ヘレナ・P・ブラヴァツキー

Last-modified: 2021-09-22 (水) 14:32:31

キャラシート

【クラス】ヒューマンⅣ
【真名】ヘレナ・P・ブラヴァツキー
【容姿】黒いレースのレオタード衣装の上に深緑色の軍服、マント、軍帽を被った美しき女傑。
【英雄点】?托シ假シ点
【HP】70 / 70
【筋力】E :1
【耐久】D :2
【敏捷】B+ :5
【魔力】EX :10
【幸運】A :5
 
【スキル1】霊長の獣:A
自身の英雄点を無限とする。自身のHPを70とする。
自身が攻撃を受ける時、その攻撃の際に相手はクラススキルによる補正値を得れない。
 
【スキル2】マハトマ:A+++
判定ごとに1度まで、このセッションで生存しているキャラクターを2人まで選択し発動できる。
そのキャラクターシートに記されているスキルを自身に適用する。(1人のキャラシートにつき1つまで)
 
【スキル3】無量無窮:EX
自身がダメージを受けるたびに発動する。
HPを10増やし、更に自身のステータスを全て1上げる。
 
【宝具】『我が手が開くは、世界の真理(シークレット・ドクトリン)』 ∞/∞
【ランク・種別】ランク:EX 種別:対神秘 レンジ:∞ 最大捕捉:∞
【効果】このサーヴァントが存在する限り、交戦フェイズに以下の効果を適用する。
①:自身はダメージを受けない。
②:自身の攻撃判定時、攻撃対象を任意の前衛全体に変更し、更に面数1の追加を得れる。
③:1ターンに1度、スキル・あるいは宝具を1つ選択して発動できる。それを自身のキャラシートにコピーする。
  この効果でコピーした宝具・スキルは次の自分のターンから使用が可能になる。
  この効果を使用する場合、行動を消費しない。
 
【その他】秩序・善/人属性/女性
 
 

「よくってよ!! この私が! マハトマへと辿り着いたこの私が!
貴方たちを、揃って第七根源人種へと導いてあげるわ!」
 

プロフィール

【元ネタ】神智学、近代オカルト
【CLASS】ヒューマンⅣ
【マスター】抑止力
【真名】ヘレナ・P・ブラヴァツキー
【異名・別名・表記揺れ】エレナ・ブラヴァツキー、ブラヴァツキー夫人
【性別】女性
【身長・体重】187cm・67kg
【スリーサイズ】97/59/91
【肌色】薄【髪色】銀【瞳色】濃紫
【外見・容姿】黒いレースのレオタード衣装の上に深緑色の軍服、マント、軍帽を被った美しき女傑。
       ウェーブがかった腰ほどまで伸びた銀髪と、吊り上がった眼が特徴的。
       ただし、その眼の深奥には正気でない意志が渦を巻き、覗き込んだ者は揃って精神を飲み込まれる。
【地域】欧州
【年代】19世紀後半
【属性】混沌・善
【天地人属性】人
【その他属性】人型・神秘
 

筋力■■■■E 耐久■■■■■D 
敏捷■■■■■B+魔力■■■■■EX
幸運■■■■■A 宝具■■■■■EX

クラススキル

霊長の獣:A
数多の危難を乗り越え、生存競争を勝ち抜き、神代の神秘を新たな法則で塗り潰す。
無数の生命と歴史の上で、遂に霊長の座に君臨した人類に与えられた、何処までも傲慢な祝福。
人類という種族が持つあらゆる可能性を、その所有者から簒奪し、自らの糧とすることが出来る。
ブラヴァツキーの簒奪するそれは、即ち『神秘』と『信仰』。キリスト教や錬金術、ルーンなどと言った世界的に知られた神秘の基盤や既存の宗教。
それらを全て「叡智に至るための門」として包括的に解釈したことに由来し、彼女はそれらを全て合一のものとして吸収。力へと変えて獣を討伐する。
 
この力はかつて、あらゆる宗教や神秘の果てに"同じ真理"があるという……、
言ってしまえば根も葉もない"嘘"────結果、魔術世界的には近しい概念はあったが────を理論として公に発表し、
そしてその発表した学問『神智学』が、彼女の死後も拡大し続けて莫大な影響を近代オカルト史に残したことに由来する。
これを実現しているのは、彼女の持つ絶対的な意志の力。そして何よりも、人類すべてが持つ『神秘』への憧憬や可能性への期待に他ならない。
絶対的なる真理"マハトマ"への信望と言う名の善性を掲げ、その名の下に過去・現在・未来の可能性(しんぴ)を喰らい駆逐する。
それこそが、人類善へと至ったブラヴァツキー夫人の持つ力、権能と呼んでも過言ではない神秘の合一化である。
 
