ゲーム用語/ハンティングアクション

Last-modified: 2024-04-26 (金) 00:15:35

モンスターハンターシリーズの多くの作品に付けられているジャンル名。

概要

  • 各ゲームが発売時に付けるサブジャンル名は、作品ごとに作り手が自由につけられるが、
    モンスターハンターシリーズの場合は一貫して「ハンティングアクション」という呼称が使われている。
    一方で、MHシリーズのブームにより生まれた後発の類似ジャンルに関しても(作り手がそう名乗っていなくても)
    ハンティングアクションに分類されたり、省略形という形で「狩りゲー」と言われたりする。
  • 「ハンティングアクション」という言葉自体に正確な定義があるわけではなく、分類はそこまで厳密ではないが
    広義に「敵を倒し、得られる素材を集めて武具を強化・収集する」「巨大な敵との戦いをメインコンテンツとする」
    「複数人(概ね4人前後)でPTを組んで協力プレイ可能」という要素を備えると分類される場合が多い。
  • 「ハンティングアクション」というジャンル名を名乗ったのはMHが初めてであるが、
    そのMHに影響を与えたタイトルとしては『ファンタシースターオンライン(PSO)』などがある。
    • PSOはアクションRPGというくくりになっているが、「マップが細かく分割されており、番号が振られている」
      「複数人でPTを組んでミッションを遂行する」「マップ最深部では巨大ボスとの戦いになる」
      「敵の落とす武具を入手して自己強化する」…というゲームシステムになっており、
      「これのアクション版が作れないか」という発想がMHシリーズの原点だったとスタッフによって語られている。
    • 「狩りによる素材集め」という要素をいち早く組み込んでいたゲームとしては、
      1995年に発売された『リンダキューブ』がある。
      こちらではノアの方舟に準えて、各種生物の雄と雌をタイムリミットまでに収容するのが目的となっているが、
      余った生物に関しては狩猟して素材化、素材から武具を作成する事が可能になっている。
  • MHシリーズ、特にMHP2が社会現象とも呼ばれる爆発的なブームとなった事で、
    他社からも多くのフォロワータイトルが登場した。
    発売元はハンティングアクションとは名乗っていないが、ユーザーからは俗に
    ハンティングアクション/狩りゲーと分類される事が多い。
    • その中でも比較的高い評価を受けたものとしては、近未来の荒廃した地球を舞台に、
      神の名を持つ異形のモンスター「アラガミ」を狩る『ゴッドイーター』、
      ウルトラマンベリアルとの戦いで消耗し、再び力を蓄えるために姿を消したウルトラ戦士に代わり、
      人間たちがウルトラ怪獣を狩る怪獣バスターズ』、
      和風世界で“鬼”を討つ者達「モノノフ」となり、巨大な異形の存在“鬼”を討伐する『討鬼伝』等が存在する。
      • 『ゴッドイーター』と『怪獣バスターズ』、『討鬼伝』は、追加要素を加えた上位互換版の
        『ゴッドイーター バースト』、『怪獣バスターズ POWERED』、『討鬼伝 極』を発売している
        この辺りもなんとなく「ナンバリング発売から少し時間をおいてPシリーズ発売、
        それからさらに時間をおいてG版発売」というMHシリーズの流れに近いものを感じる。
      • 余談の余談だが、怪獣バスターズには電気を用いた透明化能力を持つネロンガや、
        ヤマツカミっぽいバルンガなど、人気よりもモンハンを意識したような怪獣も選出されている。
        ゲームとしては後輩でも、怪獣としては遥かに先輩なので、設定込みで比べてみるのも面白いかもしれない。
  • 上記のように差別化点を打ち出して高い評価を受けたフォロワータイトルもあれば、
    何も考えずにMHのシステムを「それっぽく」模倣しただけとしか言いようがない無名タイトルまで存在しており
    当然ながらそのデキはピンキリである。それ以前のレベルでどうしようもないヤツもある。
    登場当初は第一印象だけで「モンハンのパクリ」と評される事もあったが、
    ジャンルとして定着した現在は内容が重視されるところとなっている。
    • ちなみに、前述の『討鬼伝』はコーエーテクモゲームス内に存在する
      開発チーム「オメガフォース」製作なのだが、
      カプコンがコエテクの『戦国無双』に類似したテーマの『戦国BASARA』をリリースしたので、
      逆にコエテクの側がカプコンの縄張りであるハンティングアクションというジャンルに殴り込んだ
