2010年度任天堂Q2

Last-modified: 2010-10-30 (土) 13:37:00

アメリカ

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これは、任天堂がNINTENDO64を発売した1996年以来の各暦年ごとの、ハードメーカー別のハード合計セルスルー台数の推移を、NPDのデータを元にグラフにしたものです。このようなグラフにしてみると、2007年、2008年、2009年の3年間の任天堂のハードの販売台数は、業界の歴史上例のないレベルに到達していることがわかります。昨年の今頃、当社のビジネス規模は前年対比でかなりのマイナスになっていましたが、幸い、年末に販売を伸ばすことができ、このグラフの一番右にありますような結果になりました。
今年、2010年の結果は、年末商戦次第になりますが、任天堂の販売台数、すなわちWiiとDSの合計台数が1500万台を下回ることはないと予想しております。
年末商戦前に「任天堂自身の前年比」だけに注目されるのか、それともこのような流れの中で、市場全体の中での任天堂の存在感に注目いただくかによって、任天堂に対する評価は大きく異なることになるのではないかと思います。|
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以前からご紹介していますが、任天堂では、定期的にゲーム人口の推移を調べています。これはアメリカのゲーム人口の推移です。このグラフにおいて、青でお示ししているのは、過去1年以内に家庭用ゲーム機、これは、任天堂のゲーム機だけではなく、他社さんのゲーム機も含みますが、何かでプレイした経験のある人で、私たちは、アクティブユーザーと定義しています。黄色で示されているのは、かつて家庭用ゲーム機で遊んだ経験をお持ちでも、過去1年間は遊んでおられないお客様で、スリープユーザーと定義しています。ピンク色は、これまで家庭用ゲーム機で遊んだ経験を全くお持ちでないお客様で、ノンユーザーと定義しています。
ちょうど直近の調査の結果が入手できましたが、ご覧のように、夏の間も全人口の62%という非常に高いアクティブユーザー比率が維持できましたが、一方でゲーム人口が伸び悩んでいるように見えると思います。しかし、この中で、DSやWiiを楽しまれている方々を色分けしますと、
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ご覧のようになります。
WiiやDSの販売ペースが落ちていることから受ける印象とは異なるかもしれませんが、アメリカにおけるWiiやDSで遊んでいただいているお客様の拡大は続いております。
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これは、このゲーム人口調査で継続的に調べているWiiとDSを遊んでおられるお客様の数の推移です。アメリカでは、特にWiiを遊んでおられるお客様が順調に増えていて、最新の調査では、ついに1億人を突破しました。
さて、それでは、まず、据置型ハードの販売の推移をご覧いただきます。
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これは、昨年と今年の1~9月のNPDのデータを元に、アメリカ市場で毎月1週間あたり、Wii、PS3、Xbox360が何台売れているのかを示すグラフです。薄い色が昨年、濃い色が今年です。以前にもお話ししましたが、NPDの月別データは、4週間の月と5週間の月がありますので、1週間ごとの平均値としてグラフを作ってお見せしています。
昨年と比較して目立つのは、Xbox360が6月にハードをモデルチェンジしてから、4カ月連続で据置型ハード市場をリードしていることです。Wiiは、3月から8月までは、昨年とほぼ同じような推移でしたが、昨年9月には値下げがあったこともあり、昨年実績との差が少し大きくなりました。
昨年、年末に爆発的に売れたWiiも、昨年の今の時点ではその爆発の兆候はまだ数字には表れていませんでしたし、今年の年末商戦の始まりは遅かった昨年と比べてもさらに遅くなると言われており、直近でも据置型ハードの販売数が大きく伸びてはいないようです。
今年は、昨年にも増して、感謝祭とクリスマスのピークをいかに最大化するかが年間のビジネス規模を例年以上に左右することになると、私たちは予想しています。
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これは、アメリカ市場における2008年から2010年までの1~9月の据置型ハードの販売台数をNPDデータを用いて比較したものです。やはりこのグラフでも、この時期のXbox360の変化がわかります。今年に入ってからの販売量は、WiiとXbox360はほとんど同じになっています。
昨年と同様に、年末商戦でWiiの勢いを再び取り戻すことが、私たちが年末商戦で目指していることです。
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こちらは、アメリカにおける据置型ソフトの販売本数の推移です。
アメリカでは2008年まで急激にゲーム市場が拡大した反動もあり、前年に引き続き、対前年比マイナスの状況が2年続くことになりました。
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市場全体の据置型ソフト総本数が伸びていないため、Wiiのシェアは、2年前と同じ34%を維持しているのですが、今年はヒット作がコンスタントに出ているXbox360が市場シェアで同じく34%になっており、数量では若干Wiiを上回っています。
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Wiiの「勢い」を判断する別の視点として、これまでアメリカで最も売れた据置型ゲーム機であるソニーさんのPS2の販売推移とWiiの販売推移を比較してみました。それぞれのハードが発売されてから年末商戦が4回終わった時点での累計販売台数を左上のグラフのように比較しても、その右のグラフのようにWiiの今年の1~9月の販売数とPS2の発売後5年目の1~9月の販売数を比較しても、そして発売後累計販売台数の推移を下のグラフで比較しても、Wiiが5回目の年末商戦を迎えるゲーム機として、決して勢いがないわけではないということはおわかりいただけると思います。
ちなみに、PS2の5年目の実績を、4年目と同じく23%上回るのに必要なのは、Wiiを年間に570万台売ることなのですが、これは余裕を持って上回ることができるのではないかと思っています。

