トーセ決算2010

Last-modified: 2010-10-08 (金) 19:51:35

前年度計画

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部門別

① ゲームソフト開発事業……………………ゲームソフトの企画・開発
② モバイル・インターネット開発事業……コンテンツの企画・開発、コンテンツを提供するサーバーの保守管理
③ その他事業…………………………………eコマースの運営、その他

2010年2010年2010年2010年2010年2010年2010年2010年
売上Q1Q2Q3Q4ターム売上Q1Q2Q3Q4
ゲームソフト開発事業(千円)411,885511,7621,151,0632,201,560ゲームソフト開発事業(千円)411,88599,877639,3011,050,497
モバイル・インターネット開発事業(千円)363,635788,1771,156,9701,599,264モバイル・インターネット開発事業(千円)363,635424,542368,793442,294
その他事業(千円)169,267332,313476,387686,341その他事業(千円)169,267163,046144,074209,954
消去又は全社(千円)----消去又は全社(千円)----
売上高(千円)944,7871,632,2532,784,4204,487,166売上高(千円)944,787687,4661,152,1671,702,746
利益
ゲームソフト開発事業(千円)172,652180,066192,162463,677ゲームソフト開発事業(千円)172,6527,41412,096271,515
モバイル・インターネット開発事業(千円)79,543169,015233,949327,954モバイル・インターネット開発事業(千円)79,54389,47264,93494,005
その他事業(千円)67,408105,858145,625209,200その他事業(千円)67,40838,45039,76763,575
消去又は全社(千円)-211,584-453,501-639,954-820,423消去又は全社(千円)-211,584-241,917-186,453-180,469
営業利益(千円)108,0201,439-68,217180,409営業利益(千円)108,020-106,581-69,656248,626
経常利益(千円)92,3762,475-61,012180,375経常利益(千円)92,376-89,901-63,487241,387
当期純利益(千円)61,420-15,147-62,34857,787当期純利益(千円)61,420-76,567-47,201120,135

1Q

当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、米国サブプライムローン問題を発端とした金融市場の低迷も、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などにより、持ち直し傾向が見られました。個人消費に
おいても持ち直しの動きが続き、消費者マインドも概ね横ばい状態となりました。しかし、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレや金融資本市場の変動の影響など、景気を下押しするリスクは
存在し、依然として厳しい状況にあります。
家庭用ゲームソフト業界は、各種ゲーム機の値下げ、新型ゲーム機の投入などが相次いだものの、国内、海外市場ともにゲーム機の販売台数は減少しました。ゲームソフトにおきましても、一部の有力タイ
トルを除いて、販売本数は伸び悩み、ゲーム市場全体の規模は縮小しております。一方で、Wiiウェアや、PlayStation Networkなどのネットワークを利用したダウンロード形式のゲーム
ソフトが増加しました。しかし、こうしたネットワーク版ソフトは、従来のパッケージ版ソフトよりも比較的開発規模が小型なものが多い傾向にあり、その結果、開発金額の縮小が顕著になりました。
モバイル・インターネット業界は、iPhoneなどに代表されるスマートフォンの台頭により、従来の手軽に楽しめるコンテンツに加え、家庭用ゲーム機に引けを取らない高機能・大型コンテンツの需要が
増加しました。また、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下「SNS」という。)向けゲーム市場において、外部企業で開発されたコンテンツが各SNSサイトで提供される「オープン化」が波及
し、新たな市場として注目を集めました。
このような状況の下、当社グループでは、複数の大型タイトルの開発完了時期を第2四半期以降に予定しているため、当第1四半期連結累計期間では小型タイトルの開発完了が中心となりました。しかし、海
外向けゲームタイトル、Wii向け非ゲームタイトルにおいて想定以上の売上を計上することができたことにより、ロイヤリティ売上は非常に好調に推移しました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は9億44百万円(前年同四半期比37.7%減)、営業利益1億8百万円(前年同四半期比25.5%増)、経常利益92百万円(前年同四半期比9.4%減)、四半期
純利益61百万円(前年同四半期比537.5%増)となりました。
また、第2四半期において、市況環境の悪化に伴い、名古屋開発センターを閉鎖する予定でありますが、当連結会計年度の連結業績に与える影響は軽微であります。

