1997-2001の任天堂NEWS

Last-modified: 2010-04-16 (金) 00:54:44

1997

任天堂、'96年4月~'97年3月期の決算業績を発表

任天堂株式会社は、'96年4月~'97年3月期の業績を発表した。

 売上高は、3,454億9,400万円で、前期に比べて16.0%増加した。経常利益は1,010億4,000万円で前期比13.7%の減。当期利益は、ベルギーの子会社の整理損、およびフランスとオランダの子会社について子会社株式評価損等を特別損失に計上したため、362億6,900万円と、前期比29.2%の減少となった。

 業務概況によると、新製品立ち上げの影響などもあったが、売上高3,454億9,400万円のうち輸出比率が53.6%(1,850億5,100万円)となり、原価低減や円安による為替損益が発生し経常利益が低下したとしている。

 任天堂広報によると「アメリカのリサーチ会社NPDの玩具市場データ(TRSTS)ではもう来月にでもアメリカにおけるNintendo64とPlayStationのシェアは逆転しそうだ。すでにソフトウェアの売り上げでは260:15と圧倒的強さといえる。日本ではPlayStationが強いが、この勢いで日本でもシェア逆転をねらいたい」ということだ。

 次期の業績については、売上高4,000億円(前期比15%増)、経常利益1,140億円(前期比12%増)、当期利益600億円(前期比65%増)を見込んでいる。

1999

任天堂が次世代コンシューマ機「DOLPHIN」を発表

任天堂が次世代コンシューマ機「DOLPHIN」を発表
■任天堂、次世代コンシューマ機「DOLPHINE」を米国でも発表
 E3の開幕を前に、米国ではなく日本で大きなニュースが電撃的に発表された。任天堂が松下と共同で次世代コンシューマ機の開発を行なうというものだ。もちろんE3会場近くで行なわれたNINTENDO OF AMERICAの発表会でもその話題で持ちきりだ。つい先日、任天堂のヨーロッパ法人の社長がイタリアでその存在を明らかにし、NINTENDO OF AMERICAも存在を認めたため、発表のXデーに関する憶測が乱れ飛んでいた。
 今回の発表会はロサンジェルス、ダウンタウンの中心に位置する巨大な劇場が会場となった。会場内にはポケモンカーが展示され、金色のマリオがお出迎えだ。
 発表会ではまずNINTENDO64の新作「STARWARS Episode I:Racer」、テレビでタイアップのアニメが放映されるなどポケモンで得たメディア戦略を再度展開するアクションゲーム「JET FORCE GEMINI」、そして今年一番の話題作となる「Donkey Kong 64」などがムービーで紹介された。特にSTARWARSの紹介時には実際の映画「THE PHANTOM MENACE」の主人公の少年“アナキン”君を演じる子役の少年が壇上に立ちゲームの宣伝に一役買っていた。続いてゲームボーイカラー関連、ポケモンに関する商品展開に関する説明が終わった後、ついにDOLPHINEは公開された。

 とはいえ、結果的には日本で発表された以上のことは何一つ明らかにはされなかった。ただ米国ではIBMの関係者が壇上に立ち「これまで発表されたどのコンソールマシンのCPUよりもパワフルだ。もちろんPlayStation2よりもだ。ただし、スペックはすごいが値段は安い」といったコメントが聞かれた。また銅配線技術を使っていることが強調され、CPUの名前は「IBM Gekko Processor」という。
 対応ソフトについては語られなかったが、Rare社が開発中のミッキーマウスを主人公としたゲームに関する説明の中で「NINTENDO64とゲームボーイカラー、そしてDOLPHINEでも発売するだろう」といった発言があったため、ミッキーマウスが発売当初のラインナップに加わっていると思われる。

2000

E3開幕直前! 任天堂の米国法人によるプライベート・プレビューショー

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000511/e3_03.htm
2000年後半のゲームタイトルを披露
 E3の開幕を翌日に控える5月10日(現地時間)、任天堂の米国法人であるNINTENDO OF AMERICA(以下、NOA)は、ダウンタウン中心に位置するLos Angeles Theaterを会場に、「Funtastique」と名付けたプライベート・プレビューショーを開催した。2000年後半のNINTENDO64やGAMEBOY Colorの新作タイトルを紹介する催しだが、来場者はプレスのほかにもセールス&マーケティング関係者やソフトウェア開発者など幅広く、イベント色の強い内容になった。
 オープニング早々には、Perfect Darkの“Joanna Dark”がステージに乱入、これを皮切りにして、NINTENDO64、GAMEBOYの新作タイトルが次々と披露されていった。マリオと並ぶスターに成長したポケモン関連では、米国での発売が10月16日に発売が決まった“Gold”と“Silver”の両バージョンで2001年の3月31日までに、1,000万本の発売を見込むなど強気なマーケティング戦略を披露している。サードパーティのタイトルとしては任天堂と関係の深いRAREWAREから「Banjo-Tooie」など4タイトルが紹介されたほか、初めて3Dキャラクターでゲーム化されるミッキーマウスのレーシングゲームなど、いかにもNINTENDO64らしいビッグタイトルを中心にしたラインナップが揃っている。日本では、すでに発売されている「ゼルダの伝説~ムジュラの仮面」も、米国では11月20日に発売される期待の新作となる。