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次に、これは、昨年と今年のアメリカ市場における、毎月1週間あたり、DSとPSPが何台販売されているかを比較したものです。
DSは2月、3月こそ昨年対比でプラスでしたが、4月以降は昨年に対して大きなマイナスになっています。この数字は、商戦期以外の季節に売れるゲーム機の販売推移としては決して低い水準ではありませんが、ここ数年、規模を拡大させていたDSハードの市場規模が縮小に転じているということは事実です。
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これは、2008年から2010年にかけての、アメリカ市場における携帯型ハードの販売台数の推移です。
1~9月のDSの販売ペースは昨年対比でマイナスになっていますが、その一方で、DSハードの市場シェアは、昨年の81%から、今年は83%に増加しております。
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一方、これは、アメリカ市場におけるソフトの販売本数の推移を比較したものです。
ハードと同じように、販売数では前年を割り込んでいますが、
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全体の比率で見ますと、DSのソフトシェアはより高まっていることも事実です。
もちろん、数量が減少している中、シェアが高まったことに満足している場合ではなく、また、ハード普及がこのような段階に達すると、年末の需要期に、いかに残された潜在需要を実際の販売につなげるかということが重要になってまいります。
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携帯型、据置型共にソフト市場が縮小しましたので、ソフト市場全体は、2年連続で前年割れとなってしまいました。
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ソフト全体を3社のハードメーカー別のシェア推移で見ますと、任天堂は昨年よりわずかに市場シェアが低下しましたが、
DS・Wiiのソフト販売数が減少しているにも関わらず、当時、市場全体が健全に推移していた2008年時点でのシェアと比べても、任天堂プラットフォームのシェアが若干高まっているというのは、実は意外に思えるのではないでしょうか?

欧州

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これはヨーロッパの据置型ハードの販売状況です。 これは、任天堂が、各国の調査会社さんのデータを元に推定しているものです。
Wiiは、夏までは昨年と同程度の水準で推移しましたが、直近はあまり良い状態ではありません。Xbox360はモデルチェンジしてから、特にUK市場を中心に昨年よりよく売れています。PS3は、前年対比で良い状況が続いていて、直近では市場をリードしている状況です。
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これは、2008年から2010年までの1~9月の据置型ハードの販売台数を、イギリス、フランス、ドイツ、スペインの4カ国の各国の調査会社さんが発行しているデータを任天堂で集計して比較したものです。ヨーロッパ全体の市場のうち、この4カ国の市場規模は、約75%から80%程度になりますので、これら4カ国の集計結果でヨーロッパ市場の傾向をお話ししていきます。
昨年まで、アメリカとヨーロッパの市場規模を比較していただくために、スケールをそろえて表示していましたが、この2年でアメリカの市場規模との差が逆に大きくなってしまいまして、グラフが見にくくなりましたので、今回から独立したスケールにしました。
ヨーロッパでは、アメリカのようにXbox360が顕著に伸びているということは起こっていません。販売数での対前年比では、Wiiがマイナス、Xbox360、PS3は共にプラスですが、一方でWiiが最も売れているトップシェアの据置型ハードであるということは変わっておりません。