ゲームソフト開発事業

ニンテンドーDSiウェア向け、Wiiウェア向けで中止が各1タイトル、ニンテンドーDS向け1タイトルで開発完了時期の変更が発生しました。しかし、第2四半期以降に開発完了を予定していたニンテンドーDS向け1タイトル、プレイステーション・ポータブル向けオンライン配信専用1タイトルを前倒しで開発完了することができ、さらに、中国子会社でプレイステーション・ポータブル向け1タイトル、パソコン向け1タイトル、当社でWii向け1タイトルの合計3タイトルを、新規案件として開発完了することができました。これらの結果、ニンテンドーDS向け2タイトル、ニンテンドーDSiウェア向け2タイトル、プレイステーション・ポータブル向け1タイトル、プレイステーション・ポータブル向けオンライン配信専用ゲーム1タイトル、Wii向け1タイトル、Wiiウェア向け4タイトル、パソコン向け1タイトルの合計12タイトルを開発完了することができました。しかしながら、複数の大型タイトルの開発完了時期を第2四半期以降に予定していることから、当第1四半期においては大型タイトルの開発完了が1タイトルのみとなりました。一方で、WiiウェアやニンテンドーDSiウェアなど、ネットワークを利用したゲームが増加し、1本あたりの開発金額が縮小傾向にあるものの、並行して大型タイトルの開発も進行しております。これらの結果、開発売上は2億74百万円となりました。
ロイヤリティ売上につきましては、前期に開発完了した海外向けタイトルの売上を想定以上に計上することができたことにより、1億37百万円となりました。
この結果、当事業の当第1四半期連結累計期間の売上高は4億11百万円(前年同四半期比50.3%減)、営業利益1億72百万円(前年同四半期比4.3%増)となりました。

モバイル・インターネット開発事業

大型1タイトル、小型複数タイトルの開発完了時期が第2四半期以降に変更となった結果、開発完了タイトル数は大型2タイトルを含む6タイトルとなりました。加えて、子会社において開発完了を予定していた大型案件に関しても、第2四半期以降に開発完了時期が変更となり、これらの結果、開発売上は1億14百万円となりました。また、iPhone向けコンテンツやSNS向けコンテンツの需要の増加が顕著になり、新たな市場として注目を集める中、当社グループでは、大型案件を中心に受注することができました。従来のキャリア向けコンテンツの大型化に加え、これらの新たな市場向けコンテンツの受注に伴って、大型案件が増加することから、開発タイトル数は減少傾向にあります。これにより、開発スケジュールの変更が売上に及ぼす影響がより一層大きくなりました。
一方で、既存の運営サイトが堅調に推移した結果、運営売上は94百万円となりました。また、ロイヤリティ売上は新規、既存サイトともに好調で1億55百万円となりました。
この結果、当事業の当第1四半期連結累計期間の売上高は3億63百万円(前年同四半期比16.6%減)、営業利益79百万円(前年同四半期比25.0%減)となりました。

その他事業

プレイステーション・ポータブル向けオンライン配信専用コンテンツ1タイトルの開発完了時期の変更により、開発完了タイトル数はWii向け1タイトルのみとなりました。さらに、前期に開発完了したパチンコ・パチスロ関連タイトルの追加業務の完了時期が第2四半期以降に変更となりましたが、パチンコ・パチスロ関連の部分作業などを予定通り開発完了することができた結果、開発売上は1億6百万円となりました。ロイヤリティ売上につきましては、第2四半期に売上計上を予定していたパチンコ・パチスロ関連タイトルの売上を前倒しで計上することができたことや、Wii向けタイトルで想定以上の売上を計上することができたことにより、60百万円となりました。
この結果、当事業の当第1四半期連結累計期間の売上高は1億69百万円(前年同四半期比32.3%減)、営業利益67百万円(前年同四半期比48.9%増)となりました。

