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松毬の浪費を嫌悪するアウトサイダーと庭に生えた25本のエイブラハム・リンカーン共和国

Last-modified: 2024-03-23 (土) 23:49:35

国旗

国章

松毬の浪費を嫌悪するアウトサイダーと庭に生えた25本のエイブラハム・リンカーン共和国

世界線	N.R.N.線
国歌	Risveglio di una Città
国の標語	さあ、起き上がって、田舎へ帰ろう
公用語	松毬の浪費を嫌悪するアウトサイダーと庭に生えた25本のエイブラハム・リンカーン語
首都	オルギア
建国	労働の発生と組織化、欲望の無制限な発露に対する禁止の体型の成立、そして死を巡る禁忌
通貨	胎児の夢
政治イデオロギー	モダニズム
指導者	アルカイックスマイルが上手い人
人口	そこそこ

政府集会の様子

夢

精神分析は、夢はすべて性的な意味をもつと主張するという非難を、みなさんは聞かれたことがおありでしょう。いまこそみなさんは、この非難があたらないものであるという判断をご自分で下しうる立場に立たれたのです。というのもみなさんは、飢え渇き・自由への渇望のような、はっきりした欲求の満足をテーマとした願かつぼうどんよくゆが望の夢をすでに知っておられるし、不精な夢・焦燥感の夢・貪欲な夢・利己的な夢についても知っておられるのですから。しかし、ひどく歪められた夢は多くの場合 - これもまた全部ではありませんが性的な願望を表現しているということは、精神分析研究の成果として記憶にとどめておいてよろしかろうと考えます。(ジークムント・フロイト著、高橋義孝・下坂幸三訳『精神分析入門』新潮文庫)

狂人

妹は兄貴に食われた。おふくろは知ってたろうか。おれにはわからぬ。おふくろも、たぶん知ってたろう。だが、泣いたときは何も言わなかった。たぶん、あたりまえのことだと思っていたんだろう。たしかおれが四、五歳のころ、部屋の外で涼んでいるとき、兄貴がこんなことを言ったっけ。父母が病気になったら、子たるものは自分の肉を一片切り取って、よく煮て父母に食わせなくては、りっぱな人間ではない、と。そのときおふくろも、それがいけないとは言わなかった。一片が食えるなら、むろん、丸ごとだって食えるわけさ。だが、あのときの泣きざまは、いま思い出しても胸がいたむ。じつに不思議なことだ。(魯迅著、竹内好訳『狂人日記』岩波文庫)

いき

横縞よりも縦縞の方が「いき」であるといえる。物の縞柄としては宝暦ごろまでは検す縞よりなかった。縞のことを織といったが、筋は横を意味していた。「熨斗目」の腰に織り出してある横縞や、「取染」の横筋はいずれも宝暦前の趣味である。しかるに、宝暦、明和ごろ縦縞が流行し出して、文化文政には縦縞のみが専ら用いられるようになった。縦縞は文化文政「いき」な趣味を表わしている。しからば何故、横縞よりも縦縞の方が「いき」であるのか。その理由の一つとしては、よりの方が平行線を平行線として容易に知覚させるということがあるであろう。両眼の位置は左右に、水平に並んでいるから、やはり左右に、水平に平行関係の基礎の存するもの、すなわち左右に並んで垂直に走る縦縞の方が容易に平行線として知覚される。平行関係の基礎が上下に、垂直に存して水平に走る横縞を、平行線として知覚するには両眼は多少の努力を要する。換言すれば、両眼の位置に基づいて、水平は一般に事物の離合関係を明瞭に表わするのである。(九鬼周造著『いきの構造』岩波文庫)

