プロマシアの呪縛/第5章~第8章/礼賛者

Last-modified: 2012-06-17 (日) 18:24:47

■  第3節 第2小節 みっつの道-礼賛者

 ウォルフガングは、モンブローの手紙を
 読んでくれただろうか?
 デルクフの塔にあるという研究室への
 扉を開いてくれる気になっただろうか?


■ (封筒の地図に従ってバタリア入り口へ)

Wolfgang:そんなところを調べても
 意味はないぞ、おまえにはな。

Wolfgang:ここだったか……。
 すっかり忘れていた。

Wolfgang:昔、ジュノに2人の幼なじみの少年が
 いてな。いつも一緒に街の中を走りまわっていて、
 いろんなイタズラもした。ケンカもしょっちゅうだ。

Wolfgang:そんな2人が、ある日ガラスのかけらを
 拾った。本当に何の変哲もないガラスだったけど、
 2人にとってそれは宝物になった。

Wolfgang:そのガラスを通して見る風景は
 とても不思議で、美しかったんだ。
 2人は奪い合うようにして、それを楽しんだ。

Wolfgang:ついには街の中だけでは飽きたらず
 父親の言いつけも聞かずに
 こっそり橋を抜けてここまで来た。

Wolfgang:今のおまえや俺ならば
 ここへ来るのはたいしたことでもないんだろうが、
 子供にとっては大冒険だ。

Wolfgang:でも、その大冒険の先には
 大きな宝物が待っていたんだ。

Wolfgang:ここからガラス越しに見る
 ジュノは雄々しく、猛々しかった。
 2人は自分たちの街がこんなに美しかった、って
 ことにその時初めて気づいたんだ。

Wolfgang:それからも、父親の目を盗んでは
 ここへ来てジュノを見ていた。

Wolfgang:だけどそんなある日、
 少年の1人がこう言った……。

Monberaux:ガラスを通さなくても、
 ジュノはとてもキレイに見えるよ。

(いつのまにかMonberauxが立っている)

Wolfgang:モンブロー……。

Monberaux:ここは久しぶりですね、
 ウォルフ。

Monberaux:いやぁ、ホントにきれいだ……。
 そう思わないか、ウォルフ?

Wolfgang:モンブロー、ここへ何をしに来た?

Monberaux:いや、久しぶりにジュノを
 眺めたくなっただけですよ。
 ウォルフこそ、何の用で?

Wolfgang:……たまたま通りかかっただけだ。

Monberaux:そうですか……。

Wolfgang:……。

Monberaux:ウォルフ。

Wolfgang:何だ?

Monberaux:あのガラスは僕のものですよ?

Wolfgang:なにっ!?

Monberaux:あれを2人でここに埋める時に
 言ったじゃないですか、
 『モンブロー、これはおまえのものだ、
  俺にはもう必要ない』って。

Wolfgang:ヌッ……、俺がそんなこと言ったか?
 証拠は? 証明書はあるのか? 署名付きで?

Monberaux:ハッハッハッ、変わってませんね、
 ウォルフ。ウソですよ、欲しければ掘り起こしても
 いいですよ。

Wolfgang:……いや、いい。
 あれは2人の少年たちのものだしな。

Monberaux:ウォルフ……?

Wolfgang:それに俺は、またガラスをここに
 埋めに来たんだ。いつの間にか自分が持っていた、な。

Monberaux:……。

Wolfgang:いつからか、自分が何を守って
 いるのか分からなくなっていた。

Wolfgang:あの時、親父が命をかけて守っていた
 ものが何なのか分かったような気がしていたけど、
 何も分かっちゃいなかったのかもしれん。

Wolfgang:でも、もしかすると、今ここに来て
 少しだけ、本当に少しだけ、
 それが分かったような気がする。

Wolfgang:……そう思いたい。

Wolfgang:じゃあな、モンブロー。

Wolfgang:ん、あれが見あたらんな。
 もしかすると、間違って埋めてしまったか……?

