ナヴァ=ラサを冀うアレキシサイミア

Last-modified: 2020-11-26 (木) 19:25:02

あらすじ

 
某日、魔術世界に1つの噂が流れた。
サンヘドリンが日本のある町において儀式を執り行うと。
 
その儀式の名、聖杯戦争。願いの為に戦い殺す、死の宴。
集いしは願いを胸に抱くもの、サンヘドリンを探る者、そして────。
 
 
これは、堕天の園を切り拓く者たちの英雄譚
人よ、その手で未知なる闇を払え。
 

ナヴァ=ラサを冀うアレキシサイミア

ログ

こちら
現在、ログを見やすく編集中。いつ終了するかは不明なので未編集ログのみ設置。

 

参加者

イサアーク・鯰宮ライダー/ポリアフ
プリメロ&プリメラアサシン/フォークロア?
ルーファス・フォン・スヴィタグ?セイバー/勝利の剣
稗島師人フォーリナー/フー・ファイター
狂火バーサーカー/馬超孟起
コンスタンス・ドゥーカスランサー(ライダー)/イオラオス

 

NPC

ザドキリア・フュールシュタイン
クルーガー・フュールシュタイン?

 

デマゴーグ
"神毒"のアポトーシス
ルシファー・デッドコピー
『波旬』

顛末

聖杯戦争が開幕し、各々の参加者たちが集う中、1人の少女が逃げ惑う。
名をザドキリア。この聖杯戦争の開催地にある、とある魔術結社の支部に囚われていた少女。
彼女の存在が、この聖杯戦争において大きな揺らぎとなる。
 
参加者たちは互いに面識を深める中、不可解なサーヴァントが混ざる事を知る。
アポトーシス・サマエル。彼、あるいは彼女はこの聖杯戦争事態に用があり聖杯はいらないと言う。
そして同時に、参加者たちと遭遇するザドキリア。不可解な謎が多い聖杯戦争は、彼らが霊地に集うと同時に突如として急転直下を迎える。

この聖杯戦争にはサンヘドリンの第二ロッジの首魁、『波旬』の陰謀が渦巻いていた。
その狙いはザドキリアの内側に宿る存在、"闇"に形を与えて具現化させることにあった。
具現化の場として聖杯戦争────英霊が集う戦場と言う場を選び、彼女の中の闇を英霊の敵と定義させ固定することこそが波旬の目的であった。
そのために彼は、英霊の敵とすら言える存在。誹謗中傷の具現であるデマゴーグにより、彼女の内側に悪性情報を注入するという強引な手段に出る。
加えてこの聖杯戦争の為に用意した聖杯と彼女は接続されており、ザドキリアの中の闇は聖杯の魔力を汚染。
英霊を否定する巨躯の怪物、ルシファー・デッドコピーとして降臨する形と成った。
 
無辜なる少女を犠牲に呼び出された存在から少女を助けるべく、参加者たちは一時共闘。
長い戦いの末、ルシファー・デッドコピーは倒れ少女は救出される────かに思われた。
闇の裏側より嘲笑っていた『波旬』が本格的に介入。ザドキリアを連れ出して逃走をする。
追おうとするも、人質を取られその救出に英霊達が動く隙を突いて、自身の本拠地であるサンヘドリン第二ロッジへと逃亡する。
その人質の中にザドキリアの父、クルーガー・フュールシュタイン?がいた。彼は父親として娘を救いたいという。
そのために力を貸してほしいと参加者たちに頭を下げる。その頼みに快諾する参加者たち。
一丸となり波旬の打倒を誓った彼らは、伏魔殿が如き瘴気を放つ第二ロッジへと向かった。
 
そして第二ロッジにて波旬と対峙するクルーガーと参加者たち。
クルーガーは自らが調べたサンヘドリンの真実を告げる。まるで口封じの如く彼を殺そうとする波旬。
その行動は逆に言えば、クルーガーの真実が正しいと決定づけることに他ならなかった。
 
真実とは、サンヘドリンとは本来存在しない、ただ偽りの記録だけが創り出した虚構の組織である────という、大胆な仮説であった。
 
激昂した波旬と参加者たちの最後の戦いが始まる。
人という存在そのものを矮小と断じ悉く嘲笑う波旬に対し、人の持ちうる限界が交差する。
どれだけ攻撃をしても波旬はその身を再生させ続け、彼らを嘲笑ったが、その再生には限界があった。
彼は最後に、嘲笑った人間と英霊の結束の前に敗北。その肉体をグズグズに腐敗させながら消滅。
最後の最後に見るも悍ましき本性を見せ、その命の幕を閉ざした。 
そして引き裂かれていた父と娘は再会を果たし、邪悪なる者は死に絶えた。
参加者の誰もが死ぬことなく終わったこの奇異なる聖杯戦争の痕跡は、特に大きな被害が無いゆえに、人々の記憶に残らず消えていくだろう。
だが、この聖杯戦争で生み出された出会いは残り続ける。この聖杯戦争で共に戦った者たちの縁は、在り続ける。
 
