俺たちの席を返せ!

Last-modified: 2026-04-21 (火) 10:09:13

2015年5月16日、広島東洋カープvs横浜DeNAベイスターズ戦(マツダスタジアム)で、DeNAファンが掲げたボードの文句。

経緯

事のきっかけは広島球団が『常車魂~RED RIDING~』として打ち出した、首都圏のファンに向けた貸し切り新幹線による観戦ツアーである。
いわゆるカープ女子ブームもあって広島の人気が高騰していたこともあり、ファンの需要に応えたこの企画自体は責められるべきものではないのだが、問題なのはそのために用意された座席。
なんと球団は、本来はビジターファン専用のビジターパフォーマンスシートのおよそ3分の2をカープファンのために割り当てるという暴挙に出たのである*1。対戦カードによってビジター応援席の範囲を変えること自体は他球団でも行われている*2、それを踏まえても余りある減らし方にネットは沸いた。

チケット発売開始すぐに「他の日は空いているのに5/16だけビジターパフォーマンス席が買えない」と発覚しDeNAファンから広島球団に問い合わせが頻発*3発売開始後1ヶ月近く経過してから上記の件を発表し、DeNAファン向けに300席だけ販売など対応の遅さが批判された。しかも横浜ファンに宛てた公式サイトの謝罪メッセージにて『横浜DeNA ベースターズ』と球団名を誤植するという失態もあり、あまりにも失礼かつ不誠実な対応ぶりに横浜ファンはもちろんのこと、他球団ファンからも轟々たる非難の声が上がった。

当日の座席割り当てを表した画像
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なお締め出しも虚しく、広島打線は横浜先発・井納翔一の前に沈黙。1-2で完投負けを喫したのだった

俺たちの席を返せ!

この措置に不満をあらわにしたDeNAファンが掲げたのが、「俺たちの席を返せ!」と書かれたボードだった。

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偶然にも上段にホセ・ロペスの応援タオルを掲げたDeNAファンがいたため、あたかもロペスが席を奪ったかのように見えてしまいネタにされた。

その後

この頃より高まったカープ人気も相まってチケットの入手困難さは高まっていった。そんな中「ビジターパフォーマンス席を購入し下のコンコースで立ち見」という行動をとるカープファンも現れ、「コンコースの混雑を招く」、「ビジター席は売り切れているにも関わらず空席が目立つ」、という事態が頻発するようになってしまう。

これを問題視したカープ側は2018年よりヤクルト・中日・オリックス、そしてDeNA戦においてビジターパフォーマンス席の半数以上を両球団ファンが観戦可能とする「3塁側パフォーマンス席」として販売するようになった*4。こうしてDeNAファンの声も虚しく、広島においての応援席は年間を通して600ほどに減らされてしまうこととなってしまった。

横浜スタジアムで再燃

DeNA自身、この2018年以降本拠地の横浜スタジアムではレフトスタンドのビジター席を試合によって調整するようになり、阪神・広島戦のような人気の高い試合はレフト全体をビジター席にする「LOW」、他のカードの多くはレフトの2/3をビジター席、残りをホーム応援席とする「MIDDLE」、開幕戦やポストシーズンなどベイスターズファンの入りが大きい試合はビジター席が1/3まで狭まる「HIGH」の3段階となった。
ところが、ベイスターズ人気も高まり観客数も増えたこと*5で2024年開幕から中日戦が、途中からはヤクルト戦も「MIDDLE」から「HIGH」、2025年からは広島戦も「LOW」から「MIDDLE」に設定されるようになり、実質的なビジターファンの締め出しが顕著になってきた。

そして2025年のクライマックスシリーズにおいては、レフトスタンド全席をホーム応援席にしたうえ、グラウンドから遠いウィング席にビジター専用席を隔離する*6という、この広島と全く同じ形式のように見えるビジター席割り当てを実施することを発表し、ネット上では非難の声が少なからず上がった*7。実際は最小設定よりビジター席は増えている*8のだが、グラウンドから明らかに離れた場所であることや傾斜の問題から、非難する意見が出てしまった。

