【超常存在】/“無明”ゼタン

Last-modified: 2023-01-03 (火) 22:37:10

アルファベット表記:“The No Future” Z-anti
読み:“むみょう”ぜたん
分類:理造神
発案者:tocoma110
Tag: 超常存在 理造神 超古代文明 発案:tocoma110


「我々は、触れてはいけないものに、触れてしっまたのだろうか」
~超古代文明のものと思われる、とある記録より~

概要

アビスタイプ?の始祖であり、例外的理造神。
第一世代に生まれながら、その完成には第四世代までの長い年月をかけ、大帝国の支配下から抜け出すために世界中のすべてから己の名を消し去り、力を大きく減じながら、それでもなお最上位の力を保ち続けた、化け物。
別名、『魔祖』。


これほどの危険存在ながら、これの製造を止めるものは誰もいなかった。
そして、それは大帝国崩壊の引き金でもあったという。


なお、「ゼタン」という名前は「仮称」であり、その真の名は失われている。
その名を消し去ったからこそ、この怪物は自由であり、また最悪なのであった。

 

データ

世代第四世理造神?
区分不明
種別不明
身長60m(角を除く)
翼長片翼40m
体重4万t
最大飛行速度不明
『理造展界』『名称不詳』 
後述。

 

外見・形状

大まかには有翼の有腕二足歩行型の、暗黒の異形。
頭部の枝分かれした角、背面の巨大な翼、矢じり状の先端を持つ尻尾など、シルエットだけで言えば、世間で連装される「悪魔」が近しい。が、その実細部を見ると印象が大きく異なる。
異形・形容の難しい形態を持つ理造神は少なくないが、これはその中でも際立っている。


全身は暗黒色の甲殻がほとんどを覆い、内側の部分などに蛇腹の銀の甲殻がつく。
甲殻はなめらかなものがほとんどで、非常に硬質。魔北類に近しいものがあるが、それらと印象は異なる。
また、胸部には2つ透明な結晶部位が存在し、体内で生まれ続ける輝きが常に発されている。
そして、ここは強大なエネルギーの放射機関でもある。


頭部・四肢の先端は特に特徴的で、それぞれ十字の亀裂があり、そこから内部の輝きが漏れ出している。
亀裂は開くことで体内に直結しており、生成物の放出や外部からの干渉を吸収するなども可能。

  • 頭部は中央に十字の切れ込みがあり、内からの輝きが目などに映る。
    また、十字に分けられた面は左右の上下、それぞれに四角いへこみが存在する。
    角は頭頂部から生えるが、鹿や竜よりも虫の触角を連想させる形をしている。この角は一種の波音器官だが、精核機関の制御と一種の命令受信装置であった。
  • 四肢は肌人でいう肘から先で分割が起きている。
    こちらは分かれているというよりも、「4本の爪が段階的に開閉する」といった方が近く、先端の形も実際それに近い。
    • また、腕部と脚部で部位の形態が違う。
      腕部は徐々に黒い装甲から結晶状部位に変わっており、物を掴める特性を持つ。閉じれば太く滑らかな槍のようであり、開けば4本の鉤爪のように映る。
      脚部は黒い装甲に覆われており、腕部よりも鋭くなっている。

背面の翼は腕部のそれに近い構成だが、そのほとんどが結晶状部位となっている。
こちらは排出するエネルギーを持続的に噴射することで、飛翔能力として活用している。

 

能力・特性

理造神の中でも特に強大な個体だが、能力もまた際立ち、異質。
そもそも、本個体は精核機関が動力源ではなく「制御装置」として使われているほか、理造神らしい特定の目的を備えていない。
この理造神は「発見されたものを形にするため」に作られた故に、目的ではなく、性質によって規定された存在なのである。

  • そのため、本個体はその完成までに何度も何度も、核以外の部分が作り直されている。
    言うなれば、無限に器だけを作り続けている存在である。

基本的な特性として、本個体は「存在するだけで周辺存在を歪曲する」。
その影響は物質のみならず、思考・思想・認知や、物理的現象、空間・時間流・次元など種類を選ばない。それはよほど強大な力を持たない限り、対処手段は皆無に等しい。
本個体に影響を与えることは難しい一方で、その影響を遮ることは極めて難しかった。

  • この特性について、製造した帝国文明は、長らく気づいていなかった様子。
    後のロールアウト用の器を形成する段階では気づき、能力制限のための枷をいくつも用意していたため、対策自体は講じていた。しかし、これについて知る専門家の間では時すでに遅しと見られ、帝国崩壊の一因となったとする説すら存在する。
  • 当然、意図的に活用することも出来るようで、それにより様々な事象を起こす。
    重力・引力変化、空間転移、超高度空間防壁、存在変質など、その影響顕現は多岐にわたる。

