MSNEWS2000-2004

Last-modified: 2010-10-17 (日) 20:56:04

2000

Game Developers Conference 2000レポート第3弾 ビル・ゲイツ基調講演「ライバルはPlayStation2!」

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000313/gdc4.htm
■3,000人を前にX-Boxを披露

ゲイツの基調講演を聞こうと詰めかけた観客で満員の会場
 開場後、3,000人の収容人数を持つというシビックセンターは、ほぼ満席に。そしてその満場の観客がいまかいまかと待ちうける中、ゲイツ氏は予定より約10分ほど遅れて登場。まず最初に彼が切り出したのは、“コンピューターゲームマーケットがまだまだ成長過程にある”といった、言ってみれば差し障りのない話だった。その後も20分ほどの間は、新しいバージョンのDirectXについてなど、PCに関する話題が取り上げられた。いい加減、観客が焦れているのを察したのか、彼はこういった。
「それではコンソールの話をしましょうか?」
すると、満場の拍手。みんな、この話を待っていたのだ。

マイクロソフト、コンシューマゲーム機「X-Box」を遂に発表

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000310/xbox.htm

会場に展示されていたX-Boxのデモ機。ほんとうに“X”の形をしているとは……
 マイクロソフト株式会社は3月10日、都内で「新規ビジネス」に関する記者会見を開き、かねてから噂のあった同社のコンシューマゲーム機「X-Box」の開発表明を行なった。発売は2001年秋を予定している。発売日に関してはこれ以上詳細な発表はなかったが、発表の中でたびたび「準備に18カ月を用意した」との発言が目立った。

 会場で公開されたデモ映像はプレイステーション2発表時に流されたものと同じく花火の映像が公開され「このクオリティに達するのにあまり時間はかからなかった。大学の研究生で3時間程度でプログラムできる」とし、ライバル意識をちらりと覗かせた(米Microsoftに掲載されたニュースリリースでは、ズバリ、プレイステーション2との比較データが掲載されている)。このほかにも実写背景と水のシーンの合成や、ピンポン玉が他のボールにぶつかりそれぞれが違った方向にはねていくシミュレーション、多くの蝶がバラバラに動きながらも1つの文字を形成していく映像などが公開された。これらは会場内のデモ機でリアルタイムに実行されていた。

 X-Boxは一部で「ゲーム機の開発はPCメーカーが行ない、サードパーティからはライセンシーを取らない」といった報道があったが、今回マイクロソフトから発表された内容は異なる。「X-Boxはマイクロソフトが製造、販売し、流通させる。ライセンシーに関しては“従来のビジネスモデル”を踏襲する」としており、ライセンシーを取るとは明言しなかったがビジネスモデルとして考慮されているようだ。発表会ではコナミ株式会社の上月影正会長兼社長の参入表明ビデオレターが流されたほか、リリースにはナムコ、カプコン、コーエー、ハドソン、Electronic Arts、ディースリー・パブリッシャーなど各社の支持表明コメントが掲載されている。
 X-Box本体の価格に関しては「未定」としている。価格に関してのコメントを求められたマイクロソフト側は「我々は、価格が成功の障害になるとは考えていない」としており、発売直後のプレイステーション2程度を考慮しているのではないかと考えられる。

追い詰められてX-Boxを発表したMicrosoftの裏事情

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000317/kaigai01.htm

●PCゲームとゲーム機の長い戦い
 Microsoftが、X-BoxでPlayStation2に挑むのは必然だ。他に選択枝はなかった。Microsoftにしてみれば、どうにもならない力でPlayStation2の前に押し出され、苦し紛れにX-Box戦略を出すことになったのだ。

 日本はゲーム機大国なので、Microsoftがゲーム機と言い出してもそんなに不思議がないように見える。しかし、PC大国アメリカでは事情が違った。それは、以前はPCこそがゲームプラットフォームだったからだ。

 米国では、家庭用ゲーム機はアタリのVCSが切り開き、'80年代にはやはり任天堂がファミコン(米国ではnintendo entertainment system:NES)が大流行した。「ニンテンドーキッズ」という呼び方ができたほどで、ゲームプラットフォームは一時はゲーム機が優勢だった。しかし、'93年から'96年にかけて、世界的にゲーム機が売れない時期が来る。このあたりから風向きが変わり、米国では、PCの普及にともない着実にPCゲーム市場が拡大していった。いや、その前から米国ではPCゲームはふくらんでおり、PCゲームが縮小してゆく日本と決定的に差が開いていったのはこのあたりからだった。

 そして、Microsoftは、Windows 95のリリースと同時に、この新OSをゲームプラットフォームとして売り込む。DirectXを用意してゲームデベロッパーを誘い、ネットワークゲームといったビジョンで新しい展開を開かせた。Windows 95上へすんなりゲームが移行したわけではなかったが、それでも米国ではPCゲームはどんどん興隆した。また、ゲーム機にしても、もうゲーム専用機の時代は終わり、これからはマルチメディア機器だみたいな話で盛り上がった。大コケした3DOなどはその流れで登場する。

●PlayStation以降、ゲーム機がどんどん優勢に

 ところが、PlayStationがその流れを変えてしまう。まず、日本では、32ビットゲーム機時代になってからは、完全にゲーム機優勢で、国産パソコンゲームと言えば「Hゲー」ばかりという状況になってしまった。

 米国ではPCゲームが全盛だったために、日本ほどの変化はなかったが、それでも'96年ごろから状況が変わり始める。PCゲーム市場が伸び悩むのと対照的に、PlayStationとNintendo64とそれらのソフトが売れ初めたのだ。調査会社の発表資料「Interactive Electronic Entertainment Industry Overview」などを見ると、'96年以降はゲーム機市場がぐんぐん伸びるのに、完全にPCゲームソフト市場が置いてかれているのがよくわかる。

 この資料だと'99年以降は再びPCゲームが増加に転じる予測になっているが、現実はそうならなかった。'99年のゲーム市場調査「Console, PC Games Industry Sales Top $7.4 Billion in 1999」を見ると、PCゲームの衰退は痛々しいくらいで、'99年のゲーム市場の売り上げ74億ドルのうち、PCゲームソフトの割合はわずか18.6%。それに対してゲーム機用ソフトの売り上げは50.5%に達している。残りはゲームハードウェアだ。

