ナラム・シン

Last-modified: 2019-02-13 (水) 02:49:16

サーヴァント

【クラス】セイバー
【真名】ナラム・シン
【容姿】対の翼を広げ三叉の蹄を持つ雄牛
【英雄点】45点(ステ30点・スキル15点):令呪2画消費
【HP】55 / 55 (40+15)
【筋力】A(EX):8
【耐久】EX:8
【敏捷】A(E):1
【魔力】A(B):4
【幸運】A:5
【スキル1】対魔力:A++
5点:キャラシート作成時、英雄点5を得る。魔術防御時、補正値5を得る。
【スキル2】戦闘続行:A
5点:セッション中に1回まで、HPが0になった時、HP1で耐える。
【スキル3】盾崩し:A
5点:物理攻撃時、補正値3を得て、相手のスキルによるダイスのプラス補正を無効にする。
【宝具】『傅き讃えよ神威の標(ニ・ディンギル)』 1/1
【ランク・種別】対軍宝具
【効果】物理攻撃時、相手前衛全てに攻撃できる。陣地破壊が発生する。攻撃後、自分のHPを(耐久値D6)回復する。
【その他】EXは二個 神性・王 混沌・善
【備考】

マテリアル

 真名:ナラム・シン / 異名:四方世界の王
 身長:高め / 体重:やや高め / 年齢:不明
 属性:混沌・善 / カテゴリ:地 / 性別:男性
 一人称:僕 / 二人称:貴君
 イメージカラー:深い藍色
 好きなもの:川魚
 苦手なもの:竜と呼ばれること
 嫌いなもの:神(特にイナンナ)

 

【パラメーター】

筋力■■■■■耐久■■■■■EX
敏捷■■■■■魔力■■■■■
幸運■■■■■宝具■■■■■
 

史実

アッカド帝国第四の君主。祖父のサルゴンに続く知名度を誇り、アッカド帝国の最大版図を築いた。
彼の成し遂げた武勲や伝説は数多く、その一部はサルゴンのものとして習合されることもある。
メソポタミア史上初めて自らを神と置いた王でもあり、ディンギル(神)を意味する字を自分の名に付けた。
米所史上初、周辺諸国をも支配下におさめた統一国家を形成したことから「四方世界の王」の称号を名乗る。
エンリル神殿を破壊し、神の怒りを買ってグティ人の侵入を招いたため王朝の破壊者とも呼ばれた。

Fate設定

伝説ではシュメールの神々に請われ神の位に就いたとされるが事実は異なる。

 

シュメールにおいては死を知らぬのは神々のみだと語られる。
冥界に落ちず、常春を生き続けるのが人と神を分ける大いなる差異であったのだ。
彼、ナラム・シンは遠征の中で伝説上の存在だったはずの「アトラ・ハシース」を発見し、
その力を用いて人と神の垣根を破壊することで人として生を受けながら神に至った。

 

しかし彼が「アトラ・ハシース」を使用したことはエンリルの逆鱗に触れ、
山の大蛇、即ち神々が創造した竜種であるグティ人をアッカドの地に送り込まれることになる。
ナラム・シンは退位後もグティ人を掃討し続けたが息子シャル・カリ・シャッリの死によって諦観を覚え、
抵抗を止めてしまったためにアッカド帝国はグティ人の脅威に支配された無政府時代へと移行していく。
その後、ナラム・シンは混迷の時代を諦念の中で眠り続けたがウルク王ウトゥ・ヘガルの嘆願で再起。
共にグティの王ティリガンを破り、メソポタミアの片隅でウル第三王朝の興亡を見届けた。

 

実はまだ存命で、固定帯に記録されてはいるものの彼の本体は今も世界のどこかで佇んでいる。
サーヴァントとして彼を使役したマスターが現世で再び巡り合うこともあるかも知れない。

