加古

かこがめをさますと、そこはみしらぬへやでした。
いつものじぶんのへやではありません。たおるけっとがないのですぐにわかります。
しつむしつでもありません。こうるさいみどりいろのぷかぷかの、ぺかぺかがないからです。
「ふるたかー、どこー？」
みしらぬへやはこたえません。いつもなら、すぐさまふるたかがとんでくるはずです。

かこはいっしょうけんめいきおくをたどります。
ふるたかにたのまれて、おつかいにでたことはおぼえています。とちゅう、わんかっぷをみつけたのもおぼえています。わんかっぷはたくさんおちており、それをたどってあるいたこともおぼえています。わんかっぷはとてもだいじなものなので、かこはひろってあるいたのでした。
「ははん、さてはわんかっぷのようせいのしわざだな。わんかっぷのようせいのらしんばんは、あてにならないからな」
よくみやれば、へやにはからのわんかっぷがいくつもころがっています。
なので、かこはそうけつろんしました。これが「ろんりてきすいろん」というやつです。
かこはかしこいのでむずかしいことをしっています。

「なんにせよ、もうかえらないとふるたかにおこられるから、かえらなきゃいけない。ふるたかは、おこるとぺかぺかするんだ」
ですが、みしらぬへやのとびらはひらきません。そとからかぎがかかっているようです。
かこはきゅうにこころぼそくなってきました。ふるたかのはなしをおもいだしたからです。
『加古、道にワンカップが落ちてても拾っちゃ駄目だからね？こわーい加古さらいに連れてかれちゃうからね？』
ふるたかのそんなはなしをかこはわらってききながしました。
でもいまではふるたかのはなしをきちんときなかったことをこうかいしました。わんかっぷをひろわなければこんなことにはならなかったはずです。

「うー、あたしゃねー、やるときはやるんだよー！」
よわきになったかこがじぶんをふるいたたせそのときです。かぎのかかったとびらがふいにひらきました。
あらわれたのはしんかいせいかん！にっくきてきです。かこさらいはしんかいせいかんだったのです。
かこはいっきかせいにしんかいせいかんにとつげきしました。
「かこすぺしゃるをくらいやがれ！」
かこはてあたりしだいそこらじゅうにしゅほうをうちまくります。20.3せんちほうがぼんぼんとひをふきました。
さいしょのしんかいせいかんをたおすと、つぎからつぎへとあたらしいしんかいせいかんがきます。かこはぼんぼんとうちつづけます。わんかっぷがきいているので、しゅほうはおもしろいようにめいちゅうします。
やがてしんかいのすがたがみえなくなり、あたりはしずかになりました。

かこはいちもくさんにそとにとびだし、ちんじゅふにいそぎます。
「あたしゃねー、やるときはやるんだよー！だから、かえったらいっぱいねかせてー！」
かこがちんじゅふにかえったころには、すっかりよもふけ、わんかっぷのゆめもさめ、またふるたかとぷかぷかからさんざんおしかりのぺかぺかをうけました。
もうわんかっぷはこりごりです。
かこはぺかぺかぷかぷかされながら、そうおもうのでした。

発見された深海の全線基地は、すでに何者かによって潰滅状態にあった。
後の調べによると、内部からの攻撃により主構造物が崩壊したと記録されている。
この事件は艦娘としての記憶を取り戻した深海棲艦の反乱であるとの噂されたが、大本営はこの件を一切の極秘とし、以後誰も口にすることの無いよう箝口令を敷いた。
無論、一隻の重巡洋艦の任務中の飲酒などは、記録上存在していない。