      のではないかという説がゲーマーの間でまことしやかに囁かれていた。
      実際、『討鬼伝』の開発インタビューではMHシリーズをライバル視しており、
      追いつく事を目標にしているという旨を述べており、MHを大きく意識している事は公認の事実であった。
      これ以外にも、カプコンのヒットタイトルを意識した作品が発売されている。*1
      一方、前述の『戦国BASARA』側も開発インタビューでは無双シリーズを意識していると述べており、
      会社の垣根を越えてお互いに影響を与え合う関係となっていた。
    • しかし、両社法務部の間ではこうした流れと並行して法廷バトルも繰り広げられていた。
      2014年にカプコン側が起こした訴えでは、コエテク側が
      「追加データディスクによってゲーム内容が拡張される」「敵の接近をコントローラーの震動で知らせる」等の
      カプコン側が権利を有する特許を無断している点について争点となった。
      この訴訟は2019年までじつに5年間に渡って争われたが、結局カプコン側の訴えが認められ
      コエテクが1億円以上の賠償金を支払うという結果となっている。
  • ちなみに、少し話はそれるが、『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』の
    開発初期版はモンハンのようなハンティングアクション(アクションRPG)になっていた。
    • しかし、同作の開発初期のアクション性の強い戦闘システムは「ドラゴンクエスト」シリーズで
      お馴染みである従来のターン制の戦闘システムに慣れしたんだ同シリーズの従来のファンから不評だったらしく、
      ファンの要望を受けて実際に発売された同作の製品版では従来のターン制のRPGに変更されている。
  • フォロワータイトルが爆発的に増えたのは前述の通り2008年~2015年程までの間で、
    ハードで言うとPSP・3DS全盛期にあたる。
    それ以降となると完全新作としてリリースされるハンティングアクションは大きく減っており、
    シリーズが続いておりコンスタントに新作が出ているMHシリーズの実質一強状態となっている。
    • MH誕生に影響を与えたPSO以降のファンタシースターシリーズに関してはPSP時代に発売されていた
      『ファンタシースターポータブル』系統は4人マルチプレイ可能、敵を倒して装備収集といった要素などから
      MHシリーズが発売されていない時期に互換性のあるゲームとしてプレイされていた。
      しかし、こちらに関しても最後に発売されたのが2011年であり、2012年以降はオンラインゲーム
      『ファンタシースターオンライン2(PSO2)』のサービス開始に伴い、同作からのスピンオフである
      『ファンタシースター ノヴァ』を除いて実質的に展開終了している。
      • 『ファンタシースターオンライン2(PSO2)』及びその後継作
        『ファンタシースターオンライン2 ニュージェネシス(PSO2NGS)』は現在でもサービスが続いている。
        最初期にはMHを意識したと思われる要素が非常に多かったが(クラス「レンジャー」の各種装備等)、
        サービスが続くに連れてハンティングアクション風の要素は消えていき、装備に関しても直接ドロップから
        一定回数クエストをこなすと貰えるシステム、引き換えアイテムである石を集めて交換してもらう
        システムなどに主眼が移されていっており、ハンティングアクションよりも普通のARPG色が強くなっている。
    • 2023年には前述の討鬼伝シリーズを発売していたコーエーテクモゲームスと
      人気FPSであるApex Legendsやバトルフィールドシリーズなどを手掛けるエレクトロニックアーツがタッグを組んで、
      『WILD HEARTS』と言う和風ハンティングアクションを発売した。
      こちらはかなり久々となるモンハンを強く意識した作風である一方で
      「からくりを駆使した狩り」「大自然と人工物のせめぎ合い」と言った独自色も強い意欲作であったが、
      残念ながら売上が振るわず、7ヶ月ほどでサポート終了を迎えるに至っている。
  • 一方で、モンハンのように巨大な獲物と格闘するのではなく、
    「生息している動物を罠や武器で仕留め、調理や売買に使える肉や皮を手に入れる、
    シミュレーター系ゲームの文脈で現実での狩り(ハンティング)に近い事ができるゲーム」は
    増加傾向にあり、インディーズ・低価格ゲー等でも様々出てきている。