 つまり、ゲーム機用ソフトの市場の方が2.5倍も大きくなってしまったのだ。しかも、ゲーム機の方がどんどん伸びている。米国でも、PCからゲーム機へと、急激にゲームプラットフォームが変わりつつあるのだ。

 さらにPCゲーム市場は、閉塞的になり、今後の展開も期待できなくなってきている。それは、PCゲームユーザーがゴリゴリのハードコアゲーマーにどんどん偏ってしまったからだ。日本と違い、米国ではハードコアゲーマーはPCにかじりつく。コアで面白いゲームはPCで登場するからだ。

 かくして、男の子が中心のとんがったゲーマーはPCで、カジュアルなゲーマーはゲーム機という色分けができあがってゆく。PlayStationのおかげでゲーム機の方は対象層が広がり、とくに女性やヤングアダルトに浸透したという。つまり、ボリューム的にユーザーがどんどん広がる可能性が広がっているのは、ゲーム機の方になってしまったのだ。

●ゲーム市場での敗退はMicrosoftの究極の目的の挫折を意味する

 この状況で、PCゲームソフトメーカーが危機感を持たないわけはない。PCゲームだと、いくら売れてもタイトル数がゲーム機用ソフトのヒット作の半分にも届かなくなってしまったのだから。ゲーム機ソフトに転じた競合メーカーが、どんどん儲けてゆくのを指をくわえて見ているわけにはいかない。

 そして、その危機感は、Microsoftの危機感でもある。というのは、MicrosoftはPCが家庭のリビング(ファミリ)ルームに浸透するためのカギは、ゲームとデジタルTVだと見ていたからだ。ところが、「デジタルTVをPCで」という呼びかけは失敗し、そして今、確実に自分たちのものだと思っていたゲームも奪われつつある。これでは、Microsoftの究極の目的「PCをリビングルームに入れる」が達成できない。

 PCは米国家庭に普及しているとは言っても、入っているのは書斎と子ども部屋のみ。つまり、リビングルームにはほとんど入っていない。ところが、家庭のエンターテイメントの中核になれるのは、リビングルームを征するコンピュータだ。リビングを征したコンピュータが、今のアナログTVとVCRという組み合わせに取って代わる次世代のエンターテイメントセンターになる。その市場規模は、全世界で年間数億台にまでなるだろう。だが、このままだと、その地位はゲーム機に奪われてしまう。

 そして、その状況で、PlayStation2が登場してきた。

●X-Boxは、まずゲーム開発者をつなぎ止める

 PlayStation2はPlayStationとはまったく別物だ。別物というのは、PlayStationが閉じたアーキテクチャの“ゲーム機”だったのに対して、PlayStation2は業界標準インターフェイスをいっぱいつけた、開いたアーキテクチャの“エンターテイメントセンター”だからだ。PlayStation2の本当のねらいは誰もが指摘するとおりゲームを超えたところにある。広帯域ネットワークやコンテンツ配信、デジタルオーディオ、ホームネットワークと結びついて、家庭のエンターテイメントの中核になることだ。つまり、MicrosoftがリビングPCの将来像として描いていたものとまったく同じものになることなのだ。

 となれば、Microsoftの採るべき道はひとつしかない。PCがリビングに入ることができないのなら、PCアーキテクチャのゲーム機を送り込むのだ。それがX-Boxだ。つまり、X-Boxは、なんのことはない、MicrosoftがこれまでエンターテイメントPCとかシアターPCとかいろいろな名前をつけていたリビング向けPCの、アナザーバージョンに過ぎないのだ。

 X-Boxの目的は、まず第1段階として、虎の子のゲームデベロッパーたちをMicrosoftの元につなぎ止めることだ。PCゲーム開発者が慣れたライブラリ、慣れた開発環境、慣れたビジネスモデル、慣れた流儀でゲームを開発できるようにする。彼らにとってみれば、PlayStation2の独自のライブラリ、専用の開発環境、ロイヤリティのビジネスモデル、メモリなどの制約などは、なかなか慣れない。ところが、X-Boxなら、今までの経験の上でゲームを書くことができる。苦労しないですむ分だけ、乗りやすいというわけだ。

 そして、X-Boxは第2段階で、PCとの親和性を活かしてPlayStation2に挑むことになるだろう。それが成功するかどうか、その予測は、来週のコラムで解説したい。

なぜMicrosoftはX-Boxを自社で売らなければならないのか

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000322/kaigai01.htm
●Microsoftのビジネスモデルが通用しない世界
 Microsoftは、X-Boxを自社ブランドで販売する。ソフトウェアメーカーMicrosoftが、いよいよ本格的なハードウェアメーカーに転身することになる。ソフトウェアメーカーであることにこだわっていたはずのMicrosoftがなぜ? じつは、Microsoftは、自社ブランドで発売せざるをえなかったのだ。なぜなら、Microsoftの従来のビジネスモデル、つまりソフトウェアメーカーに徹してハードウェアは他社に売ってもらうというモデルが使えないからだ。

 PCで大成功を納めたMicrosoftのビジネスモデルは、OSを複数のハードウェアメーカーにライセンスし、ハードウェアメーカーのブランドで販売してもらうことで成り立っている。このモデルでは、ライセンスを受けたハードウェアメーカー同士が市場で競い合うことで、ハードウェアの機能が向上、価格が下がり、ラインナップが充実、マーケットが広がる。このモデルが優れているのは、ハードウェアメーカーが競争で損をすることがあっても、Microsoftはライセンスで儲かるので、決して損はしないという点だ。

 ところが、今回はこのPCビジネスモデルが使えない。それは、ゲーム機のビジネスモデルが根本から異なるためだ。

●ロイヤリティベースのモデルへ

 ゲーム機では、ハードウェアは基本的に1社から提供する。それも、思い切り安い価格をつけて一気にハードウェアを普及させ、まず、プラットフォームを確立する。その場合、最初はハードウェアに関しては持ち出しになる可能性があるが、利益はソフトウェアのロイヤリティから得るので十分穴埋めできる。これは、PlayStation2のスペックと価格を見てみればわかる。出だしでこんな価格は、PCなら絶対につけることができない。