Wolfgang:まぁいい、始末書と減俸で
 すむだろう。モンブロー、その時はおごって
 もらうからな。

Monberaux:フフッ、喜んで。

Monberaux:本当に変わってませんね……、
 やっぱり。安心しました。

Monberaux:さぁ、あそこを掘ってみると
 いいでしょう。きっとあなたに必要なものが
 埋められてます。

Monberaux:でも、ガラスは持っていかないで
 くださいね。あれは2人の少年の、とても大切な
 思い出ですから。

何かのアイテムの下にガラスのかけらが埋めてある。

ガラスはこのままにしておこう……。
※だいじなもの:デルクフ解除キーを手にいれた!

「デルクフ解除キー」
 デルクフの塔の奥の扉を解除するもののようだ。

■ ジュノ上層・モンブロー医院

Monberaux:やはり彼は来ましたね。
 さぁ、きっとテンゼンさんが困っているでしょう。
 それを持ってデルクフの塔へ急いでください。

Monberaux:その塔の北側に、地下へ下りる階段が
 あるのです。そしてその先には……

 
 
■ デルクフ下層・北端の研究室入り口

巨大ななにかが襲いかかってきた!
(Disaster Idolとの戦闘)

Tenzen:[Your name]殿!

Tenzen:そのカギをどこで?

Tenzen:なんと、ジュノ親衛隊隊長殿が!?
 かたじけないでござる!

???:くっくっく、これはこれは……。

Tenzen:!?

Nag'molada:気が会うな、
 [Your name]、テンゼン。

Nag'molada:おまえたちに
 助けられることになろうとは思わなかったぞ。

Nag'molada:ちょうど良い。
 その扉の先、私も重要な用があるのだ。

(クリスタル・ターミナルに入る3人)

Tenzen:ここは……
 なんと広く、不思議な場所でござろう……。

Nag'molada:ヴァナ・ディールの
 地底に眠る、5つの母なるクリスタル。
 ここは、そのクリスタルを見守る場所だ。

Tenzen:クリスタルを見守る場所?
 このような塔の真下で、でござるか?

Nag'molada:そうだ。
 5つの母なるクリスタルは「クリスタルライン」
 によって、ここで1つに結ばれている。

Nag'molada:私たちは永い間、
 そのクリスタルラインを監視し、
 その輝き、その力を見守ってきた。

Nag'molada:しかし、霊獣バハムートが
 ヴァナ・ディールに現れたとき、
 5つ目のラインが暴走し……

Nag'molada:あのセルテウスは
 突然、ここに現われたのだ。

Tenzen:ここに、あの少年が!?

Tenzen:ナグモラーダ殿!
 それはつまり、あの少年はそのラインとやらを
 通って、ここへ来たということでござるか!?

Tenzen:……となれば、そのラインを遡れば、
 第5のクリスタルの御許にいけるということでは!?

Nag'molada:短絡的に言えばそうなるな。
 しかしあのラインは、人が通るためのもの
 ではない。

Nag'molada:あれは、母なるクリスタルの
 輝きを集めるためのライン。

Nag'molada:セルテウスが
 通ることができたのは、クリスタルの加護深き
 「霊獣」の助けがあったからとされている。

Tenzen:霊獣の助けが?

Tenzen:なるほど。
 フェニックスが我輩をここに導いたは、
 神都アル・タユへの道を我らに開こうとして?

Nag'molada:なに?
 それは残念だ。それこそソ・ジヤが再び
 起動される前であれば良かったのだが。

Tenzen:ソ・ジヤが……?
 それはいったい、どういう意味でござる?

Nag'molada:あの遺跡は、もとはクリューの
 住みか。ジラートとクリューの戦いが起きたとき、
 5霊獣たちの力を借りて要塞化されたもの。

Nag'molada:……その地下にある、
 クリスタルラインの流れを妨害する設備。
 エシャンタールは、その設備を起動して
 しまったのだよ。

Tenzen:なんと!
 エシャンタール殿はなぜ、そのようなことを!?

Nag'molada:奴らの真意が
 どこにあるかは、私にはわからぬこと。
 なにしろ、それを探るために私はここへ
 来たのだから……。

Nag'molada:くくく、不思議か?