 
一部の記録から、研究者たちはこの歪曲性を「意思」に近いと考えていた。
誰もが論理的ではない理由から、「何物をも歪めることこそ、これの目的であったのではないか」という感覚を抱いていた様子。


続いて知られるものとして、前述の「体内から漏れ出る輝き」。
これは超高熱のエネルギーであり、摂氏にして1兆度を超えるものにまで到達することがあるという。その熱を攻撃手段あるいは高速移動手段として利用している。

  • その中でも特に著名なのは、胸部から放つ大火球。
    平均的な出力のものですら、一撃で戴冠種を抹殺出来るほどの威力を持つ。標的から外れれば、都市一つを容易く地上から抹消してしまう。
  • また、同時に放出するエネルギーを切り替えたり、外部から吸収することも可能。
    これには物理的なもののみならず、精神的なものも含まれた。これのそばにいるだけで、不思議と感情が激しくなったり、欲求への意識が強く向いたり、あるいは真逆にそうしたものが消えていったりと。
    その適応範囲の幅は、理造神の中でも異常なほどに広い。

 

それらの源流には、ある秘密がある。

その根本的要因は、これ自体が「異次元へ通じた穴を核とする」こと。
空間に空いた穴というより、「穴という個体が在る」と言った方が正確で、その個体化した世界の穴を御するために外殻を用意したといっても過言ではない。
世界にとっての歪み故に、その力は強大。

  • それは本個体が最初期から存在するにもかかわらず、「完成」したのが第四世代までかかっていることと、不可分ではない。
    詳細は後述するが、本個体の歴史はひとえに「強すぎる力に耐えうる器の製造」の歴史でもある。

生まれる歪曲も放たれるエネルギーも、「穴の先」からやってきている。
それ故にこれから生まれるエネルギーは実質無限と言ってよく、その無限のエネルギーを活用する研究の過程で、「穴を固定する」ために器にあてこまれた。その目論見は第一段階的には成功しており、故に上述の特性が発揮されている。

  • 果たして、もたらされるその力は「どこから」来ているのか、わかっていない。
    一説には、並行世界論などとも絡むほど広大とされるが……

更にこの理造神の特異性を際立させるのは、「己から分裂した特性核(=穴)を生み出す」ことが出来た点。
完全再現こそ不可能だが、これにより同質の特性を備えた量産型を作り出すことが可能だった。
それこそがかの悪名高い第四世代理造神シリーズ・アビスタイプ?である。彼らは本個体の子供とも言うべき存在であり、様々な点でその部分応用型となっている。

  • ただし、その根幹的理論・技術については固く秘匿されていたらしく、記録が残っていない。

しかし、同時にこの能力は一切制御されてもいなかった。
少なくとも、帝国軍内では完全な制御は確立出来ていなかったといっていい。
だからこそ、これの存在に多くの帝国中枢が影響を知らぬ間に受け、どんどんと帝国の歪みを加速させていくこととなる……


なお、人間的な音声を発することはなかったというが、信号じみた電子音を常に発してたともされる。*1
その音が、「仮称の由来」とされる。

 

来歴

その発祥は、第一理造神時代初頭とされる。
いつの頃か、これの『核』となるものが発見され、その安定・活用のために「器」となる肉体が製造されてきた。
これは幾度もにわたり、後述のプロトゼタンと呼ばれる中途段階を踏みながら、試行錯誤を繰り返してきた。これにより、帝国の第零と呼ばれた研究所が専属で研究を続け、あの高度文明の初期から後半までの長い年月が費やされた。

  • その間に発見された無数の理論や部分的な応用により、アビスタイプが作られたほどに。
    それほどの知見が得られてなお、この怪物が理造神となるには至らなかった。

超古代大戦の中、第四世代と呼ばれる理造神が製造される頃、ようやく「一応」の完成を見る。
しかし、それでもなお有り余る不安定さ──というよりも危険性から、いくつもの枷を付けられる形で「完成」と扱われ、日の目を浴びることとなった。
ロールアウト後は自身の派生形であるアビスタイプを率い、第四世代の中でも特に強大な軍団を率いる統率個体、かつ切り札の一つとして、反抗勢力全般に猛威を振るったという。

  • 同列に語られるものが絶対審判機構?最高の理造神?例外的傑作であることから、その異常性が分かる。

しかし、そうした帝国の思惑を、この怪物は疎んじていた。
自らを縛る制限を振り切るためこれは独自に画策し、アビスタイプたちを率い、密かに帝国内部の歪みを肥大化させ、帝国の火種をどんどんと触れあがらせていった。
そして、自らもその器事態に科せられた枷を「“鋼の極竜”との戦いで外す」という、命がけ(と言うと語弊があるが)の作戦に出る。これを、見事に成功させてしまった。

