特定非営利活動法人(NPO)コンピュータエンターテインメントレーティング機構
(Computer Entertainment Rating Organization)の略称。基本的には「セロ」と呼称される。
2002年6月に設立された、言語・思想・暴力・性的・反社会的な表現に対して独自の倫理規定を策定し、
ゲームソフトの対象年齢を決定する機関で、倫理規定そのものを指す場合もある。
公式サイトはこちら。
目次
概要
- 2006年3月以降の新基準では、アルファベットのA,B,C,D,Zで年齢制限の区別がされており、
Aは全年齢,Bは12歳以上、Cは15歳以上、Dは17歳以上、Zは18歳以上のみを対象にしている。
ちなみにレーティング対象はコンシューマの他、一般向けのPCゲーム、
携帯・スマートフォンアプリなどにも、一部ではあるが及んでいる。
- 年齢制限が付くのはわかるがその理由はなんなんだ?と気になる者もいるだろうが
全年齢でない場合はその根拠となる描写を表すコンテンツディスクリプターアイコンも併記される。
恋愛・セクシャル・暴力・恐怖・飲酒喫煙・ギャンブル・犯罪・麻薬等薬物・言葉その他の9種で
これらを知っていれば店頭でゲームのパッケージを見るだけで
「これは恋愛とセクシャル描写が理由で17歳以上が対象なんだな」というのがわかる。
- カプコンのゲームはB以上に部類するものが多く、
モンハンの多くは『フロンティア』含めてもC(暴力)が付与されていたが
『ライズ』のCEROレーティングはC(暴力、セクシャル)が付いた初の例となる。
例外的に、『ぽかぽかアイルー村』及びその系列シリーズ、と『ストーリーズ』の1作目はAに分類されている。
ちなみに、その間のBは『ストーリーズ2』くらいしか無い。- アイルー村シリーズは暴力シーンがマイルドかつコミカルなものになっているための分類であるという。
事実、アイルー達がモンスターと戦う際にも小型モンスターなら錐揉みしながら吹っ飛んでおしまい。
大型モンスターも気絶している間に用を済ませて退散するというのが基本の流れであり、
剥ぎ取りや流血はおろか部位破壊された描写すら存在しない。
これを当初構想にあった「メインシリーズと同じCG」でやっていたら、
もしかしたらCになっていたかもしれない。 - なおCEROはアーケードゲームを対象外としているため、『モンスターハンタースピリッツ』は該当する規定がない。
また公的なレーティング制度のない中国国内で展開されている、MHOも該当規定はない。
- アイルー村シリーズは暴力シーンがマイルドかつコミカルなものになっているための分類であるという。
- 任天堂は、2010年1月以降にWiiで発売された作品は、このレーティング基準においてC以上となった場合、
販売元を問わず、パッケージを黒を基調としたものにするという基準を設けており、
後にニンテンドー3DS、Wii Uの作品にもこの基準を取り入れている。
MH3G(HDVer含む)以降のメインシリーズや、MHF-GのWii U版も、これに倣って黒パッケージとなっている。
なお、Nintendo Switchソフトでは黒パッケージルールは撤廃された。- 余談だが、任天堂ハードにおける記念すべき(?)第一号の黒パッケージソフトは、
意外な事に当の任天堂が販売した*1ものであり、
通常の敵を倒すだけで大量出血と共に胴体が断裂するゴア表現が確定で発生し、
部位破壊が可能な中型以上の敵の場合は四肢や頭部の切断まで可能という
モンハンとは比較にならないくらいにゴア表現が満載の作品となっている
(敵が巨人且つ断面が細かく描写されていない事からDで収まってはいるが)。
- 余談だが、任天堂ハードにおける記念すべき(?)第一号の黒パッケージソフトは、
- 前述の通りCEROはあくまで民間のNPOが定めているレーティングであり
CEROの審査結果や勧告を無視したり、最初から審査を受けずにゲームを販売しても
国の法律に違反して取り締まられるというわけではない。
だが日本のゲームハードメーカーである任天堂やソニー、マイクロソフトの日本法人はCEROに賛同している会員のため
