Last-modified: 2016-06-27 (月) 13:06:56
No.071
 
暁(あかつき)暁型 1番艦 駆逐艦
ステータス
耐久火力
装甲雷装
回避対空
搭載対潜
速力索敵
射程
最大消費量
燃料 弾薬 
搭載装備
72D5式ビームライフル ヒャクライ
73J2式試製双刀型ビームサーベル
試製71式防盾
装備不可
改造チャート
→ 暁改 → 暁改二
CV:洲崎綾、イラストレーター:やどかり
  • 本日はお日柄も良く、なのです!
  • 改二が来ればへっちゃらなんだから!
  • やっぱり私ってば、不可能を可能に…

れでぃ怪文書

暁よ。暁型駆逐艦の一番艦、つまり一番お姉さんで一人前のレディなんだから。
うちの司令官にはそこんとこの認識がちょっと足りないみたいね。昨日もこっちが真面目に報告してるのにニヤニヤしながら頭を撫でてきたのよ。
まったく、レディに対する態度がなってないんだから。あれじゃ司令官にはなれても一人前のじぇんとるまんにはなれそうにないわね。
さてと、いつまでも愚痴ばかり言ってられないわ。そろそろ朝の準備をしないと。
遅刻なんかしてお子様扱いされないように、秘書艦としても一人前であるところを見せてあげないといけないわ。

制服にシワなし、帽子に傾きはなし、艦装も忘れずに。鏡の前で最終確認、うん、どこからどう見ても魅力的なレディね。
身だしなみに満足したところで、不意に部屋の扉が音を立てた。
な、何かしら……あぁ、ノックね。こんな朝早くに訪ねてくるなんて一体誰かしら……?
扉の向こうにいるであろう、ノックの主はコホン、と咳払いをした。

「暁、おはよう。もう起きてる……かな」
「し……しれいかん?」
「あぁ、そうだ。開けてもいいかな」

突然やってきたお客さんは司令官だった。
一体何の用かしら……こんな時間にしかも私の部屋に直接訪ねてくるなんてはじめてのこと。
それに司令官の口調はいつもより緊張感があるというか、堅い感じだった。
私まで緊張してきてしまったけど、ここで取り乱すのはレディではないわ。
少し上ずった声で、どうぞ……と扉に話しかけた。

「お邪魔するよ。なんだ、もう着替え終わってたんだ。今出るとこだった?」
「え、えぇそうよ。秘書艦が遅刻なんてするわけにはいかないもの。……それより、何の用かしら? こんな朝早くから」
「うん、暁が秘書艦として頑張ろうとしてるところで悪いかもしれないけど、実は今日これから少し付き合ってほしいんだ」

いつになく神妙な顔の司令官。
つ、付き合うってそれは……今日一日だけってことよね?
何をするのかはわからないけど、まさか仕事もせずに誘いに来たってことかしら。
もしそうだとしたら大変だわ。秘書艦としてここはきっちり仕事をするように言わないと。
私はそんなに甘くはないんだから。
腰に手を当てて、言い聞かせる用意をしたところで、急に目の前が真っ白になった。
ほのかに甘い、花の香りが鼻をくすぐっていった。

「これを君に。きっと似合うと思う」
「こ……これって……」

司令官は私の目の前を覆ったそれを、ふわりと優しく手渡してきた。軽い、まるで花びらのようだった。
真っ白な生地で仕立て上げられたそれは、ドレスだった。フリルやリボンで飾り付けられているものの、派手さはなくて裾だけ広がったスマートなドレス。
何度も瞬きしてしまう、きらめく生地とそれを贈られた意味を考えて。
頭の中がグルグル回り始める、羅針盤のように。

真っ赤になって固まっている私の前で、さらにとんでもないことが起きた。
帽子と襟を正した司令官が、恭しく膝をついてそっと私の手をすくい上げるようにとったのだ。
まるで、じぇんとるまんのように。

「それを着て、一緒に踊ってもらえないかな」
「お……お……踊る……?」
「そうだ、暁と踊って二人きりの時間を過ごしたい。ダメかな?」

にっこり爽やかな笑顔を浮かべる司令官。
ドレスを着て踊る、それはアイドルの踊りとは違うわよね? 社交ダンスというアレのことよね?
そんなのやったこともないわ。無理、無理よきっと。
でも……と少し考える。
もしかしたら、それってレディの嗜みなんじゃないかしら。身につけたドレスも自分の一部であるかのように華麗に舞う。
そうよ、きっとそうだわ。
そして司令官はそれを知った上でこんなことを言い出したのよ。つまり、私を一人前のレディとして認めたってことね。
そう考えると気が楽になってくる、というかいい気分になってくる。
ようやく司令官も私の魅力に気づいたってわけね。