睡眠

人間が睡眠に陥ると、その本性部分の関連に変化が生じる。眠っているとき、ベッドに横たわっている人間は、肉体とエーテル体を含んでいるが、アストラル体と自我とを含んではいない睡眠中は、エーテル体が肉体と結びついているおかげで、生命が活動し続ける。肉体は、もしも単独で存在するようになったら、その瞬間に崩壊し始めるであろう。けれども睡眠中は、思考内容も、快楽と苦も、喜びと悲しみも意識して意志を行使する能力も消えてしまう。これらすべての担い手は、アストラル体なのだが、あらゆる思考世界と意志世界を伴ったアストラル体が、睡眠中は破壊されているとは誰も考えない。アストラル体は、ただ、別の状態において存在している。人間の自我とアストラル体とは、快と苦その他のすべてを担っているが、そのことを意識するには、アストラル体が肉体、エーテル体と結びついていなければならない。覚醒時のアストラル体は、そのような在り方をしており、睡眠中のアストラル体は、そのような在り方をしていない。アストラル体は、肉体、エーテル体から抜け出ているとき、肉体、エーテル体に結びついているときとは異なる在り方をしている。(ルドルフ・シュタイナー著、髙橋巖訳『神秘学概論』ちくま学芸文庫)

未来

詩は之を勞働若くは遊戯若くは反抗の為めに活動せる大多数に献ぜんと欲す。現代諸大國の革命の多色多聲なる潮流は吾等の歌はんと欲する所なり。試に主なる詩料をい列記せん乎。電灯に照らされたる武器工場及其他の工場の騒がしき夜業、烟を吐く鐡の龍蛇を臙下して厭くことなき停車場、烟突より騰る烟柱の天を摩する工場、刀の如く目にかゞやきて大河の上に横れる巨人の體操者に類する橋梁、地平線を嗅ぐ奇怪なる船舶、鋼鐡の大馬の如く軌道の上に足踏する腹大なる機關車、螺旋の占風旗の如く風にきしめく風船の目くるめく飛行等是なり。(フィリッポ・T・マリネッティ著、森鷗外訳『未来派宣言(未来主義の宣言十一箇条)』むく鳥通信(スバル))

暴力

暴力は、文明人によって無益で、しかも危険だとみなされて、理性的に否定されたのだが、しかしこの理性的な否定は自分が否定した当のもの、つまり暴力を排除できているわけではない。これは、未開人による死の非理性的な否定の場合も同様だ。しかし他方、暴力を表現することは、すでに私が述べたように、二つの反対にぶつかる。一つは、暴力を否定する理性の反対、もう一つは、暴力自体の反対だ。ただし暴力は、自分に関する言葉を沈黙のうちに軽蔑するだけに留まっているのだが。(ジョルジュ・バタイユ著、酒井健訳『エロティシズム』ちくま学芸文庫)

幸福

最後に来るのが天王星である。その名のとおり、このとき人は天にはいるのである。海王星(軽率にもこういう名をつけたのは残念である。⁾は、エロース星という真の名で呼ぶことが許されないから、ここではこの惑星を考慮に入れるわけにはいかない。かりにエロース星と呼ぶことが許されるとしたら、私は次の点を指摘してみたいと思う。それは、いかにして終末に発端が結びつくかという点である。つまり愛が死とひそかな関連をもち、この関連によって下界の神オルクスないし〔プルータルコスによれば) 古代エジプト人の考えた下界の神アメンテスが、取りかつ与える者、すなわち取るだけでなく与えもする者であって、したがって死が生の大きな容器であるという点である。してみれば、そこから、すなわちオルクスから、いっさいが出てくるのであって、いま生を享けているものはすべて、そこに居たことがあるわけである。こうした過程を生ぜしめる手品使いの手の内がわかるだけの能力がわれわれにありさえしたら、それこそ森隆万象のいっさいが明らかとなるはずなのである。(アルトゥル・ショーペンハウアー著、橋本文夫訳『幸福について』新潮文庫）

誤算

人種・民族あるいは階級、といった生物学的人間集団にとっては、仲間だけで水入らずの幸福な生活に達する唯一の自然な道は、自分たちのためだけの場所をつくって、ほかの連中を絶滅せしめることなのである。このことこそ、人類が時機を逸せずやるべきだったので、今ではもう手遅れなのである。『ほかの連中』を片づけてしまうどころか、われわれは、彼らを救済する学説や責務を、あまりにも多く作りすぎた。われわれは、道徳上の規準・人権・協定・法律・平等・ヒューマニズムなどといったものを、考え出した。われわれと『あのほかの連中』とを、架空の高い統一体に包合する架空の人類をつくり出した。なんという致命的な誤りだったのだろう!(カレル・チャペック著、来栖継訳『山椒魚戦争』岩波文庫)