Nag'molada:そうだな。おまえたちから見れば、
 古代人はジラートもクリューも同じなのだろう。
 しかし、その違いは実に大きい。

Nag'molada:彼らジラートの民が持つ共鳴能力
 ……「心の言葉」は、彼らを繋ぐ揺ぎない絆。

Nag'molada:その力を失ってしまった民
 クリューは、その絆の外にある傍観者に
 過ぎないのだよ。

Nag'molada:しかし傍観者だからこそ、
 私は虚実を見極め、1万年前の聖戦を生き残る
 ことができた。そして今もまた……

Nag'molada:ジラート、霊獣、セルテウス。
 3つどもえの戦いは再び、ヴァナ・ディールと人を
 大きく傷つけるだろうがな。

Tenzen:そんな!?
 ナグモラーダ殿、そこまで知りながら何故、
 この戦を止めようとはしないのでござるか!

Tenzen:人と霊獣が戦うなど、
 あやまった戦。ヴァナ・ディールの敵は
 「虚ろなる闇」を撒き散らすあの少年のみ。

Nag'molada:……フン、なにを言うかと思えば、
 おまえも霊獣に振り回され、ご苦労なことだ。

Nag'molada:いいか、前にも言ったはずだ。
 セルテウスは、ただの裏切り者に過ぎない。

Nag'molada:1万年前、奴に妨げられた
 ジラートの悲願、奴は再度、その成就を
 妨げようとしているに過ぎない。

Nag'molada:ここにある監視装置の記録が、
 奴がなんのために母なるクリスタルを巡るのか、
 その理由を教えてくれたよ。

Nag'molada:奴は母なるクリスタルに触れることで、
 クリスタルの輝き、その力を吸収しているのだ。

Tenzen:クリスタルの力を?

Nag'molada:そうだ。
 我らの悲願を成就させるためには、
 5つの母なるクリスタルの力を集結させ、
 融合させなければならない。

Nag'molada:それを成すがために
 我らは、ジラートの設備を復旧させつつ、
 徐々にクリスタルの輝きを汲み出してきた。

Nag'molada:しかし、それを妨げようと、
 ヤツが母なるクリスタルから急激にエネルギーを
 吸い出したがために、その周囲の空間は歪み……

Nag'molada:世界を照らす
 クリスタルの輝きが失われた場所、クリスタルの
 「影」……「虚ろなる闇」が現われてしまったと
 いうわけだ。

Tenzen:しかし、あの少年セルテウスが
 現われたのは、バハムートが現われたのと同じ頃。

Tenzen:我らが故郷、
 他の者々の口端にのぼる辺境に忍び寄る
 「虚ろなる闇」は、より以前より……

Tenzen:……!
 そなたたちも「徐々にクリスタルの光を
 汲み出してきた」と言ったでござるな?

Tenzen:まさか、ひんがしの果てに現われた
 「虚ろなる闇」は、そなたたちの……!?

Nag'molada:フフフ。
 おまえの思っているとおりだ、テンゼン。

Nag'molada:しかし無論、
 我らは、ヴァナ・ディールを「虚ろなる闇」にて
 傷つけるがために行動を起こしたわけではないぞ。

Nag'molada:我らが眠っていた
 1万年の間に、母なるクリスタルを取り巻く
 状況は、大きく変化してしまっていた。

Nag'molada:特に、
 神都アル・タユの奥にあった
 第5のクリスタル……。

Nag'molada:あれは、
 神都消滅の打撃を受け、今や深海の底に
 沈み、異常なデータを返してきている。

Nag'molada:しかし、安心するがいい。
 「楽園の扉」さえ開かれれば、クリスタルもまた
 再生するだろう!

Nag'molada:そうすれば「虚ろなる闇」も
 晴らされ、我らが悲願も成就される!

Nag'molada:それを邪魔する霊獣たちさえ、
 この世から消し去ればな!?

Tenzen:……黙せ、ナグモラーダ!
 我輩がそなたを切り捨てる前に、今一度、
 霊獣ディアボロスの忠告を思い出すといい!

Tenzen:おぬしたちは
 「男神プロマシア」の呪いに操られているのだぞ!

Tenzen:「楽園の扉」が
 開かれしとき、「世界は終わる」!

Nag'molada:しかしそれは、
 「始まり」でもある!