人物

メソポタミア史上初めて王権を神格化した人物。
「アガデの呪い」では神を名乗り神の怒りに触れ国を滅ぼした傲慢な人物として描かれるが、
彼の場合は「アトラ・ハーシス」の力で実際に神性を得ているので、傲慢な性質は薄い。
傲慢というよりむしろ、"あの"四方世界の王のイメージからずっとかけ離れた普通の人で、
時折覗かせる凄まじいカリスマ性を除いては、その辺りの現代人となんら変わらない性分。
怒るときには怒る。悲しむときには悲しむ。笑うときには笑う。喜ぶときには喜ぶ。
マスター相手にはやたらとフランクに接してジョークを飛ばすことも多々ある。
変な言い方。"英雄らしくない"英霊だが、というのは彼がアッカド王ナラム・シンと、
「アトラ・ハーシス」によって不死となり今の時代も生き続ける自分を切り離しているため。
彼にとってのナラム・シンはアカドがグティ人に滅ぼされた時に終わったものであり、
だからこそ彼は世界にどんな危機が訪れようとも介入しようとはしない。
ナラム・シンが四方世界の王として助力したのは過去にウトゥ・ヘガルの一件のみ。
自ら引き起こした災禍、グティ人を滅ぼした後はザグロスの神殿に潜み歴史の表舞台から消え去り、
神代終焉の後も、ただ一柱のパラディオンを築く無銘神として世界を見守り続けていた。

 

通常の英霊たちは既に死んでいるからこそ人に助力することしか出来ない存在だが、
ナラム・シンの場合は未だに生き続けるがために人に助力することも出来ない存在。
が、サーヴァントとして召喚された場合は話が別。
そちらの自分は既に死んだナラム・シン扱いなのでイケイケドンドンで助力する。
聖杯に掛ける願いは強いて言うなら「マスターの願いを叶える」こと。
善心を持つ者以外の呼び掛けには応えないため実質的には悪なる願いは叶えない。
また、願いがマスターのためにならないと考えれば聖杯を破壊してでも止めに入る。
このようにヒーローじみた性格をしているサーヴァントのナラム・シンだが、
混沌・善のアライメント通り万人に博愛を向けるわけではなくあくまでマスター優先。
言ってしまえば身内贔屓で、しかもそれを指摘されてもなんら恥じない顧みない。
在り方は「征服者」そのもので聖杯戦争に参加する以上は容赦なく他者を踏み潰す。
彼を使役するマスターは、願いの成就とは弱者の願いを撥ね除けた轍の後にある、
という現実を真正面から叩きつけられ無意識に覚悟を問われることになるだろう。

 

上述したように身内に甘く、実子にはシャル・カリ・シャッリ(全土の王)と名付けたほど。
しかし縁を持たない者には興味が薄く、心から希う声を彼自身に届かせた者以外には力を貸さない。
決して冷酷ではないが線引はどこまでも冷徹に行われ、そして自分の中の線引は遵守する。
要するに、お節介焼きではなく「こうするべきだ」という己の正義だけに従って人を助ける人物。
「アトラ・ハーシス」の影響か嗜好品の類はさほど好まず、薄い味付けの食べ物を好む。
人と触れ合うことは嫌いではないが独自の線引故に宴のような交わりは敬遠しがち。

能力

戦闘能力は非常に高いが「アトラ・ハーシス」が枷となって全力を発揮することは難しい。
全盛期の力で戦うのは後述する『四方世界の王(シャル・キブラティム・アルバイム)』の展開時のみ。

 

……が、「アトラ・ハーシス」に格納された状態でも申し分ない強さを持ち、
「アトラ・ハーシス」の与えた不死性と対呪・対魔・対毒に優れた装甲で敵の攻撃を弾きながら、
一つの宝具にまで昇華された闘神の権能や膨大な戦闘経験から培われた剣(爪)術で立ち回る。
数々の高ランクスキルもさることながら的確な攻撃で護りを打ち砕く「盾崩し」はまさに魔技。
火力自体はそう優れていないが防御スキルを無効化し確実に致命打を与える堅実な剣戟で押し込め、
宝具を並外れた防御性能で凌ぎ消耗させながら、幾度となく交戦を繰り返し磨り潰すのが主戦術となる。
派手さの無い戦い方だがこれはアッカド時代の彼が国内各地に要塞を建築し、連絡網を伸ばして行き、
遠征中に兵力を損なわず目標を制圧する、という実直で定石を重んじた戦法を重用したことから来る物。

 

このように基本的には一対一の白兵戦で戦うナラム・シンだが、ある程度には乱戦にも対応可能。
とはいえ雑兵程度の相手であれば『傅き讃えよ神威の標(ニ・ディンギル)』で一掃できるが、
高ランク・高性能のサーヴァントたちが飛び交う大乱戦の中で他を圧倒するにはやや不向き。
後手に回りやすい性質もあって、如何に同盟を作り1:1の均衡を保つかが勝利の鍵になるはずだ。

 

サーヴァントとなった場合には性能が大幅に落ちており、一部スキルも劣化する。
以下は本来のナラム・シン及び「アトラ・ハーシス」が保有するスキル・宝具となる。

クラススキル

騎乗:A+++

騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。ただし、竜種は該当しない。
ナラム・シンが「アトラ・ハシース」を使いこなすのも類稀な騎乗の才覚が成させたことである。