 このビジネスモデルは、ロイヤリティ収入が得られることを前提としている。そのため、今回は、MicrosoftはPCメーカーに代理戦争をしてもらうという戦略を採ることができない。PCのビジネスモデルで参入したら、X-Boxのイニシャルの価格は599ドルになってしまい、競争力を持てずプラットフォームを確立することができないだろう。それがわかっているから、Microsoftのビル・ゲイツ会長兼CSAは、Game Developers Conferenceで、「(X-Boxは)伝統的なゲーム機だ」、「ゲーム機のような価格になり、ゲーム機のような伝統的なソフトウェアロイヤリティモデルを取る」と明確に言い切っている。

●Microsoftにとって不慣れなビジネスモデル

 だが、そのためにMicrosoftは、X-Boxでは不慣れなフィールドでの戦いを強いられることになる。まず、MicrosoftがX-Boxを製造販売すると言っても、ハードウェアメーカーでないMicrosoftがいきなり工場を運営はできない。実態は、Microsoftがハードウェアメーカーに生産を委託して、それを買い取ってアセンブリしてもらい、ユーザーに売ることになる。この場合、X-Boxでは、スタート時点では逆ざやが生じる可能性がある。つまり、各製造メーカーのコストを積み上げると500ドルになったとしても、Microsoftは299ドルで売らなければならず、差額の200ドルはMicrosoftがかぶることになる。

 そして、PlayStation2が価格競争を挑んできた場合、Microsoftが競争力を維持するために価格を下げると、どんどん傷口が開いてしまう。つまり、価格を追従して下げると赤字が大きくなるが、そうしないとプラットフォームを確立できないというジレンマに陥ってしまうのだ。かつて、こんなにリスクの多いビジネスモデルをMicrosoftが取ったことはなかった。

●ソフトメーカーにとっては嬉しいX-Box

 ところで、X-Box参入を何より喜んだのは、おそらくゲームソフトメーカーだろう。先週のコラムで解説した通り、PCゲームオンリーのメーカーは、これでゲーム機に足がかりを作ることができる。それも、自分たちの開発リソースがそのまま利用できるのだ。これは、PCベースの開発に慣れたチームを多く抱える米国のソフトメーカーにとって、特にありがたい。

 一方、ゲーム機市場にすでに浸かっているソフトメーカーは、PlayStation2に敵が登場したことで、SCEIに対して交渉のカードを持てるようになる。つまり、PlayStation2が一人勝ちしてシングルスタンダードになってしまうと、現在のPC市場と同じように、SCEIに対するソフトメーカーの立場がどんどん弱くなってしまう。ところが、コンペティタが登場すると、そちらに乗り換えるというカードを持つことで、ソフトメーカーはより強い立場を得ることができるようになる。

 つまり、ソフトメーカーはX-Boxに本気でコミットしなくても、当て馬として使うだけで十分に元が取れるわけだ。ことに、セガ・エンタープライゼスのDreamcastが不調で、任天堂のDolphinがまだ見えない現状では、金持ちでやる気十分のMicrosoftのX-Boxは、じつにありがたい存在だ。

●X-Boxの勝者はIntel

 しかし、今回のX-Box騒ぎでの一番の勝者は誰かというと、それはIntelだ。もう十分ウワサになっていることだが、X-BoxのCPUは最初はAMDのAthlon系コアで内定していた。それがひっくり返されたのは発表直前で、IntelはラストミニッツでAMDを追い落としたと言われている。

 そのIntelが提供するCPUはPentium IIIのカスタムチップということになっている。しかし、これはおそらく半分しか本当ではないだろう。まず、IntelはPentium IIIのシリコン自体は、おそらく変えない。Intelのビジネスモデルは、同じ基本設計のシリコンで設計を変えずに数千万個売って儲けるというものだ。X-Boxが1千万個をコミットするなら別だが、そうでなければIntelがシリコンをカスタマイズするとは思えない。それでなくても、X-Boxではマージンは狭いのだ。

 ただし、後工程で変える可能性はある。例えば、ターゲットクロックが低いので電圧を落として消費電力を抑えたり、パッケージなどで差別化する可能性は十分ある。

 そもそも、現在のターゲットの600MHzというのは、来年のクリスマス商戦時にはPC用としては存在していないクロックだ。その時点なら、Timnaのローエンドですらおそらく800MHz以上になっているだろう。さらに、Intelの製造ラインは0.13μmルールへの移行が始まっているはずで、X-Box用チップを作る0.18μmルールのラインは減価償却が終わったものになっているだろう。

 つまり、Intelとしては、減価償却が終わったラインで作る古いスペックの製品をX-Box用に流すわけで、実質的なコストはかなり低くなるはずだ。そのためIntelは、X-Boxが化ければ万々歳だし、失敗してもそれほど損はないという立場になる。その上、AthlonのOEM先をひとつつぶして、AMDの株価にダメージを与えることができたのだから、戦術としては上々だろう。恐ろしいのは、アリの一穴も見逃さないIntelのマーケティングだという気がする。

●ゲーム機の日本対PCの米国

 ところで、今回のPlayStation2対X-Boxの戦いは、「ゲーム機の日本」対「PCの米国」の戦いでもある点も面白い。

 PCに関しては、日本は米国に完敗した。ほとんどのアーキテクチャが米国からやってくるPCの普及は、米国の文化侵略といってもいい状況だ。ところが、ゲーム機ではその逆のことが起きている。ファミコン、PlayStation、ゲームボーイとゲーム機ではほとんど日本の圧倒勝利。そのゲーム機の上に乗って、ポケモンが米国を席巻したりと、こちらも立派に文化侵略を起こしている。