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こちらは、据置型ソフトのこの3年間の1~9月の販売数の推移です。
ハードと同じように、Wiiは前年対比でマイナスとなり、据置型ソフト市場全体の規模においては、この3年間、ほぼ同水準で足踏みが続いています。
ヨーロッパにおける据置型ソフトの市場規模は、アメリカに比べてまだ半分強というところです。ハードの普及台数を考えると、もう少しソフトも一緒に売れてもいいはずなんですが、ビデオゲームの社会受容性の違いなども含めて、まだ、市場拡大の余地があるということではないかと思います。

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PS2のソフトシェアがPS3のソフトシェアに置き換わったこともあって、ヨーロッパでのWiiのソフトシェアは、今年、これまでのところは、PS3を若干下回っています。

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これは、ヨーロッパの携帯型の推移です。
今年のニンテンドーDSは、市場をリードしてはいるものの、昨年春にニンテンドーDSiが発売されたときの勢いに追いつくことができずに、直近も、前年並というところです。
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これは、ヨーロッパ主要4カ国の携帯型ハードの販売台数の推移です。
DSハードの販売台数は、2年連続して縮小しています。
減少率には国によって違いがあり、特に減少幅が大きいのは、イギリスやスペインです。フランスやドイツは相対的に減少幅は小さくなっています。

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一方、これは、ヨーロッパ市場におけるソフトの販売本数の推移を比較したものですが、ヨーロッパは、携帯型ソフト市場が一度急拡大し、アメリカに匹敵する規模に近づきましたが、据置型ソフトがこの2年、市場規模を維持しているのに対して、携帯型ソフト市場は、市場規模を維持できていません。
このようなヨーロッパの携帯型ソフト市場の変化について、マジコンに代表される海賊行為を助長するデバイスの影響が大きいという説明がなされているようです。最近になってマジコン等の違法性を認める判決がヨーロッパ各国で相次いで出されるようになりましたが、確かにヨーロッパでは、このようなデバイスの普及により、海賊行為が先進国の中では最も広がってしまったということは、市場規模に影響はしていると思います。その一方で、今でも、DSでヒットしているソフトはあるわけですから、ソフト市場の変化を、単純に海賊行為のみが主要因と考えるのは早計だと考えています。
DSのソフトなら何でも売れていた、そういう時期が終わり、売れるものと売れないものの差がはっきりと表れるようになって、市場の中で淘汰が進んだことと、海賊行為の広がりが同時に起きたこと、そして、任天堂自身が、爆発的な勢いで普及した『nintendogs』や『脳トレ』の次の一本となるべきソフトをお客様にお伝えしきれなかったという反省点など、複数の要因がからんで起きていることではないかと私たちは考えています。

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DSのソフトシェアは高いまま維持されているのですが、これだけ急激に市場が変化している中、ソフトシェアが維持されてさえいれば健全であると考えているわけにはいきません。
もう来年にはニンテンドー3DSを発売することになりますが、ニンテンドーDSについても、マジコン等への法的、技術的対策を充実させると同時に、巨大な普及台数を活かして、ヒットタイトルを生み出すことで状況を変えていきたいと思います。
今年3月発売の『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』はロングセラーとなって、『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』の販売ペースを追い抜く勢いで推移していますし、『ドラゴンクエストIX』も日本とは異なる息の長い売れ方で少しずつ数を積み上げています。日本では『絵心教室DS』として発売された『アートアカデミー』は、想定以上の出足で、一部の地域で品切れになるほどで、まだまだ上が狙えそうですし、直近に発売した3作目の『レイトン』も、ヨーロッパ地域で170万本以上セルスルーしている前作と同レベルの初動となっていて、これからが期待できそうです。

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据置型、携帯型両方を合計すると、先ほどもお話ししたように、据置型ソフトは市場規模が維持されているものの、携帯型ソフトは市場規模が縮小してしまったために、全体としてソフト市場規模は小さくなってしまいました。

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任天堂プラットフォームのソフト市場シェアは、DSもWiiも共に本数が減ったことから、今年は減少して、アメリカの市場シェアを2%下回ることになってしまいました。