対魔力:EX

エンリルの大海嘯を容易に耐え抜いた「アトラ・ハシース」の防御機構の一端。
事実上、魔術ではナラム・シンに傷をつけられない。

スキル

自己改造:EX

「アトラ・ハシース」の与えた永遠の命によって自らを神霊に改造している。
本来は神の血を引かないナラム・シンを神話から独立した正当な神に押し上げているスキル。

月神の寵児:-

月神(シン)の加護を得ている。
が、アガデの呪いを受けた際に失った。

アガデの呪い:EX

エンリルと対立した際に全ての神々がナラム・シンとアガデの地に掛けた滅亡の呪い。
呪詛を与えられたものは、周囲を巻き込んで生きながらに滅び続ける。
彼が「アトラ・ハシース」に格納されている間は影響から逃れられるが、
この呪いのためにナラム・シンが「アトラ・ハシース」から降りることは出来ない。

ナラム・シン本体は未来予知、無窮の武錬、魔力放出、心眼(偽)、Aランク相当のカリスマを保有。
「アトラ・ハシース」の副次物として変容、頑強、戦闘続行、不眠の加護、千里眼を有する。

宝具

『頂きの星輝、掌上に揺らめき(アトラ・ハシース)』

ランクEX 種別:対界宝具 レンジ:1 最大補足:???

大洪水伝説の原典とも伝えられる創世記叙事詩、アトラ・ハシース神話。
他の神話でも生命を見た者(ウトナピシュティム)、永続する生命(ジウスドゥラ)などの名で登場する
「賢き者(アトラ・ハシース)」は「ノアの方舟」の主人公、ノアの原典と考えられている人物で、
エンリルの計画を知ったエンキが彼にそれを教え方舟を作らせらたことで人類を滅亡から救った。

 

その正体は増えすぎた人類を滅ぼそうとしたエンリルに対抗してエンキが産み出した神造兵装。
神罰の直撃さえも受け止め、格納した人間の老いと死を停止させることで生き永らえさせる「方舟」
種を改造し洪水後の世界に適応させる「賢き者」はエンリルの洪水から人々を救い、
その後はエンキの手でザグロス山脈の神殿に隠され、ハルタミの民から祀られたが、
エラム遠征に来たナラム・シンがこれを発見し、同調。「賢き者」の新たな乗り手となった。
ナラム・シンという神霊の権能として取り込まれたことで所有権をエンキから奪っており、
結果的にエンキがナラム・シンに与えたのではなくエンキの権能を盗み取った形になったため、
エンキも彼から「アトラ・ハシース」を剥奪することができず、神々の怒りを招くこととなる。

 

宝具としての能力は搭乗者の不老不死化及び現世からの隔離。
アーサー王が喪った『全て遠き理想郷』のようなもので、内包する異界に所有者を格納する。
対エンリルを目的に制作されたため格納時点で搭乗者はエンリルの「天命の書板」の影響を逃れる。
神霊であるナラム・シンがテクスチャの裏に退避せずに済んでいるのもこの隔離能力故のもの。
「アトラ・ハシース」本体の防御性能も著しく、エンリルの引き起こした大海嘯を耐え抜くほど。
特筆して対呪・対魔・対毒の能力が高く、事実上、この護りを突破したのは「アガデの呪い」のみ。
「アトラ・ハシース」へのほぼ全ての攻撃をキャンセルするため立っているだけで盤石に近いが、
稼働中は贄として膨大な魔力を常に要求するためナラム・シン本体でも魔力運用は少々逼迫しており、
サーヴァントの彼を召喚しても高ランクの狂化を施されたバーサーカー以上に運用が難しいだろう。
逆に言えば、魔力さえあれば一神話体系の神霊全員の力で放った呪詛でも無ければ傷さえつかないので、
運用が適いさえすれば対界宝具の直撃すら物ともしない"ほぼ"無敵の白兵としての活躍を可能とする。
ある意味では『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』の対となる存在。

『傅き讃えよ神威の標(ニ・ディンギル)』

ランクA- 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大補足:500人

神への畏怖心(ニ・ディンギル)。神格化したナラム・シンの神威の発露。
後世のメソポタミア王たちから根強い信仰を受けた彼は闘神としての権能を有しており、
その王気(オーラ)を無数の矢と変えて放つことができる。

『四方世界の王(シャル・キブラティム・アルバイム)』

ランクE~A+++ 種別:??? レンジ:??? 最大補足:???