 互いに侵略しあうこの戦争は、これまで“無事”にすれ違ってきた。それは、戦場が違ったからだ。しかし、状況は変わり、今度は、日米が正面からぶつかりあう。ソニーはPlayStation2でPCのものだった領域を侵し、MicrosoftはX-Boxでゲーム機のものだった領域を侵す。つまり、日米を代表する企業が、互いの領域に踏み込んで戦うのだ。

 両社が狙うのは、PCとゲーム機の両方の特性が必要な家庭のエンターテイメントセンターの地位だ。PlayStation2が勝てば、世界中のリビングルーム(ファミリルーム)は日本が握るし、X-Boxが勝てば米国が握る。

 「そんなの、PlayStation2が勝つに決まってる」と思うかもしれないが、そうではない。PlayStation2がゲーム機として成功するだけでは勝利とは言えない。先進国中の家庭に1台づつPlayStation2が入り、今のアナログTVと同じようなインフラにまでならないと家庭のエンターテイメントセンターになったとは言えないからだ。常勝SCEIにとってもこの道のりは平坦ではない。

●Microsoftの勝算

 Microsoftは、おそらく緒戦ではゲーム機市場で戦い慣れたソニーに遠く及ばないだろう。そもそも、スケジュールにルーズなMicrosoftが、来年のクリスマス商戦に間に合わせることができるかどうかだって怪しい。

 だが、ここでMicrosoftをあなどってはいけない。Microsoftは、あの手この手で何度でも立ち向って来るからだ。例えば、デジタルHDTV放送のSTB(セットトップボックス)との融合機といったバージョンを出してくるかもしれないし、PC的なアプリケーションを載せて、PCライクなインターネット端末兼用にするかもしれない。ともかく、Microsoftなら、X-Boxが離陸できなくても、そのまましぼんで終わりというパターンにはならないだろう。ことに、ゲイツ氏が、このX-Boxをホーム市場切り込みの切り札と考えているのなら、なおさらだ。

マイクロソフト、X-Box専任部門「X-Box事業部」を新設

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000331/ms.htm
 マイクロソフト株式会社は、2001年秋に発売を予定しているコンシューマーゲーム機「X-Box」(仮称)の専任部門「X-Box事業部」を4月1日付で新設することを発表した。

 「X-Box事業部」は日本におけるX-Boxビジネス全般を担当し、主に

ソフトウェア開発戦略の立案、開発者支援
マーケティング戦略の立案、PR活動
販売戦略の立案
ゲーム市場の調査
などの業務を行なう。事業部長には、同社常務取締役の大浦博久氏が就任する。

マイクロソフト、“X-Boxパートナーミーティング”を開催~コナミ、ナムコ、カプコン…有名メーカー揃い踏み~

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000331/game02.htm
■ 「久夛良木氏からは歓迎の言葉をいただいた」古川会長語る

 パートナーミーティングはまず、4月1日付でX-Box事業の格上げを発表。これまで準備室扱いだったが、専任部門として「X-Box事業部」を発足させその事業部長に常務取締役の大浦博久氏が就任する。大浦氏が定例通りの挨拶を終えたところで、古川享代表取締役会長が登場した。

 古川氏は開口一番「できれば一生マイクロソフトとはつきあいたくないと考えていた方も多いと思うが、今日のミーティングを経験することで、ぜひ今後ともおつきあいをお願いした」と牽制。また「日本ゲーム大賞の授賞式でソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の久夛良木氏とお会いした。そのとき『マイクロソフトのコンシューマゲーム機への参入を歓迎します』というお言葉をいただき、さらに『ようやく本気になりましたね』ともおっしゃっていた。これは『SCEも本気にならなくちゃ』と久夛良木氏を思わせたのだと思う」とライバル企業との火花を散らした。

X-Boxの勝算とプレイステーション2の死角

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000330/kaigai01.htm
●ゲーム市場では新プラットフォームでも勝てる
 ゲームコンソール業界の新参者Microsoftに、はたして勝ち目があるのか? じつは、意外にありそうなのだ。

 PCの世界なら、これだけ出遅れてしまえば勝ち目は薄い。ところが、ゲームコンソール業界はPC業界とは違う。まず、プラットフォームの継承性はそれほど大きな要素ではないので、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)のプレイステーションという巨大な資産は、プレイステーション2(以下PS2)の成功を必ずしも意味しない。また、PS2自体にも、開発環境の面で大きな死角がある。さらに、Microsoftは、カネがモノを言うこの市場に、膨大な資金を投入できるだけの体力がある。

 PCでは、プラットフォームの継承性はもっとも重大な問題だった。エンドユーザーは同じアプリケーションを使い続けられることを望んでいて、継承性のないプラットフォームは成功できなかった。だからMicrosoftとIntelの世界が続いているわけだ。

 ところが、ゲームコンソールでは(少なくともこれまでは)そうではなかった。プラットフォームが変わるたびにそれまでの資産がご破算になり、勝者が変わる。それもおよそ5年というあわただしいサイクルで、新しいプラットフォームへ移ってきた。前の時は、プレイステーションが競り勝ったけれども、今回の勝負はまだこれからだ。PS2がプラットフォームとしての地位を確固としたものにするには、まだ時間がかかる。

●ハードルの高いPS2ゲームの開発

 それに、PS2では、プレイステーションの時のように、いろんなゲームが百花繚乱のように登場するというパターンにはなりにくい。それは、開発する側から見ると、PS2は、プレイステーションと比べてハードルが高いからだ。

 プレイステーションには、じつに多くのタイトルが登場した。クソゲーも多いが、誰でもひとつくらいは“はまる”ゲームがあるという世界であり、それがプレイステーションの魅力だった。だが、PS2ではそうならない。少なくとも、当面はPS2は大手の限られたソフトしかない状態が続くと言われている。それは、開発の難しさにある。

 プレイステーションでは、とりあえずSCEIから初歩的な3Dライブラリが提供され、それをベースにして、そこそこプレイステーションらしいゲームを作ることができたという。逆に、セガサターンやNINTENDO64はそうしたサポートが弱かったので、開発側は苦労をした。つまり、ハードウェアが見える方が(ゴリゴリにチューンできるので)開発しやすいというゲームコンソールの伝統的な考え方をうち破ったのがプレイステーションだったのだ。プレイステーションで、ゲームタイトルが多数登場した背景には、そうしたサードパーティに対するアプローチの違いがあった。