抑止顕現:A-
本質的に、このクラスが人類の危難へ対抗するためだけに存在する事を体現するスキル。
このスキルの所有者は、如何なる手段によっても意図的に召喚することが出来ない。
唯一現界し得るのは、人類史に対する危機が発生した時か、或いは、それを防ぐ事が可能な誰かが、サーヴァントの召喚を行った場合のみ。
前者の場合であれば、アラヤそのものをマスターとして自動的に顕現し、危機を打破する為に活動する。
 
このスキルのランクとは、要するに「召喚されにくさ」と同義である。
ヒューマンのクラスへ至ったブラヴァツキーの場合、その霊基数値は通常の英霊の範疇を超える存在であるため、
加えてその行使する宝具が英霊召喚術式すらも飲み込みかねない、つまり自己矛盾を発生させ最終的に世界を崩壊させかねない存在であるため、基本的に呼ばれることはない。
ただし、彼女の人格が召喚される可能性のある先に対し興味を抱いた場合、つまり「彼女がまだ見ぬ神秘や魔術満ちる世界」の場合、彼女自らが手を伸ばそうとする。
結果としてこのスキルのランクは下がり、彼女が召喚されてしまう可能性が大幅に跳ね上がる。
 
ポジ・■■■:■
ビーストⅣ、霊長の殺戮者たるプライミッツ・マーダー、あるいはキャスパリーグと呼ばれる獣の持つ「ネガ・■■■」の対偶にあるスキル。
これを帯びたヒューマンは、正しい人類史を覆すべく顕現したガイアの怪物を徹底的に否定し、消去する力をアラヤより授かっている。
いずれ対峙する運命にあるものの、まだ対峙したという記録はない。そのためにこのスキルは伏せられている現状にある。
彼女が霊長の殺戮者と対峙したその瞬間、初めてこのスキルは詳細が開示される。
  
 

固有スキル

魔力同調:A+
本来は同調した他者と自己の魔力を、同時に大幅に賦活させるというスキル。
だがヒューマンとなった彼女の場合は、「魔術侵食」とでもいうべき固有の特性が備わっている。
対象の許可や準備、詠唱など必要とせず周囲の魔術を用いる人間と同調し、その者の持つ魔術回路や刻印、加えて接続している魔術基盤や系統まで侵入。
即座にそれら全てを解析した上で「全てマハトマに通じるもの」と再解釈して自分の一部として取り込む。あくまで個人への上書きであり、この上書きにより神秘本体への影響はない。
この際同調してしまった人物は、その身体に持つ神秘の全てを彼女の霊基の一部によって置換される。
彼女が消滅すればその影響は消えるが、彼女が存在する限り彼女の宝具の影響を受け続ける。
 
マハトマ:A+++
あるいは偉大なる魂。
ブラヴァツキーはダーウィンが提唱した『進化』という概念に「輪廻転生」の理論を取り入れ再解釈した。
輪廻転生を繰り返した霊的進化の終わりに、人間は霊的な完成を経てマハトマと呼ばれる高位存在へと至ると解釈していた。
即ち彼女は、霊魂とは永劫不滅であり、そのために無限の精神の向上が可能であるとし、最後には「神」に近い存在に近づくことができると解釈した。
死後に英霊という不滅の魂の具現とも言える存在になった彼女は、自らの存在がこのマハトマに至ったと解釈している。故に同じくマハトマとして召し上げられた数多くの偉大なる魂の業を用いれる。
召喚術、黒魔術、錬金術、元素変換魔術、ルーン魔術、古代エジプト魔術、等々多岐に渡る。聖堂教会の洗礼魔術……。過去・現在・未来、その全てにわたり"神秘"とされた術の全てが行使可能。
その様は神秘に由来する術に限定した英霊の座とすら言えるほどに多様であり、これは彼女自身が「自身はマハトマである」「故に他のマハトマの力を得れて当然」と思うが故。
自身の思い込みの強さをそのまま力へと変えている。後述も行うその精神力の高さこそが、彼女の真の力の根幹である。
 