2Q

当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直しが見られました。依然として厳しいながらも、徐々に回復の兆しが見られた雇用・所得環境を受けて、個人消費も底堅く推移しました。しかし、海外景気の下振れ懸念、デフレの影響など、景気を下押しするリスクは存在し、また持ち直し傾向が見られる雇用情勢についても悪化懸念は残っており、依然として厳しい状況にあります。
家庭用ゲームソフト業界では、各ゲームハードメーカーがゲーム機器の値下げや新型ゲーム機器の販売を実施した中、各ソフトメーカーの主力大型タイトルの販売は好調に推移したものの、全般的には前期と同様にゲームソフトの販売本数は伸び悩む傾向にあります。また、海外市場におけるゲームソフトの違法コピーの影響も残る中で、現行ゲーム機器の普及にも一服感がある上、次世代ゲーム機器への対応も含め、新旧いずれのゲーム機器にてゲームソフトを開発・販売するのかを見定める時期も重なって、新タイトルの投入については各ソフトメーカーともに慎重な姿勢を崩しておりません。さらに、従来のパッケージ版のゲームソフトよりも、比較的開発期間・開発金額が小規模であるダウンロード販売形式のゲームソフトが増加したことにより、開発プロジェクトの縮小傾向が顕著となりました。
モバイル・インターネット業界では、iPhone(アイフォーン)などに代表されるスマートフォンの台頭、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下「SNS」という。)向けゲーム市場における「オープン化」(SNS事業者以外の外部企業で開発されたコンテンツが各SNSサイトで提供されること。)などが注目を集めました。
スマートフォンでは、従来の手軽に楽しめるコンテンツに加え、高性能・大型コンテンツの配信が可能となりました。機能や容量が大幅に増えたことにより、スマートフォンでダウンロードするコンテンツと、家庭用ゲーム機器でダウンロードする配信版ソフトとの垣根がなくなり、スマートフォンと家庭用ゲーム機器でのマルチ展開やスマートフォンから家庭用ゲーム機器へのソフトの移植も可能となりました。
しかし、大型コンテンツの配信が可能ではあるものの、スマートフォン向けコンテンツ市場においては、小型コンテンツに需要が集中しており、小型コンテンツが圧倒的多数を占めております。さらに、個人作成のコンテンツと各ソフトメーカー作成のコンテンツが混在しつつ膨大な量のコンテンツが配信されており、無料のものを含め、販売価格帯にも大きな幅がある状態となっております。
SNS向けコンテンツ市場においては、スマートフォン向けコンテンツ市場と同様に、小型のカジュアルゲームが市場の多数を占めていることに加えて、コンテンツの入れ替わりが激しい状態となっております。
いずれの市場においても、多くの企業が、ビジネスモデルを未だ確立できておらず、安定的な収益を確保すべく、現時点でも引き続きビジネスモデルを模索している段階といえます。さらに、これらの新市場に従来の携帯電話向けコンテンツ市場からユーザが流出し、従来のコンテンツビジネスを圧迫する傾向も見受けられました。
このような事業環境の変化を受けて当社グループにおきましても、開発スケジュール・開発内容の変更や中止案件が発生したこと、さらに、大型タイトルで企画内容の大幅な変更に伴って、取引内容の変更が発生し、売上計上時期が大幅に変動することなどから、開発売上に大きな影響が及びました。しかし、海外向けゲームソフトにおいて想定以上の売上を計上することができたことにより、ロイヤリティ売上は非常に好調に推移しました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は16億32百万円(前年同四半期比49.6%減)、営業利益1百万円(前年同四半期比99.5%減)、経常利益2百万円(前年同四半期比99.2%減)、四半期純損失15百万円(前年同四半期は86百万円の四半期純利益)となりました。
また、ゲームソフトの大型化や海外市場の拡がりを見込み、開発子会社の設立と新しい事業拠点2ヵ所を設置するなど、3年前から開発体制の増強を行ってまいりましたが、前期からの世界的な景気の低迷やゲームソフトの違法コピー問題、今期においては現行ゲーム機器から次世代ゲーム機器に移行する過渡期も重なって、事業環境が大きく変化したことから、当第2四半期連結累計期間において、開発需要への調整の一環として名古屋開発センターを閉鎖しました。
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ゲームソフト開発事業