日本

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これは、メディアクリエイトさんのデータに基づく、日本市場の据置型ハードの販売状況を示すグラフです。
今年に入ってからしばらくの間は、昨年以上のペースで推移しましたが、昨年秋にハードの値下げなどで盛り上がりがあった時期に比べると、直近の販売数は低い水準になっています。特に、直近のWiiの販売ペースは特に低くなっており、発売以来最も低い水準になっていますが、この背景には、来月、Wiiリモコンプラスを同梱したパッケージへ変更することを、今月前半にアナウンスしたことも影響していると思います。ただし原因はどうであれ、現在の水準は低く、年末に向けて状況を変えなければならない状況です。

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これは、日本における今年1月から直近週までの、据置型ハード販売数の過去3年間の推移です。
昨年、Wiiの落ち込みが大きくクローズアップされましたが、ここまでのところは、今年は、昨年対比で若干のプラスになっています。PS3も昨年に対して伸びています。この結果、今年は、Wiiの市場シェアが46%、PS3が45%とほぼ拮抗しています。
どちらのハードも年の前半の好調さで昨年実績をクリアしている状況ではありますが、昨年の年末のように、新たにハードを牽引するダブルミリオン級以上のソフトの発売が予定されているわけではありませんので、先行きは楽観できません。

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こちらは、日本の据置型ソフトの販売本数の推移です。
現在の日本の据置型ソフト市場は、アメリカやヨーロッパの市場と比較して市場規模が小さいんですけれども、今年は、昨年と異なり、対前年比でプラスになっています。

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据置型でのWiiのソフトシェアは若干あがって50%、PS3はPS2の減少分をカバーして大きく伸ばし42%になりました。

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続いて、携帯型の市場についてお話しします。
こちらは、日本の携帯型ハードの販売状況の推移です。DSについては、昨年夏の『ドラゴンクエストIX』や『トモダチコレクション』に相当するような、ハードを強力に牽引するソフトがなかったこともあり、9月中旬までDSハードが前年を下回る状況が続いていました。しかし、史上最速のペースでの販売が続いている『ポケットモンスターブラック・ホワイト』の発売によって、ハードの状況も変わってきていることがわかります。
日本は世界でも最も速く新しい商品に向けて需要がシフトしやすい市場でもあるため、ニンテンドー3DS発表の影響も受けていると考えられます。

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これは、日本市場における2008年から2010年までの1月から直近週までの携帯型ハードの販売台数を比較したものです。
先ほどお話したように、9月の『ポケットモンスター』最新作発売まで、DSハードは前年に比べて販売ペースが落ちていましたので、DSハードは前年対比でマイナスになっています。

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これは、日本市場におけるソフトの販売本数の推移を3年間同時期で比較したものです。
先ほどもお話ししたように、昨年は、この時期までに複数のヒット作が市場を牽引していましたが、今年は『ポケットモンスターブラック・ホワイト』まで、DSに大ヒットソフトがなかったことも影響して、前年実績を割り込んでいます。これに対してPSPは、海外市場と異なり、多くの新作タイトルがリリースされる独自の市場環境となっており、前年実績を上回る推移となっています。

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そのような背景もあって、携帯型の中でのDSのソフトシェアは、下がってしまいました。アメリカやヨーロッパでは、ほぼ8割以上のシェアがありますので、日本だけは、携帯型ソフト市場は大きく異なる状況になっています。
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これは、日本の据置型・携帯型を合わせたソフト全体の販売本数の推移です。
昨年と対照的に、市場全体は昨年対比若干のプラスとなっています。

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ソフト全体を3社のハードメーカー別のシェアの推移で見ますと、DSソフトの販売数が減少したことも影響して、任天堂プラットフォームのシェアは前年を下回る状況です。

ミリオンセラータイトル

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まずは、ニンテンドーDSです。
全世界の出荷ベースで100万本を超えたDSタイトルは、今年9月までの累計で、任天堂・ポケモンのタイトルが1タイトル増えて46タイトル、ソフトメーカーさんのタイトルが10タイトル増えて79タイトルとなりました。
ここでのミリオンタイトルのカウントでは、同時発売された『ポケットモンスター』の色違いバージョンは1タイトルとして数えていますのでご注意ください。

