クロスオーバー製作所/鹿方剛助の小説/憎しみは災禍を生む/第十二話

Last-modified: 2023-05-06 (土) 08:01:33

甲虫の秘策と、異様なポケモン

 カブテリモンとの戦いで相手が最初に出してきたのは、ビビヨンであった。それに対してハルトはウェーニバルの穴を埋めるために入れたキョジオーンを繰り出す。
 対決を始めるハルト。…と、そこでハルトはビビヨンの様子がおかしいことに気が付く。

「…ビビヨンの様子がおかしい。何かに操られているような…。オーレ地方のダークポケモン…?」
「オーレ地方のアレは、シャドーが根絶させられたことによってその方法も葬られたって聞いたよ。…となると、何者かがダークポケモンの作成方法を複製して転用した、としか思えないね…。」

 ハルト、そしてネモが相手のビビヨンの様子を見て様々な分析を行う。…その後ろで、ボタンはスマホロトムを操作し…あるアプリを起動させている。…そのアプリの画面に映るは、ビビヨン…ハルトのポケモンが戦っているポケモンだ。

「ボタン、どうだ?何かわかったか?」
「…。いや、全くと言ってほかのポケモン達と変わらないポケモンだよ。見た目の上では。…オーラサーチャーと同様の機能を持つアプリをダウンロードしてたんだけど…オーラサーチャーからは何の反応もない。…という事は、別の何らかの方法で様子がおかしくなったポケモンかもしれないね。ハルト!相手はダークポケモンではない!別の手段でおかしくなってしまったポケモンなんだ!」

 スマホロトムの画面に移された結果を見たボタンが、戦いを始めているハルトへと声をかける。…それに反応してか、ハルトは後ろの方を向いた。

「ボタンさん、それ本当!?…とりあえずまずはあのビビヨンがおかしくなった原因を探るほかない。」
「さすがハルト、いい判断してるね。…攻撃して手早く相手にダメージを蓄積させていこう。」
「了解。キョジオーン!しおづけ!」

 ハルトからの命令。それに従ってかキョジオーンは相手のビビヨンに対して塩の塊を発生させていき…ビビヨンに塩をくっつけさせる。ダメージはあったのか、ビビヨンはその動作が緩慢になった。

――よし、効果は抜群だ。あと一発塩漬けを放てば…相手のポケモンは倒れる。

 あと一発技を命中させれば相手のポケモンは戦闘不能になる、と踏んだハルト。続けざまに彼がキョジオーンに命令を下そうとしたその時だった。

『わてらの仲間になってくれはったポケモンとやらの弱点理解しとるらしーなあ…。やけど。それはこちらとて同じや。ビビヨン、"ガイアエレメント"!!』

 カブテリモンがそう命を下したのちに…ビビヨンはエナジーボールらしき物をキョジオーンに対してぶつけて来たのである。
 効果は抜群とはいえどエナジーボールはエナジーボールだ。そう高をくくっていたハルトだったが…命中したキョジオーンは、一気に大ダメージを負ってしまっていた。

「!?確かにエナジーボールは…草タイプの技…だからとはいえど、此処まで聞くはずが…まさか急所…!」

 相手の技が急所にあたってしまったのか、キョジオーンが追い込まれたことをそう判断するハルト。…そのハルトに対し、カブテリモンの声がかかる。

『驚いてはる様子やけど、そこまで追い詰められんのも当たり前やで?そのポケモンが放った攻撃は"ガイアエレメント"っちゅー技なんや。それも最大火力の技やで?どや?中々のもんやろ?』

 得意げなカブテリモン。そのカブテリモンをよそに…ハルトはボールを出し。キョジオーンに対してこう命じた。

「戻って、キョジオーン!」

 ボールの中へと戻りゆくキョジオーン。…その代わりとしてハルトが繰り出したのは。

「いけっ、タイカイデン!」

 でんきひこうタイプのタイカイデンだった。

『はぁ~。ウミネコみたいなポケモン出してくるんやなあ…。それに見た感じ、こっちの技で効果のありそうな技はなさそうやな。』

 タイカイデンを見てそう分析するカブテリモン。…そのカブテリモンをよそに、ハルトはタイカイデンへと命令を下す。

「タイカイデン!ブレイブバード!!」

 ビビヨン目掛けで翼を折りたたんだタイカイデンが突進攻撃を仕掛ける。その攻撃は先ほどキョジオーンのしおづけを受けていたビビヨンにとって到底耐えられるものではなかった。
 たまらずダウンするビビヨン。…その背中から、何か黒いものが霧散するのをハルトは見逃さなかった。

「っ…カブテリモン、といったよね。…今、ビビヨン…蝶のような姿をしたポケモンの背中から黒い何かが霧散したけど…何をしたの?」

 ビビヨンの背中から霧散したものの正体を問いただすハルト。そのハルトに。カブテリモンはこう返す。

『わてらデジモンの復讐の道具になってくれるための細工や。細工。…わてらデジモンがポケモンにされたことに比べたら…こないなこと小さいもんや。』

 帰ってきたカブテリモンの言葉。それにハルトは口をつぐんでしまう。…そのハルトをよそに。カブテリモンはビビヨンを戻し…次なるポケモンを繰り出した。

『ほな、次のポケモンのお出ましや。これでいわしたるで!』

 そのポケモンの名は、ウルガモス。…そのウルガモスの背中にも、何やら黒い物体が埋め込まれているようである。

 カブテリモンが次々と繰り出す様子のおかしいポケモン達。…それ等は一体、何をされた、というのか。