ニンテンドーDS向けで国内・北米・欧州に展開する大型タイトルや、Wii、プレイステーション3、Xbox360、パソコン向けにマルチ展開するタイトルなどにおいて開発スケジュールの変更が発生し、開発完了数に大きく影響を与えました。それ以外では、ニンテンドーDS向け大型1タイトル、小型2タイトル、ニンテンドーDSiウェア向け1タイトル、パソコン向け3タイトルで開発スケジュールの変動が発生しました。さらに、ゲームソフト業界の事業環境の変化を受けて、顧客である各ソフトメーカーでプロジェクトの見直しが行なわれた結果、ニンテンドーDS向け1タイトル、ニンテンドーDSiウェア向け3タイトル、Wiiウェア向け1タイトルで中止が発生しました。しかし、中国子会社でプレイステーション・ポータブル向け2タイトル、パソコン向け1タイトル、さらに当社ではニンテンドーDSiウェア向け1タイトル、Wii向け1タイトルの合計5タイトルを新規案件として開発完了することができました。これらの結果、ニンテンドーDS向け2タイトル、ニンテンドーDSiウェア向け3タイトル、プレイステーション・ポータブル向け2タイトル、プレイステーション・ポータブル向けオンライン配信専用ゲーム1タイトル、Wii向け1タイトル、Wiiウェア向け4タイトル、パソコン向け1タイトルの合計14タイトルを開発完了しました。
開発売上につきましては、上記のスケジュールの変動により大きな影響を受け、さらに、来期以降に開発完了予定の大型タイトルの試作品に関する開発売上で、企画内容の大幅な変更に伴う取引内容の変更が発生し、売上計上時期が変動したことも、開発売上の大きな変動要因となりました。これらの結果、開発売上は3億29百万円となりました。
ロイヤリティ売上につきましては、前期に開発完了した海外向けタイトルの販売が想定以上に伸びたことにより、1億81百万円となりました。
これらの結果、当事業の当第2四半期連結累計期間の売上高は、5億11百万円(前年同四半期比72.2%減)と、営業利益1億80百万円(前年同四半期比54.7%減)となりました。
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モバイル・インターネット開発事業

iPhone向け3タイトルを含む大型6タイトル、小型複数タイトルにおいて開発スケジュールの変更やハードの変更よる受注時期の遅延、受注に至らなかった案件が発生しました。特に、iPhone向け大型タイトルでは、前述のスマートフォン向けコンテンツ市場の動向を受けて、顧客である各コンテンツプロバイダでハードの見直しなどのプロジェクトの見直しが行われ、開発スケジュールの変更が多数発生しました。また、大型1タイトルでハードが変更された結果、当事業ではなくその他事業において売上計上となった案件が発生しました。しかし新規案件として、iPhone向け2タイトルを含む4タイトルを開発完了することができました。これらの結果、開発完了タイトル数は大型案件7タイトルを含む19タイトルとなり、開発売上は2億98百万円となりました。
運営サイトにつきましては、iPhone向けコンテンツ市場やSNS向けコンテンツ市場へのユーザの流出を受け、顧客である各コンテンツプロバイダで運営サイトの見直しが行なわれた結果、不採算サイトの統合・廃止が発生しました。しかし、その他の既存運営サイトが堅調に推移した結果、運営売上は1億83百万円となりました。また、ロイヤリティ売上は新規、既存サイトともに好調で3億7百万円となりました。
これらの結果、当事業の当第2四半期連結累計期間の売上高は7億88百万円(前年同四半期比10.2%減)、営業利益1億69百万円(前年同四半期比24.0%減)となりました。

その他事業

プレイステーション・ポータブル向けオンライン配信専用コンテンツ2タイトル、Wii向け1タイトルと、モバイルコンテンツよりハードが変更された1タイトルを計上できたことにより、開発完了タイトル数は4タイトルとなりました。パチンコ・パチスロ関連の部分作業において、開発スケジュールの変更に伴い、来期以降への計上となった案件が発生したものの、前期に開発完了したパチンコ・パチスロ関連タイトルの追加作業を新たに受注することができました。さらに、当社においてパソコンやその他のハード向け部分作業などの小型案件を複数受注することができたことに加え、子会社トーセ沖縄においても、デザイン作業などの部分作業を中心に、想定していた以上に小型案件を受注することができました。これらの結果、開発売上は2億36百万円となりました。
運営売上につきましては、コミック配信事業において業務内容の変更が発生したことから、6百万円となりました。
ロイヤリティ売上につきましては、前期に開発完了したパチンコ・パチスロ関連やWii向けタイトルにおいて、予定通り計上することができた結果、88百万円となりました。
これらの結果、当事業の当第2四半期連結累計期間の売上高は3億32百万円(前年同四半期比35.7%減)、営業利益1億5百万円(前年同四半期比19.3%増)となりました。