Nag'molada:テンゼンよ、
 霊獣フェニックスに尋ねてみるがいい!
 霊獣の言う「世界の終わり」とはなにか!
 そしてそのとき、なにが起こるか!?

Tenzen:……なに!?

Nag'molada:そうだ。ヴァナ・ディール。
 この世界は、本当の世界ではない。

Nag'molada:絶対なる
 価値観は揺らぎ、認識に費やす時間は膨大、
 告白すら齟齬をきたし、自らの居場所は曖昧、
 粛清には犠牲が伴う……!

Nag'molada:おまえたちは
 この世界に生まれ、この世界しか知らぬ。
 だからこそ、この世界の終わりを惜しむべく
 惜しみ、抗うだけ抗おうとする。

Nag'molada:その習性を、
 霊獣どもは利用した。何故ならば霊獣たちは、
 ヴァナ・ディールで生まれた命であり、
 楽園ではただの「獣」と成り下がるからだ!

Tenzen:……し、しかし……。
 ……。

Nag'molada:さぁ、
 霊獣に操られし現世人よ。「真実」を見極められず
 いいように操られる、くぐつなる者よ。

Nag'molada:人の本当の敵は、
 その霊獣自身だったと知ったところで、
 おまえたちの旅は終わり。

Nag'molada:あとは私に
 任せるといい。おまえたちのかわりに
 私がすべてを見極めてやる。

Tenzen:……!

Nag'molada:セルテウスが
 集めた母なるクリスタルの輝き……。
 神都アル・タユが存在するのならば、
 ジラートどもの企み……。

Nag'molada:この監視装置に
 残されたクリスタルの記憶、石の記憶が
 すべてを教えてくれるはず。

Nag'molada:さぁ、クリスタルよ、
 第5の母なるクリスタルが残した記憶を、
 私の望む「真実」を示すのだ……!
 
(ナグモラーダがコンソールを操作すると、5つのクリスタルを
 壁面に配した施設で横たわるエシャンタールのビジョンが見える)
 
Nag'molada:……クッ……
 なんだ今の断片的なデータは……
 やはり、第5の母なるクリスタルは
 ノイズが酷い……

Nag'molada:しかし……
 あれは「虚ろの器」か、そしてエシャンタール……。

Nag'molada:そうか、
 もしや……!?

(ターミナルを後にするナグモラーダ、残された二人)

Tenzen:……。 

Tenzen:どういうことでござる?

Tenzen:霊獣が、我らを
 たぶらかしていたというでござるか……?
 人の覚醒を防ぐがために……?

Tenzen:しかしそれならば
 我輩は……、この火のために死んでいった民は……。

Tenzen:……ッ……
 霊獣フェニックスよ、答えよ!

Tenzen:そなたを得るために
 いくつもの村々が滅ぼされ、我が故郷も
 皆死にの憂き目にあったのでござるぞ!

Tenzen:おまえがすすった
 命の火は、世界と人の再生を求むる旅の
 糧となるのではなかったのか!?

Tenzen:……。

Tenzen:クッ……
 それでもなお、おまえは
 霊獣フェンリルに会えと繰り返すのか?

Tenzen:ソ・ジヤの南、
 フェンリルの扉を叩けと……!?

Tenzen:良かろう!

Tenzen:最後の霊獣が
 我らにどのような真実を明かすのか、
 もしくはどのようにたぶらかすのか、
 しかと見極めてやろうではないか!
 
 
■ソ・ジヤ・60制限塔地下

(アバター・ゲートを開くPC)

(魔導機を起動させると、光り輝く球が現われる)