DeNA、CSの本拠地座席図に非難噴出「リスペクトがなさすぎ」「ファンだけど流石にやり過ぎ」ビジター応援エリアを上層ウィングエリアに限定*9中日スポーツ・東京中日スポーツ


DeNAが18日、今季のクライマックスシリーズ(CS)に進出した場合のスタジアム応援席の座席図を公開した。ビジター応援席を上層のウィングエリアに限定するという。これに対し、X(旧ツイッター)上で賛否の声が上がっている。
球団公式ホームページによると、レフト外野エリア全てをホーム外野指定席として販売。ビジター応援エリアは、レフト外野エリアではなく左翼ポール際上部のウィングエリア(STAR SIDE)となる。
ビジターの応援エリアが制限されることになり、ファンが反発。DeNAの公式Xでは「他球団のファンのことをなんだと思ってるんですかね?」「相手あっての野球じゃないんですか…。リスペクトがなさすぎます」「巨人が2位、中日が3位になってほしいと思います」「東京ドームで同じ事されたら、どうなんだ??」と批判的な声が相次いだ。
DeNAのファンからも「横浜ファンだけどこれは違うでしょ」「横浜DeNAファンだけど流石にやり過ぎだって、考え直してください。批判浴びる覚悟なの?」といった指摘が出ている。
一方で「ビジターを締め出してるわけではなくホームアドバンテージを最大限に発揮しようとしてる」「これぞクライマックスホームチームのアドバンテージ」「ホームチームのファンがチケット買えないのは問題」など擁護する声も上がっていて、コメント欄が騒然としている。

なお、結果は巨人が二連敗してあっさり終戦した。

関連項目

Tag: 広島 横浜 観客・応援団


*1 近年、ホーム側のチケットを取れなかった広島ファンがビジター席のチケットを購入し、ビジター球団のファンとトラブルを起こす問題が発生しており、その行為に対し対策を打つどころかビジター専用席を減らした球団の対応も批判された。
*2 かつては全国にファンが点在する巨人戦に限りビジター応援席の範囲を拡大するのが一般的だったが、2000年代以降阪神ファンの増加を受けて阪神戦でも拡大するようになり近年では巨人戦よりも阪神戦の方が範囲が広くなる球場も存在する。また2010年代以降は広島戦でも範囲を拡大する球場が増えている他に2000年代にはロッテ戦で範囲を大幅に拡大していた時期もあった。
*3 ビジターパフォーマンス席がDeNAファンに解放されない場合、球場ルールにてパフォーマンス席以外では禁止されている鳴り物応援が出来なくなるため応援団からも疑問の声が上がっていた。
*4 2026年現在は対阪神戦以外の全てのカードで設定されている
*5 DeNA初年度の2012年は平均動員数が16,194人(定員は約2万9000人)と惨憺たる状態であったが、2015年には25,546人、上の騒動が発生した2018年は28,166人に増加、ウイング席を増設して定員が34,134人になった後の2025年には33,245人(動員率97%以上)にまで増えている。
*6 あくまでもビジター専用席が移動されたのであり、ビジターチームの応援自体は外野席と一部内野席を除いて可能だったので、ビジターの応援を完全に締め出したというのは誤りである。ただし、ファンクラブ会員に優先して販売されたためDeNAのファンクラブに入会しない限り購入は困難だった。
*7 同時に発表された巨人の席割り当てがレギュラーシーズンと変わらないようになっていたのも問題になった原因である(ただし、東京ドームとハマスタでは動員数に10000人程度の差がある)。なお球団内でも相当数の反対意見があったようで、最終的には協議を重ねた末、球団チケット部が主導し批判を覚悟の上で敢行したことが明かされている。
*8 HIGHと比較した場合、958席→1151席に増加している。
*9 各社が順当に報道する中、中日スポーツのこの記事のみ「巨人が2位、中日が3位になってほしいと思います」という明らかに親会社サイド私情が濃く出たコメントを挿入している点が読者の笑いを誘った。ちなみに最終的にはDeNAが2位、巨人が3位、中日は4位で2025年のペナントが決着。