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Wiiについても、全世界の出荷ベースで100万本を超えたタイトルは、9月末までの累計では、任天堂・ポケモンのタイトルが2タイトル増えて24タイトル、ソフトメーカーさんのタイトルが3タイトル増えて60タイトルとなりました。
ちょうど1年前の2009年9月末に、DS向けのソフトメーカーさんのミリオンタイトル数が60タイトルでしたから、2年遅れて発売されたWiiは、期間的には1年短い期間で、ソフトメーカーさんのミリオンタイトル数が同じ60タイトルに到達したことになるわけです。
日本の市場だけを見ておられる方には、「DSはともかく、Wiiで売れているのは任天堂のタイトルばかり」という印象をお持ちの方も多いのですが、世界全体で見ると、「DSよりむしろWiiの方がサードパーティのソフトメーカーさんのミリオンタイトルの登場ペースが早い」というのが事実です。ただし、ソフトメーカーさんのミリオンタイトルは60タイトルあるといっても、そのひとつひとつはヒットチャートの上位に見えてくることがまれで、代表的なソフトが次々とヒットチャートに登場するという流れにはなっていないために、なかなか印象が変わらないということがあるかもしれません。この点では、私たちにも今一層の努力が必要ですし、ニンテンドー3DSでは、早期にこの壁を乗り越えたいという決意は、先日のカンファレンスでも申し上げたとおりです。
さて、ここで、各地域の今年のヒットチャートをご覧いただこうと思います。

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これは、アメリカの今年の9月までのソフト販売上位の20位までのヒットチャートです。
任天堂プラットフォームのタイトルが9タイトル含まれていますが、『ポケモン ハートゴールド・ソウルシルバー』と『スーパーマリオギャラクシー 2』以外は、昨年以前に発売されたタイトルです。特に、DSの『New スーパーマリオブラザーズ』は、2006年に発売されたタイトルです。一方で、他社のプラットフォームでは、『CALL OF DUTY: MODERN WARFARE 2』以外は、今年発売されたタイトルです。初動中心のタイトルが多い任天堂以外のプラットフォームと、定番のロングセラー型のタイトルが多い任天堂は対照的であると言えます。また、アメリカでは、Xbox360のタイトルの存在感が大きいことも特徴で、マルチプラットフォーム展開されているソフトでは、PS3バージョンよりも上位になることが多いことも特徴になっています。
また、今年5月の決算説明会でご紹介したUbisoftさんの『JUST DANCE』が9位にランクインしています。このソフトは、昨年年末に発売された時は小さな初動でしたが、その後、このようなロングセラーになっています。任天堂プラットフォームで数を伸ばすタイトルは、このような動きをするものが多いようです。

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少し細かくなりますが、ヨーロッパの市場を国別にご紹介します。これは、ドイツの今年9月までのソフト販売上位20位までのヒットチャートです。
ご覧のように、任天堂プラットフォームのタイトルが11タイトルあり、アメリカ以上にトップ20にDSタイトルが多いのが特徴です。その一方で、アメリカと大きく異なり、20位までにXbox360タイトルはありません。

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これは、フランスの今年の9月までのソフト販売上位20位までのヒットチャートです。
フランスは、任天堂プラットフォームのタイトルがトップ20に多く含まれていて13タイトルあります。ここでも、Ubisoftさんの『JUST DANCE』が6位にランクインしています。フランスもXbox360のタイトルが少なく、アメリカと異なり、マルチプラットフォーム展開のソフトでも、PS3バージョンがリードしているようです。

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これは、スペインの今年9月までのソフト販売上位20位までのヒットチャートで、任天堂プラットフォームのタイトルは9タイトルあります。スペインは、伝統的にソニーさんが強いマーケットで、Xbox360タイトルがチャートには含まれていません。

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これは、イギリスの今年9月までのソフト販売上位20位までのヒットチャートです。任天堂プラットフォームのタイトルが6タイトルと、今回紹介する市場の中で、もっとも少なくなっています。
先ほどから話題にしておりますが、『JUST DANCE』は、今年に入ってからの全プラットフォームで首位になっています。その一方で、DSが20位までには存在しません。今、イギリスの市場は、お客様の関心が据置型中心になっているように思えます。
ちなみに、イギリスの特徴は、Xbox360の存在感がアメリカ並みに大きな市場であって、マルチプラットフォームタイトルがXbox360優位になっているという点です。この点では、ドイツ、フランス、スペインと大きく異なることが特徴になります。

