クロスオーバー製作所/水色瞳の小説/世界樹の神様が私を舐めるのは間違っています。

Last-modified: 2020-04-01 (水) 15:16:35

クロス作品

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
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世界樹と不思議のダンジョン(2)(ゲームソフト)

注意

  1. チート描写が含まれます。
  2. 暴力的な表現が含まれます。
  3. ガールズラブが含まれる可能性があります。
  4. 作品の都合上、オリジナルキャラクターが登場します。
  5. 作者は水色瞳です。
  6. 原作死亡キャラクターが生存したり、原作生存キャラクターが死亡したりします。

本編

プロローグ 超古代の脈流

私は女の子を抱えた状態で、第9迷宮、超古代の脈流*1の下層を走っている。

そんな私を機械やらヤドカリなどのモンスターが包囲し始める。

……つまりは大ピンチということだ。

どうしてこうなったのか――この私、リタ・フロストムーンの馬鹿な一人語りを聞いてくれるだろうか。


世界樹をはじめとする迷宮群を望む港町オーベルフェ。その街には沢山の「冒険者」という人々がいる。そのほとんどは「ギルド」と呼ばれる組織に所属している。

かくいう私も、「ハイドリーム」というギルドに所属する……リーダーだ。しかもそのギルド、控えめに言って最強である。何せ世界で初めて第6迷宮の先に踏み出し、世界樹に到達したのだ。……この時、ギルドが出来てからわずか2ヶ月。

あれからまた2ヶ月。ついにギルドは最終迷宮と目される「大集結山脈」に到達した。

そこで私は息抜きを兼ねて、第三線以下のこのギルドの冒険者とふれ合うことを提案した。

本来ならLv.99*2の最強シノビパラディン*3である私は、いつも通り3人を引率する予定だったのだが、……率直に言うと、この……私が今抱えている女の子、ルカ・レートが余っていたのを見て、押し付けられた。

 

ちょっと言い方が悪かった。別にルカが嫌いな訳ではない(むしろその素直な純真さが私は好きだ)。何せ私は今、焦っているからだ。

ここの適正レベルは40台後半から60台前半だ。Lv99の(以下略)私からすると、猛烈に弱いのだが。

 

本来なら。

 

私がこんなにも焦っている理由は三つある。

一つ目は、魔物はルカを中心に狙っていること。彼女はLV46のルーンマスター*6専門だ。魔法は強いが防御は紙であり、私が守らなければならない。そこはサブ職業のパラディンの本懐なので別に良いのだが、想像以上にネクタル*7の減りが早い。……私が時々守りきれないせいだ。

二つ目は……なんと、パラディンの魂である盾(名前はアターガといった)が今の私には装備されていない。話せば長くなるが、簡潔にまとめると「装備外しの罠を踏んだ直後、ワープの罠を踏んでしまい、その場に取り残されたルカは拾えずに力尽きた」だ。まったく、消耗している時に階段に当たったことがこんなに憎らしいことはなかった。

三つ目。アムリタ*8がもうほぼ無い。これはもう危なすぎる。何せ、私の主力攻撃方法は遠距離からの睡眠付与攻撃、「忍法 含針」。消費TPは13、私の最大TPの約13分の1。またその他にもたまにさまざまなスキルを使う。……一応言っておくけれど、これは私だけでの消費だ。魔法を主に使用するルカは、私と同等かそれ以上もTPを消費する。結晶床*10の回復も追い付かない。

 

詰んでいる……と思わなくもない。

だが、大丈夫だ。迷宮地図を確認すると、この下の階は最下層。ここのボスは討伐済みなので、樹海磁軸*11が最下層に鎮座している。

そこで私は群がるモンスターを何とか殲滅し、ルカを起こすことにした。ネクタルはこれで最後。


「…………ぁ……リタ、さん……」
「あ、起きた。ごめんね何回も護れなくて……」
「……いえ、私が悪いんですよ……で、今何処です?」

 

最下層一歩手前、と答えたら明らかにほっとした顔をする。

まぁ当然だ。ついにこの地獄の決死行も終わるというのだから。……ただ、その直後に見せた寂しげな表情がわずかに気になる。

 

「リタさん、そういえば、ここの最終ボスって、やっぱり神様でしたか?」

ルカが私の心情を知ってか知らずか質問してくる。……そういえば、この世界樹は神様――実のところ、そうされてきた古代人――が創ったのだ、とまことしやかに言われているらしい。まぁこの機械仕掛けができるような技術は今の世界にはあまりない。
「いや……腐敗怪獣フェアデルペン。そいつが住み着いててさ」私は包み隠さない。
「へぇ……この壁とか床の色とかもこのせいです?」
「お、当たり。さすがルカちゃん察しがいい」
「……なんか、脈動してませんか、これ」

突然、爆弾が落ちる。

咄嗟に含針を射つ。だが、何も起こらない。

 

「「………………」」

 

おかしい。フェアデルペンは倒したはずだし、翠も、腐敗白龍も倒したはず。

なのに――――何だ、この何とも言えぬ感覚は。

 

「ルカちゃん、アリアドネの糸*12ってまだあったよね?」

しかし、返ってくる声は悲痛だった。
「すいません……カメレオンにアイテム奪取で奪われました……」
「……そう」

 

……そうか。

まあ、私の最強さでもどうにもならない時は……ブラストスキルで脱出してもらおう。

ん?私?どうせ帰還出来るから大丈夫。ルカを守らないとね。

……実のところ、いまだに全滅しても諦めれば帰還できる、という仕組みの訳が解らない。だけど最悪の場合はそれを利用する。
というか、事実、この世界の冒険者には「死」というものがない。少し前に読んだ本の冒険者は普通に死んでいたので、この世界の冒険者のおかしさがわかる。

あるいはこれも世界樹の加護なのだろうか?

……思考が飛んでいく。……落ち着こう。

 

「ルカちゃん、どうする?」
「……ここは、戦った方がいいと思います。この状態で最下層から一番上に戻るのは無理があります」
「だよね。よーし。アイテム……テリアカΩ*13とメディカ*14あるなら行けるよね。じゃあ……」

コメント

  • プロローグ2つになりそう -- 水色瞳? 2020-03-28 (土) 11:11:38

*1 世界樹の内部に突入するという素晴らしいダンジョンである。
*2 この世界は99が最高レベルなため。
*3 シノビ*4がメイン職業でパラディン*5がサブ職業である。
*4 防御力は低めだが敵を翻弄する技術に長ける。
*5 防御力が高い。
*6 防御力は低いが、魔法による純粋な火力は全職業トップクラス。
*7 戦闘不能者を蘇生する薬。
*8 TP*9を回復させる薬。
*9 スキルを使うにあたって消費する数値。
*10 踏むと割れてTPが回復する。
*11 この場合は街に帰還できる効果がある。
*12 使用すると即座に迷宮から帰還できる。
*13 状態異常を回復する薬
*14 体力を回復する薬。