無量無窮:EX
「未知への探求」スキルが変化したもの。永劫に変化しない、絶対的なる真理への探求心。
どれだけ肉体や精神に対して外からの干渉があろうとも、一切変化することのない『無変』の境地へと至った彼女の信念そのもの。
単一の人間の精神でありながら、億を超える人間の信仰すらも優に超えるほどの強度と質を持つ。その強靭な精神を以てして、彼女はマハトマという魔術系統を確立させている。
圧倒的にブレない信仰力を以てして、彼女は自分自身の創り出した"嘘"であるマハトマを信じている。信仰を力とする英霊の身に至ったからこそ、そのマハトマという"嘘"を真実へと変え、そして自身の力とする。
その様は自身が創り出した神から加護を得るという『唯神唯徒ジ・イレクト』と呼ばれる魔術にも似る。つまり、単一の人間の信仰だけで1つの魔術基盤を作り上げるに至る精神力を彼女は持つ。
言ってしまえば、彼女1人だけで"マハトマ"という魔術系統が作り上げられ、現実と化している。
 
無量とは、計り知れぬ事。無窮とは極まりの無き姿の事。これは彼女の持つ「真理」への探求心の高さを表す。
永遠に終わらぬ探求と、何処までも進み続けるという邁進の誓い。それが彼女をただの英霊に押しとどめず、最終的に人類善へと押し上げた。
これは"この"ブラヴァツキー夫人が常人を超えた──────それこそ、彼女1人の意志で世界を塗り変える事すら出来るほどの、強い意志を持っていたが故である。
生来より抱いていた意志の強さは、死して英霊となった事で、即ち彼女が信じる『マハトマに至った事で』完全に完成し、そして彼女は単一で完成した魔術系統(せかい)と化した。
言うなれば彼女という英霊は「マハトマ/神智学」と言われる魔術系統そのものが人の形をとっている英霊と言ってもいい。そのほとんどを形作るのは、彼女の彼女自身への信仰にある。
当然、彼女を英霊という身へ押し上げたのは、彼女の死後に莫大に広がった近代オカルトの基盤という側面への信仰であるが、マハトマとして完成している部分は彼女自身の"意志"から成り立つ。
彼女が抱き、そのまま信じ続けている「マハトマ」という嘘を論破せぬ限り、彼女は完成された存在であり続ける。この「マハトマ」である限り、彼女は通常の英霊にはならない。
 
逆を返せば、彼女という英霊は彼女という単一の信仰を以てして人類善にまで霊基数値が跳ね上げられている。
故に彼女の心を折れば、あるいは説得を通して何らかの意思を彼女に通すことが出来れば、彼女はその力を弱体化させる。
しかし『無変』の境地にまで至った彼女の精神を通常の人間の意志で説得する事はまず不可能。逆に不信感を与えればそのまま手の付けられない領域に至る可能性もある。
加えて、彼女1人で完成している英霊であるが故に、『実際には所持していなくとも、所持している事とする』という理論で、逸話に無いスキルを一時的に所持することも可能。
 
 

宝具

我が手が開くは、世界の真理(シークレット・ドクトリン)
ランク:EX 種別:対神秘 レンジ:∞ 最大捕捉:∞
「無量無窮」の境地まで辿り着いた彼女の強靭なる意志が完成させた魔術系統"マハトマ"。
そこへと至った「と思い込んでいる」彼女の霊基そのものが宝具、そして魔術系統として完成された姿。即ち彼女そのものが、魔術系統にして彼女の宝具となる。
彼女がこの霊基を以てして顕現し続けている限り、ブラヴァツキー自らが信じる"マハトマ"という概念が世界中に存在する神秘─────即ち魔術系統や魔術基盤を覆い尽くしていく。
ブラヴァツキーは生前、全ての教えや神秘にはその背後に共通する真理があると謳った。その諸宗教の対立を超えて、秘密の重要部分を公開することで、再び神的叡智へ回帰することを目指していた。
ヒューマンとして顕現した彼女は生前のその目的に即し、過去・現在・未来全てに存在する神秘や宗教を全て"マハトマ"へと通じる物であるとし、自らの生み出した魔術系統─────、
つまるところ『彼女自身の霊基』へと取り込んでいき、そして同時に自らの霊基を進化させ、それに比例する形でスキル「魔力同調」を通して同調した人間の魂も進化させる。
 
