と反対側に逃げろと教えられるほどにはやばい魔獣である。
■タイラント・ヘル・ マーダー・クロウ・ベア
 帝国ダンジョンに生息している世界最大級の熊の魔獣。
 ヴィクトルでさえ、ソロで出会ったら死を覚悟する魔獣である。

大八洲国(おおやしまのくに)
 東西の大陸の間ほどにある縦に長い島国。いくつかの小さな島も付属していおり、勇利はそのうちの一つ、筑紫島(つくしのしま)出身。

□長谷津

 筑紫島の北部に位置する村。勇利の故郷である。米、酒、海産物、陶芸と、なかなか豊かな地域であり、長谷津はそれに加えて温泉もある。

 ただ、筑紫島そのものが国の中心部から離れているうえ、事情もあって人の行き来が少ない故、秘境ともいわれている。
 近年は貨幣経済が破たんしており、物々交換が主流である。

■奥川ミナコ
 勇利の師匠に当たる薬師。「聖薬」とも呼ばれ、かつては大陸に渡り多くの逸話を残す。
 龍人族と言う途方もない時間を生きる種族であり、おそらく二万年以上前から生きていると思われるが、本人の前で年の話は禁句である。

■ヴィっちゃん
 マッカチンを小型にしたかのような愛らしいもこもこの魔獣であるが、実際の正体は「鵺」と言う特殊な魔物である。
 宮廷にてとある大貴族の当主に憑り付いて悪さをしていたところに薬師として招集されたミナコと弟子の勇利に速攻で服従した。
 今となっては長谷津の愛すべきペットである。

■勝生真利
 勝生家長女。勇利の姉に当たる。父親似。
 気風のいい姉御肌な女性。自称か弱い村の女性だが、Aランク魔獣を仕留められる程度の実力者である。

■勝生利也
 勇利、真利の父親。ミナコ以上に生きている龍人族の男性。長谷津の村そのものが彼の縄張りであり、大事なモノである。若い頃はいろいろとやんちゃをした模様。

■勝生寛子
 勇利、真利の母親。ミナコの後輩にあたる。龍人族の女性。ゆーとぴあ かつきと家族が彼女にとっての大事なモノである。

■西郡豪

 勇利の幼馴染みの一人。男のむさい方。

 自分とは違う存在である勇利を最初警戒していたが、成長するにしたがって自分たちが置いていく側だと理解。エルフなら自分たちよりだいぶ長生きのはずだからと、勇利の夢を応援することになる。

■西郡優子
 勇利の幼馴染みの一人。かわいい女の子の方。
 勇利の初恋の相手ではあるが、彼女にとってはどこまでも「年下の男の子」であった。豪同様に勇利の夢を応援していた。

■板さん
 勝生家に仕えている鬼人族の料理人。一族で代々その味を受け継いでいる。
 
用語解説

■冒険者
 世界各地を旅してまわる者たちのことを言う。傭兵や何でも屋なども含む。
 ルーキーから始まりC、B、Aとランクが上がっていく。Aの上はSであり、世界に百人といない。
 さらにSSランクとなると、現役はヴィクトル・ニキフォロフだけである。
 百年以上前は各地のダンジョンを探して町から町を渡り歩き、未開の地を進む冒険者が各地にいたが、現在はだいぶ落ち着いており、たいていは拠点の町や村を中心に魔獣退治、あるいはダンジョン攻略で生計を立てるものが多く、世界を回る冒険者は少ない。
■魔術師
 魔力を介して物体や生物に干渉することが出来る者を全般的に魔術師と呼ぶのだが、より狭義では他者への攻撃を可能にするものを魔術師と呼ぶ。

■治癒師
 魔術師とは対照的に他者を癒やすことが出来る者を呼ぶ。一般的にヘビが巻き付いた杖を持つものが多く、それが治癒師の目印でもある。
 治癒師の使う回復術には治癒師本人の知識が大きく関係する。外科的知識のある治癒師の方が当然回復に無理はなく、かかる魔力量も少なくて済む。

■付与師
 エンチャンターとも呼ばれる。無機物に魔力を込めた陣や文字を刻んで効果を付与する。地雷なども付与師の領分。
 効果は込めた魔力の量に依存する。魔術師や錬金術師が副業的にしているが、専門的なものもいる。

■錬金術師
 魔術を、攻撃、回復以外に使う場合は、大体錬金術師に分類される。
 国家資格の一つである。専門としては薬師系と工学系にわかれるが、中には酒をひたすら錬金術で精製しまくって高濃度の酒を造る奴もいる。