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これが、日本の先週までのソフト販売上位20位までのヒットチャートです。
13タイトルが任天堂のプラットフォームですが、Wiiは任天堂タイトルしかチャートに入っていませんが、DSにおいては、任天堂やポケモンだけではなく、ソフトメーカーさんのタイトルも多く含まれていることがわかります。また、日本においても、任天堂プラットフォームでは、長期にわたって売れ続けるソフトが多いことが特徴になっています。PSPのタイトルがチャートの上位に多く含まれているのは海外市場には見られない特徴で、日本市場が独自の状況になっているということがおわかりいただけると思います。

年末商戦の見通しについて

昨年に比べて勢いがないWiiやニンテンドーDSが年末に期待通り売れるのか? という懸念です。
もちろん、未来のことはわかりませんが、私たちは、通期の業績予想を見直す上で、昨年の年末商戦から学んだことも含め、自分たちなりにベストを尽くして計画をつくりました。確かに、足下の状況は楽観を許さない状況ですが、その一方で、

今年は、昨年以上に季節性の強い年末商戦期になることが予想されますので、現状の販売ペースをもとに過去実績に基づいて考えることには、あまり意味はないのではないかと思っています。このことは、私たちだけが考えているわけではなくて、世界各国の大手小売店さんとの商談においても、小売店さん側も同じように考えておられるとお聞きしています。
例えば、「Wiiが失速した」と言われていた昨年夏から秋にかけて、いくらハードの値下げをしたといっても、その年の12月にアメリカで月間381万台の販売というハードの月間販売台数の新記録が生まれることになろうとは、足下の状況をいくら見ても予測できなかったわけで、季節性の強い年にはこういうことも起こりうるわけです。
ニンテンドーDSやWiiは、これまでの販売数量から考えて、欲しいと感じていただけた時にすぐに購入いただけるタイプのお客様には既にある程度行き渡っていると考えられますから、これからは、欲しいと感じていただけていても、何かのきっかけがないと購入には動かれないお客様に、いかに実際に購入いただくかが重要になってまいります。その上で、年間を通じた最大のチャンスが年末商戦期ということになります。また、ここ数年の傾向として、商戦期に小売店さんがお得なオファーを出されることを、お客様は年々学習されて、我慢強くオファーを待たれる傾向もありますから、その意味でも、経済環境が厳しく節約ムードがある中で、よりこの傾向は強くなると思います。
しかし、いくら年末商戦期の需要が盛り上がるとしても、今年は昨年のような強力なタイトルが存在しないのではないか、とお考えの方もおられるかもしれません。

そこで重要になるのが、任天堂プラットフォームの特徴である、長期間売れ続けるソフトの存在です。
もし、今年の年末商戦期に売れるのが今年発売のタイトルだけということになれば、特にWiiでは確かに昨年のタイトルに比べて弱いということになるかもしれませんが、私たちは、昨年以前に発売されたタイトルの中に、今も大きなポテンシャルを残しているソフトがあると考えています。ちょっとこのグラフをご覧ください。

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これは、現行ハード向けソフトの累計販売本数上位20タイトルを示すグラフです。
このグラフの水色が任天堂プラットフォームのタイトル、緑色がマイクロソフトさんのプラットフォームのタイトル、グレーがソニーさんのプラットフォームのタイトルです。他社さんのプラットフォームでは、『CALL OF DUTY』4タイトル、『Grand Theft Auto』、『HALO』が並んでいます。これ以外は任天堂のタイトルです。
ここで重要なのは、先ほどもソフトのヒットチャートのところでご説明したように、任天堂プラットフォームでは、発売後数年経っても売れ続けるソフトの存在感が際立っているということにあります。