3Q

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業収益の改善が続く中で、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直しが見られました。依然として厳しいながらも徐々に回復の兆しが見られた雇用・所得環境を受けて、個人消費も好転の兆しが見られました。一方で、欧州を中心とした海外景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在し、また回復傾向にある雇用情勢についても悪化懸念が残っており、依然として厳しい状況にあります。
家庭用ゲームソフト業界では、各ゲームハードメーカーがゲーム機器の値下げや新型ゲーム機器の販売を実施した中、各ソフトメーカーの主力大型タイトルの販売については好調に推移しました。しかし、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下「SNS」という。)やスマートフォンの普及で、無料や安価なカジュアルゲームが増加し、ゲーム人口の増加が顕著となったものの、同時にそれらカジュアルゲームにユーザが流出した結果、一部の家庭用ゲーム機器向け有力タイトルやカジュアルゲームにユーザが集中し、全般的には前期と同様にゲームソフト市場の販売金額は伸び悩む傾向にありました。また、海外市場におけるゲームソフトの違法コピーの影響も残る中で、現行ゲーム機器の普及にも一服感があり、顧客の中には人員整理を行うソフトメーカーも現れました。さらに、次世代ゲーム機器への対応も含め、新旧いずれのゲーム機器にてゲームソフトを開発・販売するかを見定める時期も重なったことから、新タイトルの投入については各ソフトメーカーともに慎重な姿勢を示しました。また、従来のパッケージ版のゲームソフトよりも、比較的開発期間・開発金額が小規模であるダウンロード販売形式のゲームソフトが増加したことにより、開発プロジェクトの縮小傾向が顕著となりました。
モバイル・インターネット業界では、iPhone(アイフォーン)に続いて、Xperia(エクスペリア)をはじめとするスマートフォンを各携帯電話会社が相次いで投入したことにより、スマートフォン市場は活況を呈しました。さらに、5月末には日本においてもiPad(アイパッド)が発売されたことにより、画面に直接触れることで操作可能なタブレット端末が注目を集め、コンテンツ開発に乗り出す企業や、独自のタブレット端末を開発する企業が現れました。一方で、SNS向けゲーム市場においては、SNS内でコンテンツを供給するシステムが外部企業に開放され、新規参入する企業が増加しました。しかし、スマートフォン向けコンテンツ市場においては、個人作成のコンテンツと各ソフトメーカー作成のコンテンツが混在しつつ膨大な量のコンテンツが配信されており、無料のものを含め、販売価格帯に大きな幅がある状況の下、収益性の低い小型コンテンツに需要が集中しております。また、SNS向けコンテンツ市場においても、スマートフォン向けコンテンツ市場と同様に、小型のカジュアルゲームが市場の多数を占めていることに加えて、コンテンツの入れ替わりが激しい状態となっております。そのため、いずれの市場においても、多くの企業がビジネスモデルを未だ確立できておらず、安定的な収益を確保すべく、現時点でも引き続きビジネスモデルを模索している段階といえます。さらに、これらの新市場に従来の携帯電話向けコンテンツ市場からユーザが流出し、従来のコンテンツビジネスを圧迫する傾向も見受けられました。
このような事業環境の変化を受けて当社グループにおきましても、開発スケジュールの変更が発生し、開発売上に影響を及ぼしました。また、前述のとおり各ソフトメーカーが新タイトルの投入に慎重な姿勢をとる一方で、斬新な企画提案を求めてくる傾向にあり、その要求に応えるために積極的に営業活動を行いました。その結果、来期以降の案件を複数受注することができたものの、受注に至らなかった案件も多数発生し、営業費用が想定以上に膨らみました。しかし、ロイヤリティ売上は海外向けゲームソフトや既存モバイルコンテンツにおいてコンスタントに計上することができた結果、概ね好調に推移しました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は27億84百万円(前年同四半期比33.4%減)、営業損失68百万円(前年同四半期は3億円の営業利益)、経常損失61百万円(前年同四半期は2億88百万円の経常利益)、四半期純損失62百万円(前年同四半期は28百万円の四半期純利益)となりました。

