プロマシアの呪縛/第5章~第8章/羅針の示すもの

Last-modified: 2012-06-17 (日) 18:25:32

■  第3節 第2小節 みっつの道-羅針の示すもの

 ナグモラーダが告げた真実に苦しみ
 ながらも、神獣フェンリルの導きに
 従ってソ・ジヤ遺跡を目指すテンゼン。
 彼の後を追おう。


■ ソ・ジヤ遺跡南の塔

Tenzen:[Your name]殿!
 来てくださったのでござるか!?

Tenzen:まことに、かたじけないでござる。

Tenzen:元はといえば我輩が
 霊獣の話など持ち出さねば、そなたも皆も、
 霊獣に利用されることなどなかったものを……

Tenzen:鳳凰丸は、ナグモラーダが
 語ったことを認めたでござる。

Tenzen:「楽園の扉」開かれたとき、
 霊獣たちは獣と成り果て……

Tenzen:そして我らの暮らす
 ヴァナ・ディールは楽園となり、眠れる神々が
 目覚めて祝福を満たすということを……。

Tenzen:しかしそれは、
 死せる神が復活を迎えると同義。

Tenzen:それが悪しきこととなるか、
 それとも善きこととなるか。
 霊獣フェニックスにもわからぬとか。

Tenzen:……わからぬ、か。
 そのわからぬことのために、ひんがしの国では
 あまりにも多くの血が流れてしまったでござる。

Tenzen:この鳳凰丸は
 「虚ろなる闇」を打ち払うために、命の霊獣
 フェニックスの聖なる残り火にて打たれた刀。

Tenzen:しかし、その役目を
 果たすには力が足りず、より強き力を与えんが
 ために、罪なき人々の「命」を要した……。

Tenzen:その数は、ひとかたならぬもの。

Tenzen:それは、咎人や蛮族を狩ることから
 始まり、貢租を納められぬ村々より貢租のかわりに
 生にえが募られ……

Tenzen:ついには、
 「虚ろなる闇」によって眠りについた人々が、
 その意志なきまま、この刃にかけられたので
 ござる。

Tenzen:……。
 中の国に暮らすそなたの耳には、それこそ
 ひんがしの帝による暴挙と聞こえような?

Tenzen:しかし、ひんがしの民は皆々、
 それこそ天命であり、抗えぬ定めだとして
 受け入れていた……。

Tenzen:何故なら、その死は、
 世界の終わりを止めるための糧となり、

Tenzen:その子、その孫、
 その血に連なる子孫のための
 ものだと信じていたがため……!