 昨年、この会場でアナウンスされたのが次世代機「DOLPHIN」の投入。ちょうど一年が経過した今回、より具体的な製品内容の発表も期待されたが、GAMEBOYの次世代機である「GAMEBOY ADVANCE」も含めて、わずかに話題にのぼっただけであった。そのほとんどは既知の情報を整理したものにとどまり、唯一変更された点は米国市場で年内投入を目指していた「DOLPHIN」が2001年の前半、「GAMEBOY ADVANCE」が2001年の第一四半期に発売予定となったこと。なお、これら次世代機の詳細については、8月24日から26日まで幕張メッセで開催される「任天堂スペースワールド2000(仮称)」で明らかにされるという。
 これらの機種の投入スケジュールについては、「DOLPHIN」より先行する形になるPlayStation 2と半年余りの差となるが、マーケット的には影響がでないと明言。「GAMEBOY ADVANCE」についても、GAMEBOYからGAMEBOY Colorへの移行を例に挙げて市場は順調に引き継がれるとの見通しを示した。一方で、マーケットの成長率やタイトルの供給状況などでは、たびたびPlayStationやDreamcastが引き合いにだされるなど、PlayStation 2やX-Boxといった機種の登場で激戦となる市場へのさらなる意欲を垣間見せていた。

【5月12日】松下電器と任天堂、次世代ゲーム機を主体とした家電戦略で提携

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990512/dolphin.htm

2001

任天堂など2社、エンターブレインと開発会社を提訴 PS「ティアリングサーガ」が「ファイヤーエムブレム」に酷似

http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010726/emblem.htm
7月25日 発表
 任天堂株式会社と株式会社インテリジェントシステムズは、株式会社エンターブレインと有限会社ティルナノーグを相手取り、不正競争防止法および著作権法に基づき、2億5,830万円の損害賠償とソフトの製造、販売、頒布差止を求める訴えを東京地裁に起こした。同社のゲームソフト「ファイヤーエムブレム」シリーズに、エンターブレインらが開発、販売したプレイステーション用ソフト「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」の内容が酷似しているという。

 任天堂とインテリジェントシステムズは、「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」の内容が同社の「ファイヤーエムブレム」シリーズの著作権侵害に当たる疑いが強いとして、'99年12月以降何度か発売中止と内容変更を求める警告書を送ったが、聞き入れられなかったという。

 訴訟提起の理由について同社では、エンターブレインが「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」の発売1カ月半まで「ファイヤーエムブレム」と名前が酷似した「エムブレムサーガ」の名称で宣伝広告や予約販売を行ない、ユーザーの間に「ファイヤーエムブレム」のシリーズ作品であると混同させたことが不正競争防止法に違反し、登場人物や舞台背景、シナリオ、画面構成、システムなどが、それぞれ「ファイヤーエムブレム」シリーズ作品の著作権侵害にあたることの2点を挙げている。

 「ファイヤーエムブレム」は'90年の発売以来、シリーズ5作品で累計販売数200万本を数える人気シリーズ。一方の「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」は、7月8日現在で345,430本を販売したとしている。

任天堂VSエンターブレイン訴訟の背景
http://homepage1.nifty.com/noise/tssuit.htm
●なんでこんな問題が起こったか、なんでTSがFEに酷似しているのか。それは一人の人物が鍵を握ってるわけです。
●加賀昭三氏。
彼は、かつてはインテリジェントシステムズに所属し、名作SRPGと言われるファイアーエムブレムシリーズをここまで育て上げた最大の立役者です。(もちろんその他のプログラム、サウンド、グラフィック諸々担当のスタッフも優れていたわけですが)
FEシリーズの販売をしている任天堂としても、加賀氏及びインテリジェントシステムズを、自社社員である横井軍平氏や宮本茂氏、任天堂ハード2ndパーティとしてその名を馳せるHAL研などのトップエース達と同等の戦力とみなしていたのではないかと想像されます。
有名になっちゃったわけですね。実際、熱狂的人気を集めている人物、シリーズ、会社でもあります。
●で、まあ、そこらへんから色々あったらしく、「FEトラキア776」を最後に加賀氏はインテリジェントシステムズを去り、自らティルナノーグと言う会社を興します。そして、浜村弘一社長率いるエンターブレインと言う商業上のパトロン(言葉は悪いですが、僕にはそのように思えます)を得ます。浜村弘一氏はゲーム専門誌「ファミ通」の編集長でもあり、また無類のFEシリーズファンとしても知られていますので、そこらへんの関係でティルナノーグとエンターブレインは接近したのでしょう。
そして、加賀昭三氏のティルナノーグとエンターブレインは、今年5/24ティアリングサーガを世に送り出したわけです。
●ま、こりゃ揉めますわな。