■薬師
 薬草を調合することで効能を引き出す職業。錬金術師の作るポーションとはまた違った分野である。こちらは知識と器用さが必要で、魔力は不要。

■ポーション
 ファンタジー的とんでもアイテム。
 薬草を魔力で精製して生み出すもので、飲んでよし、患部にかけてよし。ただし欠損が治ることはない。
 勇利が作る傷薬は薬師の薬と言うよりはポーションに性質は近い。

■エリクサー
 深いダンジョンでたまに手に入る伝説の薬。欠損部位すら再生させ、あらゆる病が治るという。
 聖薬が再現して見せたと言うが、その製法や材料は誰も知らない。
■エルフ
 おおよそ二千年ほどの寿命を持つ長命種。美形が多い種族であり、男女の差がはっきりとした体格になる。
 魔力が高い特性があり、インベントリ能力者も多い。その反面、変化を嫌う面がある。決して排他的ではないのだが、他種族との寿命の差はいかんともしがたい。

■獣人
 獣の身体的特徴を持つ。手足や内臓などは他の種族と変わりがない。
 より獣に近い顔立ちと、人間に近い顔立ちの2パターンあるが、どちらも個性のうちである。
 そのせいか、顔立ちよりも毛並みの良さが男女関係ではより重要視されるようだ。寿命はヒューマンとほぼ同じで、現在は約六十歳前後。
■ドワーフ
 長命種の一つ。身長がやや低く、がっちりとした体格。酒好きで手先が器用なものが多い。
 三百年から五百年ほどの寿命である。

■ホビット
 長命種の一つ。ドワーフ同様に身長が低く、こちらは華奢で身軽なものが多い。
 種族的特徴としていたずら好きが多いが、決して命にかかわるような悪質ないたずらは好まない。寿命は三百年から四百年ほどである。

■鬼人族
 東の大陸に多く住むと言われている長命種。こちらもおよそ二千年は生きると言われている。体格のいいものが多く、酒好き。

■龍人族
 世界におよそ百人から二百人ほどが住んでいると言われている超少数族。
 ただし、寿命の概念がないため、殺されない限りは死なない。
 一説によると、精霊王が生み出した存在ではないと言われている。

■精霊
 精霊界に住まう存在で、時たま気まぐれにこちらの世界にやってきていると言われている。
 意思疎通ができるのは相性のいいモノだけで、主に精霊術師と呼ばれている。
 精霊術は特殊な魔術ではなく、精霊へのお願いが基本。

■精霊王
 世界を作り出したという二柱の精霊。
 シンプルにいえば「神」に該当するのだが、宗教色を出したくなかったのでここでは曖昧な形で存在している。信仰されてはいるが、教えがあるわけではない。

■カンナビス
 大麻のことである。錬金術師が成分を精製すると麻酔薬になるのだが、多くは麻薬として精製された。

■クワドシリーズ
 オリハルコンで作られた伝説級の武器のこと。全部で五つあると言われているが、現在所在が分かっているのは三つだけである。

■クワド・アクセル
 現在行方不明となっており、どのような武器かもわかっていない。どこかの蔵に眠っているという噂もある。

■クワド・サルコウ
 帝国にあると言われている。長杖らしいという噂。ドラゴン退治の折に、選抜部隊の一人に貸し出されたという。

■クワド・トゥループ
 ドーン女王国、アルティン公爵家にあると言われている。槍であるらしい。

■クワド・フリップ
 ヴィクトルが帝国のダンジョンから持ち帰ってきた聖剣。片刃のロングソードである。
■クワド・ループ

 東の大陸にあると言われており、イ家が代々継承しているという。どのような形状をしているのかは不明。

■クワド・ルッツ
 クリストフ・ジャコメッティが持っている一振り。フェンシングの剣のようにつくことに特化している武器。

■ダンジョン
 各地に存在する異界。ダンジョンそのものが一つの生物であると言われている。
 ダンジョン・コアと呼ばれるものを破壊すると、ダンジョンは崩壊する。

 
■ダンジョン鋼
 特殊な金属。ダンジョン内ではミスリルよりも強力な武器や防具になる。
 ダンジョンにいる魔獣からドロップする武器を鋳溶かして人間用の武器に仕立て直すのが普通。

■ミスリル
 魔法金属。魔力導電率がよく、強化エンチャントがしやすく、また魔術の力を増大させることが出来る。薄くても防御力が高いことで知られる。
 冒険者はまずはミスリルの防具や武器をそろえることが一人前の証でもある。

■オリハルコン(ヒヒイロガネ)
 ダンジョンからごくたまに少量産出される希少金属。
 あとは伝説級の武具の形をとって宝箱などで手に入る。

■ユドグラシル
 ラカイックのダンジョンの最下層に生えている大樹。
 その実や葉は錬金術の貴重な素材になる。