固有結界。四方世界の王が統治したアッカド帝国に世界を塗り替える。
「アトラ・ハーシス」の中にいるナラム・シンの心象風景であるため展開中は素の彼が戦闘を行う。
結界内では彼がかつて率いたアッカド兵による支援攻撃が行われるが「アガデの呪い」が発動するため、
時間経過に従って暮れ行く空模様に伴うように心象風景は荒廃し、宝具ランクと攻撃性能を低下させるが、
Eランクに到達した場合、固有結界は自壊し「アガデの呪い」によってナラム・シン自身も命を落とす。
しかし「アガデの呪い」が補足するのはナラム・シンだけではなく彼の心象風景に取り込まれた者全て。
自壊より先にナラム・シンを倒さなければ固有結界諸共に敵対者たちも彼の道連れとされてしまう。

 

ナラム・シン本体の戦闘能力も「四方世界の王」の称号が示す武勲通り非常に高く、
「アトラ・ハーシス」に格納されたことが彼に与えた様々な拘束を結界内では全て脱ぎ捨てられる。
伝説に謳われた征服者としての力を大いに発揮し、敵対者の退路を確実に断つ、彼の殺し名の具象。

関連

息子:シャル・カリ・シャッリ
祖父:サルゴン
最後の妻:ウトゥ・ヘガル
孫:シュルギ
「アガデの破滅を嘉納し」た神:イナンナ

 

マスター:マラコーダ

備考

神の宝物を盗んで神罰で国が滅び宝物も奪い返されるいつものルートを辿るのかと思いきや、
神代の終焉で神霊たちが世界の裏に引っ込んだのでそのまま逃げ切りセーフした借りパク王。

 

不死にしたのはアガデの呪いではナラム・シン期にアッカドが滅んだように書かれていたことから。
(実際にはナラム・シン時代ではなく、およそ70年近く後のグティ朝終期に滅亡している)
マルドゥークではなくエンリルを主神としているのはバビロニア以前の人物であるため。
容姿は神の敵対者とされることもあるアンズーとナラム・シンの着用した雄牛の兜を意識。
アンズーが盗んだのはエンリルの「天命の書板」だがこちらはエンキから、というイメージ。
グティ人は「山の竜」とも呼ばれた蛮族でアガデの呪いではエンリルによって遣わされる。
ちなみにアガデの呪いではエンリルが割と唐突にキレるので、いくら短慮短気のエンリルといえど、
「決別」後に過剰な干渉を安易に行うのは考え難いため、その理由付けに権能の奪取を挿入。
ついでのように知恵だの権威だのをアガデから奪って行く神々の行動の理由付けのようなつもり。

 

神の下僕たらんとした歴代の王の中で神霊を人の利用するべき存在であると解釈した原点の一。
外部から隔離されているため神霊でありながら惑星運営における自然の摂理として成立しておらず、
故に彼こそが人でありながら人に願われ、しかし人に従うことは決して無い唯一の神霊となる。
神を正しく扱い、どこまでもその可能性だけを利用した、"取り零さなかった"人類。

絆礼装

SR
「アガデの呪い」
LV  80/80
HP  100/100
ATK  100/100
COST 9
[効果] ナラム・シン装備時のみ、自身がフィールドにいる間、味方全体にガッツ付与(消去不可)

 

[解説]
アガデの王、ザグロスの山中にて永遠を見つく。
ベール、之に心を破りアガデの地に神々と制心なきグティウムを遣わせ給う。

 

從いし神々、ベールの導くままアガデを襲い、
ニヌルタ、支配と王座を、
ウトゥ、力強き言葉を、
エンキ、知惠と堅固なる錨を、
アン、天に及びし威嚴を、
イナンナ、あらゆる武具を彼の地より奪い去る。
犬面猿心たるグティウム、アガデの聖域を洪水の如く蹂躙し、
憐れかなアガデ、富と靜寂、永久に彼の地より消え失せり。

 

アガデの王、その手に久遠を取りて神罰なるグティウムを退けり。
彼の行い、不敬なりし。
全ての神々、怒熱を昂し、アガデの地をよく呪う。
而してアガデの地、破滅に陷り、ベール、喜びと共に之を嘉納し給う。

 
 

伝承はここで途切れている。
だが、物語はまだ終わっていない。

 

「賢き者」は飛翔する。
神へ至り、神を使い、神に呪われし人王、ナラム・シン。
彼の物語は果て無く続いて往くだろう。