 ところが、今回、PS2では、そうした便利なライブラリはとりあえずまだ提供されていないそうだ。それなのに、ハードウェアは格段に難しくなった。以前このコラム【3月2日】「PS2の心臓Emotion Engineはこうなっている」で説明したが、Emotion Engineのプログラミングなんて悪夢に近い。あの、VPUのコードを効率よく詰め込むことだけでも大変だが、2つのVPUとCPUでの処理のバランスを取るのも難しい。Emotion Engineは、特殊なとんがったアーキテクチャで、アイデアは素晴らしいのだが、プログラミングの苦労は並大抵ではない。性能を発揮しようと思うと、優秀なプログラマがかなり時間をかけてEmotion Engineに習熟しないと無理だろう。

●ミドルウエアがカギを握る

 SCEIは、今回のPS2では、ハードウェアに関しては、驚くほど詳細な情報をソフトメーカーに公開したといわれる。幸い、ツールに関してはメトロワークスの「CodeWarrior for プレイステーション 2」があって、なんとかなっているので、力のある大手は、その情報を解析してゴリゴリと自前のライブラリをどんどんビルディングアップできるそうだ。そのため、大手は、しばらくして蓄積ができてくると、ある程度ラクにゲームを開発できるようになる。

 ところが、そうした力(開発リソースの余裕)のない中小はというと、これが苦しい。ライブラリがないので、最初のハードルが越せないという。

 おそらく、SCEIは今回は、サードパーティに声をかけ、彼らからミドルウエアが提供されるようにした。そのため、うまくミドルウエアメーカーがPS2市場でビジネスを成り立たせることができれば、ミドルウエアが揃い、この問題は解決する。しかし、SCEIがライブラリを提供するという、プレイステーション成功の要素のひとつだった部分を、自社の外へ出してしまったことは、PS2の大きな不安材料となっている。

 もっとも、SCEIはこれをわかっていてやっているのだろう。ライブラリに回す分の開発リソースを、eディストリビューション(コンテンツ配信)など、PS2の次の仕掛けための開発に回している可能性があるからだ。つまり、PS2は従来のゲームコンソールを超えたプラットフォームだとして、そのゲームコンソール以上の部分にリソースをつぎ込んで、次のステップでの飛躍を練っているという可能性がある。

●ハードルがぐっと低いX-Boxソフトの開発

 しかし、ゲーム市場に限って言えば、PS2での開発が、高度な職人芸を要求してしまうことは、後を追うX-Boxにとって有利に働く。それは、X-Boxでの開発がずっとハードルが低くなるからだ。

 X-Boxの実態はPCアプリケーションが使えないPCであり、開発者はDirectXとWin32 APIを使うことになる。DirectXは、性能や使い易さへの不満の声は多いものの、ともかくこれだけリッチなレイヤが被さってていることは開発者にとっては楽だ。米国に多いPC中心のゲーム会社にとって開発は簡単だし、PCゲームも容易に移植できる。新規参入にしても、ずっとハードルは低い。実際、MicrosoftはX-Boxの発表では、開発が容易なことに力点を置いて説明していた。

 これは、開発側から見るとリソースと費用を節約できることを意味している。もちろん、同程度の3Dグラフィックス能力なら、3Dデータを作り込む作業は同じなのでそこにかかるマンパワーは変わらないが、PS2で必要となっているライブラリを構築する手間はなくなる。つまり、いちばんクリティカルで優秀な人材が必要なところでラクをできる。

 それから、開発コミュニティの規模も違う。なんと言っても、ゲームプログラミングの世界は小さく、プレイステーション用ソフト開発の市場は小さい。そのため、ミドルウエアなど開発支援ソフトもビジネスが成り立ちにくい。ところが、X-Boxソフト開発の市場はWindowsソフト開発の市場と地続きなので市場が広く、開発用ソフトにしてもビジネスが成り立ちやすい。この点でもX-Boxは有利だ。

 それに、レイヤーでハードウェアを隠蔽して抽象化してしまうことは、ハードウェアの世代ごとの互換性も取りやすいことを意味する。

●がまん比べに必要な豊富な資金力

 ゲームコンソール市場では、もうひとつ、資金力が重要な要素を占めている。この世界では、プラットフォームは一気に立ち上げてスタンダードにしなければならない。そうしないと、ゲーム機の台数が少ない→ソフトメーカーがゲームを出さない→ゲーム機が売れないの悪循環に陥ってしまう。

 そのため、プラットフォームを成功させるためには、最初は持ち出しになっても格安でハードウェアを提供し、ゲームを早い時期に揃えてプラットフォームとしても魅力を出さなければならない。もし、ハードウェアが出だしで200ドル(2万円)の持ち出しなら、500万台売れば10億ドル(1,000億円)の持ち出しになる。さらに、ゲームタイトルを揃えるために、ソフト会社にコミットして制作を依頼すると、そこでもカネがかかる。

 つまり、軌道に乗せるだけで、膨大なコストがかかるわけだ。ゲームコンソールの戦いは、この最初の出血を耐えられるかどうかのがまん比べ的な側面がある。そのため、並の企業や並の決意では、この戦いを勝ち抜くことができない。だが、もし、資金力のあるMicrosoftが本気でこの市場に資金をつぎ込む気力があるのなら、がまん比べをしのぎ切れるかもしれない。

 こうして見るとX-Boxにも勝算はあり、PS2にも死角はある。しかし、そうは言っても、今のSCEIの勢いは強力で、しかもPS2をベースにした次の仕掛けへ向かって急いで進んでいる。Microsoftが対抗するのに間に合うかどうかはまだわからない。さらに、任天堂のDolphinとの三つどもえになるわけで、かなり苦しい。本当なら、もうひとつの勢力であるセガ・エンタープライゼスをX-Box陣営に引き込みたかったところだろう。