CEROを無視して作ったゲームを自分たちのハードで販売することは間違いなく許さないだろう。
ただし、これらのハードもダウンロード販売の作品については例外があり、
IARCなど別団体によるレーティングを付与した上で販売されている。
また、アーケードゲーム(業務用ゲーム)や、PCゲームなどは審査の対象外となる*2。
そしてCEROのレーティングは確かに単なる民間で定めた自主規制基準であるのだが、
長年のCEROの活動や国や自治体との協議の結果、公的な基準に近い扱いをする自治体も出てきている。
たとえば東京都ではCERO Zのゲームを不適切な方法で売ると(未成年と知っていて売るなど)
売った店舗に指導をする等のいわゆる有害図書に近い扱いをする指針を示していたり、
もっと進んで愛知県などの一部の自治体ではCEROがレーティングZに指定したゲームは
自動的に自分の県の有害図書に指定するように条例を整備した例もある。
- なお、A~Zのレーティングとは別に「教育・データベース」という区分も存在する。
こちらはゲーム機用ソフトながらゲーム性を持たない、地図や文学作品などと言ったデータベース系ソフトや、
語学等の学習ソフトや資格試験対策ソフトといったような教育系ソフトが該当する区分である。
年齢対象等は設けられておらず、ペアレンタルコントロールなどではA区分と同じラインに位置している。- 以前は携帯ゲーム機が人気であったことから主にニンテンドーDSなどで多くのソフトが発売されていたが、
近年では携帯ゲーム機の衰退とスマートフォンやタブレット端末の普及、電子書籍サービスの発達もあって、
新規ソフトは激減している。
- 以前は携帯ゲーム機が人気であったことから主にニンテンドーDSなどで多くのソフトが発売されていたが、
問題点・課題
- CEROはZ以外の区分では販売規制が設けられておらず、
レーティング「B」「C」「D」のゲームについては、その年齢を満たしていなくても購入し遊ぶことができる。
ざっくり言ってしまうとZより下のCERO区分は
「このゲームには暴力などの描写があるため○○才以上が対象です。
ですので その下の年齢の人が遊ぶ場合はそういう描写があることを認識して遊んでください」と考えてほしい。
たとえばモンハンの場合はほとんどがCERO:C(暴力)のレーティングをされているが、
「これは15歳未満の子供はこのゲームを遊んではいけない」という表示ではなく、
「特定の描写(ここでは暴力表現)があるので15歳未満が遊ぶ場合はそれを認識して遊んでほしい」という意味である。
なのでCERO表記を見た上で「ボクは14歳だけど暴力表現とか平気だし遊ぼう」と判断して遊ぶことは問題がなく、
保護者が買い与える場合もレーティングと子供の心身を踏まえて検討した上で与えるならば問題はない。- CEROは下記に説明してある北米のESRBとは異なり、
あくまで“推奨”であるという違いはある。
ちなみにESRBにおけるMHシリーズのレーティングは「T(Teen =青少年向けの略。13歳以上対象)」で、
こちらは大原則として、13歳未満には保護者の同意が得られない限り販売しない事になっている。 - MHFでは未成年者のゲームプレイ(ユーザー登録)には、
保護者又はそれに順ずる法定代理人の同意が必須となっている。
ただしこれはCEROの問題ではなくカプコンオンラインゲームズの利用規約上の制約事項であり、
CEROについてはそれとは別に保護者に注意を促すページが存在している。
- CEROは下記に説明してある北米のESRBとは異なり、
- ただ「購入・プレイするのは自由」とはいえ、CERO B以上のレーティングの付いたゲームを、
対象年齢以下の子供向けにPRするのはメーカーとしてどうなのかという指摘もある。
例えばモンハンは基本的にCERO C(15歳以上推奨)であるが、
現実には小中学生がモンハンで遊んでいるというのは今や普通の光景である。
が、だからと言って小学生向けの雑誌(コロコロコミック)でモンハンの特集を載せたり、
あまつさえコラボ武器まで登場させたり、
