セリフ/【俺、クラウドにはなりきれませんでした】

Last-modified: 2021-04-28 (水) 15:23:48

FF7

竜巻の迷宮にて人格崩壊を起こし、自分を見失ってしまったクラウドの台詞。
ティファから自らの存在についての明確な答えを得られなかったことと、
セフィロスの巧みな誘導により、自らを
『ティファの記憶にある「クラウド」という名の人間を模しセフィロスの力の一部を与えられた、
科学者・宝条によって無から創られた人造人間』
なのだと信じ込んでしまい、セフィロスに言われるがままの行動を取る。

直前までの、自分を欺こうとしているセフィロスに対する強気で自信に溢れた態度から一転、
いきなり敬語を使い始め、仲間に「ごめんなさい」という弱気な謝罪の言葉を繰り返すクラウドの姿は衝撃であった。
 
「俺、クラウドにはなりきれませんでした。
ティファさん……いつかどこかで、本当のクラウドくんに会えるといいですね」

この台詞の直後にティファは無言のまま崩れ落ちてしまう。下手に台詞がないため、却って彼女が受けた衝撃の強さを伺わせる。
クラウドの記憶が自分とは違うが、同時に別人とも思えず、しかしそのことを指摘するとクラウドが遠くに行ってしまうかもしれないと思い、言い出せず。
時間が必要だと言い訳にしてを全て後回しにした結果、クラウド本人がセフィロスの言葉を全て受け入れてしまい、もう今更自分の言葉は届かない。彼女の後悔の念も相当激しいものになってしまったのだろう。


あまりに衝撃的な台詞の為、プレイヤーのなかにも「今まで操作してきたのは偽クラウドだったのか!?」
と誤解されてしまうケースも。まぁ復帰すれば誤解は解けるだろうが。
 
自分が偽者だと完全に信じきっているにも拘らず、ティファや仲間の事を案じている辺りは
クラウドの優しさが見て取れる。


あまりの展開にショックを隠せなかったプレイヤーは多い(と思う)。
この二転三転の末に真実が分かった時は感動しました。


この一連のイベント中、クラウドや宝条といった面々のセリフは通常通りメッセージウィンドウ上に表示されるが、ティファのセリフだけがウィンドウを介さず表示されており、ティファの声がクラウドの耳に届いていないような演出となっている。そしてついには、クラウドがバレットまたはレッドXIIIから黒マテリアを受け取り、いよいよセフィロスに渡そうという場面になってティファが頭を抱えてその場に蹲ってしまう。必死の呼びかけを聞き入れてもらえず、ただ傍観することしかできないティファの絶望感がひしひしと伝わってくる。
またこの場面に限らず、7から伝統のメッセージウィンドウを介さずに表示されるセリフが多くなる(例:伍番魔晄炉の橋から転落した後のクラウドのモノローグ)。ゲーム上のシステムでその場の雰囲気をプレイヤーにも分かりやすく伝える、スクウェアの職人芸が光る。


傲岸不遜の塊であるならまだしも、こういうキャラは総じて根が優しい。
その「演じていたキャラ性」は偽物であるにとどまらず「本物から奪ったもの」にもなる。
しかしそれを返して(返す相手の有無は問題でない)しまえば口調や性分の根幹=アイデンティティーが空っぽの状態になる。ために感情を極力排したロボットのような状態になるのだろう。
優しいが故に「今の「俺」が本物の模倣であるならば、俺は「俺」でいることは許されない。誰が、本物が許そうと存在しない俺自身が許さない」と考える。
クラウドの無意識下にあった「本物のクラウド」は、嘘の張り通しに疲れ切っていたのではないだろうか。

  • いや、クラウドが「今の自分は偽物」と思うようになったのは直前では?