Tenzen:[Your name]殿……、
 我輩は帝より大命を受け、この地へ参った。

Tenzen:その大命に、自らの命にかえても
 鳳凰丸を守る旨の一項がある。

Tenzen:我輩は、この大命に逆らえぬ身。
 だから、そなたに託しておきたい。

Tenzen:この先、万が一、
 霊獣フェニックスが人の義に反する導きを示し、
 我輩が人の敵となりしときは迷いなく……

Tenzen:……。

Tenzen:先に参るぞ、
 [Your name]殿。

Tenzen:この塔の最奥に封じられている
 霊獣フェンリルの力を解き放てば、
 霊獣フェンリルに見まえることができるとか。

Tenzen:我輩の気力。
 ほむらのごとく、たぎり出んことを……
 
 
■ 最下層・Avatar Gateの奥の魔導器

Fenrir:……我が名は……
 フェンリル……。我が理体は……失われ……、
 今や彷徨える星となりし身……。

Fenrir:我が力……
 もはや、消え行く……暁星のごとく……。
 あとはただ……空のみ残る……。

Tenzen:霊獣フェンリル。
 我が名はテンゼン。霊獣フェニックスの息吹
 宿りし鳳凰丸と共に、ひんがしの国より参った。

Tenzen:4つの母なるクリスタルは、その力奪われる
 ことにて「虚ろなる闇」をまとい、世界には
 「世界の終わりに来る者」が現われている。

Tenzen:ヴァナ・ディールを
 救うがため、その尊いお力、その尊い知識、
 我輩とこの鳳凰丸に託していただきたい。

Fenrir:……そうか……。
 そなたは……またも……
 人と共に……生き……死ぬか……。

Fenrir:……それも……
 ……ひとつの……道……。
 我ら……霊獣の……、人の……選んだ道……。

Tenzen:……?
 恐れながら、
 おっしゃることが、よく聞き取れぬでござる!
 霊獣フェンリル、そなたは何を語らんと!?

Fenrir:……1万年前……
 我が……教えた記憶……。
 それが……そなたに……道を示す……。

Fenrir:……見よ……
 過去の契りを……古に……定めしことを……。
 我……、空に……消える前に……。

(月夜、古代人たちと狼が対峙している)

Tenzen:ここは……!?

Tenzen:これは……
 霊獣フェンリルの見せている幻影でござるか?

Tenzen:[Your name]殿、
 ここは、古代の民の時代だとか……。

Tenzen:……となれば、
 あそこにて霊獣フェンリルと
 対峙しているのも古代の民……?

Fenrir:……人よ。
 黄昏を迎え入れる定めを受け入れ、
 なお、生きることを選択した者たちよ……。

Fenrir:我が警告の通り
 クリスタルの光は陰り、混沌たる
 命の波乱が起きようとしている……。

Fenrir:そなたたち人と
 語り合うことは、もはや意味のなきこと。

Fenrir:そんたたちも
 人の姿でありたいのならば、
 すみやかにこの地を去れ。

Fenrir:セルテウスと
 我ら霊獣が交わした契約が果たされるまで、
 人にとっては十分な時間が残されている。

Fenrir:永く短きその営みを繰り返し、
 最後の命の炎を燃やし尽くすといい。

Esha'ntarl:お待ちください、
 霊獣フェンリル。私たちの未来はいまだ、
 決定されたわけではございません。

Esha'ntarl:私たちはあなた様に、
 新たな定めを生み出して
 いただくために来たのです。

Fenrir:……なに?
 新たな定めを……?

Fenrir:もう一度言おう。
 そなたたち人と語り合うことは、
 もはや意味のなきこと。

Fenrir:母なるクリスタルが
 出した答えは、世界の理となる。
 石の記憶は告げた。それは誰にも変えられん。

Esha'ntarl:はい。
 あなた様の言わんとしていることは、
 よくよく存じております。

Esha'ntarl:時が経つにつれ、
 人の命は汚れ、闇が生み出され……

Esha'ntarl:そして、いつしか
 闇をその身に宿し者「世界の終わりに来る者」が
 現われ、人すべてを黄昏へと導く……。

Esha'ntarl:それは
 あなた様が定めることもなく起こる必然。
 定めを決める星月の力をもちいても、
 その必然を打ち消すことはできない。

Esha'ntarl:しかし、故国にて果てた
 セルテウスより、私は伺いました。

Esha'ntarl:霊獣たちと交わされた契約は、
 「世界の終わりに来る者」を打ち破ることにて
 反故とされると。

Fenrir:確かに、我らの
 結んだ契約はそれだ。人に課せられた呪縛、
 それに逆らうことができればな。

Fenrir:しかし、
 今、その役目を負いしセルテウスは亡い。
 ならば、人のうちの誰がそれに逆らえる?
 解のない問いに、答えられる者があるというのか?