ゲームソフト開発事業

ニンテンドーDS向けで国内・北米・欧州に展開する大型タイトルにおいて、国内版は予定通り開発完了したものの、北米版・欧州版で、顧客であるソフトメーカーによる販売スケジュールの見直しが行われた結果、開発スケジュールが変更されました。さらに、パソコン向け1タイトルで開発スケジュールの変動が発生したものの、同一タイトルを複数のゲーム機器で展開する、いわゆる「マルチプラットフォーム」展開を指向するタイトルなど、開発本数が多い案件を予定通り開発完了することができました。その結果、ニンテンドーDS向けで大型3タイトルを含む5タイトル、ニンテンドーDSiウェア向け4タイトル、プレイステーション・ポータブル向けで大型2タイトルを含む4タイトル、プレイステーション・ポータブル向けオンライン配信専用ゲーム1タイトル、Wii向け2タイトル、Wiiウェア向け4タイトル、プレイステーション2向け1タイトル、プレイステーション3向け1タイトル、Xbox360向け1タイトル、パソコン向けに4タイトルの合計27タイトルを開発完了することができました。
開発売上につきましては、上記のスケジュール変動の影響を受けたことに加えて、携帯型ゲーム機器向け大型タイトルの試作品に関して、大幅な追加作業が発生した結果、開発完了時期が第4四半期以降に変更となり、開発売上に影響を及ぼしました。これらの結果、開発売上は9億53百万円となりました。
ロイヤリティ売上につきましては、前期に開発完了した海外向けタイトルを中心に順調に売上を計上することができたことにより、1億97百万円となりました。
しかしながら、次世代ゲーム機器向けタイトルの開発に向けて、各ソフトメーカーに対して受注活動を行ってきましたが、想定以上に進展が遅れ、計画していた開発ラインに大きな空きが生じたことで、急遽新規案件を獲得するための営業活動を行う必要が生じました。前述のとおり各ソフトメーカーが新タイトルの投入に慎重な姿勢をとる一方で、斬新な企画提案を求める状況の中、来期以降に開発完了する大型案件を複数受注することができたものの、上述の空きラインを稼動させることのできる比較的開発期間の短い中小型案件において、受注に至らなかった案件が多数発生し、営業費用を押し上げました。
これらの結果、当事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は、11億51百万円(前年同四半期比43.5%減)、営業利益1億92百万円(前年同四半期比55.6%減)となりました。

モバイル・インターネット開発事業

従来の携帯電話向け小型タイトルにおいてスケジュール変動が発生したものの、iPhone向け3タイトル、SNS向け1タイトルなどを新規案件として開発完了することができました。また、従来の携帯電話向けタイトルで追加作業を受注することができたことにより、小型タイトルと見込んでいた1タイトルを大型タイトルとして計上することができました。これらの結果、開発完了タイトル数は大型10タイトルを含む34タイトルとなりました。
開発売上につきましては、上記の新規案件の受注、さらには既存コンテンツのPad対応作業などの追加作業が発生したことにより好調に推移し、4億37百万円となりました。
運営サイトにつきましては、iPhone向けコンテンツ市場やSNS向けコンテンツ市場へのユーザの流出を受け、顧客である各コンテンツプロバイダにおいて運営サイトが見直された結果、サイトの統合・廃止が発生しました。しかし、その他の既存運営サイトが堅調に推移した結果、運営売上は2億65百万円となりました。また、ロイヤリティ売上は新規、既存サイトともに好調で4億53百万円となりました。
これらの結果、当事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は11億56百万円(前年同四半期比11.9%減)、営業利益2億33百万円(前年同四半期比32.6%減)となりました。

その他事業

モバイル・インターネット事業において計上する予定であったプロジェクトにおいて、業務内容の変更が発生したことに伴って、新たに1タイトルを計上することとなりました。この結果、プレイステーション・ポータブル向けオンライン配信専用コンテンツ2タイトル、Wii向け1タイトル、その他2タイトルを計上することができたことにより、開発完了タイトル数は5タイトルとなりました。開発売上につきましては、Wii向け海外版タイトルの試作品に関する売上を計上することができたことに加え、連結子会社トーセ沖縄において、デザイン作業などの部分作業を中心に、想定していた以上に小型案件を受注することができました。これらの結果、開発売上は3億42百万円となりました。
運営売上につきましては、連結子会社フォネックス・コミュニケーションズでのeコマース事業において想定以上の売上を計上することができた結果、11百万円となりました。
ロイヤリティ売上につきましては、パチンコ・パチスロ関連やカラオケ配信事業において変動が生じた結果、1億22百万円となりました。
これらの結果、当事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は4億76百万円(前年同四半期比42.5%減)、営業利益1億45百万円(前年同四半期比0.9%増)となりました。