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これは、先ほどのグラフを、発売3カ月、発売12カ月、そして累計販売数で色分けしてみたものです。3カ月の初動というのは、発売が商戦期であるかどうかの影響も受けますので、発売3カ月で売れた割合だけで、単純に初動型かそうでないかということを判断するわけにはいきませんが、発売12カ月経過してからの伸び方を見ていただくと、先ほどのソフトのヒットチャートのところでご説明したように、任天堂プラットフォームでは、発売後数年経っても売れ続けるソフトの存在感が際立っていることがおわかりいただけると思います。昨年発売した、『Wii Sports Resort』や『Wii Fit Plus』、『New スーパーマリオブラザーズ Wii』などは、発売されてからまだ日が浅く、まだ発売12カ月以降のところが目立ちませんが、過去の任天堂タイトルと同じように、これからも売れ続けることが期待できますし、今年発売の『スーパーマリオギャラクシー 2』や『Wii Party』なども、こういう売れ方になることを期待しています。
なぜ、任天堂のプラットフォームだけ、長期間同じソフトが売れ続けるのかということを疑問に思われるかもしれませんが、それは、私たちの推進してきたゲーム人口拡大戦略によって、任天堂のプラットフォームには、新しくゲームを始められるお客様が多いことがその理由になっているのではないかと考えています。ゲームに詳しいお客様にとっては、「一昔前に発売された旧作のソフト」としてみなされる任天堂の定番ソフトですが、新しく入ってこられたお客様にとっては、「新作ソフトと同じ価値を持ち、安心感を持って遊んでいただける」という構造になっているわけで、年齢・性別・ゲーム経験の有無を問わず遊べるという任天堂ソフトの特徴が、ここでお客様に選んでいただける理由になっているのではないかと思います。

このようなソフトのひとつの代表が、『スーパーマリオ』シリーズですが、この年末、任天堂は、スーパーマリオ25周年を記念したキャンペーンを展開中です。

先週、日本で発売した『スーパーマリオコレクション スペシャルパック』ですが、初週で約31万本を販売し、好調なスタートを切りました。年内に、海外市場でも順次展開していきます。

また昨日、スーパーマリオ25周年記念バージョンのニンテンドーDSi LLハードを発売しました。
ヨーロッパでは10月22日より発売しており、アメリカでは11月7日に発売予定になっています。

そして、Wiiハードでも、スーパーマリオ25周年のバージョンの赤いWiiハードを発売します。
この赤いハードには、Wiiモーションプラスの機能を統合したWiiリモコンプラスが同梱されます。
日本では11月11日に、アメリカでは11月7日に、ヨーロッパでは本日10月29日にそれぞれ発売予定となっています。

さて、ちょうど、今日発表させていただいたところなのですが、任天堂では、据置型ゲーム機「Wii」をインターネットに接続することで無料で利用できる動画配信サービス「Wiiの間」を11月1日よりリニューアルして、ショッピングサービス「Wiiの間ショッピング」を新たに機能追加いたします。
「Wiiの間ショッピング」はWiiの間のオリジナル商品に加えて、モール形式で参加する出店企業の商品で構成され、運営は任天堂の子会社であるWiiの間株式会社が、株式会社千趣会様と共同で行います。
スタート時の参加企業様は、株式会社千趣会様、株式会社千趣会イイハナ様、シャチハタ株式会社様の3社ですが、株式会社三越伊勢丹ホールディングス様をはじめ、複数企業の出店を今後予定しております。
日本を代表する百貨店様と総合通販の知見を活かし、新しいお茶の間ショッピングのスタイルをお客様と一緒に創っていくということを目指しています。

テレビショッピングもネットショッピングも、決して珍しいものではありませんが、Wiiの間ショッピングでは、
(1) Wiiリモコンを使った簡単操作で、テレビモニターを通して24時間いつでもショッピングが楽しめること、
(2) PCのネットショッピングと異なり、大画面テレビの画面を家族で共有しながらショッピングが楽しめること、
(3) Wiiの間ショッピングでしか買えないオリジナル商品に加え、「食品」「日用品」「ファッション」「家具」など、常時1万点以上の品揃えがあること、
(4) おすすめ商品については、ユニークな商品紹介映像を見ながらショッピングが楽しめること、
(5) 決済方法は「クレジット」「コンビニ先払い」「代引き」の3つの手段に加えて、「コールセンターでの電話注文」が可能なことなどを特徴としています。
ネットショッピングにおいて、コールセンターで電話注文するというのは、なにか前時代的に聞こえるかもしれませんが、世の中には、ネットショッピングに興味はあっても、まだまだ抵抗がある方々が大勢いらっしゃることも事実です。そういった潜在的なネットショッピングユーザーの方々にも安心してお買い物をしていただけるように「会員登録」「ログイン」「パスワード」等の必要のない「コールセンターでの電話注文」を可能にしています。
このように、これまでのネットショッピングを経験しておられない方々にも安心してご利用いただける「新しいお茶の間ショッピング」を目指しています。