 いずれにせよ、X-BoxとDolphinの登場で、来年のゲームコンソール市場は大乱戦になる。

X-Boxのハードは5年間スペックを固定、Pentium IIIは破格値で調達

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000419/kaigai01.htm
●Pentium IIIを破格値で提供
 X-BoxのCPUは、間際までAthlonプロセッサになると言われていたのが、フタを開けたらPentium IIIだった。なぜ、AthlonからPentium IIIに変わったのだろう。これについて、Microsoftのケビン・バッカスディレクタ(Console Gaming, Third Party Relations)は次のように説明する。

 「いや、変えたというのは正しくはない。われわれはIntelとAMDの両方のチップを検討していた。そして、契約書にサインする最後の日に、Intelのチップを選んだということだ。AMDは素晴らしいテクノロジを持っているし、かれらはPCのグレイトなパートナーだ。しかし、X-Boxでのベストディールとしては、価格など別のファクタがある。今回のX-Boxに関しては、この契約がベストだったというだけだ」

 つまり、事前にAthlonで完全に決まっていたわけではなく、Intelともずっと継続して交渉をしていたというわけだ。そして、最終的にPentium IIIになったのはテクノロジではなく、価格などほかの要素によるということらしい。

 実は、昨年末、X-Boxが盛んにウワサになっていた頃、あるAMDの関係者がMicrosoftからのX-Boxの申し出について、「話にならない価格だった。そんな価格でAthlonを売ったらこちらの利益がぜんぜん出ない。どうも半導体のコストというものをわかっていないようだ」と漏らしていた。

 そこから察するに、Microsoftが提示したのは、かなり無茶な低価格だったらしい。それでも、何回かの交渉の末、X-BoxはAthlonという方向で進みつつあった。価格でなんらかの折り合う点が見つかったらしい。

 このように、X-BoxのCPUは、価格を軸にして交渉が進んでいた。そのため、最後にIntelになった決め手も、価格だったようだ。つまり、AMDがぎりぎりまで譲歩した価格よりも、Intelがさらに低い価格をつけ、競り勝った可能性が高い。PC向けでは、今は60ドル前後がローエンドの価格だが、おそらくX-BoxのCPUはそれよりもはるかに安い。

●X-Boxは299ドル?

 MicrosoftがX-Boxのコストにこだわるのは、X-Boxの販売価格が安いからだ。米国では家庭用ゲーム機のスタート時点の価格は299ドルと相場が決まっている。これは、家電が普及するマジックナンバーの価格が299ドルだからだ。X-Boxも299ドルになるのだろうか。

 「まだ発売1年半前なので価格を言うのは早すぎる。言えるのは、価格はこの市場で競争力のあるものにするということだ。ラフに言ってゲームコンソールと同じ価格にする」、「(価格に関しては)戦略的なチェンジがある。PCとは違う(ビジネス)モデルなので、プライスダウンができる」(バッカス氏)

 ゲーム機の場合、ハードの販売価格がコストを下回ることも珍しくない。それは、ハードを売ることで直接利益を上げるのではなく、そのハードに対して売るソフトのロイヤリティで利益を得るというビジネスモデルを取っているからだ。そのため、X-Boxが299ドルで登場しても何ら不思議はない。

 しかし、コストと販売価格の差が大きくなればなるほど、メーカーはより多くロイヤリティで回収しなければならなくなることを意味している。PCの世界の常識を考えれば、X-Boxの製造コストは500ドル程度でもおかしくない。その場合、200ドルをMicrosoftがかぶらなければならない。そうすると、もし1ゲーム当たり20ドルのロイヤリティを取ったとしても、1台のX-Boxにつき10枚以上のゲームディスクを売らなければ、元が取れなくなる。Microsoftはどう考えているのだろう。

 「あなたはコスト計算を間違えていると思う。われわれは、PCワールドのテクノロジを使っているから、PCのエコノミスケールが利用できるという利点がある。一例を挙げれば、われわれは半導体工場を作らなくていい。また、Pentium IIIを初めからデザインする必要がない。すでに、デザインされているからだ」(バッカス氏)

 この説明に説得力があるのは、実際にX-BoxのCPUに関して、競合する2社からおそらくかなりの低価格の取引を引き出していると思われるからだ。X-Chipに関しても、PC向けグラフィックスチップと基本設計は共通化させるため、比較的低価格で調達すると見られる。こうしたことは、巨大なPC市場が後ろに控えているから可能なことだ。

●コストはPS2よりも下だが将来は逆転も

 では、PS2(PS2)との価格競争はどうなのだろう。PS2では、メインのチップであるEmotion EngineとGraphics Synthesizerをほとんどゼロから開発し、チップの製造工場まで建てている。この2チップは、それぞれ巨大なので、最初はコストが高く生産量も限られるし、開発費も膨大だ。そのため、PS2の現在の製造コストはかなり高くついていると思われる。しかし、PS2は、HDDを持たないため、半導体技術が進化するにつれて急激に製造コストが下がるはずだ。

 「PCのエコノミスケールのおかげで、X-Boxの製造コストは、PS2のイニシャルコストよりも低くなるだろう。X-Boxのコストも、PS2と似たような(半導体技術の進化に沿った)プロセスで下がる。それにつれて、小売価格も、どんどん下がるだろう。しかし、X-BoxはHDDがあるため(半導体技術が進歩しても)それほど劇的には下がらない。それに対して、PS2はもっと劇的に下がる。つまり、最初はPS2の方がX-Boxよりもコストが高いが、PS2の方がどんどんコストが下がる。この二つ(PS2とX-Boxのコストの下降カーブを、両手で表現しながら)がどうなるか(両手を交差させたり離したりしながら)を予想するのは難しい」(バッカス氏)

 もし、両社が同じ半導体技術に移行してゆくなら、半導体のように急カーブでコストが下がらないHDDを備えるX-Boxは、いつかPS2に製造コストで追い抜かれ、PS2より高コストになってしまう可能性が高い。ただし、X-Boxに使うチップが、常に半導体技術でPS2より先にいっていれば、X-Boxの方が低コストのままいけるだろう。