4Q

当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の改善や各種経済政策などを背景に、自律的な景気の回復が見られ、企業収益が改善するとともに、個人消費の一部にも好転の兆しが表れてきました。一方で、海外景気の下振れ懸念、為替レート・株価の変動、デフレの影響など、景気を下押しするリスクが強まっており、回復傾向にある雇用情勢についても悪化懸念が残っていることから、依然として厳しい状況にあります。
家庭用ゲームソフト業界では、現行ゲーム機器の普及に一服感があり、次世代ゲーム機器への端境期に当たったことから、顧客であるゲームソフトメーカーにおいて、新旧いずれのゲーム機器にてゲームソフトを開発・販売するかの選定が行われ、新タイトルの投入については慎重な姿勢が示されました。また、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下「SNS」という。)やスマートフォンの普及で、無料や安価なカジュアルゲームが増加し、ゲーム人口を増加させる要因となったものの、同時にそれらカジュアルゲームにユーザが流出する現象が見受けられました。その結果、一部の家庭用ゲーム機器向け有力タイトルやカジュアルゲームにユーザが集中し、全般的にはゲームソフト市場の販売金額は伸び悩む傾向にあり、国内の家庭用ゲーム市場は2年連続で縮小しました。
モバイル・インターネット業界では、iPhone4(アイフォーン4)やXperia(エクスペリア)をはじめとするスマートフォンを各携帯電話会社が相次いで投入したことにより、スマートフォン市場は活況を呈しました。さらには、iPad(アイパッド)が発売されたことにより、画面に直接触れることで操作可能なタブレット端末が注目を集め、コンテンツ開発に乗り出す企業や独自のタブレット端末を開発する企業も現れました。また、SNS向けゲーム市場においては、SNS内でコンテンツを供給するシステム環境が外部企業に開放され新規参入する企業が増加したものの、急激に増加したSNS向けアプリケーションを開発する企業の生き残りを賭けた厳しい競争が始まりま
した。一方で、SNS運営会社や大手ソフトメーカーによる有望ベンチャー企業の買収や出資が盛んに実施され、一部の有力企業に人材と資金が集まる傾向も見受けられました。このような状況の下、いずれの市場においても、小型のカジュアルゲームが多数を占め、収益性の低い小型コンテンツに需要が集中していることから、多くの企業がビジネスモデルを未だ確立できておらず、安定的な収益を確保すべく現時点でも引き続きビジネスモデルを模索している段階といえます。さらに、これらの新市場に従来の携帯電話向けコンテンツ市場からユーザが流出し、従来のコンテンツビジネスを圧迫する傾向も見受けられました。
このような事業環境の変化を受けて、当社グループにおきましても、多くの案件で開発スケジュールの変更が発生し、開発売上に影響を及ぼしました。一方で、ロイヤリティ売上は当期に開発完了した大型タイトルにおいて、想定以上の売上を計上することができました。また、各プロジェクトにおいて作業の効率化を進めることで開発原価の抑制に努め、経費削減にも積極的に取り組みました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は44億87百万円(前連結会計年度比26.4%減)、営業利益1億80百万円(前連結会計年度比61.5%減)、経常利益1億80百万円(前連結会計年度比60.2%減)となり、当期純利益57百万円(前連結会計年度比42.1%減)となりました。

