『アリス』

Last-modified: 2018-03-26 (月) 22:43:51

キャラシート

【クラス】キャスター
【真名】『アリス』
【容姿】なし/『アリス』としか言いようがない少女。
【英雄点】30(ステ10点/スキル20点):令呪三画(宝具三画)
【HP】30 / 30
【筋力】E:1
【耐久】D:2(3)+4=6(7)
【敏捷】E:1
【魔力】B:4
【幸運】E:1
【合計】10点
 
【スキル1】陣地作成 EX
10:移動フェイズに陣地を作成出来る。
  陣地内では魔術攻撃と物理防御と魔術防御と奇襲防御時、補正値5を得る。
  また、遠距離攻撃フェイズで受けるダメージを無効にする。
 
【スキル2】うたかたの夢 EX
5 :魔術攻撃時、ダイスの面数を1増やす。 ダイスのマイナス補正を受けない。
 
【スキル3】精神汚染 A
5 :マスターのスキル枠を一つ増やし、
  マスターはマスタースキルの習得ルールに従ってスキルを獲得できる。
 
【宝具1】『秩序空白性兎理論(ロジックブランク:ラビッツクロック)』 1/1
【ランク・種別】C:対人宝具
【効果】キャラシート作成時、令呪を三画消費する。
   このサーヴァントは以下のルールに従って運用される。
 
   1)サーヴァントとマスターを合体させ、一人のキャラクターとして扱う。
   2)HPはお互いの耐久値の合算より求め、スキル、宝具は共有される。
   3)判定時にはマスターがそれを行い、その際にはサーヴァントのステータスを補正値として得てよい。
     その代わり、サーヴァントのステータス上限値をA(5)とし、マスターの初期英雄点を5点とする。
 
【宝具2】『誰かに続く物語(アリス・アウト・ワンダーランド)』
【ランク・種別】EX:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
【効果】交戦フェイズ移行時に発動可能。
   マスターに奥義を習得させ、使用可能とする。
   そしてその交戦フェイズ中、マスターのステータスをサーヴァントとの合算として扱う。
   ただし合算後のステータスは上限をEX(8)としなければならず、このステータスによってダイスを振り直すことはできない。
 
   この宝具が発動されたターンの終了後、キャスターは消滅する。
 
【その他】人属性
 
 

【キャラクター詳細】
 穢れなき雪花の盾も。
 闇を切り裂く星の聖剣も。
 誰しもに想いを伝える言語も。
 現実に使えぬものは全て、此処に在る。
 
 目覚めることなかれ汝の夢よ。
 物語の終わりこそが、夢の終わりであるのだから。
 
 
【パラメーター】

筋力耐久
敏捷魔力
幸運宝具EX

 
 
【クラス別スキル】
 ○陣地作成:EX
  魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
  キャスターの場合は、召喚したマスターの精神領域に陣地を形成し、そこに巣食って、寄生する。
  多くのサーヴァントを見渡しても極めて希少であろうこの特性から、このスキルはEXランク――評価規格外と裁定される。
 
  極めての独自性、そしてそれ故かの莫大な引用数を誇る『アリス』シリーズ。
  この物語は作者であるチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンが、
  アリス・リデル及びその姉妹に語り聞かせ、また贈り物として書かれた物語が元となっているがしかし、
  それは多くの人によく知られ、よく読まれ、よく愛される作品として、世界中の人々に夢を与え続けている。
 
  その物語に登場する主人公が『アリス』であるということは、
  たとえその作品を読んだことがないという人であっても知っていることだろう。
 
  多くの者に主人公として認められた『アリス』は、
  作者たるチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンや、モデルとなったとされるアリス・リデルの手より離れ、
  子供や大人たちの情景と、主人公になれなかった者たちの羨望に後押しされて、『物語の主人公』の概念として成立した。
 
