メルキゼデク

Last-modified: 2023-12-09 (土) 10:22:39

「吾輩は、人類ならば至高の叡智にたどり着けると信じている」
 

プロフィール

【元ネタ】創世記、カバラ、現代魔術、グノーシス主義
【CLASS】レコーダー
【真名】メルキゼデク
【異名・別名】いと高き神の祭司、サレムの王、永久なる平和の王
【性別】男性
【体高・体重】197cm・86kg
【外見・容姿】整った容姿と怪しい雰囲気、2つが同居する奇妙な男
【地域】サレム
【年代】不明
【属性】中立・善
【天地人属性】地
 

筋力■■■■■D耐久■■■■■D
敏捷■■■■■B魔力■■■■■EX
幸運■■■■■宝具■■■■■EX

 

クラススキル

千里眼(座):A++
記録者としてのスキル。記録すべきと定められた概念に関して、ランクに応じた範囲を観測・把握できる。
A++ランクともなれば、過去から未来の全てに至るまであらゆる範囲を知り尽くし、そして己の脳髄に記録できる。
メルキゼデクが記録するは"座"。即ち英霊として刻まれるに足る英雄等の存在を、過去から未来まで全て理解できる。
ここまでのレベルとなれば、一種の真名看破スキルとして使用することも可能。
 
 

固有スキル

数秘術:A
魔術系統の一つ、カバラ。
メルキゼデクはカバラの知識をアブラハムに授けた、魔術基盤の源流と言われている。
魔術基盤としてカバラの知識を組み上げたのはアヴィケブロンだが、その元となる知識は彼由来。
ノタリコンによる短縮詠唱や22のヘブライ文字に由来する魔術解析など、利用法は多岐にわたる。
 
永遠の祭司:A
彼に与えられた二つ名。新約聖書の内が1つ、『ヘブライ人への手紙』の記述に由来する。
曰く、彼は父も母もいなければ初めも終わりもなき、正義と平和の王、そして永遠の祭司だという。
アレクサンドリアのフィロンは、その記載中に世界の真理たるロゴスの顕現を見た。即ち、絶対不変の真理こそが彼なのだ。
故に彼の霊基は高い不滅性を誇る。その肉体に傷をつける事、それ即ち世界の則を揺るがすと同義と心得よ。
 
完全なる知性:EX
グノーシズム。古代キリスト教より分かたれし"始まりの異端"。
世界を理解するためには、始原たる神の領域に至らねばならぬという理論故に異端として扱われ先鋭化していった。
体系化は彼の時代よりもずっと後のことだが、何の因果か彼の思想・行動はグノーシス主義を先取りしたものであった。
故に、彼は規格外のランクでこのスキルを会得している。
 
 

宝具

【宝具】『いと高き果てへと至れ、永遠なる我が魂(メルクィ・ツェデグ・アツィルト)
【ランク・種別】:創造宝具 レンジ:時の果てまで 最大補足:10000人
隠された彼の真実。"永遠の祭司"となった魔術が宝具となったもの。
物質的な制約に縛られし"人"の領域から、永遠にして不滅の無限なる"神"の領域へと近づいた霊的昇華の再現。
一時的に霊基を拡大させ、周囲に霊基の内側に広がる"人類の霊的進化"という法則を流出させ、周囲の"人間"を強化する。
即ち、人間を一時的にではあれど、サーヴァントに類する領域にまで引き上げ、その存在の拡大やカリカチュアライズを実現できる。
通常であればサーヴァントに対しては使用できないが、大量の魔力(例で言えば、世界からの後押しなど)があれば、サーヴァントを"それ以上の領域"に後押しも可能。
要するに、魂に対する補助輪。ただし、あまりにも強力な進化を促せば逆に魂が自壊するので、その進化の適用は非常に短い時間に限られる。
 
…曰く、彼は絶対なる神を理解するために、その領域へのアセンションを試みた。
その果てに、この物理的世界と神の間には10の段階があると知り、その内の1つに自らの存在を"刻みつけ"、永遠不滅の祭司になったのだという。
彼はこれを「最初に英霊の座に到達した記録」「我が所業が過去・未来に伝播し、幾多の英霊が生まれた」と主張しているが、事実かは定かではない。
それが真実であろうと、なかろうと、彼が見出した世界の真理と行った思想はアブラハムへと受け継がれ、後のカバラやグノーシス主義に繋がっていった。
故に、それらの思想や魔術基盤の根源たるメルキゼデクは、これらの思想の中心である「神に近づく」行為を宝具として持つ。
 

解説

創世記に記されしサレムの王。サレムとは、伝統的にはエルサレムを指す地名である。
その名はカナンの神ツェデグに由来するとされ、王の称号そのものであるとされている。日本語に意訳するならば「正義の王」が近い。
「いと高き神の祭司」とも創世記では記され、アブラハムがエラムの王と盟友による連合軍との戦いに勝利した際、パンとぶどう酒を持って祝福した。
この記述に由来し、アブラハムの子孫には約束の地カナンの相続権が認められるとされており、聖書的にも重要な記述となっている。
 
創世記における記述では以上で描写は終了しているが、その重要な立ち位置から後世の神学者や哲学者、魔術師からは大きく注目されていた。
アレクサンドリアのフィロンは、メルキゼデクの姿の中にロゴス…即ち世界の真理の顕現を見ており、通常の人間ではないという考察を行っている。
それを受け継ぎ、ヘブライ人の手紙ではメルキゼデクを「初めも終わりもない正義と平和の王、そして永遠の祭司」と記載し、イエス・キリストと同位の存在としている。
また、神秘主義では伝統的にアブラハムにユダヤ神秘主義の教典「カバラ」の知識を授けたとも言われている。通常カバラは、楽園を追放されたアダムは全知たる天使ラジエルより叡智を授かったものが源流とされているが、それがノアやメルキゼデクを通じてアブラハムに伝えられたとする説もある。
 
