ビーシュマ

Last-modified: 2021-05-08 (土) 21:42:49

キャラシート

【クラス】アーチャー
【真名】ビーシュマ
【容姿】背が高く、がっしりとした体格の偉丈夫
【英雄点】40点(ステ22点・スキル13点):コストなし
【HP】10 / 10
【筋力】A++ :7(8)
【耐久】EX:2
【敏捷】A :5
【魔力】B :4
【幸運】C :3
 
【スキル1】単独行動:B
5点:移動フェイズに行動を行うことで全ての隠れている相手の移動後の位置を知る。
また、自分に遭遇フェイズが発生しない場合は遠距離攻撃フェイズを行える。
 
【スキル2】武の聖戒:A
3点:物理攻撃時、補正値5を得る。
 
【スキル3】神性:A
5点:キャラシート作成時、サーヴァントの英雄点10を得る。
 
【宝具1】『戦場薙ぎし神魂の弓(ブラフマーストラ・シュヴェータヴィーラ)』 1/1
【ランク・種別】ランク:A+ 種別:対国 レンジ:1000 最大捕捉:10000人
【効果】令呪を1つ消費して発動する。
    相手の前衛全てに物理攻撃を行い、補正値10を得る。陣地破壊が発生する。
 
【その他】秩序・中庸 天属性 神性
 
 

「ハ……ッ! この儂に挑もうと……? 良かろう。
挑まれるというのなれば………! 全力を以てして掛かるが我が使命よ!」
 

プロフィール

【元ネタ】インド神話
【CLASS】アーチャー
【真名】ビーシュマ
【異名・別名・表記揺れ】デーヴァヴラタ、マハーマヒマ、シュヴェータヴィーラ、ゴウランガ
【性別】男性
【身長・体重】275cm・177kg
【肌色】白【髪色】赤【瞳色】青
【外見・容姿】非常に背が高く、がっしりとした体格の筋骨逞しき偉丈夫。
       口元には豊かな白い髭を蓄えており、片手には巨大な弓を握る。
【地域】インド
【年代】神代
【属性】秩序・中庸
【天地人属性】天
【その他属性】人型・神性
【ステータス】筋力:A+ 耐久:EX 敏捷:A 魔力:B 幸運:D 宝具:A+
  

筋力■■■■■A+耐久■■■■■EX
敏捷■■■■■魔力■■■■■B
幸運■■■■■D宝具■■■■■A+

クラススキル

対魔力:A
魔術への耐性。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。
ランクAでは魔法陣及び瞬間契約を用いた大魔術すら完全に無効化することが可能。
事実上現代の魔術で傷付ける事は不可能なレベル。
 
単独行動:EX
マスターとの繋がりを解除しても長時間現界していられる能力。
EXランクという規格外の力を持ち、マスター不在でも行動できるようになっている。
しかし、宝具の行使や戦闘等で多大な魔力を必要とする行為にはマスターが不可欠となる。
宝具の効果により自分の死に時を決める権利を持つため規格外のランクとなっている。
 
 

固有スキル

神性:A
その体に神霊適性を持つかどうか、神性属性があるかないかの判定。
ランクが高いほど、より物質的な神霊との混血とされ、肉体的な忍耐力も強くなる。
彼はヴァス神群と呼ばれる神々の1人、プラバーサの生まれ変わった姿であり、女神ガンガーと人の間に生まれた息子でもある。
そのため人間ではあれど、その肉体には最高レベルの神性を宿している。
 
指導者のカリスマ:A
最高の戦士にして完璧な人間と讃えられたビーシュマが有する特殊なカリスマ性。
軍団の指揮や自軍の士気の向上の他、後継者の選定と指導に関しても高い効果を発揮する。
武人であると同時に優れたアーチャリヤ(指導者)でもあった彼は、その武勇と人徳を称してビーシュマーチャリヤとも呼ばれた。
常に(ダルマ)を重視し、王位を継がないと誓った際には数多くの人々が国を憂いたという程の人格者であり、
マハーバーラタの最後を飾るクルクシェートラの戦いではドゥリーヨダナたちカウラヴァ側の総大将を引き受け、
後に総大将を務めたドローナやカルナよりも長い十日もの間指揮を続け、クリシュナたちパーンダヴァ軍を食い止めたという。
 