或いはMHフェスタ'11以降では公式大会に親子部門を設けたりと、
CERO Cのゲームなのにそのような対応は如何なものかという指摘があるのは致し方ないだろう。- 雑誌掲載については、実際に保護者から「小学生への購買意欲を煽っている」という批判が、
地方の新聞に載ってしまったことがある。
この為か、本作には暴力的表現がありますが、
掲載している画像にはそれに該当するシーンはカットしています。と注意書きが載せられている。
一応上記の件におけるカプコンの見解としては
「小学生にもゲームを知ってほしいという気持ちはある」とした上で、
「レーティングはあくまで目安。法律の規制ではなく、問題はない」と回答している。
- 現在のコロコロコミックはここで書かれるようなレーティングについての解説と共に
コロコロのメイン対象の小中学生を越えた年齢に向けたゲームも雑誌内の基準に則って取り上げることや
子供へゲームを提供する際は親御さん自身が検討をして与えるように声明を出している。
- また、CEROの審査の結果としてレーティングが上がり、
結果的に小学生をターゲットにしたものなのにBのゲームソフトになってしまうなどの事例があり、
この場合開発中のPRの時点では(レーティングに合わない層へのPRが)回避不可能となってしまう。
- 雑誌掲載については、実際に保護者から「小学生への購買意欲を煽っている」という批判が、
- その他にもレーティング制度を知らない保護者が多いということも問題視されており、
子供についても、それを意識して購入の判断としているかどうかは微妙であり、
特にZ区分についてはこの点が大きな問題になる(保護者が知らずに買い与えてしまう)こともある。- 昨今のゲーム機においては保護者がゲーム機能の制限を出来る機能*3が搭載されている。
この中にはCEROのレーティングに応じて、一定以上の区分に該当するゲームのプレイを制限する機能も含まれており、
例えば「モンハンは良いけどそれ以上のはダメ」ということであればD・Z区分のゲームの起動を、
「A区分と教育系しかダメ」ということであればB~Z区分のゲームの起動を一律に制限できる。
家庭の約束で禁止しているソフトを秘密裏に購入してプレイされるような事態を防止できるため、
保護者各位におかれてはゲーム機を買い与える際に、子供と良く相談した上で予め設定しておきたい。
- 昨今のゲーム機においては保護者がゲーム機能の制限を出来る機能*3が搭載されている。
- 一応近年のメインシリーズでは流血表現を「控えめ」にするオプションが存在している。
ただしこれは流血表現が苦手なプレイヤーを意識したものと思われ、
この機能自体オプションであることや同じくレートが上がる要因である
「武器の使用(暴力表現)」はそのままであることかから、レーティングの見直しは行われていない。
一方、「小学生にもゲームを知ってほしい」という点については近年では別のアプローチも行われており、
スピリッツやストーリーズ(どちらもA区分)はズバリそのコンセプトで開発された事が開発者より言及されている。- CEROの審査基準は容易に見つけることができないもの(エンディングや裏技など)も含めた
ゲーム中で描写されるすべての表現がチェック対象なので
出血表現を切り替えできるようにしても出血がある設定を基準に審査されてしまう。
あくまで出血が苦手な人向けのオプションでありCEROレーティングを抑える効果は期待できない。
- CEROの審査基準は容易に見つけることができないもの(エンディングや裏技など)も含めた
- そもそもCEROのレーティングについては審査の基準が曖昧という指摘が開発者らから挙げられており、
コンテンツディスクリプターアイコンについても、全ての要素が網羅されている
(申告される、又は審査の途中で指摘される)とは限らない。
特に「暴力」表現については線引きがかなり曖昧であることが少なからず指摘されている。- セガの元役員である名越稔洋氏が2006年に行った講演によると、現行(2006年当時)の線引きでは、