Eshan'tarl:……はい。
 私が、その答えを見出したと思います。

Esha'ntarl:セルテウスが、
 何故、最後に私にああ告げたのか……。
 それは私に、この使命を与えるがため。

Fenrir:……なに?
 まさかそなたは……。

Fenrir:そうか、そなたこそが
 「虚ろなる闇」から解き放たれた奇跡の存在。

Fenrir:今ここで
 そなたと話すことができるとは、
 さすがの我も、詠みきれなかった。

Esha'ntarl:……。

Fenrir:人の命の循環より
 外れたそなたならば、世界の終わりまで、
 人の定めを見届けられるかもしれん。

Fenrir:しかし
 そのときが訪れたとき、そなたひとりでは、
 「世界の終わりに来る者」に何もできまい。

Fenrir:そなただけを置いて、
 人は、黄昏へ向かって進化の一途を辿るぞ。
 驕慢、嫉妬、怯懦、無知、憎悪の一途をな。

Esha'ntarl:わかっています。
 けれども私には、永く久しく続く年月があり、
 そして人には、永く久しく続く血の縁がある。

Esha'ntarl:霊獣フェンリル、
 「その時」を作ってください。「定めの時」を。
 「世界の終わりに来る者」が生まれ落ちる
 「定めの地」を……

Esha'ntarl:それさえ
 定められれば、私たち人にも勝機がございます。
 いいえ、人は必ず、勝機を作り出すでしょう。

Fenrir:「定めの時」、「定めの地」……。

Fenrir:……フフフ。
 人よ、定めを担うは、そなたが想像するより
 遥かに重く険しいことよ。

Fenrir:しかし、そなたのまがつみに
 これ以上の業報はあるまい。人の定めを
 そなたひとりで担えるかな?

Esha'ntarl:……。

Fenrir:ならば我は、
 そなたたちの行く末を見極めてやろう。
 さぁ、月詠みを始めようではないか。

Fenrir:……そして……
 ……定めは……
 ……下された……

Fenrir:……1万年の時を経て……
 ……「世界の終わりに来るもの」は……
 ……生まれ落ちる……

Fenrir:……「定めの地タブナジア」に……

Tenzen:……
 ……[Your name]殿……。

Tenzen:……これは、
 霊獣によるたぶらかしでござるか?
 それとも、受け入れがたい真実でござるか?

Tenzen:霊獣フェンリルは、
 「世界の終わりに来る者」が生まれ落ちる地を
 タブナジアに定めた……? 1万年前に……。

Tenzen:タブナジア……。
 忌むべき子……。しかし……、しかし……。

Tenzen:……。
 バストゥークに戻るでござる……!
 ウルミア殿に尋ねなくてはならんでござる……!
 
 
■ バストゥーク大工房・シド研究室

Tenzen:シド殿!
 ウルミア殿はお戻りか!?
 それに……プリッシュ殿は……!?

Cid:!? どうした!?
 何か重大なことがあったようだな?

Cid:霊獣たちが、そのようなことを言ったと
 いうのか? にわかには信じられぬが……

Cid:しかし、
 ナグモラーダの言うことには、
 思い当たる節が幾つかある。

Cid:各地の岩から伸びている
 ライン状のクリスタルの反応……。かねてより
 わしも、そのラインについて研究を行っていた。

Cid:古代人の生き残りたちが、
 あのラインを使ってクリスタルの力をひとつに
 しようなどと、大それたことを考えているとは
 おもわなかったがな。

Tenzen:そしてそのとき、
 「楽園の扉」が開くという……。

Cid:ふぅむ。神がかった話だが、
 その論、ありえんことではない。

Cid:なんといっても
 ジュノには、黒衣の研究者たちがいる。
 あれだけの技術をもつ奴らが言うことだ。

Cid:ただ、奴らの神都アル・タユとやらは、
 その試みが失敗して、消滅の憂き目にあった
 わけだろう?

Cid:楽園というものもよくわからぬというのに、
 古代人のもくろみを、このまま捨て置くわけには
 いかぬが……。

Tenzen:確かにそうでござるが、
 それよりもシド殿。我らの憂い事は、
 「世界の終わりに来る者」でござる。

Tenzen:我輩、「世界の終わりに来る者」は、
 かの少年セルテウスだと思っていたでござる。
 しかし霊獣フェンリルが言うには……

Cid:……。
 タブナジアに「世界の終わりに来る者」が
 生まれ落ちるという話か……。

Cid:おぬしはそれが
 プリッシュ君のことを指すと言いたいのだな?

