PSPで発売されたモンスターハンターシリーズに対し、
かつてシリーズファンが用いていた総称のこと。
目次
概要
- PSPで発売されたハンティングアクションのモンスターハンターシリーズは、
『モンスターハンター ポータブル』、『モンスターハンターポータブル 2nd』、
『モンスターハンターポータブル 2nd G』、『モンスターハンターポータブル 3rd』の4つであり、
基本的にはこの4作品に限定した呼称である。
すべてに共通してタイトルに「ポータブル」が付いていることから、
ポータブルの頭文字Pを取って「Pシリーズ」と呼ばれ、更に縮めて「P」と呼ばれることもあった。- MHシリーズではアイルー村シリーズもPSP作品だが、
「ポータブル」という名称を冠さない事、及び後述の理由から「Pシリーズ」とは呼ばれない。
- MHシリーズではアイルー村シリーズもPSP作品だが、
- 基本的には「PSPで発売されたMHメインシリーズ作品」の事であり、
現在「Pシリーズ」という単語が出た場合はそういう意味で用いられていると考えて問題ないが、
かつてはシリーズファンにとって極めて重大なカテゴリ分類の手段であった。
特にMHP2~MHP3の全盛期におけるファンサイト・攻略サイトでは、その痕跡が至る所に見受けられる。
公式における扱い
- ナンバリングタイトルの記事も参照してほしいが、
2023年現在では、カプコン公式においては「Pシリーズ」という区分は用いられていない。
- 一方、MHP3の発売時インタビューによると
携帯ゲーム機向けの作品として『モンスターハンターポータブル』シリーズという単語が用いられており、
「MHP3の前作」として
(直前に発売された据え置き機タイトルのMH3ではなく)同じPSP作品であるMHP2Gを挙げている他、
「ポータブルシリーズのナンバリングタイトル」という発言も出ている。
この為、少なくともMHP~MHP3までは
「携帯ゲーム機向けのモンスターハンター」として、明確な路線の元で開発されていた事がうかがえる。
10周年記念サイトでも、この「ポータブルシリーズ」という表現は用いられている。
- 開発スタッフに関しては明確な言及はなく、
当時の据え置き機シリーズとは開発チームが別であるという推測をするファンも多い。- ポータブルシリーズ4作品のディレクターである一瀬氏は、
実際に据え置きのナンバリング、及びMH3G・MH4(G)には携わっていない。
「MH3の開発にも関わっていた」という発言がある事から、
開発スタッフが『完全に』異なるという訳ではないようではある。- BGMを手掛けたコンポーザーにも、据え置きのナンバリング及びポータブルシリーズに携わっている人物がいる。
- 据え置きと携帯機の区別がなくなった近年においては、制作ラインが混在していることが判明した。
詳しくはナンバリングタイトルの記事を参照されたし。
- ポータブルシリーズ4作品のディレクターである一瀬氏は、
ファンからの扱いとその変遷
- 一番最初の「ポータブルシリーズ」であるMHPはMHGの追加要素付き移植作品であり、
MHP2以降爆発的なヒットでプレイヤー数が激増したという事情もあり、
MH2以前のファンから見れば
「ヘビィユーザー向けの据え置き機タイトル」と
「それをPSPにアレンジ移植したライトユーザー向けタイトル」に
分けることが出来てしまう様相があった。- 上述したとおり、開発の方向性を鑑みればこの認識自体は別段間違ってはいないのだが、
これによってポータブルシリーズと据え置き機シリーズを完全に別カテゴリ
(現在の価値観で言う、メインシリーズではない派生作品)と見做す動きが強まる事になる。
- 上述したとおり、開発の方向性を鑑みればこの認識自体は別段間違ってはいないのだが、
- 当初(特にMH2、MH3時代)は据え置き機との難易度差がかなり存在しており、
PSP作品を指して「難易度が低すぎる(ソロでもクリアが容易)」「手応えが無い」と指摘する声も多く、
据え置き機主体のユーザーとPSP主体のユーザーとの間で確執めいた事態も度々発生していた。
上記のとおり、当時の据え置き機シリーズとポータブルシリーズの方向性は全く異なるものであるため
基本的にお互い優劣を比べる関係ではないのだが、
「モンハンは作品ごとにコンセプトが異なる」というのは当時まだ広く認知されていたとは言い難く