  • 器の損壊による安定性低下という大きな問題を抱えることにはなるが、多数の制御──特に『名前による存在規定』を「あらゆる記録・記憶上から抹消する」という形で失うことにより、完全なる自由を得る。
    以降、枷の一つであった契約者の存在も不要となり、完全に独立し活動していくこととなる。

 
これにより、晴れて帝国からの離脱を実現したこれは、仮称「ゼタン」として活動を開始、あらゆるアビスタイプ・プロトゼタンを率い、帝国・連合・連盟・その他勢力、すべてに牙を剥く「世界の敵」として現れることとなる。
文字通り、「悪魔の王」として顕現したこれは、世界そのものを壊滅させんとするように、戦果を広げ、多くの死と破壊を楽しんでいった。
その被害は単純な破壊と殺戮だけでなく、生命のあり様や精神、思想を歪める形でも発揮され、各地で様々な悲劇が巻き起こされたという。その名残がいくつかの秘境へつながっていると囁かれる程度には、その猛威は凄まじかったとされる。


そうして伝説となったこれは、しかしその最後を知られていない。
少なくとも、現在まで世界が存続していることから、何者かに撃退あるいは封印されたことは間違いない。
しかし、いつ、どこで、誰に、どのような形で無力化されたのかは、記録が一切残っていない。ただ、これを源流に持つと思しい伝説上の存在は、大半が地下や冥府に封じられているということから、この大地の底に眠っているのではないか……というのが多くの専門家の見解である。

 

試作品:プロトゼタン

ゼタンが完成するまでに作られた、無数の試作品。
また、それらを利用して作られた量産型の兵器の総称。
「核」を安定させるための「器」の試行錯誤の歴史であり、それを再利用した理属獣と言える。故に、兵器転用された者たちは理造展界を持たない。


それぞれが内部に1兆度の超高熱相当のエネルギーを蓄え、それを活動源として行動する。
そのため、内蔵されたエネルギーを使い切るまで活動可能。


ゼタンの子供であるアビスタイプと違い、こちらはゼタンの試作型・不良品的な存在である。
故に、固有の特性を獲得することはなく、基本的な能力傾向は同じ。
超高熱放射・佩帯、疑似空間転移、空間固定防壁展開、エネルギー吸収反射など。それらがモデルによって多少個性的な形式になることはある程度。アビスタイプ程の個性はなく、「量産された兵器」


外見は完成形のそれに通じる点を持ちながらも、武骨だったり、生物的な傾向が強い。

プロトゼタン種類別一覧

  • 第1型
    最初期型。
    「核」の安定に重き覆いている故、後のものと比べると出力や特性の活用度が低め。
    基本的な能力を備え、コンセプト自体はここから変わらず、また単体戦力としては極めて優秀であるが、あくまで「理造神としては」止まりである。
    外見上は、背面に翼・尻尾がなく、二足歩行甲殻生物らしさが強い。亀裂は頭部のみかつ縦一本だけで、四肢は甲殻に覆われていた。
    後に数十体量産される。
    • 第1型 量産種
      第1型をモデルとした、兵器転用量産品。
      オリジナルと比べるとどこか柔らかそうに見える点が特徴。
      その印象通り、装甲の形成が甘く、生物ベースのボディが足を引っ張る、「強いだけの戴冠種」止まりの存在。
      とはいえ、純戦力としては十分なものがある。
  • 第2型
    第1型を改良した存在。
    より多くのエネルギーを導き出すことに成功したモデル。
    背面に装甲板による翼が出来ており、放熱板と飛翔用波音器官、二つの面を備えている。しかし、それ故にその翼周辺は「核」に近くいささか防御面に不安を残すこととなってしまい、コンセプト自体は評価されつつも、完成形には程遠かった。
  • 第3型
    第1型の特性をより強化する方向へ舵を切ったもの。
    今回は「器の強度」を優先し、さらに第2型の出力向上を合わせている。そのため安定してエネルギーを導き、活用が可能となった。一方で「核」をガチガチに固めてしまうことから、いささか応用性に乏しい形になってしまうようで、良くも悪くも発展形が作りにくかった様子。
    逆に、兵器として利用する分には何ら問題がないため、有用に使われたようである。
    • 第3型 炎熱派生種
      第3型の派生兵器転用種。
      炎熱放射性と近接格闘戦に特化させたことから、真竜類古竜級相当まで相手どれたとされる。
      代わりに制御が難しく、暴走しやすい面もあった様子。
  • 第4型
    第3型から発展し、超大型化したもの。
    二足歩行性などを排除し、超巨大鎧殻類生物として形成された。特に、2本の巨大な鎌型の前肢と縦横に大きな胴体が特徴。
    「核」からのエネルギーや特性を導くことのみに重点を置いたため、全長はおよそ300m、体重も30万tを超えるなど規格外と言っていい。
    出力もそれに見合うものであるが、取り回しづらい巨体であるため実用とは言い難く、実際これは続く第5型への橋渡し的存在に過ぎなかった。
    利便性の悪さから兵器転用はなかったが、これの要素を一部引き継ぎ、小型改良したものが下記F種である。
    • 第4型 F種
      第4型の鎌・大型なボディを参考に第3型を改良した量産型。
      サイズは通常種と同程度で、形状もそれほど似ていないが、鎌型の腕部と分厚い装甲(ただし外向きに伸びる形ではある)が特徴。従来種よりも近接戦に優れた形となっている。
  • 第5型
    上述のゼタン完成形に最も近いもの。
    差異は尻尾・翼くらいなもので、あとは概ね完成形と同様の外見・能力を備えているとされる。歴代で最も優れた安定性を誇り、制御面で高い評価を得たことからこれをベースに改良が施され、現在のそれへと至った。
    フォルムとしてはほぼ完成であり、完成形との差異はどちらかと言えば内部の問題。
    兵器としてもいくつか製造されているが、強力化した分消耗が激しく、かつてと比べると活動の保ちが悪くなっている。
    その弱点を解消すべく、兵器版では下記のS種が考案された。
  • 第5型 S種
    第4型F種の腕部武装を採用した第五5型兵器転用種。
    両腕を放射機関ではなく鎌に限定することで、射撃消費量を減らし、より長く活動可能にしたもの。動きが大降りになるなどの難点もあるが、外殻同様強固なもので構成された鎌は、非常に強力な武器となっている。