彼女の霊基が進化するのに比例し、彼女の周囲の「魔力同調」によって同調した人間たちは魂が進化する。
やがては彼女が唱えた『第七根源人種』、即ち完全なる霊性へと至った人類へと到達し、物理的な制約に囚われない存在へと昇華される。
疑似的な第三魔法の実現であるが、その代償として人類史が数万年間紡ぎ続けた魔術や魔法、またそれらの基盤となった宗教や神秘と言った全てを渾然一体として"マハトマ"という名に統一する。
それは言うならば可能性の駆逐。この宝具を通して彼女というマハトマの一部へと取り込まれた神秘は名を喪い、存在した記録すら消滅し、それに伴い人類史も変革されて往く。
彼女が神秘をその身に吸収するたびに神秘を通した人類史の変革・破却は執り行われて往く。これは言うならば断片的な人理焼却と言っても過言ではない。
一度顕現すれば際限なく人類史を薪として焚べ、その力を以てして進化し獣を打倒する。まさしくヒューマンの具現と言える宝具である。
 
 

解説

生前の解説
ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー。近代的な神智学を創唱し、神智学協会を作り上げた19世紀の魔術師。
詳細なプロフィールは省くが、近代オカルトブームの先駆けとなるアカシックレコードの概念などを立ち上げ、ニューエイジ運動や大衆オカルティズムに影響を与えた。
20世紀以降に隆盛する大衆の抱く"オカルト"という概念の方向性を決定づけた人物と言っても過言ではなく、その影響は現代においても創作や芸術、思想に数多く散見する。
黄金の夜明けやそこから派生した近代魔術など、神秘を探求する魔術師達の間でも彼女の影響を受けている者は多く、世界の表裏関係なく彼女は大きな存在となっている。
だが魔術師としては大衆に対して神秘を説く彼女は異端以外何者でもなく、時計塔や聖堂教会から怒りを買い、歴史の表舞台から姿を消した。
"この"ブラヴァツキー夫人も、基本的には上述の通りの人物であり、為した功績は既にカルデアに召喚されている彼女と変わらない。
 
だが、"この"彼女は、カルデアにて人理保障に協力をしているエレナ・ブラヴァツキーとは異なるブラヴァツキー夫人である。
カルデアにいるブラヴァツキー夫人は、自分の提唱した神智学への批判────特に「信じられない」と言うような意見には幼児退行じみた泣き声を上げる程ダメージを受ける。
しかしこちらの彼女の場合、生来より我が強くどこまでも自分という存在を信じて突き進み続ける人物であった。信じたら最後、何処までも疑わずにその道を進み続ける人物だった。
それを裏付けるように、幼い頃から妖精(と彼女が言っている"ナニカ")と会話をしたり、一度言ったら聞かない激しい気性の持ち主であったと言われている。
 
そんな一度信じたら自分を曲げない性分だからこそ、と言えるだろう。
彼女はある日"真実"を知るため、世界中に蔓延る神秘を統一してその最奥にある叡智を詳らかにするべきだ、という使命を抱いた。
電波を受信したとでもいうべきか。あるいは世界中で絶えない宗教戦争を憂いたのか。理由は不明だが、彼女は世界中に蔓延る神秘のそのさらに奥を知るために旅に出る決意をした。
当時は法律上離婚が厳しい時代であったが、親交のあったフリーメイソン会員を通して手引きをしてもらい、様々な国を旅して世界中の神秘を学んだ。
エジプト、ジャワ、日本、インド────様々な国を巡っては秘教を学び続け、神秘とはいかなるものか……を学び続けたという。
 
その旅程の中、エジプトにて魔術師と対峙し魔術を学ぶ。水晶占いや霊体離脱の他、様々な魔術を学ぶ。
心霊協会や霊媒師の集い、フリーメイソンなど様々な魔術結社を渡り歩き、最終的に新しい霊的運動を興す為にニューヨークへ渡る。
オルコット大佐などの理解ある同胞を多数集め、1875年に神智学協会を正式に創設。全ての神秘は根幹は全て同じであり、人間は霊的進化の末に霊的存在に至るという教えを説いた。
世界中にその影響を残すも、最後には神秘に対して著しい損害があるとみなされた彼女の行動は、魔術協会と聖堂教会双方の怒りを買い、最終的には遣わされた魔術師の手で殺される。
魔術協会からすれば「彼女の提唱する概念が根源へと近づき、並びにそれらを公表し続けていたため」。聖堂教会からすれば「普遍的宗教を塗り潰す教えと危惧したため」であった。
("この"彼女は上述のように死亡したが、カルデアにいる方のブラヴァツキー夫人は、死を偽装し表社会から離れたことをきっかけに時計塔から追手が来たのみに留まっている。
 この差異に関しては恐らく、神智学において「全ての神秘の奥にある真理」について言及したか否かが大きいと考えられるが、真実のほどは定かではない)
 