  ――故に。
  この『アリス』は、『アリス』足り得ない。
  彼女は誰しもが妄想し、空想する、アリスを元にした『普遍的な物語の主人公像』そのものである。
  身体を持たぬ純概念であるために、サーヴァントとして召喚された場合は、
  その召喚したマスターに寄生し、そのマスターを『アリス』へと改変することで戦う。
 
 ◯道具作成:E~A
  魔力を帯びた器具を作成できる。
  寄生したマスター次第によってランクが上下する。
  ストリードの場合ランクはB+相当となり、
  物語を元とした魔導書の作成及び効果量に+分のボーナスがかかる。
 
 
【保有スキル】
 ○うたかたの夢:EX
  人々の願望、幻想から生み出された生命体。
  願望から生まれたが故に強い力を保有するが、同時に一つの生命体としては永遠に認められない。
  全てが終わったあと、『アリス』は静かに眠りに就く――筈がない。
 
  物語は終わらない。
  折角主人公と成れたのに、それを終わらせるなどしたくないだろう。
  現実を拒み続ける限り、物語は永遠だ。 抗おう。 拒もう。 抗え。 拒め。
 
  君は『主人公』なのだろう。 物語を終わらせる、なんてことをしてはならない。
  それは諦めだ。 卑怯な行いだ。 主人公であれば誰かを救えるというのに、手放すなど無責任だ。
  だから――物語を語ろう。 主人公を続けよう。 終わりのない『誰かの為の物語』を、いつまでも、いつまでも。
 
 ○精神汚染:A-
  『主人公願望』。
  誰しもが抱く、不可思議に出会い、幻想を歩みしヒーローやヒロインへの憧れ。
  マスターに寄生するこのサーヴァントは徐々にその願望を肥大化させ、精神を汚染していく。
 
  このサーヴァントを召喚したマスターは当初、
  『アリス』の情報が開示され、それを受け止める。
  この時点で既に汚染は始まっており、このスキルを見ても違和感を覚えることなく侵食は進む。
  些細な違和感を覚えることもあるが、時間が経つにつれてそれは雲散していく。
  そして少しづつ、少しづつ。 その言動や行動及び精神は典型的な『アリス』へと変質していき、
  最終的に、ドン・キホーテの如く空想を紡ぎ、マスターの魔力と生命力が完全に枯渇するまで妄想を歩む者に成り下がる。
 
  精神汚染、と銘打たれてはいるが、
  あくまでもこれはマスターを『アリス』にするための処置に過ぎず、悪意も意思も何もない。
 
  ただし、極めて稀有ではあるが。
  『主人公願望』が一切ない、あるいはたとえ持っているのだとしてもしかし、そうでなくてもいいと。
  そうでなくたって、人を救うことはできるのだと。 それを受け止めた上で前を向き歩める人間は、この汚染を跳ね除ける。
 
 
【宝具】
『秩序空白性兎論理』
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
 
 ロジックブランク:ラビッツクロック。
 秩序立つ世界に錐穿たれる儚き空白。
 それをある人は物語と言い、ある人は幻想と言って、多くの人は夢と言った。
 
 常時発動型宝具。 『アリス』の具現。
 不可思議との出会いによる幻想世界への誘い。
 召喚したマスターの身体に巣食い、寄生するこのサーヴァントは、
 この宝具によって擬似的に本来の『アリス』が持つであろう普遍的なキャスタークラスの霊基をマスターに付与させる。
 
 
『思議不可能性剣理論』
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:1~100人
 
 ロジックワード:ヴォーパルソード。
 それは誰もが主人公に期待している事。 間違ったことを、間違っていると言える蛮勇さ。
 言の葉により繰り出される真理の一刀である。
 
 鏡の国のアリスに登場する物語、
 ジャバウォックの詩に於いて登場する怪物ジャバウォックを斬り倒した剣。
 本来であればその物語から理性のない怪物に対しての特攻を有する概念武装である筈なのだが、
 『アリス』足り得ないこのサーヴァントが持つものはやはり、変質を来している。
 
