■ 第2節<選ばれし死>
ナグモラーダは「虚ろの器」を求めて
王宮の地下を降りていったようだ。
プリッシュと共に、彼を追おう。
■フ・ゾイの王宮の玄関ホール
(ホール脇の扉から、プリッシュが駆け出てくる)
Prishe:あっ!
[Your name]!
Ulmia:プリッシュ!?
Prishe:みんな無事だったんだな。
手を貸してくれ! 俺、ナグモラーダの
野郎を追っかけてみたんだけどよ……
Prishe:途中にある扉が開かねぇ!
どうやっても、ぶっち壊せねぇんだ!
畜生、俺のアミュレットさえありゃ、
簡単に開いただろうによ!
Prishe:このままじゃ、
ナグモラーダの野郎、俺たちより先に
「虚ろの器」にたどり着いちまうぜ!
Jabbos:……虚ろの、器……?
いったい……、それはなんだ……?
Prishe:俺もよく知らねぇけどよ、
その装置は、人の心の中にある
「虚ろなる闇」を取り出してくれるもんらしい。
Ulmia:「虚ろなる闇」を……?
Prishe:[Your name]、覚えてるか?
古代の人間が心の声をなくしたのは、
心の中の「虚ろなる闇」が原因なんだ。
Prishe:心の中の「虚ろなる闇」が、
でっかくなって、心の中の「光」を
覆っちまったからなんだ。
Prishe:だからナグモラーダは、
「虚ろの器」を使って、
完全なジラート人に戻ろうと考えてる。
Prishe:だけど、ミルドリオン様は、
「虚ろの器」は、危険なものだって言ってた。
セルテウスも同じだ。
Prishe:だから止めなきゃなんねぇ!
さぁ、ブッ飛ばして行こうぜ!
(フ・ゾイ王宮最下層の扉内部)
(「虚ろの器」を前に驚愕するナグモラーダ)
Nag'molada:そ、そんな……
Nag'molada:どうしてだ……?
なぜあのお方が、この器の中に……?
(神器「虚ろの器」の中にイブノイルが眠っている)
Prishe:ナグモラーダ!
Nag'molada:明星の巫女様まで、
「虚ろなる闇」に冒されたというのか?
Nag'molada:それでは、我ら人は
とうとう、暁の女神さまに見捨てられた……?
???:そうではない。
イブノイル様は、女神さまの意志を
お継ぎになったのだ。
Nag'molada:セルテウス!?
(中空からセルテウス出現。背中には異形の翼を生やしている)
Selh'teus:それは
生ける神々、クリューの者たちの抵抗が
退けられたときの最後の手段。
Selh'teus:「虚ろの器」にあった
「虚ろなる闇」を自らに封じこめ、
イブノイル様は、ともに滅びようとした。
Nag'molada:何故、そのようなことを!?
Selh'teus:「世界の終わりに来る者」を
受け入れるもの。「男神プロマシア」が
蘇ったからだ。
Prishe:ちょっと待てよ?
男神プロマシアは、ここアル・タユが落っこちたら
復活するんじゃねぇのか? バハムートは
そう言ってたぜ?
Selh'teus:……そうか、では訂正しよう。
男神プロマシアの「器」が蘇ったからだと。
Prishe:「うつわ」、だって?
Selh'teus:「世界の終わりに来る者」とは、
「男神プロマシアの意志」を継ぐもの。
Selh'teus:「男神プロマシアの意志」とは、
「虚ろなる闇」。そしてそれを迎え入れるべく
用意された器が蘇ったのだ。
Selh'teus:……器は、
自らを満たす「虚ろなる闇」を求めた。
Selh'teus:その闇は、そこにあった。
「虚ろの器」が完成するまで、何人もの
クリューの者たちから汲み上げられた
「虚ろなる闇」。
Selh'teus:いつか自然に生まれるとされた
「世界の終わりに来る者」……
それを超える膨大な量の闇が、
ここに集められてしまっていたのだ。
Selh'teus:それを渡しては、
男神プロマシアの復活に繋がる。
そこで、イブノイル様は、
闇と共に果てようとした。
Nag'molada:そんなことを!
おまえは、そんなことをさせたのか!?
Nag'molada:イブノイル様に罪はない。
愛ゆえに「虚ろの器」を作ろうとされたのだ!
私たちクリューを救おうとされたのだ!
Selh'teus:そのとおりだ。
すべての始まりは、私たちクリューだ。
Selh'teus:だから、私は
「虚ろの器」から「虚ろなる闇」を……
Selh'teus:この身に封じ、死んだのだ。
Nag'molada:……死んだ……?
し、しかし、おまえは……
Prishe:……フェニックスだな?
フェニックスは、おまえといたんだろう?
そして、一度は死んだおまえを生き返らせたんだ。
Prishe:ミルドリオン様が
考えたことと同じだ。「虚ろなる闇」と
一緒に死んじまったら、いつかまた、
その闇が生まれちまう。
Prishe:だからおまえんなかに
封じ込めたんだ。俺が魔晶石に封じたように。
Selh'teus:……そうだ。
しかし、それは大きな賭けだった。
Selh'teus:真世界となったことで
バハムートは力を失い、私は「虚ろなる闇」を
宿すゆえに、男神の器から逃げるしかなかった。
Selh'teus:ヴァナ・ディールに下りることもできず、
私は追い詰められた。
Selh'teus:そこでイブノイル様は
自らの命の輝きをすべて放ち、
「器」を「接見の間」に封じ込めた。
Selh'teus:……そして……
イブノイル様は永い眠りに……。
Nag'molada:何故だ!?