●ハードウェアのスペックは5年間据え置き

 ところで、家庭用ゲーム機は、原則としてスペックが変化しない。発売から3年経っても4年経っても、基本スペックは発売当初のままだ。では、X-Boxはどうなのだろう。PCのようにスペックが進化するのか。

 「X-Boxはゲーム機なので5年間は同じハードウェアにとどまる。メモリやグラフィックスチップもアップグレードしない。その代わり、価格は下がって普及し、開発者はハードウェアにもっと親しむ」とバッカス氏は説明する。

 ゲーム機では、互換性のためにスペックは固定する。それが原則で、Microsoftもそれに従うというわけだ。

 では、X-Boxが登場するとPCゲームはどうなるのだろう。日本では、PCゲーム市場は見ての通りの衰退ぶりだが、米国ではまだかなりの規模がある。その市場は衰退するのか、それともX-Boxとの相乗効果で繁栄するのか。

 「われわれはPCゲームに、これからもどんどん投資してゆく。その理由はPCはゲーム機とは違うタイプのプラットフォームであり、大きなアドバンテージがあるからだ。PCは時間が経つごとにどんどん性能がアップしていくし、アップグレードもできる。また、異なる製造メーカーからさまざまなモデルが提供される。X-BoxとPCは、異なるゲームマーケットとして併存するだろう。来年、MicrosoftはX-Box向けゲームとともに、PCゲームをさらに数多く出す予定だ」(バッカス氏)

 では、MicrosoftはPC向けのゲームを全てX-Boxに移植するのだろうか。

 「いや、全く違う。PC向けとゲーム機向けでは、ゲームのタイプが違うと考えている。X-Boxはコンソールゲーム、つまり、レーシングゲーム、格闘ゲーム、RPG、キャラクタ、スポーツ、プラットフォームゲームなどになる。それに対して、PCは、戦略ゲームやシミュレーション、アドベンチャゲーム、シューターなどになる。PCにもスポーツゲームが登場するが、これは(X-Box向けとは)ちょっと違うものになるだろう。アクションゲームは両方になるだろう。しかし、格闘ゲームはPC向けには出さないし、逆に、フライトシミュレータはX-Box向けがない。マウスとキーボードがあると便利なゲームは当然PCになる」(バッカス氏)

米Microsoft、X-Box担当のRick Thompson副社長が退職

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000426/ms.htm

マイクロソフト、注目発言「X-BoxとPCは別々のゲームをリリースする」

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000918/ms.htm
● X-BoxとPCは別々のゲームをリリースする
 Gamestockは、Windowsプラットフォームのゲーム及びハードウェアを紹介するイベントのため、X-Boxに関する情報はほとんど明らかにされなかったが、今回のイベントに合わせて来日した米国本社でゲーム部門を担当しているピーター・パーソン氏によって若干ながら明らかになった点があった。

 Microsoftは現在数多くのゲーム開発会社と提携をしており、最近では技術力のあることで定評のあるBungie Softwareなどへも投資している。また、ゲーム専門の事業部を設立し、今後もゲーム業界から専門のエキスパートを募集し強化していく。PCとX-Boxに関しては、どちらか一方を強化するのではなく両方同時にゲームの開発を行なっていくという。これは先週行なわれたDirectXの発表会でも「Windowsは世界最大のゲームプラットフォームである」という発言からも、米MicrosoftがWindowsプラットフォームに絶大なる自信を持っていることがわかる。

 今回最も注目されるのは、同氏の「X-BoxのゲームタイトルはWindowsプラットフォームで発売するタイトルとは全く違うタイトルになる」という発言だ。コーエーの襟川恵子社長は先日「X-BoxはWindowsのゲームを移植するのに適している」と発言しており、日本における多くのゲーム関係者は同様の印象を持っているものと思われる。
 そういった中、X-BoxとWindowsタイトルを切り分け、X-Boxに関しては「より多くの人が楽しめるホームタイトルを中心に発売し、Windowsは専門的なタイトルを揃える」という発言は少し意外に感じる。Microsoftが日本のゲームメーカーに対してどのようなプレゼンテーションを行なっているかは不明だが、今後発表されるであろうX-Boxの初期タイトルは意外なタイトルが並ぶ可能性も出てきた。

2001

2001年5月16日、マイクロソフトはElectronics Entertainment Expo(E3)においてXboxを発表

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=740
 2001年5月16日、マイクロソフトはElectronics Entertainment Expo(E3)においてXboxを発表しました。Xboxは、きわめて未来指向の強い将来 型ビデオゲーム システムで、北米地域では2001年11月8日にリリースする予定です。予定価格は299米ドルです。同時にマイクロソフトは、 Electronic Arts、Sega Corp.、 Namco LimitedおよびKonamiなどを中心とする27の代表的なビデオゲーム開発メーカーが、Xboxに組み込ま れた高速ブロードバンド機能を活用した画期的なオンラインゲーム エクスペリエンスを提供する予定であることも、発表しました。

Xbox、日本発売は来年2月22日

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010827/xbox.htm

2002

Microsoft、第2四半期決算を発表~売上高は過去最高に 1月17日

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=156
 今期、マイクロソフトは次世代ゲーム機であるXboxを、北米市場で150万台販売しました。これはゲーム機の発売時の売上記録としては最も成功したものの一つです。さらに「Halo(TM)」や「Project Gotham Racing(TM)」などのマイクロソフトのゲームタイトルや、Tecmo, Inc.の「Dead or Alive 3」、Take-Two Interactiveの「Max Payne」といったタイトルも年末商戦において非常に好調な売れ行きを示しました。マイクロソフトのゲーム事業担当シニアバイスプレジデントであり、Chief Xbox Officer(CXO)であるロビー・バック(Robbie Bach)は、「北アメリカにおける衝撃的なXboxのデビューで、全世界への市場参入の向けての展開を開始できたのは非常に大きいことです。今後続々と発表される魅力的なゲームや、日本、ヨーロッパおよびオーストラリアでのリリース、オンラインゲーム環境の完備などにより、2002年はさらに飛躍の年になることは間違いありません」と述べています。

MicrosoftのコナーズCFO、財務状況を語る~日欧のXbox事業は期待はずれ4/26

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0426/ms.htm
●米で好調のXboxも、日欧では……