武の聖戒:EX
ビーシュマ。"恐ろしき誓いを立てた者"を意味する彼の名前がスキルとなったもの。
彼が異母子へと王位を譲るために立てた、生涯絶対の独身と王位放棄の誓いに由来する。
これにより、彼は戦闘前に任意の数の誓いを神々に捧げる事によって、その誓いに応じた神々からの祝福を受ける。
誓いが果たされている限りその祝福は恩恵となって彼を守護し、そして彼を強化する。が、代わりに誓いが破られれば彼はダメージを受ける。
立てる誓いの誓約期間や重さなどは彼が任意で決められるが、長ければ長いほど、厳しければ厳しいほど強力な恩恵を得れる。
受けられる強化や守護は基本立てた誓いに準ずるものが多いが、神々の気まぐれにより例外もある。
 
仙授の智慧:A+
生まれて間もない頃から、川の神であり母であるガンガーにより数多くの聖仙の下で薫陶を受けた事に由来するスキル。
王としての徳と政治学、聖典、永遠の若さやインドラの神造兵器に至るまで、彼は数多くの智慧と武器を授かった。
故に彼は、基本的な戦闘スキルや知識を得るスキルなどであれば、短時間の戦闘の中で相手から"学ぶ"事を可能とする。
戦闘を行えば行うほど相手の持つスキルを学び、強くなる。ただしそのサーヴァントの生涯が形になった固有スキルなどは取得できない。
またそれに加え、相手のスキルや教えられることの本質を見抜くための千里眼も含まれており、過去と未来を見通すことも可能。
生前はこれによりカルナの真実や他人の前世を見通すことが出来た。
 
 

宝具

祝福されし優れた五体(デーヴァヴラタ・ゴウランガ)
ランク:B 種別:対人(自身) レンジ:1 最大捕捉:1人(自身)
彼が神々より受けた祝福、自分の死に時を任意で選ぶことが出来る逸話が宝具へと昇華したもの。
概念型宝具であり、彼はどれ程の攻撃であってもその受けるダメージを最終的に9割減させることが出来、事実上死ぬことはほぼない。
尚且つ瀕死になっても戦闘を続けることが出来、加えてどれだけダメージを受けても彼が生きようとする限り霊基は修復され続ける。
彼を敗北させるためには概念系の即死宝具で殺すか、彼自身に死を望ませる、あるいは『女を愛さず、そして抱かない』などを始めとした誓約を破らせるという方法がある。
前述の生前に誓った聖戒に加えて、『武の聖戒:EX』で新たに結んだ誓いも含め、ひとつでも違えればこの宝具の効果は半減。生きてはいても戦闘不可能な半死状態まで追い込まれるようになるだろう。
またその副作用により、彼は女性へと攻撃を加える事は出来ず、女性が相手となる場合は武器を捨て去る。これは彼の死因に由来する。
彼はこの宝具により、生前では山のように弓矢が突き刺さっても300章に渡る今わの際の言葉を残している。ジッサイ強い。
 

静寂誘いし微睡みの矢(プラスヴァーパストラ)
ランク:B 種別:対人 レンジ:1 最大捕捉:1人
彼が前世、即ち神たるプラバーサであった時代に学び得た弓矢。
放った相手を必ず眠らせる不可避の微睡み。プラスヴァーパは「眠り」、もしくは「夢」を意味する。
彼は夢の中で前世の自分、即ちプラバーサからこれを授かった。それ故に彼がこれを持つ事を知る者は、師を含めていない。
インド神話には様々なアストラ(武器、技、奥義とも訳される)が存在し、それぞれに神の名が冠せられる(ブラフマーストラもその一種)。
そのためヴァイヴァヤアストラ(ヴァーユのアストラ)やアグネヤアストラ(アグニのアストラ)など複数の種類が存在し、所持者もそれぞれ複数いる。
だがこのプラスヴァーパストラは、他のブラフマーストラなどと違い、人間の中ではビーシュマのみが持つ固有奥義となっている。
 