たとえばポケモンなら痙攣を起こして血を吐いて倒れてもオーケーになってしまう、との事。
- セガの元役員である名越稔洋氏が2006年に行った講演によると、現行(2006年当時)の線引きでは、
- なおCEROの審査は最初にメーカー側が対象年齢(A~Zのいずれに該当しうるか)を申告し、
それに基づいて審査が実施されるようである(マスターアップしてからの審査では遅いため、
開発段階の情報(映像や世界観資料、どの部分がコンテンツディスクリプターに該当するのか)を元に審査される)。
マスターアップ後ソフトをCEROに1本納入することになっているが、
過去には納入後(=出荷開始後)に再審査となったケースもある。
また、ゲーム側で倫理表現に問題がある(と思われる)描写を審査時に隠していたり、
内容を偽ってレーティングを下げさせそれが発覚した場合は、
出荷停止処分やメーカーに対する罰則が科せられる。
- ちなみに元々Z区分は存在していなかった(「18歳以上」という対象の区分があった)のだが、
2006年の改定時に、D(17歳以上対象)とZに再分類されている。
そしてこのZ区分は、購入の規制がなされるレーティングに該当しており、
18才未満の人には販売しない(できない)という原則に基づいて販売されている。
そのため、一部の量販店ではZ区分のゲームをそもそも取り扱わないといった対応がされていることもある。- しかし、「未成年者が裏でZ区分のゲームソフトを購入する」といった事案も少なからず存在しており、
動画サイトやブログ、SNSなどで声高に自慢している馬鹿常識の無い人もいる。
この場合、「販売してしまった」店舗やゲームを開発・販売したメーカーにも対し苦情が行くことになり、
結果的に業界が縛られてしまう(上述したように、Z区分を取り扱わなくなる、
Z区分の印象が悪化し、同区分での開発が難しくなるなど)。
そのため、これらの行為はゲーム業界そのものを殺すことになりかねないので絶対に止めるべきである。- 実際に2023年4月1日より、大手家電メーカー「ノジマ」が全店舗でのCERO:Z指定のゲームソフトを
全面的に予約・販売中止するという措置に出た。
更に実店舗だけでなく、オンラインストアである「ノジマオンライン」での販売も終了されてしまった。
理由は具体的に明かされていないが、まず間違いなく上記のような行為が多発していたためだろう。
- 実際に2023年4月1日より、大手家電メーカー「ノジマ」が全店舗でのCERO:Z指定のゲームソフトを
- しかし、「未成年者が裏でZ区分のゲームソフトを購入する」といった事案も少なからず存在しており、
- ちなみにモンハンでは最早常識となっている部位破壊についても、
海外産タイトルで似たような要素が存在していた場合「欠損表現」として規制が行われる場合がある。
これは上記の点から「Z区分のゲームは取り扱わない」とする店舗も少なくなく、
海外産タイトルでZ区分になってしまうと販売面でかなり不利なことになってしまうことから、
D区分にまで落とすことで多くの店舗で取り扱えるようにとの意図がある。
国内産タイトルではこのような動きはないが、情勢の変化によってはレーティングの上昇を避けるために
自主規制として部位破壊がマイルドな表現になってしまう…という可能性もある。
(この手の「レーティング上昇」を懸念したとされる表現変更を行った国内産ゲームはいくつか存在している)- わかりやすい例として「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(CERO A)」において
コラボとしてリオレウスが登場しているが、CERO Aの範囲では部位破壊はできるが
部位の切断は許されなかったため、当該ゲームではレウスの尻尾は切れなくなっている。*4
- わかりやすい例として「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(CERO A)」において
- CEROにおいて一番厳しい区分となるZだが、しかしこのZ区分にも表現の限界が存在する。