Fenrir:・・・・・・我が名は・・・・・・
 フェンリル・・・・・・、我が理体は・・・・・・失われ・・・・・・、
 今や彷徨える星となりし身・・・・・・。

Fenrir:我が力・・・・・・
 もはや消え行く・・・・・・暁星のごとく・・・・・・、
 あとはただ・・・・・・空のみ残る・・・・・・。

Tenzen:霊獣フェンリル。
 我が名はテンゼン。霊獣フェニックスの息吹
 宿りし鳳凰丸と共に、ひんがしの国より参った。

Tenzen:4つの母なるクリスタルは、その力奪われる
 ことにて「虚ろなる闇」をまとい、世界には
 「世界の終わりに来る者」が現れている。

Tenzen:ヴァナ・ディールを
 救うがため、その尊いお力、その尊い知識、
 我輩とこの鳳凰丸に託していただきたい。

Fenrir:・・・・・・そうか・・・・・・。
 そなたは・・・・・・またも・・・・・・
 人と共に・・・・・・生き・・・・・・死ぬか・・・・・・。

Fenrir:・・・・・・それも・・・・・・
 ・・・・・・ひとつの・・・・・・道・・・・・・。
 我ら・・・・・・霊獣の・・・・・・、人の・・・・・・選んだ道・・・・・・。

Tenzen:・・・・・・?
 恐れながら、
 おっしゃることが、よく聞き取れぬでござる!
 霊獣フェンリル、そなたは何を語らんと!?

Fenrir:・・・・・・1万年前・・・・・・
 我が・・・・・・教えた記憶・・・・・・
 それが・・・・・・そなたに・・・・・・道を示す・・・・・・。

Fenrir:・・・・・・見よ・・・・・・
 過去の契りを・・・・・・古に・・・・・・定めしことを・・・・・・。
 我・・・・・・、空に・・・・・・消える前に・・・・・・。

(鳳凰丸に近づいていく光の球)

Tenzen:ここは・・・・・・!?

(夜のサルタバルタ。星降る丘のように幽かに光っている)

(宙に浮くフェンリルと古代の民が対峙している)

Tenzen:これは・・・・・・
 霊獣フェンリルの見せている幻影でござるか?

Tenzen:[Your name]殿、
 ここは、古代の民の時代だとか・・・・・・。

Tenzen:・・・・・・となれば、
 あそこにて霊獣フェンリルと
 対峙しているのも古代の民・・・・・・?

Fenrir:・・・・・・人よ。
 黄昏を迎え入れる定めを受け入れ、
 なお生きることを選択した者たちよ・・・・・・。

Fenrir:我が警告の通り
 クリスタルの光は陰り、混沌たる
 命の波乱が起きようとしている・・・・・・。

Fenrir:そなたたち人と
 語り合うことは、もはや意味のなきこと。

Fenrir:そなたたちも
 人の姿でありたいのならば、
 すみやかにこの地を去れ。

Fenrir:セルテウスと
 我ら霊獣が交わした契約が果たされるまで
 人にとっては十分な時間が残されている。

Fenrir:永く短きその営みを繰り返し、
 最後の命の炎を燃やし尽くすといい。

Esha'ntarl:お待ちください。
 霊獣フェンリル、私たちの未来はいまだ、
 決定されたわけではございません。

Esha'ntarl:私たちはあなた様に
 新たな定めを生み出して
 いただくために来たのです。

Fenrir:・・・・・・なに?
 新たな定めを・・・・・・?

Fenrir:もう一度言おう。
 そなたたち人と語り合うことは、
 もはや意味なきこと。

Fenrir:母なるクリスタルが
 出した答えは、世界の理となる。
 石の記憶は告げた。それは誰にも変えられん。

Esha'ntarl:はい。
 あなた様の言わんとしていることは、
 よくよく存じております。

Esha'ntarl:時が経つにつれ、
 人の命は汚れ、闇が生み出され・・・・・・

Esha'ntarl:そして、いつしか
 闇をその身に宿し者「世界の終わりに来る者」が
 現われ、人すべてを黄昏へと導く・・・・・・。

Esha'ntarl:それは
 あなた様が定めることもなく起こる必然。
 定めを決める星月の力をもちいても、
 その必然を打ち消すことはできない。

Esha'ntarl:しかし、故国にて果てた
 セルテウスより私は伺いました。

Esha'ntarl:霊獣たちと交わされた契約は、
 「世界の終わりに来る者」を打ち破ることにて
 反故とされると。

Fenrir:確かに、我らの
 結んだ契約はそれだ。人に課せられた呪縛、
 それに逆らうことが出来ればな。

Fenrir:しかし、
 今、その役目を負いしセルテウスは亡い。
 ならば、人のうちの誰が逆らえる?
 解のない問いに、答えられる者があるというのか?