マハーバーラタには数多くの神々の武器/術技(アストラ)を使う人間が出るが、
このように他に持つ人間のいない固有の奥義(アストラ)はやはり希少なものである。
他にはアルジュナがシヴァから授かった武器(アストラ)であるパーシュパターストラもまた、他に持つ人間のいない固有のアストラの一例と言える。
そのため真の力を解放すれば更なる先があるとも噂されているが、彼は生前のある逸話からこの宝具を使用したがらず、封印状態にある。
元々は師である聖仙パラシュラーマとの決闘の中で授かり、長き戦いに決着をつけるために使用しようとした宝具だが、起動の真言を唱えようとした瞬間、
現れた聖仙ナラダと神々にこの宝具の使用は決闘相手への侮辱に他ならないと制止され放つことはなかった……という過去がある。
 
なお、プラバーサからはこの眠りの矢プラスヴァーパストラと同時に、目覚めの刃サンボーダナストラをも授かっている。
本来はこの2つの宝具を順番に使用することで本領を発揮するらしいが……?
 

戦場薙ぎし神魂の弓(ブラフマーストラ・シュヴェータヴィーラ)
ランク:A+ 種別:対国 レンジ:1000 最大捕捉:10000人
サナトクマーラより学んだブラフマーの教え、即ち精神と魂を同一化させ放つアーンヴィークシキーを用いる事で発動が出来る超多重射矢術。
第一宝具『祝福されし優れた五体』によって強化されているその肉体への祝福を、耐久値から全て攻撃に転化することで、弓矢の一斉掃射を行う。
更にそれに加え、生前に数々の神や聖仙から学び得たアストラ群も同時に載せる事で、更なる破壊をもたらすことが可能。ブラフマーストラに加わり、
アグネヤアストラや、ヴァイヴァヤアストラなどといった神々の技を同時に載せ、相乗効果を発揮させる。
 
多重射矢術以外でもこれらのアストラ群を個々に用いることも可能であり、対人から対国まで幅広く対応することが可能となる応用力の高い宝具。
その一撃一撃は非常に強力かつ素早く、弓矢の1本1本が核弾頭にも匹敵し、クルクシェートラの戦いの再現が如く数の力を一瞬にして葬り戦局を覆す。
威力は日に万の数の兵を薙ぎ払ったとすら謡われ、伝承に曰くその真なる力を開放すれば10日で一億人を殺したとも伝えられる。
 
 

解説

インド神話最大の叙事詩、マハーバーラタに描かれし不屈の英雄。
マハーバーラタにおける話の中心ともいえる、クル王家とパーンダヴァ兄弟の対立の関節的な原因ともいえる人物であり、
そして話の中心であるパーンダヴァ5兄弟とカウラヴァの100王子の武術の師とも言える立ち位置に立つ、名実ともに最強の英雄である。
聖仙に戦いを(祖霊の助言とはいえ)放棄させ、マハーバーラタの中心人物であるアルジュナに並ぶ力を持ち、加えて不死であるためその持つ力は計り知れない。
人格に優れ、(ダルマ)を尊び、他者の為に生き、そして後世に王としての道を託して死んでいった人格者にして自己犠牲の象徴として書かれる。
また同時に、自分の行いによって発生してしまった王家の分裂に対し、自分ができる限りの責任を負った、責任感の強い人物としても描かれている。
以下に彼の詳細な生涯を語り記す。
 