例えば性的表現においては性器や性行為そのものなどの描写がCERO倫理規定で禁止されているため、
PC用アダルトゲームが家庭用ゲーム機に移植される際には該当シーン等がまとめて削除される。
他にも差別表現や反社会的行為*5例えば、暴力などの表現についても禁止表現が規定されているのだが、
この内暴力表現については出血などの規制が、Z区分でも厳しすぎるのではないかという批判もある。
上記のようにZ区分を避けてD区分にする事例ではDとZで2バージョン同時発売することがあるのだが、
そのような場合であってもDとZに表現の差があまりないという事例があるため、
ゲーマーの中にはこれを嫌って審査基準の異なるPC版や海外版を買う人も少なくない。
海外におけるレーティング
ここからは参考としてCEROと性質が近い他国のレーティングを軽く紹介する。
ESRB
- Entertainment Software Rating Board(エンターテインメントソフトウェアレーティング委員会)の略で
北米とカナダのコンシューマーゲームにレーティングを付与する機関である。
- CEROと近い(というかCEROがこちらを参考にした)ために、
ESRBも持ち込まれたゲームを審査して、
対象年齢区分とそれを決定した要素を表記したレーティングを付与するという点は変わりない。
一例としてMHGU(Switch北米版MHXX)に付与されたESRBレーティングを見てみるとTEEN:Blood,Cruge Humor,Mild Suggestive Themes,Violence
[青少年対象=13歳以上]流血、下品なユーモア、やや示唆的なテーマ、暴力行為
- このようにレーティング表示で対象年齢と問題となった表現がまとめられている。
しかもESRBの公式HPではさらに詳しく書かれていて、
このゲームはプレイヤーがモンスターでいっぱいの世界で狩猟に従事するアクションアドベンチャーゲームです。
プレイヤーはクエストを受けて剣や爆弾や銃火器を用いてドラゴンや恐竜や爬虫類などの様々な生き物を殺します。
戦闘ではリアルな爆発や衝撃音、痛みの悲鳴が伴います。
キャラクターやモンスターが怪我をすると一瞬のみ血が吹き出す描写があります。
プレイヤーは女性キャラクターに肌の露出が多い衣装を着せることができます。
ゲーム内でプレイヤーは敵に「糞の爆弾」を投げることが可能でそれを行うと茶色い雲が描写されます。
- …というようにESRB公式データベースを見れば何の描写が問題だったのかを詳細に説明しているので
これらを知っていればゲームを買う前に検討をすることが容易になっている。
- 欧米の基準は日本やCEROと比べると銃器・人種関連・宗教関連*6・セクシャルな描写に厳しく、
暴力描写に甘いと言われているが飲酒にも厳格なことが多い。
例示したダブルクロスではハンターが直接酒を飲む描写がないものの、
酒場でジョッキを飲む描写があるモンハン作品ではほぼUse of Alcohol(飲酒の描写)が書かれる。
(日本のCEROではそれだけだと飲酒のアイコンは付かない。
付くとしたら未成年に飲酒を勧めるようなシーンだが、ハンターが未成年であることを示唆する描写はない)
それどころかMHRiseでは直接飲む描写がないのに主人公が会話するNPCが「自分が酒を飲むという内容を話しているテキスト」を根拠にAlcohol Reference(酒の描写)付けられている。
- なお最上ランクは「ESRB:M(Mature*7=17歳以上対象)」…ではなく、「ESRB:AO(Adult Only=18禁)」である。
こちらは滅多に見かけないが、それもその筈。*8- 家庭用ゲームハードメーカーは、販売や認可を認めてはいけない=実質PC版・Steamとしての販売のみ
- 大手販売店や通販サイトは、宣伝や流通を禁止する。18歳未満立入禁止のアダルトショップでのみ許可される
- 動画配信サイトは、AO指定ゲームに関し利用規約の設定を厳罰化する。動画配信の禁止やモザイクなり該当シーンの削除など
- 以上三点に背いた場合、販売や開発許可の剥奪、個人に対しては法的措置もある*9