ゲームソフト開発事業

パソコン向け3タイトルにおいて開発スケジュールの変動が発生した結果、ニンテンドーDS向けで大型3タイトルを含む7タイトル、ニンテンドーDSiウェア向け6タイトル、プレイステーション・ポータブル向けで大型2タイトルを含む4タイトル、プレイステーション・ポータブル向けオンライン配信専用ゲーム1タイトル、Wii向け3タイトル、Wiiウェア向け5タイトル、プレイステーション2向け1タイトル、プレイステーション3向け1タイトル、プレイステーション3向けオンライン配信専用ゲーム1タイトル、Xbox360向け1タイトル、XboxLIVE向け1タイトル、パソコン向けに8タイトルの合計39タイトルを開発完了することができました。
開発売上につきましては、前述のスケジュール変動に影響を受けたものの、ニンテンドー3DS向けタイトルの試作品に関する開発売上やプレイステーション・ポータブル向けタイトルの試作品に関する開発売上において、追加開発金を計上することができました。しかし、プレイステーション3向け大型案件の試作品において開発スケジュールの変更が発生し、売上計上が来期以降になったことにより、開発売上は18億96百万円となりました。
運営売上につきましては、当連結会計年度に開発完了したパソコン版SNS向けタイトルの運営業務を新たに計上することができたことにより、4百万円となりました。
ロイヤリティ売上につきましては、前連結会計年度に開発完了した海外向けタイトルを中心に好調に計上することができました。また、当連結会計年度に開発完了したタイトルにおいて、SNS向けゲームの利用者などのライトユーザを取り込むことができたことを受け、想定以上に販売本数を伸ばすことができました。これらの結果、ロイヤリティ売上は3億円となりました。
当事業全体としては、前述の通り当連結会計年度が次世代ゲーム機器への端境期に当たったことにより、顧客による開発プロジェクトの見直しが多数発生し、スケジュールが大幅に変更された案件や開発途中で対象ゲーム機器が変更された案件が複数発生し、大幅な事業計画の見直しを余儀なくされました。また、次世代ゲーム機器向けタイトルの開発に向けて、各ソフトメーカーに対して受注活動を行ってきましたが、当連結会計年度を通して想定以上に進展が遅れ、計画していた開発ラインに大きな空きが生じたことで、急遽新規案件を獲得するための営業活動を行う必要が生じました。前述の通り各ソフトメーカーが新タイトルの投入に慎重な姿勢をとる一方で、斬新な企画提案を求める状況の中、来期以降に開発完了する大型案件を複数受注することができたものの、上述の空きラインを稼動させることのできる比較的開発期間の短い中小型案件において、受注に至らなかった案件が多数発生し、営業費用を押し上げました。
これらの結果、当事業の当連結会計年度の売上高は22億1百万円(前連結会計年度比27.1%減)、営業利益4億63百万円(前連結会計年度比28.4%減)となりました。

モバイル・インターネット開発事業

開発スケジュールの変更や企画内容の変更により開発完了時期に変動が発生したものの、iPhone・iPad向けやSNS向け小型タイトルを中心とした新規案件を複数受注できたことにより、大型タイトル13タイトルを含む62タイトルを開発完了することができました。
開発売上につきましては、前述の新規案件の受注に加え、来期以降に開発完了する予定のSNS向け大型案件の試作品に関する開発売上を計上することができた結果、6億71百万円となりました。
運営サイトにつきましては、iPhone向けコンテンツ市場やSNS向けコンテンツ市場へのユーザの流出を受け、顧客である各コンテンツプロバイダにおいて運営サイトの見直しが行われました。その結果、サイトの統廃合が複数発生しましたが、その見直しも一巡し運営サイト数の下げ止まりが見られました。この結果、運営売上は3億50百万円となりました。
ロイヤリティ売上は新規、既存サイトともに概ね好調で5億77百万円となりました。
当事業全体としては、市場環境の変化によりスマートフォンやSNS向けコンテンツの需要が増し、大型案件を中心としたSNS向け案件やiPhone向け案件が増加しました。しかし、携帯電話内蔵型アプリケーションの開発依頼の減少や、前述の通り運営サイトの統廃合による運営サイト数の減少が見られました。
これらの結果、当事業の当連結会計年度の売上高は15億99百万円(前連結会計年度比12.8%減)、営業利益3億27百万円(前連結会計年度比32.6%減)となりました。

その他事業

パチンコ・パチスロ関連において1タイトル、Wii向け1タイトルにおいて開発スケジュールの変更が発生し、開発完了が来期以降になりました。その結果、プレイステーション・ポータブル向けオンライン配信専用コンテンツ2タイトル、Wii向け1タイトル、その他2タイトルを開発し、開発完了タイトル数は5タイトルとなりました。
開発売上につきましては、新規案件として開発を進めていたWii向けタイトルの中止金や、来期以降に開発完了を予定しているWii向けタイトルの試作品に関して新たに追加開発金を計上することができたものの、前述の開発スケジュールの変更の影響を受けたことにより、5億25百万円となりました。
運営売上につきましては、サーバ運営において売上を計上することができた結果、14百万円となりました。
ロイヤリティ売上につきましては、Wii向けカラオケ配信事業が堅調に推移したことに加えて、来期以降に発生する見込みであったパチンコ・パチスロ関連の売上を計上することができた結果、1億46百万円となりました。
これらの結果、当事業の当連結会計年度の売上高は6億86百万円(前連結会計年度比44.8%減)、営業利益2億9百万円(前連結会計年度比51.3%増)となりました。