Cid:おぬしの話を聞くに、
 タブナジアでの彼女の扱い、
 尋常なものではなかったようだからな。

Tenzen:そうでござる。
 しかしそこは、鳳凰丸に尋ねても、
 わからぬと繰り返すのみ。

Tenzen:ただ、もしも
 プリッシュ殿がそれだというのならば、
 非情なれど、我輩はプリッシュ殿を……

Cid:待て待て!
 まだ、プリッシュ君のことを指すとは
 決まったわけではないぞ!

Cid:彼女は確かに粗暴で粗野だが、
 それは自分に正直ゆえのことだとわしは思う。

Cid:おぬしも、まさかあの子が
 恐ろしい男神の意志を継ぐような
 ものとは思わんだろ? なぁ?

Tenzen:しかし……
 霊獣フェンリルが見せた、古のやりとり、
 霊獣のたばかりだとは思えぬでござる。

Tenzen:楽園への扉が開かぬことを願う
 彼らにとって、それを願う「世界の終わりに
 来る者」は、まごうことなく彼らの敵。

Tenzen:もしかしたら、プリッシュ殿は、
 目覚めていないだけなのかもしれぬでござる。
 その身に宿る、男神の意志に……。

Cid:……。

Cid:まぁ、このことは
 プリッシュ君を見つけ出してからの話にしよう。

Cid:どちらにしても、
 わしらはやれることをやるしかない。
 どんなに悲観的な状況となったとしてもな。

Cid:[Your name]君、
 サンドリアへ発ったウルミア君の様子を
 身にいってくれ。

Cid:それと、ルーヴランス君からも
 連絡がないのが気になる。

Cid:彼の方は、神都アル・タユの
 情報を求めて、タブナジアへ行くと
 言っていたが……。

Tenzen:我輩は、今一度ジュノの様子を
 探ってくるでござる。プリッシュ殿がジュノに
 捕らえられるようなことになれば、手が出せぬ
 ようになってしまうでござる。

Tenzen:では、ごめん。

Cid:[Your name]君、
 正直言って、わしらはとんでもないことに
 首を突っ込んでいるようだ。

Cid:今までは、ただ自分の知識欲やら
 正義感やらを満足させるために進んできたが……、
 ここからは用心せよと、長年の勘が囁いている。

Cid:特に、おぬしたちの言う古代人の生き残り。
 奴らが、ジュノの底まで根を下ろしているのならば、
 彼らを止めるのは厄介なことだ。

Cid:真龍や、獣人たちの脅威をよそに、
 ジュノとの戦争などゾッとせん。

Cid:しかも実はな、
 わしにはもうひとつ、気がかりなことがある。

Cid:テンゼン君の来た「東の国」。
 海賊たちの話を聞くにも、遠く閉ざされた国ゆえ
 謎ばかり。信用してもよいものか……。

Cid:嫌な雲ゆきだな。
 誰が真実を語り、誰が真実の友かわからんぞ。
 下手に動けば、転覆させられそうだ。

Cid:おぬしも自分の国を守りたいのならば、
 人に流されず、自分の目で見、自分の頭で
 考えねばならんぞ。

Cid:……さて、と。
 わしの説教話はここまでだ。

Cid:それに、自分で考えろと
 言ったばかりでなんなのだが、わしは一刻も早く、
 プリッシュ君を探す必要があるように思う。

Cid:ウルミア君は、
 サンドリアを目指すと言っていた。
 おぬしもサンドリアへ行ってみてくれ。

Cid:もしもプリッシュ君が
 本当に忌むべき子だというのならば、
 おそらくウルミア君がカギになるはず。

Cid:取り返しがつかなくなる前に、
 考える材料を集めてくれ。頼んだぞ。

End


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