生誕、幼少期

元々はヴァス神群と呼ばれる8人の神々の内の1柱であるプラバーサと呼ばれる神であったが、
妻の願いに応え聖仙ヴァシシュタの聖なる牛を盗んだ罰として、人間へと転生した姿がこのビーシュマである。
彼らはガンジス川の女神であるガンガーの子として人間に転生することを義務付けられたが、プラバーサを除く7柱は、
人として生まれすぐに死ぬことを約束された。が、実行犯であるプラバーサのみは人間として長い時を生きることを義務付けられる。
そうして彼はクル族の王シャーンタヌという男とガンジス川の女神ガンガーの相の子、半人半神の王族として生を受けた。
幼少期はデーヴァヴラタという名前で過ごし、パラシュラーマやサナトクマーラ、インドラといった数多くの神々や聖仙の薫陶を受けた。
様々な智慧や武具を学び得て、人徳も積み人々に慕われ、次期王位は彼に違いないと慕われて生きた。
 

『恐るべき誓い』

だがある日、妻(ガンジス川の女神)に去られた父であるシャーンタヌがサティヤヴァティーという女性に惚れた時の事。
女性の親は「自分の娘の子が王位に就けぬならば、王とて娘を嫁には出せん」と言った。それに対しデーヴァヴラタは「私は王にはならぬ」と言った。
女性の親が「お前がならずとも、お前の子が王になるだろう?」と反論をすると、彼は「私は永遠に結婚せず、女も愛さず抱かない」と誓った。
この誓いにより彼は「恐るべき誓いを立てた者」という意味を持つビーシュマという名前を得て、死期を自分で決めることを許されたのだ。
この時多くの人々が王位放棄を心配したが、彼は「きっと次の王は私よりも優れている」と民を宥め、自身は後見人の立場に就いたという。
彼の持つ人徳と能力の高さ、そして人の好さが表れているエピソードである。
 

アムバー/シカンディンの復讐

そんな誓いを立てたある日、異母弟のヴィチトラヴィーリヤの妃を探すために、3人の女性を競技を通じ手に入れるなど武勲を立てた。
この3人の女性の1人であるアムバーは「心に決めた人がいる」とビーシュマに打ち明ける。ビーシュマはそれを聞き入れてアムバーを国に帰した。
だがアムバーの想い人は「既に他人のものになった女などいらない」として拒み、それに失望したアムバーはビーシュマと結婚することを強く望んだ。
しかし彼は「女を愛さない」誓いを護るためにそれを拒否。『責任を取り婚約するべきである』と主張する師パラシュラーマと意見がぶつかり、決闘に至る。
 
この決闘はビーシュマがその生涯で学び続けたアストラを全力で師匠とぶつけ合ったが、23日間の戦いを超えても決着はつかなかったというほど激しいものだった。
勝負の最後、ビーシュマは前世の自分から授かった、彼のみが使える奥義プラスヴァーパストラを用いようとするが、彼は勝敗よりも礼儀を重んじるべく使用しなかった。
最終的な勝負は、パラシュラーマの祖霊らが「ビーシュマを倒す事は不可能だ」とパラシュラーマを制止した事で痛み分けに終わり、ビーシュマは己の聖戒を貫いた。
それに納得できないアムバーはビーシュマへの復讐を誓い、苦行を超えて後の敵側となるパーンダヴァ側の縁者へ転生、その後に男となりシカンディンと名乗る。
これが後にビーシュマの最後となることが予言され、そしてそれは現実になり復讐は果たされる事となる……。
 

王位後継者の死、そしてクル族(カウラヴァ)途絶

恐るべき誓いを立てて更に数年が経ち、「王家を継がぬ」という父の為の誓いが悲劇を生むこととなる。
彼は最終的に王位を継がないために生涯未婚の誓いを立てたが、後見人として立てた王位継承者である異母弟たちが皆死んでしまったのだ。
王家の世継ぎが居なくなり、国を継いでくれと懇願されるも、彼はその誓いを固辞し続けた。その結果としてビーシュマの弟の妻たちは、
死んだ王族の妻という立場を変えないまま、他の血筋を貰い後継者として2人の男児を授かる。この2人の男児が後に王族の分裂を招く。
 
