広島燃ゆ

Last-modified: 2026-01-31 (土) 17:53:12

2024年9月4日に野球情報誌『週刊ベースボール』が発売した広島東洋カープの特集号(9月16日号)「それ行けカープ 勝利の雄叫びを上げろ!」につけられていた副題のこと。
転じて、広島東洋カープが2024年9月に味わった壮絶な悪夢を指す言葉。

毎年のように被害者を出す週べの呪い」の中でも特に強力、かつ長期間に渡って呪いが持続したケースとされている。

9月1日までのチームの経過

この年のセ・リーグは序盤から大混戦となっており、5月以降は巨人・阪神・広島の3球団、6月下旬以降はDeNAも加わって4球団による熾烈な首位争いが繰り広げられていた。その後、7月下旬に9連敗を喫したDeNAが脱落。8月に入ると阪神も調子を落としたため、広島と巨人との一騎打ちになると見込まれていた。

9月1日時点で、広島は62勝48敗5分(勝率.564)の首位。打撃陣の調子こそあまり芳しくなかったものの、それをカバーする鉄壁の投手陣が揃っていたこともあり、守りの試合を続けてコンスタントに勝ちを積み重ね、マジックの点灯も目前に迫る位置につけていた。
このまま巨人の猛追を振り切って6年ぶりの優勝を、と願っていた広島ファンも多かったのだが…

「広島燃ゆ」発売後

ところが、本誌発売と時を同じくして、ここまで持ち堪えていた投手陣の疲労が限界に達し、先発・救援ともに完全崩壊*1
低い得点力をカバーできなくなったことでチーム状況も急速に暗転し、

  • 5勝20敗(勝率.200)*2
  • 平日勝利はたったの1回*3
  • 9月中の連勝・カード勝ち越し無し*4
  • ビジターゲーム全敗

という壊滅的な月間成績を叩き出し、巨人どころか阪神、DeNAにまで追い抜かれてリーグ4位に転落。23日にリーグ優勝の可能性が完全消滅、25日にはそれまで全勝していたマツダスタジアムでのヤクルト戦に敗れたことで、1日時点で14あった貯金がすべて消滅翌26日には借金生活に突入し、28日には巨人の優勝を眼前で見届け、マツダスタジアムでの開場以来初となるビジターチームのリーグ優勝と胴上げを献上することになってしまった。

そしてチーム状態はそのまま復調することなく、月が変わった10月2日のヤクルト戦(神宮)に敗れたことで4位とシーズン負け越しが確定*5
9月開始時点で首位だった球団がBクラス、ならびにシーズン負け越しで終了というプロ野球史上初*6の屈辱を味わった。

阪神でも過去に同様のフラグがあったことも影響して、V逸どころかCS逸を喫した広島ファンの怒りの矛先はこの雑誌にも波及。表紙に書かれていた「広島燃ゆ」という文言が、

とネタにされ、この歴史的大失速を指すワードとして定着した。

9月開始時点での優勝・CS進出確率

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確率統計に基づき、各球団の優勝・CS進出確率を計算するこちらのサイトによると、9月開始時点で広島のCS進出確率は99%とされていた。
一方、(後述の通り)日本一を達成したDeNAはこの時点でCS進出確率23%であった。

画像

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余談

  • 選手達の疲弊の要因のひとつとして「マツダスタジアムでのデーゲームへの異様なこだわり*7解説者から指摘された。近年の気温上昇により夏場は無論、秋口においてもデーゲームによる熱中症のリスクは飛躍的に高まっており、現にマツダスタジアムでは球場外で救急車のサイレンが鳴り響き(なおソースはアサ芸)、相手チームの監督にも同情される始末であった
    • 当の選手達も実際に苦しんでいたことを口々に公言しており、主力の菊池涼介や坂倉将吾らは後の契約更改で球団側に見直しを求めたほか、プロ野球選手会の会長も務める會澤翼がNPBに直接訴えかけている
    • 選手会の訴えが実ったのか、翌2025年は6月30日から9月12日にかけてセ・リーグの屋外球場開催試合がすべてナイトゲームとなった*8
  • 広島の応援歌には「広島を燃やせ」「熱く燃えろ広島」という歌詞があるマルチテーマ(旧新井貴浩応援歌)を筆頭に、チームカラーと合わせた「燃える」関連のフレーズがある曲が多く、「広島燃ゆ」もここから採られたものと思われる。
  • 2024年の広島は勝率.493であったが、ピタゴラス勝率*9は.495である。9月の結果まで含めて、むしろ上振れが終わった状態と解釈することもできる。
  • 監督として悲劇を味わった新井貴浩は、阪神時代に選手として「Vやねん!」を経験しており、二度も悲劇を味わうこととなってしまった*10
  • 同年はサッカー・JリーグのJ1・サンフレッチェ広島*11も優勝争いを繰り広げた10月に失速して首位脱落*12、前年初優勝を果たして好調だったバスケットボール・Bリーグの広島ドラゴンフライズも、10月から絶不調*13西地区5位を達成するなど、「サッカー・バスケにまで延焼した」と言われる事態に。
  • 失速劇のインパクトがあまりにも大きかったことから、広島東洋カープを示す言葉として「燃ゆ」がそのまま使われるようになった。また投手の炎上を指す言葉としても「燃ゆ」が使われるようになった。
  • 広島が4位に転落したことにより、3位に滑り込んだDeNAがその後日本一を達成。DeNAがポストシーズンで対戦した巨人、阪神、ソフトバンクの敗退は「広島燃ゆ」が間接的に関わっているためバタフライエフェクトの一例だとして「バタツライエフェクト」と揶揄された。
  • 翌2025年は春先以降調子に乗らず5位に終わったが、その最終戦後のセレモニーにて新井貴浩監督が「来年以降もこの苦しみは続いていくと思います」と発言し衝撃を与え、「燃ゆ」状態が続くことを広島ファンに嘆かせた。