Esha'ntarl:・・・・・・はい。
 私が、その答えを見出したと思います。

Esha'ntarl:セルテウスが、
 何故、最後に私にああ告げたのか・・・・・・。
 それは私に、この使命を与えるため。

Fenrir:・・・・・・なに?
 まさかそなたは・・・・・・。

Fenrir:そうか、そなたこそが
 「虚ろなる闇」から解き放たれた奇跡の存在。

Fenrir:今ここで
 そなたと話すことができるとは、
 さすがの我も、詠みきれなかった。

Esha'ntarl:・・・・・・。

Fenrir:人の命の循環より
 外れたそなたならば、世界の終わりまで
 人の定めを見届けられるかもしれん。

Fenrir:しかし
 そのときが訪れたとき、そなたひとりでは、
 「世界の終わりに来る者」に何もできまい。

Fenrir:そなただけを置いて
 人は、黄昏へ向かって臣下の一途を辿るぞ。
 驕慢、嫉妬、怯懦、無知、憎悪の一途をな。

Esha'ntarl:わかっています。
 けれども私には、永く久しく続く年月があり、
 そして人には、永く久しく続く血の縁がある。

Esha'ntarl:霊獣フェンリル、
 「その時」を作ってください。「定めの時」を。
 「世界の終わりに来る者」が生れ落ちる
 「定めの地」を・・・・・・

Esha'ntarl:それさえ
 定められれば、私たち人にも勝機がございます。
 いいえ、人は必ず、勝機を作り出すでしょう。

Fenrir:「定めの時」、「定めの地」・・・・・・。

Fenrir:・・・・・・フフフ。
 人よ。定めを担うは、そなたが想像するより
 遥かに重く険しいことよ。

Fenrir:しかし、そなたのまがつみに
 これ以上の業報はあるまい。人の定めを
 そなたひとりで担えるかな?

Esha'ntarl:・・・・・・。

(頷くエシャンタール)

Fenrir:ならば我は、
 そなたたちの行く末を見極めてやろう。
 さぁ、月詠みを始めようではないか。

(満月に吠えるフェンリル)

(シーンはタブナジアの大地に)

Fenrir:・・・・・・そして・・・・・・
 ・・・・・・定めは・・・・・・
 ・・・・・・下された・・・・・・

Fenrir:・・・・・・1万年の時を経て・・・・・・
 ・・・・・・「世界の終わりに来る者」は・・・・・・
 ・・・・・・生れ落ちる・・・・・・。

Fenrir:・・・・・・「定めの地タブナジア」に・・・・・・。

(幻影は消え、元のソ・ジヤに戻る)

Tenzen:・・・・・・
 ・・・・・・[Your name]殿・・・・・・。

Tenzen:・・・・・・これは、
 霊獣によるたぶらかしでござるか?
 それとも、受け入れがたい真実でござるか?

Tenzen:霊獣フェンリルは、
 「世界の終わりに来る者」が生れ落ちる地を
 タブナジアに定めた・・・・・・? 1万年前に・・・・・・。

Tenzen:タブナジア・・・・・・。
 忌むべき子・・・・・・。しかし・・・・・・、しかし・・・・・・。

Tenzen:・・・・・・。
 バストゥークに戻るでござる・・・・・・!
 ウルミア殿に尋ねなくてはならんでござる・・・・・・!
 
 
■バストゥーク大工房・シド研究室

Tenzen:シド殿!
 ウルミア殿はお戻りか!?
 それに・・・・・・プリッシュ殿は・・・・・・!?

Cid:ウルミア君は戻っているが、
 プリッシュ君は行方がわからないままだが・・・・・
 なにか重大なことがあったのか?

Cid:霊獣たちが、そのようなことを言ったと
 いうのか? にわかには信じられぬが・・・・・・

Cid:しかし、
 ナグモラーダの言うことには
 思い当たる節が幾つかある。

Cid:各地の岩から伸びている
 ライン状のクリスタルの反応・・・・・・。かねてより
 わしも、そのラインについて研究を行っていた。

Cid:古代人の生き残りたちが、
 あのラインを使ってクリスタルの力をひとつに
 しようなどと、大それたことを考えているとは
 思わなかったがな。

Tenzen:そしてそのとき、
 「楽園の扉」が開くという・・・・・・。

Cid:ふぅむ。神がかったはなしだが、
 その論、ありえんことではない。

Cid:なんといっても
 ジュノには黒衣の研究者たちがいる。
 あれだけの技術をもつ奴らが言うことだ。

Cid:ただ、奴らの神都アル・タユとやらは、
 その試みが失敗して、消滅の憂き目にあった
 わけだろう?