この兄弟の兄の子であり、(弟王の出奔により)王の子となったカウラヴァの100王子と、
弟側の子(正確には神々の子)であるパーンダヴァ5兄弟はマハーバーラタの中心的人物となり、多くの武勲を立てる。
ビーシュマは彼らの師となって武術や王としての在り方を教え、特にパーンダヴァ5兄弟の3男であるアルジュナは同じ弓使いという事から大層可愛がった。
だが紆余曲折があり、パーンダヴァ5兄弟とカウラヴァの100王子との間に亀裂が生じ、王家の分裂が発生することとなる。
 
インドでは生まれた順から王位を継ぐ権利を持つ。そのためパーンダヴァの長兄ユディシュティラが王位継承者であった。
だがそれに嫉妬したカウラヴァの100王子が1人、ドゥルヨーダナはパーンダヴァ家にサイコロ賭博を仕掛け、勝利する。
これにより、ルール上は正当な王位継承者であるパーンダヴァ兄弟から王位や財産の全てを奪い、彼らは13年の間、国から追放される事になる。
この時ビーシュマは、恥辱に晒され助けを求めるパーンダヴァ家の妻ドラウパディーに、「道義を賭けた勝負である以上、私は手を出せない」
と手助けを断らざるを得ず、苦汁を舐める事がある。ここから"筋"と"誇り"の間に葛藤する彼の苦難が幕を開くこととなる。
 
そして13年が経過し、帰ってきたパーンダヴァ兄弟らはカウラヴァと交渉を行うが決裂。戦争が幕を開く。
この時ビーシュマは両者に戦いを辞めるように説得したが、必死の説得も虚しく聞き入れられず無念を味わう結果となっている。
これがマハーバーラタのクライマックスとも言われる、周囲の国々を巻き込んだ大戦争クルクシェートラの戦いの幕開けである。
パーンダヴァを追いだしたカウラヴァを非難したいが、正当な勝負である以上、そして何よりも王位を放棄すると誓った以上、
口を出すことは許されないビーシュマは、その誓いを反故しない範囲で全力を尽くし己の責任を果たすと誓った。
 

クルクシェートラの戦い

そして戦いの幕が開く。彼はカウラヴァの100王子率いるクル軍の総司令を任命される。
同じ王家が争う事に心を痛める彼であったが、開幕した戦いを止める手立ては何処にも存在しない。
だからこそ彼は、『パーンダヴァ兄弟を殺さない事』と『自分が総司令の間カルナを戦線から外す事』を条件に総司令となった。
前者は同じ王家の者を殺したくないから、後者はカルナがパーンダヴァ兄弟の異父兄弟であり長男であることを知っていたからである。
アビマンニュと死闘を繰り広げ、アルジュナと互角の戦いを繰り広げ、ドローナと結託しユディシュティラを攻め、彼は本気で戦った。
ビーシュマの戦いぶりはまさに凄まじく、クリシュナが不戦の誓いを捨てて武器を取り、自ら討とうとするほどに強力であった。
パーンダヴァ側はビーシュマのあまりの脅威に意気消沈するが、やがてビーシュマにとっての最後の日が訪れる。
 
ビーシュマは9日目の夜、パーンダヴァの5兄弟が訪れたために招いた。*1
そして彼は言った。「なんでも欲しいものを言うがいい」と。5人の兄弟は言った。「貴方を倒す方法を、どうか教えてほしい」と。
ビーシュマは言う。「私は女性とは戦わないと誓っている。以前に女性であったシカンディンを先に立てて、アルジュナが彼を盾にして矢を射れば、私を倒すことができるだろう」と。
パーンダヴァ兄弟は知らず知らずのうちに、ビーシュマを倒す鍵を揃えていた。かつて自分の誓いのために悲劇に追い込んでしまった女、アムバーの生まれ変わりである。
ビーシュマはその因果を自ら清算し、ここに自らの死期を定めた。
 