車輪の砂と出会った火の一族。彼らと面識を持ったフュールシュタイン家。
そして────────彼らという存在が知った、サンヘドリンの本当の真実、その一端。
歴史のうねりから見れば取るに足らないこの小さな波紋は、やがて大いなる光明すら飲み込む嵐となるだろう。
 
それがいつになるかは、まだわからない。
 
 

波旬の目的と真相

波旬が此度の儀式を執り行った理由は、大きく分けて2つある。
 
1つは、「人間の悪性による自滅をその眼で見たい」という彼の個人的な願い。
そのために彼は、莫大な感情をそのまま魔力へと変換できる、なおかつ数多の感情を内側に内包するザドキリア・フュールシュタインに目を付ける。
人間の持つ悪性情報────"隣人を傷つけたい"という獣性の具現デマゴーグにより、その数多に含まれる感情の方向性を"悪意"や"醜悪性"という方向性に固定する。
そうすることで、強大な負の感情を魔力へと転じさせ、凝り固まった"闇"ともいえるものを生み出す事が出来る。その"闇"によって召喚される存在とは即ち、人間が他者を恨み、妬み、怒る負の感情がそのまま形と成った、人間の醜悪な側面の具現と言える。
波旬はそれから何が生み出されるのかはどうでもよかった。だが負の感情から生み出された存在はほぼ確実に負の在り方をまき散らす。それは人類から生み出されたものが人類を喰らい、殺す結末に他ならない。波旬はそういった光景を見て嘲笑いたかったがためにこの儀式を執り行った。
通常サンヘドリンの幹部がこのような大多数の被害をばら撒くような儀式を行うのは、神秘の隠匿の関連から制止される事もある。*1
それでも尚、最高統括指令たるアーベルデルトが波旬の行動を見逃したのは訳がある。
 
それこそが第2の理由。「ザドキリアという少女から生まれ出ずる者の確認」である。
アーベルデルトの真の狙い、それは波旬の個人的な願いを利用することで、この世界に本来存在しえない────存在を許されない英霊を顕現させることは可能であるのかを確かめる事であった。
ザドキリアという少女は、ある平行世界の同位体において堕天使をその身に宿している。その世界での彼女は少年であるが、それでも彼女の魂に近しい場所に堕天使という存在がいるのは変わりない。
その堕天使は人間の醜悪さを憂い、人類より被造世界の支配権を自らの手に握らんと誓い、人類の醜悪性を利用する宝具を以てして全人類・全英霊に対して宣戦を布告した過去を持つ。だがしかし敗れ去り、その霊基は地獄の底へと堕ちていった。
 
通常英霊の座には平行世界という概念は存在しない。どのような可能性すらも内包するというのが座というものである。
だがしかし、世界よりその存在は有り得てはならないと否定された存在は、どう足掻いても存在することは許されず、召喚される事もまた有り得ない。
かの堕天使────正確には、人理を否定し全霊長の駆逐を謡った状態での堕天使はまさしくそれに当たり、その状態の彼はどのような手段を以てしても再現することはできない筈であった。
 
だがアーベルデルトはその堕天使と繋がりを持った魂を見つけた。
そして波旬に対して、人間の醜悪性を煮詰める事で堕天使の偽りの複製、デッドコピーを作り上げるように秘密裏に命令を下したのだ。
デマゴーグという人類の醜悪性の象徴ともいえる英霊を召喚したのも、全てはこのためである。(ただデマゴーグは、冷澤重助の能力の覚醒を促すという方面でも十二分に活躍したが)
目論見は成功。討伐はされたがアーベルデルトとしてはそれは重要ではない。「有り得てはいけない」と定められた存在でも、適切な手段を踏んだうえでか細い縁を確かなものとして辿れば、確かにそれの存在を確立できるという事を証明できたのが、本当に重要な点であった。
 
現在、世界中に噂が流れている。「サンヘドリンは虚構である」という噂が。
嘘偽りで塗り固められたと噂される組織の頂点に立つ男は、赦されざる存在を召喚できる方法を証明し、何を企むのか?
答えはまだ、光明の果てに隠されている。
 
光源が強い程に、足元の陰は強くなる。
その陰の底の真相が明らかになる日は、まだ遠い。
 
 


*1 本当に度が過ぎている場合に限る。例えば町一つが消え去る場合など。今回はまさしくこの事例に当たる