泥解説
さて、史実における彼女の物語はここまでだが、英霊としての"この"彼女の物語は此処から始まる。
彼女は死亡し、彼女の広めた神智学は嘘偽りでしかない、という形で魔術協会は後始末をした。実際にそれは間違っていない。
あらゆる魔術や神秘の果てに『マハトマ』と呼ばれる大師が存在するなど、全てブラヴァツキー夫人の思い込みでしかない。言ってしまえば、根拠のない嘘。
彼女は存在しないものを存在すると言い、そして確証の無い来世の存在や上位存在などを掲げ、それらを「世界の真理」と声高に主張して同胞を集め続けた。
それらは言葉を選ばずに言えば、詐欺師と言われても仕方のない所業だったかもしれない。実際、最初の頃は彼女のその拙い行動を時計塔が目溢しするような事もあった。
 
だがしかし、彼女は同胞を集めた。存在さえ不確かな物で彼女は賛同を集め、最終的に死後も未だなお影響を残す思想へと成長させた。
それは彼女のカリスマ性によるものか? あるいは世間に蔓延っていた既存体系に対する懐疑性によるものか? それらもあるだろうが、決定的なのは彼女自身だった。
どのようなことがあろうと彼女が折れず、変わらず、屈せず、文字通り『無変』を貫き続けたが故に、彼女の考えに多くの人々が賛同し一大ムーブメントへと発展させたのだ。
彼女の唱えた「マハトマ」を始めとする様々な神智学の神秘は人々を魅了し、それらに対する人々の信仰は彼女を英霊へと押し上げる結果となった。
 
そして英霊になった彼女は、すぐさまに座においてその自分の存在を知覚した。
同時に彼女は、その類稀なる高い感覚を以て知覚した。この自分のいる場所が、今まで自分の生きていた物質世界よりも高位の場所であると。
アブラハム、モーセ、ソロモン、孔子、ブッダ、老子、ソクラテス……。様々な偉大なる教えを残した人物たちが刻まれる領域であると。即座に彼女は悟った。
そして彼女は結論付けた。思い込んでしまったのだ。
 
 
自分自身が、『マハトマ』へ至ったのだ、と。
 
 
マハトマとは霊的熟達者の意味であり、大宇宙の秘儀に通じている様々な大師であると彼女は説いている。
霊的進化を完成させた人間であり諸文明の発展を導いている彼らは、キリスト教やカバラ、神秘主義など様々な形を通して世界の真実を伝えると言われている。
これは言うならば根源から流れ出る心理の支流、魔術系統を暗喩する概念であり、彼女は魔術に対して一切の知識がない中でそれを言い当てているという偉業を成した。
だが言ってしまえば、彼女はそのマハトマの存在を通して「全ての神秘は、最終的には皆同じ」という結論を出した。全ての神秘を合一化させ、融和し、そして1つの概念としたのだ。
それこそが神智学と呼ばれる存在である。インドの思想を基盤とし、キリスト教やカバラ、ダーウィンの進化論に至るまで取り入れた理論。その最奥に立つ者こそがマハトマという"真理"である。
そして自分自身がそれに至ったと考えた事で、彼女という英霊は完全に完成した。マハトマという存在は真実だった。そして自分自身が其処に至ったのだと。
体験を通じた彼女は、その精神を「無量無窮」の境地へと至らせ、マハトマという概念の化身となった自分を強化させていった。
 
彼女が神智学に取り入れた概念の中に、ネオプラトニズムという概念がある。
完全なる一者(ト・ヘン)の理性から段階を経て世界が流出して生み出されたとする流出論を根幹に置く哲学である。
彼女はその完全なる一者に最も近い領域に立ったと『思い込んでいる』。だが彼女は、信仰が力となる英霊である。
英霊へと至り、その強靭な精神を何万、何億人に匹敵すると言っても良い程に高め上げ、そして「自分自身を信じた」彼女は、際限なくその力を高め続けた。
 