戦争が起き10日目、シカンディンとアルジュナが同時に弓矢を放ち、ビーシュマの肉体を穿つ。
アルジュナはその手で、最敬の親族を討ったことを悔やんだ。ビーシュマは全身に隙間なく矢を受け、落馬した。
しかし「自分の死に時を選ぶことができる」祝福は依然として働いていた。このまま死んでは、王族たちへの後見人としての責任を果たせないと考えたからだ。
彼が倒れた時、戦争中であったはずの敵味方は全て彼の周りを囲み、彼の言葉に耳を傾けた。その戦場に立つ者達は皆、彼にとっての孫であり、教え子でもあった。
命は未だあれど、愛し子達に囲まれたこの瞬間こそは大往生であっただろう。
 
ビーシュマは文字通り死ぬほどの激痛に8日間耐えて戦争を最後まで見届けた。
王とは何たるかという心構えを、聖典2巻分にも渡ってパーンダヴァ兄弟に言い残し、そして安らかに眠るのであった。
 
父の為に愛を捨て、誓いの為に師と戦い、義理の為に苦汁を舐め、そして巡った因果によって討たれた。
自分が王家を継がなかったがために、王家が分裂した。そのために自らの命も絶たれた。まさしくその生涯は苦難に満ちたものだった。
その誓いが復讐を生み、争いを生んだ。それでも彼は誓いを反故にはしなかった。誓いを破らない範囲で、出来る事をして後世に託した。
クルクシェートラの戦いを、死に際の中最後まで見届け、生き残った王たちに王とは何か、人とは何かを最後まで説いて死んだ事にその責任感は表れている。
彼の生涯は一言でいうのならば、自己犠牲と重責という言葉に表せられるだろう。だが彼は、そこに後悔はない。自分の立てた誓いを悔やむことも無い。
何故なら彼は自らに出来る事を全力で成し、そして自らの後を継ぐ王位継承者たちに、優れた指導者としての在り方を遺すことが出来たのだから。

性格

見た目は老齢の爺でありながら、筋骨隆々でその身長は天を衝くほどに高い。
性格もそれに違わず、豪快であり口調も荒いが、話してみると非常に面倒見のいいお爺さんである。
口が悪く、時たま悪態をつく事もあるがそれは相手を思いやっての事。彼は誰よりも他人を慮ることを是としている。
また生前の経験から人がすれ違いから仲違いすることを嫌い、まずは武器を執るよりも話し合いを優先しようとする。
だが、ひとたび交渉の余地が無いと判断すれば、その暴威が如き力を以てして敵を薙ぎ払う覚悟を持っている。
 
また、解説の項目にもあるように責任感が強い。これは自分に対しても、他人に対しても同じ。
故に彼は自分が誓ったことは絶対に反故にせず、そしてその誓いにより他人が不幸になるようならば全力で止める。
生前は戦争を止めることは出来なかったが、それは彼の立場によることも大きかった。それ故に彼はカウラヴァの総大将という立場で出来る事をした。
9日目の夜に自らの弱点をパーンダヴァ兄弟へ伝えた事はおそらく、彼なりの懺悔だったのかもしれない。そのために彼は己の人生に幕を下ろした。
だがそのまま死ぬのは残される王たちに無責任であるとし、彼は全身に刺さる矢の激痛に耐えながらも戦争の終わりまで生き続け見届け、
そして生き残った王たちに王としての在り方を説いた。これらの様に、彼は自分のできる精一杯で責任を果たした。
サーヴァントとして呼ばれてからもそれは変わらず、従者としてマスターの命令に十全を以てして応える。
生前に掲げた己の誓いに反しない命令ならば、基本的には聞いてくれるため初心者にも扱いやすい。
(ただし消費魔力量は例外である)

【その他情報】

イメージカラー:荒々しい黄土色
特技:弓術、交渉事、スヴァヤンヴァラ
好きなもの:誓いを守り、人を護る事、仲のいい大家族
嫌いなもの:不義、不道徳、他人の不幸、殺し合い
天敵:パラシュラーマ、クリシュナ
願い:地位に縛られず争いを止めたい

【一人称】(オレ)【二人称】貴様、あんた【三人称】○○のガキ、鼻ったれ小僧、他様々


*1 クルクシェートラの戦いでは夜は不戦の誓いを互いに敷いていた