Cid:楽園というものもよくわからぬのに、
 古代人のもくろみを、このまま捨て置くわけには
 いかぬが・・・・・・。

Tenzen:確かにそうでござるが、
 それよりもシド殿。我らの憂い事は
 「世界の終わりに来る者」でござる。

Tenzen:我輩、「世界の終わりに来る者」は、
 かの少年セルテウスだと思っていたでござる。
 しかし霊獣フェンリルが言うには・・・・・・。

Cid:・・・・・・。
 タブナジアに「世界の終わりに来る者」が
 生れ落ちるという話か・・・・・・。

Cid:おぬしはそれが
 プリッシュ君のことを指すと言いたいのだな?

Cid:おぬしの話を聞くに、
 タブナジアでの彼女の扱い、
 尋常なものではなかったようだからな。

Tenzen:そうでござる。
 しかしそこは、鳳凰丸に尋ねても、
 わからぬと繰り返すのみ。

Tenzen:ただ、もしも
 プリッシュ殿がそれだというのならば、
 非情なれど、我輩はプリッシュ殿を・・・・・・。

Cid:待て待て!
 まだ、プリッシュ君のことを指すとは
 決まったわけではないぞ!

Cid:おぬしも、まさかあの子が
 恐ろしい男神の意志を継ぐような
 ものとは思わなんだろ? なぁ?

Tenzen:しかし・・・・・・
 聖獣フェンリルが見せた、古のやりとり。
 霊獣のたばかりだとは思えないでござる。

Tenzen:楽園への扉が開かぬことを願う
 彼らにとって、それを願う「世界の終わりに
 来る者」は、まごうことなき彼らの敵。

Tenzen:もしかしたら、プリッシュ殿は、
 目覚めていないだけなのかもしれぬでござる。
 その身に宿る、男神の意志に・・・・・・。

Cid:・・・・・・。

Cid:わかった。
 しかしルーヴランス君が戻るまで
 ウルミア君にその話をするのは
 避けたほうがよかろう。

Cid:彼女は、プリッシュ君を見つけ出しながら
 連れ戻せなかったことで自分を責めている。
 これ以上、追い詰めてはかわいそうだ。

Tenzen:・・・・・・そうでござるな。
 そのことに触れぬと約束するでござる。

Tenzen:それでウルミア殿は、
 今どこにいるのでござるか?

Cid:ライバート、
 テンゼン君を案内してやってくれ。

(シドと二人だけになる)

Cid:[Your name]君。
 正直言って、わしらはとんでもないことに
 首を突っ込んでいるようだ。

Cid:今までは、ただ自分の知識欲やら
 正義感やらを満足させるために進んできたが・・・・・・。
 ここからは用心せよと、長年の勘が囁いている。

Cid:特に、おぬしたちの言う古代人の生き残り。
 奴らが、ジュノの底まで根を下ろしているのならば、
 彼らを止めるのは厄介なことだ。

Cid:真龍や獣人たちの脅威をよそに、
 ジュノとの戦争などゾッとせん。

Cid:しかも実はな。
 わしにはもうひとつ気がかりなことがある。

Cid:テンゼン君の来た「東の国」。
 海賊たちの話を聞くにしても遠く閉ざされた国ゆえ
 謎ばかり。信用してもよいものか・・・・・・。

Cid:嫌な雲ゆきだな。
 誰が真実を語り、誰が真実の友かわからんぞ。
 下手に動けば、転覆させられそうだ。

Cid:おぬしも自分の国を守りたいのならば、
 人に流されず、自分の目で見、自分の頭で
 考えねばならんぞ。

Cid:・・・・・・さて、と。
 わしの説教はここまでだ。

End


プロマシアの呪縛
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烙印ありて礼賛者羅針の示すもの