これは、Wiiの間ショッピングでしか買えないオリジナル商品の一例ですが、Miiのシールやスタンプを注文できるようになります。
また、この機会に「Wiiの間」サービスを全面的にリニューアルしますので、ショッピング機能の追加のほかにも、これまでのサービスを通じて得られた経験をもとにして、さまざまな改善を図ります。
年齢、性別、ゲーム経験の有無を問わず、家族誰もが楽しめるWiiというゲーム機だからこそできるサービスを充実させ、Wiiが人と人をつなぐコミュニケーションのお役に立ち、Wiiが常に稼働している状態を維持することで、ゲーム機としてのWiiもより活用いただけるようになり、当社の長期的課題である、ゲームの社会受容性を高める、ということが実現できるのではないかと考えています。

最後に、ちょうど1カ月前の任天堂カンファレンス2010で、発売日や価格についてご説明したニンテンドー3DSについてですが、今日、少しだけ追加でお話ししたいことがあります。

カンファレンスでは、ニンテンドー3DSのデジタルコンテンツをダウンロード販売するショップにおいて、販促と販売の機能を統合したことと画面の切り替えなどを高速にし、軽快なレスポンスを実現したということをお話ししました。
これは、Wiiの例で言えば、「Wiiショッピングチャンネル」と、「みんなのニンテンドーチャンネル」が統合されたイメージで、軽快な画面切り替えによって、買いたいソフトがなくても、気軽に立ち寄って、ウィンドウショッピングが楽しめるような構造にすることで、ダウンロードビジネスも、パッケージビジネスと並行して健全に成長させたいと考えているからです。
カンファレンスの際には、時間的な制約もあってお見せできなかった、ショッピング操作のデモを用意してきましたので、ご覧ください。

※画面は開発中のものです。ショップを起動すると、テーマ別の棚を選べるようにしました。ご覧のとおり、画面の移り変わりもスムーズになりました。
棚の中には、そのテーマごとのソフトが並んでいます。
ソフトを選ぶと、詳細情報、ムービー、体験版ダウンロード、みんなの声などの機能が選べます。
詳細情報を選ぶと、Wiiのみんなのニンテンドーチャンネルと同様に、ソフトに関する説明や、お客様のプレイ状況などの情報が表示されます。ここから製品のホームページにジャンプすることもできます。
ムービーを選べば、ソフトを買う前に、どんなゲームであるかを紹介するムービーなどを見ることもできます。
ソフトの棚以外にも、新作や上位ランキングのソフトを並べた場所や、ソフトを探したり、ソフトのおすすめの投票をしたりする機能もあります。
ニンテンドー3DSでは、パッケージソフトの展開はもちろん、デジタルコンテンツのダウンロード販売についても、新たな可能性を追究していきたいと思います。

さて、最後にお話ししたいのは、カンファレンスでもお話しした、ニンテンドー3DSが普及するためには、これまでのゲーム機にはない、新たなハードルを越えねばならないという話についてです。
そのハードルとは、

眼鏡のいらない立体視、3D表示は、実際に体験しなければその価値を実感できないということでした。
このことは、任天堂カンファレンスにご来場いただいたみなさんの反響と、発表をインターネットなどを通じてご覧いただいたみなさんの反響に、大きな違いがあったということでも、改めて浮き彫りになったと実感しています。

先月の任天堂カンファレンスの時点では確定していなかったので、その時にお話しすることはできなかったのですが、来年1月8、9、10日の3日間、幕張メッセの展示ホール5において、ニンテンドー3DSの紹介ならびに体験を目的とした、お客様向けの体験イベントを実施することになりました。詳しいことは後日任天堂のホームページでお知らせしますが、裸眼立体視による新しいゲームとはいかなるものなのか、従来のニンテンドーDSとどう変わるのか、どんなソフトがハードの発売時、ならびにその近未来に用意されているのか、ということなどを、お客様に直接ご紹介させていただく機会としたいと考えています。
現時点では、任天堂単独のイベントをこれ以外に開催する予定はありませんが、首都圏にお住まいの方以外にも発売前に体験いただけるようにするために、この幕張でのイベントに引き続き、実際に発売前にニンテンドー3DSに触れていただく機会を用意するべく、いくつかの取り組みを計画しておりますので、具体的にお知らせできるようになった時点で、随時お知らせしていく予定です。

私からは、以上です。
ご清聴、ありがとうございました。