同じ枠組みに当てはめて論議しても収拾が付かないため、
「Pシリーズはナンバリングではないから(簡単なのは仕方がない)」
「据え置き機はナンバリングだから(難しくなっている)」
と言った形で着地点を見出すより他に無かったものと見られる。
加えて、オンライン要素の有無が難易度に違いをもたらしているという意見も強かった。- ちなみにMHP2(G)及びMHP3は、ゲームの土台(基本的なシステムやマップ)こそMH2・MH3であるが、
実際には拠点やストーリーなどは全く異なるものとなっている。
上記のインタビュー記事でも、MHP3について
「『2nd G』でも『3(トライ)』でもない、新しい手触りを持つ作品」になるとの発言がある。
ただし当時は、(特にシステムがMH3から大きく異なるMHP3において)
「据え置きから性能を削っただけの移植」という批判も存在していたという。
- ちなみにMHP2(G)及びMHP3は、ゲームの土台(基本的なシステムやマップ)こそMH2・MH3であるが、
- ポータブルシリーズの
「携帯ゲーム機でのプレイを考慮したある種の"お手軽さ"」
「(MH初代から)基本は多人数の協力プレイであるが、オンラインプレイが外部ツールを使わないと出来ない
PSPのモンハン作品の特性上、一人プレイもある程度想定されていた」
という特徴は*1、
その後MH3G以降の携帯機ハードに移った「ナンバリングタイトル」にも概ね継承されて現在に至っている。
また、上記の認識が出来上がってからはPSP作品は
「ナンバリングをベースに展開される作品(つまりナンバリングではない)」という認識が一般的だったが、
ナンバリングタイトルの記事にもある通り、ナンバリングタイトルの認識が変化したこともあって、
PSP作品単体を明確にカテゴリー分けする動きは現在では見られなくなった。- 『モンスターハンタークロス』のディレクターは、
MHP3以来長らく姿を見せていなかった一瀬泰範氏であった。
またMHXは公式でナンバリングではない作品と言及されたこともあり、
発売前には「Pシリーズ及びMHX」という新分類が出来るのではという予想もあったが、
実際はこれまでのナンバリングタイトルの集大成的な立ち位置だったこともあり、
MHXXの発売後もそのような再分類の動きは乏しい。
なお、MHXのコンセプトは「パーソナル」…奇しくも「P」をイニシャルに持つ単語である。
MHXの舞台はベルナ村以外は歴代ポータブルシリーズの舞台となっているのも特徴。 - MHRiseもまた、一瀬泰範氏がディレクターを務めている事が公表されている。
本作品は、据え置き機であるPS4の作品であるMHW(:I)の後に出る作品であると同時に、
Nintendo Switchでリリースされる二番目の作品となる。
Nintendo Switchは据え置き機と携帯機両方の特性を併せ持つゲーム機であり、
更に携帯機機能専門のNintendo Switch Liteも発売されている事から、
当初は据え置き機シリーズと携帯機シリーズの並行路線の本格的な復活と見る向きもあった。
しかし、基本的なゲーム内容はMHWorld、MHRise共にMH3G以降の事実上一本化された路線を踏襲しており、
後に完全据え置き機であるPS/Xboxにも展開されたことによりそのような見方は薄れつつある。
- 『モンスターハンタークロス』のディレクターは、
- MH3G以降の作品で初めてモンハンを触れたユーザー、特にPSPそのものに一度も触れた事が無いユーザーの中には、
「PSPのモンハンだからPシリーズ」と言うシンプルな捉え方をする者も少なくない。
こうした「難しい歴史は知らないが、要はモンスターを狩猟するゲームだろう」と言う率直な解釈が
MHP3とMH3Gの間にあったゲームハードそのものの大変革期をスムーズに浸透・移行させて
軋轢を理由としたファンの険悪な対立ムードを可能な限り最小限に封じ込めた功績も大きい
(ライトユーザーが「ナンバリング」と「Pシリーズ」の世界観の違いの押し付け合いの波を回避できた)。- また「ナンバリング」と「Pシリーズ」の全ての歴史を一本に強引に集約したとみられる事もあったMHX(X)が、
シリーズ毎の食い違いなどの揚げ足を取られる事も無く
「ナンバリングとPシリーズを足して折衷すると、まぁこんな感じになるだろう」と言う