楽園とは、クリスタルの輝きに満ちた
神々の世ではないのか!?
Nag'molada:人は、より高い次元の生命に、
完全になるのではないのか!?
Selh'teus:増幅されているとはいえ
ひとかけらの母なるクリスタルに支えられている
この楽園は、完全なる楽園とはいえない。
Selh'teus:そしておまえたちも、
完全なる「クリスタルの戦士」にはなっていない。
互いに、クリスタルの輝きが足りないからだ。
Prishe:じゃあ、どうしろってんだ?
Selh'teus:「神の扉」を潜り、
ル・メトの園より、5つの塔を登るといい。
Selh'teus:その塔には、
母なるクリスタルの輝きが通わせてある。
人の5つの闇を浄化する、この施設のために
作られたものだ。
Selh'teus:おまえたちが最も
深く宿している闇を、その輝きで照らせば、
男神プロマシアの「器」と戦うことが
できるかもしれない。
Prishe:やったぁ!
セルテウス、おまえもとうとう
「世界の終わりに来る者」と
戦う気になってくれたんだな!?
Selh'teus:……わからない。
もはや私は、なんの感情も持っていない。
Selh'teus:知りたくはないだろうが、
教えておこう。「虚ろなる闇」というものは、
5つの闇よりもずっと、深く静かなもの。
Selh'teus:言うなれば、
完全なるものなのだ。
Selh'teus:……だから、
おまえたちが本当に勝てるかどうか、
その結果は誰にもわからない。
Selh'teus:ただ、これから
おまえたちには真実を見せよう。
王宮の最上階にある「接見の間」。
そこですべてがわかるだろう。
Selh'teus:そのときになっても、
おまえたちが勝利を、戦いを望むのならば、
私も世界の終わりに抗おう。
Selh'teus:さぁ、
「神の扉」を開くぞ。
(フ・ゾイ王宮玄関正面の「神の扉」が開かれ、セルテウスは消える)
Prishe:じゃあ、行こうぜ、[Your name]。
Prishe:……っと、待てよっ!
Prishe:おいっ!
ナグモラーダぁっ!!!
(食って掛かるプリッシュにアミュレットを投げて寄越すナグモラーダ)
Nag'molada:それなら返してやる。
おまえたちは、勝手に消えろ。
Nag'molada:私は、イブノイル様を
ウ・パトの交霊塔にお納めしなくてはならない。
ここでは、クリスタルに還ることもできない……。
Prishe:……。
Prishe:チクショウ!
ぜってぇに俺は忘れねぇからな!!
今までの恨みも、モブリンの仇も、
ぜんぶ後でまとめてお見舞いしてやらぁ!!!
Prishe:先行くぞ、[Your name]!
End
※「フ・ゾイの王宮」エリアのNPCたちの台詞
Quasilumin: 警告する。
今より 4789209-980…… ……前
侵入者 に よって 「虚ろ の 器 」 が
不用意 に 開閉 された。
Quasilumin:フ・ゾイ の 王宮
ル・メト の 園 は 神都防衛体制下 に ある。
Quasilumin:防御扉 が 閉ざされ 特殊条件下 に おいて
我らのみ が 扉 の 開閉 を 許されている。
Quasilumin:階下 に 降りるには
各塔 に 存在 する 転送装置 を 使用 せよ。
Quasilumin:アル・タユ都市部 に
配置された 補助員 は 守るべき 主人 が
不在のため まだ 数十体 が 機能している
ようだ。
Quasilumin:王宮 を 守るため
侵入者 を 駆除する 要員 は 予備要員 まで
すべて 機能停止。早急なる 対策 を 要請する。
Quasilumin:アル・タユ都市部 の 神都防衛体制
は 解除されたが フ・ゾイ の 王宮
ル・メト の 園 は 王族 の 認可なくして
神都防衛体制 を 解除すること は できない。
Quasilumin:神都アル・タユ を 残し
フェ・イン ロ・メーヴ ソ・ジヤ などは
時空点移動 が 起きた際に 消滅 した。
クリュー は ほとんど が 死滅したようだ。
Quasilumin:クリスタル から 王宮 へ
最低限 の 動力 のみが 供給 されている。
5つ の 塔 と 転送装置 を 動かす 程度だ。
Quasilumin:「虚ろ の 器」 より
「虚ろなる闇」 が 漏出 した 可能性 あり。
研究施設 への 出入り が 禁止されている。
Quasilumin:5つ の 塔 は
真龍族 との 戦い を 前に 兵器として
造りかえられた。クリスタル の 力 は 万能だ。
Quasilumin:対象者 の 調査終了。
対象者 は 未登録。軽度 の クリュー分裂症 と
判定。やや 危険。高慢*の 悪感情 に 傾く。
地図 を 参考 にし 医療室 へ 向かえ。
(*はPCの種族に対応)