関連項目

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*1 それまで1~2点台で推移していた月間チーム防御率はリーグワーストの4.29と大幅に悪化し、月間防御率が先発では床田寛樹が5.14、大瀬良大地が5.31、森下暢仁が6.92。救援陣も島内颯太郎が5.40、森浦大輔が6.23、クローザーの栗林良吏に至っては(2点リードの9回表に3番手として登板するも、1アウトも取れず6失点と大炎上した9月11日の巨人戦が響いたとはいえ)9.00と、ここまで投手陣を支えてきた主力がほぼ全滅となる惨状に陥った。
*2 月間20敗は2019年8月の日本ハム以来でセ・リーグワーストタイ記録
*3 平日最後の試合だった27日の阪神戦が唯一の勝利で、それも9回に追い付かれた末に延長12回裏のサヨナラ勝ちという薄氷を踏む展開だった。なお、この勝利の結果巨人の優勝マジックが1となり、翌日の胴上げをアシストしている。
*4 9月1日に前日からの勝利を積み重ねたのみ。なお、広島が挙げた5勝は別々の球団から1勝ずつ挙げたものである。
*5 なお、10月は2勝2敗で終えている。
*6 2022年の西武も首位から一時的に4位に転落しているが、こちらは最終的に3位でレギュラーシーズンを終えている。
*7 デーゲームであればナイター設備をフル稼働させなくて済む、試合が長引いても職員に深夜手当が発生しないなどコスト面のメリットがあるほか、公共交通機関の最終の早さへの対策という観点もある。また、昼よりも夜間帯のほうがテレビ・ラジオの編成が難しく、特にラジオの場合はほとんどの局が日曜深夜をメンテナンスタイムに充てており、試合が長引くとメンテ時間が短くなるおそれがある。マツダスタジアム(RCC)の日曜デーゲームはビジターチームの移動に配慮する形で2017年時点で13時30分開始となっている。
*8 基本的には18時開始だが、一部の試合は17時45分開始。なお、期間が明ける9月13日にデーゲームを実施したチームは誰あろう広島であった。
*9 得失点差から計算された期待される勝率。
*10 反対に巨人側では監督の阿部慎之助を筆頭に「Vやねん!」当時の複数の選手が指導者として、坂本勇人のみ二度とも選手としてそれぞれ優勝を味わっている
*11 サンフレッチェはカープの実質的親会社であるマツダの社会人チームが源流で、チームとマツダの経営危機が重なったことで地元の家電量販店デオデオ(現エディオン)が介入した歴史を持つ。現在はエディオンとマツダがそれぞれ第一位と第二位の株主となっているなど、カープとは兄弟ないし親戚レベルの繋がりがある(ただし中日ドラゴンズともスポンサー契約を交わしており、ドラゴンズが使用するヘルメットにはエディオンの広告がある。これは、エディオンが広島県に本社があったデオデオと愛知県に本社があったエイデンの合併によって成立した経緯による)。
*12 この年はJ1昇格初年度だったFC町田ゼルビアが首位を長く走っていたが、8月以降に調子を落としていた。カープと同じくサンフレッチェ広島は8月末に首位に浮上したが、10月から11月にかけて残留争いをしていたクラブに3連敗を喫して急失速したことが響き、ヴィッセル神戸との優勝争いを終盤まで繰り広げながらも最終節で優勝を逃した。最終順位は広島が2位、町田が3位。
*13 故障者の続出などで10月の開幕から5連敗を喫し、年明け以降はある程度盛り返すも同シーズンは一度も貯金を作れずに「28勝32敗、西地区5位(8球団中)、得失点差-169」となった。