「マハトマだから他のマハトマの力も借りられる」
「マハトマなのだから他の不完全な教えを導かなくちゃ」
「不完全な教えはまだ多いのね。全てマハトマに繋がるだけなのに」
 
「じゃあ、私が直接出ていって、本当の事教えてあげなくちゃ」
 
そうして彼女は、自分自身の嘘偽りでしかないマハトマで真実を塗り替えていった。
剪定された世界もあった。滅んだ世界もあった。いくつもの世界の神秘を彼女自身の嘘で塗り替え、マハトマという偽りを真実へと変えていった。
まさしくネオプラトニズムに語られる完全なる一者(ト・ヘン)の理性が、世界を作り上げていくかのように、彼女の偽りは現実を侵食していった。
そも、神秘というものは人の思いが現実を形作るものと言ってもいい。ならばそれらを自らの教えの一部として取り込み塗り替えていく彼女の神智学は、まさしく神秘の天敵と言っていい。
塗り替え、喰らい、書き換え、合一し、剪定し、一体となりそして────────彼女という"神智学"は、『すべての神秘は合一である』という理念の下に、人類善へと至った。
 
以上の所業を以って、彼女のクラスは決定された。神智学の祖など偽りの名。
其は彼女という個人が作り上げた、人類史を最も塗り潰した崇高質。
始まりは偽りであっても、信仰が力となる神秘ゆえに、既存体系の全てを力と成して合一する者。祝福のⅣ。
その名をヒューマンⅣ。人理を喰らう抑止の獣に抗すべく、人類自身の「神秘への期待」が生み出した、『平等』の理を持つ人である。
 
 
──────全ての神秘は同じである。総ての教えは彼女に還る。
故に万物万象、皆同じ。遍く全ては不完全。故に手を取り、揃って人類、進歩せよ。
過去・現在・未来。その全てにある神秘を自らの理論の一部へと取り込み、人類を強制的に進化させる。
唯我独尊という概念すらも超越した「無変」の境地に在りし独善こそが、彼女の持つ善性である。
 
簡単にお願いします
1.滅茶苦茶に自我の強い人が「全ての神秘は同じよ」という理論を出し、それが支持され英霊になる。
2.「英霊? それってマハトマじゃん! やっぱ正しかったんだ!」と思い込みが完成して凄い領域に至る。
3.英霊は信仰がそのまま力になる存在なので、彼女が思い込むほどに彼女の「マハトマ」の概念が強化される。
  =既存の魔術系統だの魔術基盤だの、あるいはキリスト教だの仏教だの、あらゆる全ての神秘が「マハトマ」として吸収される。
4.加えて魔術というものはそのまま信仰というか「人の思いの強さ」が多い程に根源への太い経路となる=力が増す。
  =彼女が様々な信仰の基盤を吸収するたびに彼女という「マハトマ」の力も上がっていく。
5.ヒューマンへ……。(全部同じ、平等よ。ってするから比較の獣対策に据えられた)
 
 

性格

表向きにはカルデアにいるブラヴァツキー夫人とそう変わりはない。
面倒見がよく、他人には優しい。母親や姉のように映る言動も多々垣間見える。
だがその根幹は人間ではないと言っても過言ではないほどに常人からかけ離れており、全人類を"叡智"に辿り着かせるのが自分であると信じて疑わない。
彼女の場合「マハトマ」の教えで既存体系を塗り替えるのも、その手で人類を霊的進化させるのも、全ては善意で行っているため、否定されても何も感じない。
何を言っても彼女の心には響くことはなく、その様は狂人のほうがまだ話が通じると言ってもいい程。
 
自分を否定する人間が出てもまるで凪のように受け流し、どのような意見を言ったとしても最終的に自分の理論が正しいという結論に持っていく。
基本的に顕現したら打倒する以外で帰ってもらえる可能性は存在しない。話が通じないというレベルではなく、対ビースト決戦兵器というべき、顕現と同時に全てが終わる存在である。
打倒しようとする場合は基本的に物理攻撃が効く。ただしサーヴァントである場合や魔術を使って強化した攻撃の場合、大幅に弱体化を喰らう可能性が高い。
顕現が不完全な状態であれば重火器なども有効となる。