「い、いいわよ。ただ、ちゃんとえすこーとできなかったらすぐ帰っちゃうからね!」

それから少しして、純白のドレスに身を包んだ私は司令官に手を引かれて、広々としたホールに案内された。
鎮守府の一体どこにこんな施設があったのか、今はとくに疑問に思わなかった。
そんなことより私の頭の中は、繋いだ手の先にいる司令官のことでいっぱいだった。
部屋で着替えてからここに来るまで、ずっと丁寧で親切で気配りも出来ていて。いつもの司令官とはまったく別人のようだ。
今も私が見上げると、柔らかな笑顔を返してくれる。また顔が熱くなってくるのを感じた。

「さぁ、踊ろう。手を重ねて、反対側は添えるようにして……そう。あまり離れすぎないで、転んでしまうから」
「あ、あのね司令官……わ、私踊りなんてやったことなくて……だから、その」
「大丈夫、しっかりリードするよ。曲が鳴ったらはじめるからね」

言われるがままに司令官の体にぴったりと寄り添う。いつも見上げているけど、こんなに近くにいると改めて背の高さを意識してしまう。
大丈夫、とは言うけど心も体もまったく準備出来ていなかった。
なんとかしなきゃ、なんて考えているうちにどこからかピアノの音が流れてきた。優しく、耳をくすぐるような音色。
すると、今度は体が勝手に動き出した。ゆっくりだけど確かに板張りの床を滑るように脚が進んでいく。
曲に合わせて一本一歩丁寧に。
ホールの真ん中を回るようにしてクルクル、クルクルとステップを踏む。

「アン、ドゥ、トロワ。アン、ドゥ、トロワ。アン、ドゥ……」

司令官がつぶやくその声を頼りについて行く。
どこか外国の言葉……響なら知ってるかしら。
よくはわからないけど、それでも流れているピアノの音と合わせてなんだかとても心地良かった。
顔が熱くなっていたのも治まってきたみたい。落ち着いているのが、自分でもよくわかった。
ああ……そう、これよ。これこそ一人前のレディだわ。
ドレスもいつの間にか体に馴染んでいる。こうして踊っていることがとても自然なことのように感じる。
そうだわ、こんなにキレイに踊れているんだから、レディとして扱われているってことよ。
そんな自信を込めた眼差しを司令官に向けたが、答えは返って来なかった。
かわりに、微笑んで見せた司令官は一旦脚を止めて私を抱き寄せる。
そして、指で軽く顎を持ち上げて、震える私の唇にそっと……。

「おーい暁ー? こんなとこで寝てると風邪ひくぞ、寝るならソファじゃなくてベッドにな」

遠くから妙な声が聞こえるけど、きっと幻聴ね。だって私は今ダンスホールにいるんだから。

「仕方ないな、ほら毛布。昼寝はちゃんと時間決めてな、眠気飛ばしなら10分くらいにしとけよー」

バタン、扉が閉まった。
ゴワゴワした毛布が重い。こんなのドレスと全然違うわ。
それに窓の外から聞こえる甲高い金属音もピアノとは大違い。
お願いだから今は開発しないでほしいわ……。
だってもう完全に頭は冴えちゃったんだから、さっきまでのことは……もう消えちゃったのよ。
思い出したけど、今日は朝から眠くてボーッとしてたんだったわ。それでちょうどソファがあったから休憩しようとしただけで……。

大きく大きくため息をついた。
眠くさえなければ、あんな夢見ないでいられたのに。
そういえば、と誰かが言ってたことわざが頭に思い浮かんだ。

春眠、暁を覚えずって。

コメント

  • れでぃkawaii -- 2016-05-04 (水) 23:59:59
  • あいつ -- 2016-05-05 (木) 04:11:14
  • 早口になるの -- 2016-05-05 (木) 10:00:59
  • なぜれでぃだけこんなにどっちゃり怪文書が… -- 2016-05-05 (木) 16:29:13
  • よしなよ -- 2016-05-08 (日) 19:52:35
  • あへへぇ! -- 2016-05-15 (日) 22:43:28
  • 俺怪文書でレディーの良さわかった! -- 2016-06-27 (月) 13:06:56