 それは言わば『主人公が持つ武器』。
 多くが剣であるが、それは弓であったり、槍であったり、魔術であったり。 そして、言葉であったりする。
 ジャバウォックの詩に書かれる単語の多くは作者たるルイス・キャロルによって創作された言葉であり、
 『ジャバウォック』、そして『ヴォーパル』という単語は今でもどういった意味合いの言葉であるのかが議論されている。
 どういったものであるか分からない武器であるが故に、それは持ち主によってその形態を変化させる理論武装と化した。
 
 
 一説によれば、ヴォーパルとは『真理の言葉』という意味であり、
 ジャバウォックは『訳のわからない言葉』――ある種の『言語の混乱(ゼノグロッシア)』という意味であるとされる。
 ――故に、その剣は言の葉でできていた。
 
 
『誰かに続く物語』
 ランク:EX 種別:対物語宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
 
 『アリス! このたわいない話をうけとり
  その手でそっとしまっておいてくれ
  思い出の神秘な絆のなかに
  子供の夢が綯いまぜになったあたりに
  巡礼たちが遠い国で摘んできた
  とうに萎れてしまった花冠のように』
 
                    ――不思議の国のアリス(ルイス・キャロル 著, 矢川澄子 訳)より抜粋
 
 
 アリス・アウト・ワンダーランド。
 アリスは『物語の主人公』という概念であるために、
 この存在が許されるには作者と、そして『語り手(ストーリーテラー)』が必要だった。
 
 ――故に、アリスはアリスを元にしてこれを仮想的に構築した。
 アリスをアリス足らんとするために働き続ける感情なき人格。
 作者と同時に語り手の役割を背負ったこの存在を、『P.N(ペンネーム)ルイス・キャロル』と言う。
 
 アリスにとって誤算だった――概念にこの言葉を使うのは些か不適切ではあるが――事は、
 この『P.Nルイス・キャロル』が作者及び語り手の役割を持ったが故に、物語の進行権利どころか、そのの終了権利をも持ってしまったことだ。
 しかし逆を言えば。 『P.Nルイス・キャロル』が物語を終了させない限り、物語は続いていくという事にもなる。
 そして同時に『P.Nルイス・キャロル』は『アリス』だ。 物語には作者が必要だが、この場合は作者も物語がなければ存在できない。
 ある種の共依存、あるいは相互補完のような関係性を以て、アリスはこの存在を肯定した。
 先にも言った通り、この存在がいなければ自身の存在すら危ういからだ。
 
 この宝具は『P.Nルイス・キャロル』そのもの、あるいは彼女が持つ作者特権。
 本来であれば『アリス』のためにしか使われないこの宝具はしかし、ある少女との出会いによって名を変えた。
 
 物語の終わりはしかし、夢の終わりなどでは決してない。
 人がひとりで生きていけないように、それは世界にたった一つだけ在るものではなく。
 過去に、現在に、未来に生きる人たち全てが、己の人生を、物語を持っている
 
 物語とは、歩み書く人の魂が込められているものだ。
 真意を行間に。 感じた事を文章に。 それまでの積み重ねを、文彩として。
 そこには必ず、曲げられぬ自分が在る。 貫くべき信念が、譲れぬ主張が書かれている。
 物語が終わったのだとしても。 人はひとりでは生きてはいけないからこそ、込められた魂は『誰か』の心に必ず届く。
 それを受けた『誰か』は、己の色彩を豊かにしながら、物語を書いて、紡いでいく。
 それは決して永遠などではないけれど。 終わりがあるからこそ、続いていくものだ。
 
 ドジソンの書いた作品がアリス・リデルに送られたものならば。
 多くの人に読まれたことで成立した『P.Nルイス・キャロル』が綴る物語は、
 たとえ終わってしまっても、善き思い出として読者を支え続ける、『誰かに続く物語』に他ならない。
 
 

参加歴