ゆえにAO指定を受けたら、該当シーンを削るか控えめにしてM指定に抑えるのが一般的である。
なかにはゲーム機対応版の場合は修正して、PC版を無修正でAO指定のまま販売する事も実際にある。*10
PSでAO指定を受けたにもかかわらず無視したら、販売会社に大目玉を喰らい販売中止にされた事例もあったり
PEGI
- 北米とカナダで用いられているESRBと異なり、こちらは主にヨーロッパで用いられているレーティング。
Pan European Game Information(汎欧州ゲーム情報)の略でPEGIと表記する。
ただしヨーロッパといっても多数の国家がありPEGIに加盟していない国もある。
特に経済的な発言権が強く国内法の都合もあるドイツがPEGIではなくUSKというドイツ独自のレーティングを使用している。
- PEGIも平たく言えば対象年齢と問題となる描写を定めるレーティングで、欧州版MHGUで例えると
PEGI 12,Violence
12歳以上、暴力描写
- となっている。
ただしPEGIはCEROやESRBほど拘束力はなく、
「PEGIのレーティングはあくまで目安、それを受けてどう扱うかはお任せ」というスタンスが強い。
なぜかというとPEGIに参加しているヨーロッパ他の国は数十ヵ国あるのだが国民性や文化はまちまちで
暴力やセクシャルなどの描写への許容範囲も大きく異なるためPEGIは大まかな目安のみを示して
実際に販売制限をかけるかどうかは各国に任せるという方式にしているため。
とあるちょっとエッチな日本のゲームを欧州でリリースした際に
PEGIは16歳以上(セクシャル描写)を付与したので「性的描写があることを了解した16歳以上なら買える」はずなのだが
ヨーロッパのA国はその通りの販売制限をし、B国はもっと低い年齢でも販売を認め、
C国はこれはエッチすぎると販売を許可しなかった。*11
このように欧州独自の事情を汲んだレーティングとなっている。
IARC
- International Age Rating Coalition(国際年齢評価連合)の略。
こちらも海外のレーティングだが近年は日本のゲーマーにも重要性が増しているために記載する。
- 全世界におけるゲームのレーティングの手続きの簡略化とグローバル化を目的として設立されていて
その売り文句の通りかなり簡単にレーティングを申請することができる。
具体的にはアンケートのような設問を全て入力してIARCに送信するとその内容に基づいてレーティングが決定する。
しかも前述のESRBやPEGIなどはIARCと連携していて、IARCでレーティングを取得すると
IARCレーティングに適応するESRBやPEGIレーティングが自動で取れる。
従来のレーティングは審査機関に費用を払って審査してもらっていたところを
格安かつ簡便に審査を済ませられる上に、ESRBなどの連携した他のレーティングも自動で取れるというのが特色。
現在のところ日本のCEROはIARCとの連携はしていないので
IARCレーティングを取ったゲームを日本で配信したい場合は改めてCEROの審査を受ける必要がある。*12
- ただしIARCはスマートフォンやPCなどのデジタル配信ゲームを想定したレーティングなので
パッケージ販売をする家庭用ゲームについてはIARC以外のレーティングを取得しないと販売ができない。(日本の場合はCERO)
日本でも2020年時点では配信専用ゲームに限りIARCのみのレーティングで売っているゲームもちらほら出ている。
- アンケートのような設問に答えるだけ…つまり事実上の自己申告だけでレーティングを取れることから
意図的な誤魔化しはもちろん回答側の解釈違いによって、実際の内容と剥離したレーティングになったとしても
それが明らかになるのはそのゲームが配信されて購入者にプレイされてからとなる。
そのためにIARCレーティングで配信されたゲームを後日ハードメーカーが配信停止して再審査を命じた事例がいくつかあるため
IARCレーティングのみで配信されるゲームを遊ぶ際ははそういった懸念があることを踏まえておくとよいだろう。