誰が手に取っても納得(妥協)できる最大公約数的なスタンス浸透の要因ともなった。
また、PSP未プレイ層がPシリーズベースのかつての世界観に触れるに際しても違和感を感じること無く
「モンハンの歴史の一端」もしくは「むしろ、まったく新しいモンハンの歴史」として
個々の自由解釈によって世界観を認識し、それぞれの概念で没頭できる幅広い間口ともなった。
- また「ナンバリング」と「Pシリーズ」の全ての歴史を一本に強引に集約したとみられる事もあったMHX(X)が、
余談
- かつてはPシリーズは据え置きナンバリングからの派生作品(もっと極端に言えば外伝)と見做されていたが、
これらの作品群は他のメインシリーズ作品と完全に世界観が共有されており、
MH4以降はPシリーズの登場人物が、作品のストーリーを踏襲した上で登場することも多い
(例えばネコートさんはMH4Gで登場した際、MHP2Gのハンター(プレイヤー)を思い出している)。
各作品の正確な時系列は明らかにされていないが、
基本的にはPシリーズを含めたメインシリーズ各作品は同一の世界に収めても概ね矛盾が無いようになっている。
前述のMHXについても「本来別々だった世界観を強引に集約した」というのは実際の所としては誤りで、
開発側の認識としては元々一つだったのをプレイヤーサイドが別々だと思い込んだ、
あるいはそう思わないと世界観とUI(狩猟環境)の変化をリンクさせ辛かった結果だと言える。- 2023年現在の各種「派生作品」はメインシリーズとは世界観の細部共有がされておらず、
メインシリーズと全く同じ世界に収めると時系列等での矛盾が生じるケースが多々ある
(これについては明確なコンセプトの元で、そう設定されている事がうかがえる)ため、
そういう意味ではPシリーズを「派生作品」と位置づけるのには無理があると言えるだろう。
尚且つ正真正銘の「派生作品」であるMHFの位置付けを、長い間多くのプレイヤーに誤解させることになった。
詳しくはモンハン用語/本家を参照のこと。 - 2023年現在の各種「派生作品」はメインシリーズとは世界観の細部共有がされておらず、
- 一瀬氏曰く、「ポータブルシリーズのメインモンスターは『ガ』で終わるのが多い」との事。
MHP2Gのナルガクルガ、MHP3のジンオウガはズバリその通りであり、
MHPのメインモンスターはリオレウスだが、唯一の新規参戦モンスターであるイャンガルルガも「ガ」で終わる。
「ガ」では終わらないが「ガ」を含むモンスターであれば、MHP2のティガレックスもそうである。
偶然か意図的かは不明だが、面白い一致といえるだろう。
- ちなみに「ポータブル」の語源となったPSPが製造終了となったこともあり、
現在「ポータブル」の名を冠するタイトルは発売されていない。
「ポータブルシリーズ」のコンセプトは先述したように、
3DSで展開されたメインシリーズ各作品がある程度継承していたものと見られていたが、
実際のところとしては、モンハンというゲーム自体が「遊びやすさ」を重視した進化を続けていった結果であり、
MH3以来の完全据え置き機での展開となったMHWorldでさえ、
難易度や素材集めなどの方向性は「ポータブルシリーズ」以後のモンハンを継承、発展させたものになっている。
- 各作品はP、P2、P2G、P3と略されることもあるが、
P2はペルソナ2、P3はペルソナ3*2と区別が付かないので、
略称としては敬遠されることが多い。
当Wikiでは語頭にMHを付け加えた『MHP』『MHP2(G)』『MHP3』を用いている場合が多い。
混同を避ける表記には他にもP2nd、P3rdといったものも多く見られる。
関連項目
ゲーム用語/プレイステーション・ポータブル
シリーズ/モンスターハンターポータブル
シリーズ/モンスターハンターポータブル 2nd
シリーズ/モンスターハンターポータブル 2nd G
シリーズ/モンスターハンターポータブル 2nd G for iOS
シリーズ/モンスターハンターポータブル 3rd
シリーズ/モンスターハンターポータブル 3rd HD ver.
シリーズ/モンスターハンターフロンティアオンライン - 「派生作品のPシリーズ」という見方をされていたことによって、作品自体の位置付けが長年誤解されていた派生作品。