彼ら神学者たちの考察は、半分正解で半分間違いだった。
彼は確かに人間を超越した、永遠の祭司であった。だがロゴス…即ち神そのものではない。彼は"神に近づいた人間"だったのだ。
 
その真実は、彼が楽園追放に由来する『叡智』を得た日にまで遡る。
ノア、あるいはモーセより面々と受け継がれてきたラジエルの叡智を授かった彼が抱いた感情は、渇きにも似た「知識欲」であった。
世界の真理が手元にある。このすべてを理解したい。これらをわが手に握り、人理の発展に役立てたい。彼はそう願い、そして実現した。
理解する過程で、彼はこの世界が10の段階を経て形作られたものだと理解。世界そのものの知識の権化とも言える叡智を、体系化して咀嚼した。
この咀嚼した概念こそが、のちにアブラハムへと伝授され、2世紀ごろに『形成の書』という形で人々へと伝わる「カバラ」の原典である。
 
だが、叡智を望む彼の探求はそこで止まってしまった。
何故ならラジエルの授けた叡智とは、この世界そのものとも言える膨大な量を秘めていた。そんなものを理解できるなど、人間には到底不可能。
ならばどうすればいいか? 彼は考えた末に"神と同じ領域に至る"という結論を出した。世界を理解できないのならば、世界の根源たる神になればいいのだ。
それを実現するためだけに彼はラジエルの叡智を探求し続け、そしてその果てに、"神と物理世界の間にある10段階"の内の1つに自らを刻みつける事に成功した。
これは即ち、物理的な制約や終局を超越し、人間という存在が天使などに類する「永遠にあり続ける概念」へと昇華された事を意味する。
彼が「永遠の祭司」「ロゴスの顕現」と分析された理由こそがこれである。彼はその身をロゴスそのもの、永遠にあり続ける概念へと変貌させたのだ。
名前が誰かに覚えられている限り、この世界に何度でも降臨して叡智を伝授する。彼はその叡智への探求により、神と人間の間に位置する"概念"となったのだ。
 
さて。この概念を聞いて、知識ある者は気付くかもしれない。その在り方はまさしく、"境界記録帯"そのものである、と。
曰く、"境界記録帯"……即ち英霊とは天使に似るという。カバラにおいて、天使とは神が流出させた10領域においては物理世界よりも上位の概念に位置すると言われる。
つまり彼が行った行為とは、その天使の領域に人間として名前を刻み、自分の意志で、行為で、"英霊である自分"を世界に刻んだことを意味する。
これを彼は『英霊の座の誕生』『この記録を世界が参考に、過去・未来の英霊群が生まれた』と主張し、自らを「始まりのマスター/サーヴァント」と名乗る。
それが真実かを証明する手段は、何処にも存在しない。彼が高位領域に自らを刻み、人間を超越した事が真実だとしても、それにより英霊の座が生まれたというのは聊か荒唐無稽が過ぎる。普通に考えれば、英霊の座という概念が最初に在り、そこに彼が名を刻んで英霊になったとするのが妥当だろう。
 
だが事実として、彼が英霊として1段階異なる領域にいるのは確かである。
人間を英霊に近い領域へと、一時的にでも昇華させるという規格外な宝具がそれの確固たる証明だ。
やもすれば、それは彼が、英霊の座に人間や概念を"刻みつける"権限を持つ可能性の示唆とすら推測も出来る。
事実、彼は"記録者"を意味するエクストラクラス、レコーダーとして霊基を得ており、その記録するものが英霊そのものであると推測も可能である。
さて、その可能性を鑑みると、永遠の祭司と呼ばれる彼が司る職務とは何なのか? 英霊の座に刻まれ、叡智を授け続ける事なのか?
───────────あるいは、人理を存続させる為に、彼が英霊という概念を選出し続けているのか……?
如何なる可能性も、全ては推測にすぎず、実証することは出来ない。確かな事実は、彼が自ら英霊になった事。
そして、彼が記録者という役割を人理より与えられている事だけである。
 

性格

人間の可能性を信じる、人間賛歌が服を着て歩いているような男。
いずれは全ての人間が悪徳や負の感情を捨てた上で、自分と同じ領域に至れると信じている。
彼が叡智を求めた理由は、基本的に「叡智を以て人類の発展を後押ししたい」という思想からであり、基本は人間を愛している。
故に、自分が得た知識を分かりやすいように咀嚼し、体系化し、後の人物たちにカバラという形で伝授した。
神に近づこうとしたのも、世界を理解し神へと近づく手法を全人類に適応出来れば、人類がさらに発展できると信じたからだ。
 
だが、単に考え無しに叡智を追求・伝授するのではなく、それが齎す負の側面も考える事が出来る人物である。
故に誰も彼もを高位領域へと導くような事は決してせず、叡智を授ける相手をよく考え、見定めた上でサポートを行う立場をとる。
総じて言うと、「お前たちならやれると信じているから頑張れ。その頑張りを見てから手を貸す」という性格であり、基本は傍観者状態。
加えて力を貸すタイミングも選ぶタイプであり、基本的に力を貸すのはどうしようもないピンチになったあたりからが鉄板である。
だいたいサポートするときは一言~二言がほとんど。祭司は多くを語らないタイプ。その為出番が少ない事もしばしば。

因縁キャラクター

後ほど追記