海外での評価

  • そもそもモンハンシリーズの海外でのジャンル名は昔から一貫してアクションRPGである。
    英語圏の人間にはHuntingという語から受ける印象がいわゆる日本の「狩りゲー」の内容と重ならないなどの理由があるのだが
    このためここで説明しているのは「ゲームのジャンル名」についてではなく
    「ハンティングアクションというゲーム性についての海外の評価」という意味合いとなる。
  • 日本国内ではPS2時代の口コミ人気に始まり、PSP~3DS時代にかけての爆発的な流行を見た
    MHシリーズだが、長らく「海外では狩りゲーというジャンル自体が人気がない」という説があった。
    これに関して、プレイヤーの間からは「もっさりなアクション」や「作業的なゲームプレイ」が
    原因にあるのではないかと言われていたが、単純にプロモーション・発売スケジュールの問題もあった。
    • MH3Gまでは海外版、特に英語版に関しては日本語版発売から半年~1年以上発売が遅れるのがザラであり、
      更にプロモーションもあまり打たれていなかった。このため、発売日にゲームショップに並んでいるのを見て
      初めて存在を知った…という人も多かったとの事である。一方、海外でもMHPシリーズを通して
      知る人ぞ知るゲームとなりつつあったことから、MH4U(海外版MH4G)では大体的にプロモーションが行われた。
      • こうした展開もあり、2015年4月にMH4Gの海外版がめでたく欧米で100万本を突破
        後続のMHXも国内283万に対し全世界430万と、国内:海外の比率が大幅に改善している。
        MHW以降では知っての通りゲーム自体の内容も含めて海外展開を強く意識したものになり、
        日本350万本に対し世界で1800万本と、人口比を考慮すると至って適正な割合が出るようになってきている。
    • なお、PSP時代のフォロワーとなるハンティングアクションゲームの中でも
      『ゴッドイーター』『討鬼伝』『ソウルサクリファイス』などは海外でもそこそこ高い評価を受けている。
  • 2015年以降になると、MHのシステムを踏襲した海外発のタイトルも増えてきている。
    非対称対戦ゲーム『Evolve』は開発陣によって「MH3を参考にしている」と
    言及されており、発売前のインプレッションで数々の賞を受賞した事や批評家からの高評価が述べられた事から
    「MHのモンスター側も人間が操作するゲーム」として注目が集まっていた。
    しかし、対戦バランスに極端な部分が多かったことや、その後のアップデートの方向性についても
    ユーザーからは不満の声が多く、瞬く間に人口が激減。
    後にプレイ無料化する事になったが、賑わっているとは言いづらい現状になっている。
    • 2017年に発売された『Horizon Zero Dawn』は、
      アクション/RPGというジャンル分けでの販売となっているが、開発陣が意図したコンセプトは
      ウエスタン(西洋的)なモンスターハンターを作る」というものだった。
      同作では敵として戦うのは巨大な獣の姿をした機械であり、
      敵の情報を収集し、弱点部分を集中的に攻撃して破壊・罠などを利用して有利に立ち回るというゲーム性。
    • 2019年には基本プレイ無料のオンラインアクションRPG、『Dauntless』がリリースされた。
      上述の『Horizon Zero Dawn』がモンハンの世界観を意識した作品ならば、
      こちらは「複数人で協力して巨大な敵(ベヒモス)と戦う」というモンハンのゲーム性を意識したものとなっている。
  • こうした海外展開と並行して、実写映画も制作された。
    2016年のゲームショウで制作中である旨が明かされたが、公開されたのはMHW:IBより
    更に後となった2020年末~2021年前半にかけてである。
    • 内容についてはリンク先に詳しいが、監督はポール・W・S・アンダーソン、主演はミラ・ジョヴォヴィッチと、
      ハリウッド映画版『バイオハザード』と同じ組み合わせである。
      この企画自体に関しては監督の側から熱烈なオファーがあり、是非MHを題材に撮らせてほしいという旨を
      5年に渡ってカプコン側に打診し続けた結果実現した物と明かされている。
      要するに、2010年を跨いだ辺りからの話であり、実に10年越しのプロジェクトだったようだ。

関連項目

シリーズ


*1 逆転裁判シリーズ』に対する『采配のゆくえ』が有名。