 

その本質などについて

従来の理造神と比しても異質な点ばかりなこれだが、それは何故なのか。

それには、この理造神が抱えるある秘密が関係している。

すでに語った通り、この存在は「穴」である。
では、何の穴か?
それは、『この世ならざる怪異・異形の世界へ通じる次元の狭間』とでも言うべき全くの異界へつながげる歪みにして穴、という怪奇そのもの
これ自体が理不尽かつありえないはずの代物であるのに、形を持って生まれ堕ちてしまったというイレギュラー。それを核とし、利用するために帝国は存在を固定する器を製造し続けていたのだ。


この穴は、世界と世界をつなぐ通り道であり、またその略奪者でもある。
ここからもたらされるものはどこかの世界のものであり、何かがどこかに流れ着く時、別の世界は何かを奪われている。そして、恐ろしいことに漂着と奪取は決して等価交換ではない。一方的に奪われ、一方的に送られ、そしてそれが時々で入れ替わることさえある。
しかも、本来的には穴が何を招くのか、奪うのか、誰にもわからない。
帝国は数多の制御を施すことで、疑似的に得るものの選別に(ある程度)成功した。

  • 最も端的な例は、プロトゼタンが持つ「熱量1兆度分のエネルギー」だろう。
    それだけの膨大なモノを呼び寄せているわけだが、そこに召喚のための条件がない
    故に、帝国からすれば1兆度分のエネルギーが無条件で得られるのだ。それは、逆に言えば「どこかの世界から同量の可能性が無条件で奪われている」ことを意味する。

そうした異質な特性は、これそのものが「事象であるとともに個体である」ということに起因するとする仮説が、唱えられていた。

  • それを証明するように、これは理造神として器を与えられた際、明確に己にするように物事を進めている。
    周囲の研究者はもちろん、時折視察に現れる王族や軍人にも己の「歪曲」の性質を用いて、精神干渉していたと思しい様子が一部研究資料に残る。そして、当人もまた己の自由を求めて作戦を「歪めて」解釈し、器の破損を伴う形で己を縛る自由をすべて消し去った。

その後、自由を手にしてからはアビスタイプを率い、あらゆる勢力へ戦いを仕掛けた。
圧倒的な軍勢はあらゆる勢力に対し大きな痛手を生み、世に混沌を巻き起こす。
その結果、本来の姿・精神・本能から歪められてしまう、数多の生物たちが現れることとなり、それによる数えきれない悲劇が引き起こされたという。
 
力を削がれてなお自由を謳歌したこの怪物だが、それ故に甚振られた者たちの結束も招いた。
二つの文明の力を合わせた超兵器の招来を招くこととなり、その内の一機に道連れにされる形で封じられた。
封印の地は諸説あるが、候補の一つにはかの魔北地方も含まれている。

 

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相談コメント欄


*1 短音を極めて短い間隔で繰り返したのち、一瞬の間の後に「ゼタン」と聞こえなくもない音が続くという。