ゲームソフト「酷似」認めず、任天堂敗訴 東京地裁

http://www.asahi.com/national/update/1114/030.html
●任天堂全面敗訴。っていうか棄却。
●争点は「著作権法違反」と「不正競争」の二つで、不正競争に関してはかなりeb!側が不利だと思っていたんですが、三村量一裁判長の「エムブレムという表示は、任天堂の商品として周知されていない。登場人物などの複製もない」というなんとも微妙な認識から、このような判決となったようです。
●つーか、ゲーム業界広しと言えどもファイ「ア」ーエ「ム」ブレムなんてブランドは任天堂製品しかないし、ゲーマーの間じゃ結構有名なんだよ!というコトを三村裁判長に教えてあげたいです。
●任天堂は控訴する予定らしいので、今はとりあえず第一ラウンド終了ってな所ですかね。
http://homepage1.nifty.com/noise/tssuit.htm

「ティアリングサーガ」裁判情報のページ

Wikipediaの内容

  • ティアリングサーガに関わる問題

問題の始まりはファイアーエムブレムの開発会社であるインテリジェントシステムズ(以下「IS」と略す)の開発者の一人が、同社を退社して、開発会社ティルナノーグを立ち上げたことにある。ティルナノーグの代表者である加賀昭三は、それまでファイアーエムブレムの開発に深く関わっており「ファイアーエムブレムの生みの親」と見なされていた人物である。

ティルナノーグは、ゲーム雑誌『ファミ通』の発行元でありゲーム販売も手がけるアスキーのバックアップの元で、プレイステーション用ソフト『エムブレムサーガ』の開発を始めた。これに対し任天堂は、著作権侵害として抗議していたが、アスキーから分社したエンターブレインは問題となったソフトの内容を一部手直しした上でタイトルを『ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記』に変更して2001年5月に発売した。

加賀は当初、FEシリーズの完全な続編として「エムブレムサーガ」を作成していたらしく、ファミ通での発表では、「暗黒竜と光の剣」の「チェイニー」が登場すると仄めかし、他のキャラクターも出来る限り登場させたい、などと発言していた。

作品中の主な相似点については、キャラクターや世界観、ゲーム性が酷似していること、ファミ通に掲載された記事でファイアーエムブレムと世界観が繋がっていることを匂わせる記述があったことなどが挙げられる。ただし、「関わっているゲームクリエイターが同一人物である以上、内容に似通ったところが出てくるのは当然」という意見もある。

ちなみに、この作品に参加しているファイアーエムブレムシリーズに関ったスタッフは、前述の加賀昭三と『ファイアーエムブレム トラキア776』のキャラクターデザインをしていた広田麻由美の二名だけで、その他のスタッフはまったく関係が無い。

任天堂とISは、ティアリングサーガの発売を不正競争防止法違反と著作権侵害として販売差し止めと賠償金を求める訴訟をティルナノーグとエンターブレインに対して起こした。その判決内容は以下の通り。

一審判決(東京地裁:2002年11月14日)
任天堂側の請求を全て棄却。
二審判決(東京高裁:2004年11月24日)
著作権侵害は認められず、不正競争防止法違反においては任天堂側の請求が一部認められ、エンターブレイン側に任天堂側へ約7600万円を支払うように命じる。
最高裁判所(2005年4月12日)
任天堂の上告を棄却。二審判決が確定。
裁判所が任天堂の損害として認めたのは、「エンターブレイン側がティアリングサーガをファイアーエムブレムと関係のあるソフトであるかのように宣伝してファイアーエムブレムのブランドイメージを利用した」という箇所のみで、著作権侵害は認めていない。ただし、エンターブレイン側が当初主張した「トラキア776」著作権は「IS」にない、との主張も認められなかった。
http://www.translan.com/jucc/precedent-2004-11-24b.html

この事件以降、任天堂は広報における方針を大幅変更し、それまでファミ通に対して行われていた情報の一番出しを取りやめる等の措置をとった。

またファイアーエムブレムシリーズのメディアミックス展開が大幅に縮小整理された上で、それまで同業他者と比較して各々の制作サイドの裁量権に大らかだった方針も改められ、設定や世界観などを任天堂が強く『公式』を管理するようになった。

なお、裁判の席において、エンターブレイン側陳述等で、同じ開発チームの別作品の例として、ゼノギアスとゼノサーガ、タクティクスオウガとファイナルファンタジータクティクスが引き合いに出されている。今回の裁判では、これらのゲームのように独立したゲームデザイナーが、元の会社で作っていたのと同ジャンルのゲームを作っても、内容に直接関係がなければ著作権的には問題がないと判例として確立したことに意義があるといえる。

2005年5月には、エンターブレインよりティアリングサーガの続編である『ベルウィックサーガ』がプレイステーション2用ソフトとして発売されている。機種が違うとはいえファイアーエムブレムシリーズの「蒼炎の軌跡」とほぼ同時期の発売となり、本家と分家の市場における直接対決となった。また、2007年4月にはエンターブレインより『暁の女神 パーフェクトガイドブック』が刊行され、2001年のファミ通文庫『紋章の謎・下巻』以来、6年ぶりに同社による関連書籍の発売が再開された。