 Xbox事業に関しては、米ではハード、ソフトともに、米でのプレイステーション2発売後の実績を25.1%上回り、好調とした。が、日欧では「売上げの見通しがあまりにも強気すぎた」とし、業績が期待を下回っていることを明らかにした。その要因については、発売がホリデーシーズンではなかったこと、ゲームビジネスの経験が少なかったために予測を誤ったことをあげている。また、ゲームソフトのラインナップが「米国に比べ狭かった」と述べ、今年中にラインナップを拡充するとした。

 今後の見通しとして、2003年度(2002年7月~2003年6月)には、ワールドワイドのインストールベースで900万~1,100万台を見込む。この目標が達成されればゲーム業界において「長期的によいポジションを確保できる」とし、長期的に取り組む姿勢を示した。

Xbox初年度はワールドワイドで約390万台出荷 ソフトの出荷は2,000万本

http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020722/xbox.htm
 米Microsoftは、前会計年度におけるワールドワイドでのXboxの出荷台数を発表した。マイクロソフト株式会社によれば2002年6月期までの出荷台数は約390万台で、当初目標台数だった350万台から400万台にほぼ匹敵する台数となった。
 一方ソフトの出荷枚数はワールドワイドで2,000万本。「HALO (ヘイロー)」が米国だけでミリオンセラーとなったほか、「DEAD OR ALIVE 3」もワールドワイドでミリオンを達成している。日本ではXboxの不調が伝えられているが、米国および値下げ後の欧州ではそれなりの成績を残していることになる。

2003

Microsoft、2003年度第2四半期業績を発表 2003 年 1 月 17 日

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=37
主要地域すべてで販売が開始されているXbox(TM)は、ホリデーシーズンの好調な業績を経て、2001年11月15日の製品発売以来、800万台以上の売上を達成しました。2002年11月には、Xbox Liveが北米において開始され、開始後60日弱の間に、内部での予想を超える25万セットのXbox Liveスタータキットが販売されました。NPD Data の調査によれば、最も売れたXbox向けのゲーム タイトルのうち、4本に3本はXbox Live対応のゲームであり、「MechAssault(TM)」(Microsoft Game Studios)、「Tom Clancy’s Ghost Recon」(Ubi Soft )および「Unreal Championship」(Infogrames)です。また、Xbox Live スタータキットを購入した顧客の80%以上は、これらのゲームを1つ以上購入しています。

●マイクロソフト、2003年度第4四半期の決算を発表

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=1641
 家庭向けおよびエンターテインメント用製品の分野においては、Xbox(R)の販売が予測を超えた好調を見せたことも手伝って、第4四半期は前年同期比8%増という期待以上の成果を残しました。2001年の販売開始以来現在までの間に、Xboxは、全世界で940万台以上の販売実績を示していますが、マイクロソフトは、新会計年度が終わるまでには1450万台から1600万台販売されるとの見通しを立てています。また、Xbox Live(TM)は、全世界で50万人以上の加入者達が、毎週100万件以上のゲーム セッションに参加するなど、引き続き大きな勢いを示しています。2003年のクリスマス シーズンまでには、総計400以上のXbox向けのゲーム タイトルが利用可能となる見込みです。また、新会計年度中には、Halo(R) 2のような期待度の高いゲームも幾つか発売される予定です。

2004

マイクロソフト、2004年度第2四半期の決算を発表、売上100億ドルの大台を達成

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=1823
 ホーム&エンターテインメント部門の売上は、Xbox(R)用のゲームおよびコンソールの販売に支えられ、堅調な実績を残しました。現在、Xbox向けには、70本のXbox Live(TM)対応ゲームを含め400本のゲームが販売されていますが、NPD Dataの調査によれば、米国ではXbox1台あたりのゲーム販売数 (ゲーム装着率) は6.4にまで伸びています。Xboxは、2001年の発売開始以来、全世界で総計1370万台が販売されていますが、今会計年度が終了するまでには1450万台から1600万台まで販売台数を伸ばすものと予想されています。また、Xbox Liveの勢いも継続しており、加入者の数は現在およそ75万人まで伸び、今会計年度の終了までには100万人というビジネス目標を達成することができるものと予想されています。

マイクロソフト、2004年度第4四半期ならびに2004会計年度の決算を発表

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=1995
 当社は今週の始めに、0.08米ドルの四半期配当、今後4年間にわたる総額300億米ドルの株式買い戻し、ならびに一株あたり3米ドルの特別一時配当を実施するという計画を、当社の役員会が承認したことを発表しました。この特別配当の実施には、その影響を補正するための、株式付与型報酬制度の調整変更に対する株主の承認が必要となります。

マイクロソフト、2005年度第1四半期の決算を発表

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2095
 マイクロソフトのコンシューマー向けビジネスも順調な成績を残しました。MSN(R)は、インターネット広告ビジネスの好調により前年同期比10%の売上増を達成し、今期も利益を計上することができました。ホーム&エンターテインメント部門は、Xbox(R)コンソールおよびゲームの好調な販売により9%の売上増を達成するとともに、営業損失も、Xboxゲームの販売が予想以上の成果を残したことから、前年同期比で47%以上減少させることができました。11月9日にリリースが予定されている「Halo 2」は、プラットフォームを問わず最も期待されているビデオゲームの一つですが、すでに、ビデオゲームとしては記録的な数字である150万本もの先行予約を受注しています。ホーム&エンターテインメント部門担当シニア バイスプレジデントであるロビー バック(Robbie Bach)は、「Xboxは、前年比成長を継続している唯一のゲームプラットフォームであり、米国ではすでに連続二カ月間ソニーの売上を追い越しています。年末休暇商戦に向けては、『Halo(R) 2』や、9月に全プラットフォームでトップの売上を達成したビデオゲームである『Fable』など、Xboxの歴史上最強のゲーム群をラインアップとして用意します。休暇商戦にはさらに、Xbox Live向けに150本のゲーム タイトルを提供するなど市場の活性化をはかり、Xboxのビジネスをさらに加速させていく方針です」と述べています。