バイナムエフェクト

Last-modified: 2024-11-05 (火) 17:55:06

元オリックス・バファローズのフレディ・バイナムによる一連の事象のこと。

 

2010年10月1日の対千葉ロッテマリーンズ戦でエラーをしたことから始まったとされており、「風が吹けば桶屋が儲かる」の野球版。
元となった言葉はカオス理論を説明する際に使われる「バタフライエフェクト」(バタフライ効果)だと思われる*1


解説

この年パ・リーグのレギュラーシーズンは福岡ソフトバンクホークスが優勝、埼玉西武ライオンズの2位が確定しており、クライマックスシリーズ(CS)最後の1枠を巡っては北海道日本ハムファイターズが全日程を終え74勝67敗3分、ロッテが1試合を残し74勝67敗2分と僅差であった。
ロッテは最終戦のオリックス戦に「勝てば日本ハムを上回ってCS出場」という大一番。そしてこの試合でオリックスの遊撃手として出場したのがバイナムであった。

 

試合は1回表にオリックスが2点を先制。
その裏ロッテは一死1塁から3番・井口資仁が遊ゴロを放つがバイナムは二塁へ悪送球して一死2・3塁となり、その後一気に3得点して逆転に成功、そのままロッテは5-4で勝利し土壇場でCS進出を決めた。

そしてこのバイナムの失策をきっかけに、日本のみならずMLBをも巻き込んで球界は数奇な運命を辿っていくのである。


2010年

CSファーストステージでロッテがレギュラーシーズン2位の西武を2連勝で撃破。
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ロッテは勢いそのままにCSファイナルステージでレギュラーシーズン優勝のソフトバンクを4勝3敗で返り討ちにして日本シリーズ進出。ソフトバンクは1勝のアドバンテージ、さらに第3戦で先に王手をかけながら3連敗を喫してCS敗退
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日本シリーズはロッテが中日ドラゴンズを4勝2敗1分で下し、バイナムのおかげで史上初となるレギュラーシーズン3位からの日本一に。
また、第6戦では『バブルへGO!!』事件が発生。
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ロッテ・西岡剛が「バイナムのおかげで日本一になって一区切りがついた。夢を追いかけたい」とポスティングシステムでのMLB移籍を表明しミネソタ・ツインズへ移籍
一方ロッテに敗れたソフトバンクは横浜ベイスターズからFAの内川聖一を獲得。球界を代表する畜生キャラが誕生する。

2011年

NPB

バイナムのせいで西岡を失ったロッテは前年の日本一から一転して最下位
シーズン途中にはサブローが巨人へ謎の放出、背景には井口さんサイドとの対立も取り沙汰されるなどチームがガタガタになる*2
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3位オリックスが勝つか引き分け、または4位西武が負ければオリックスのCS出場が決まる10月18日のレギュラーシーズン最終戦。西武は前年のCS進出をバイナムのせいで逃していた日本ハムと対戦。日本ハムはエースのダルビッシュ有の先発が予想されていたが、オリックスに対する昨年の報復と言わんばかりに登板を回避させる
結果西武が日本ハムに勝利、さらにオリックスもソフトバンクに敗れ、勝率にして1毛差で西武がCS出場を決める
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その後CSファーストステージで、日本ハムは西武にストレート負け*3
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その西武を破って日本シリーズに駒を進めたソフトバンクは中日を4勝3敗で下して「秋の風物詩の呪い」を払拭させ悲願の日本一*4

MLB

バイナムのおかげでツインズ入りした西岡はMLBの舞台でエラーを連発するなど大不振に陥り、チームも前年の中地区優勝から1年で地区最下位へ転落
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同年オフはMLBにおける日本人野手の評価が暴落。
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ポスティングでのMLB移籍を目指した西武・中島裕之はニューヨーク・ヤンキースとの交渉決裂で一転して残留、同じくポスティングのヤクルト・青木宣親はミルウォーキー・ブルワーズに交渉権を安く買い叩かれた上、入団テストを受けさせられる屈辱を味わう

2012年

MLB

西岡のせいで青木の評価は上がらず、ブルワーズは中堅手候補としてナイジャー・モーガンを用意。
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しかし青木大活躍、モーガンから正中堅手の座を奪い取りスタメン定着。日本人野手の評判が少し回復。
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昨年西岡のせいでおかえり君』となった中島が今度は海外FA権を行使、オークランド・アスレチックスに移籍。
同時にモーガンはブルワーズから放出される。

2013年

NPB

相変わらずの死刑囚扱いに耐えかねた西岡NPB出戻りを決断
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阪神が西岡を獲得。
同時にFA移籍した平野恵一の人的補償で、オリックスから高宮和也を獲得。
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阪神の補強に対抗する横浜DeNAは、外野手の助っ人外国人としてFAになっていたモーガンを獲得。
彼の奮闘もあり、横浜は2007年以来となる最下位脱出を果たす
阪神も西岡を原動力に2位に。

MLB

中島は活躍どころかメジャー昇格もできずサクラメント中島と化す。

その後

NPB

西岡は翌2014年の大怪我以降パフォーマンスが低下。同年の日本シリーズでは線犯となるなど話題を提供し続け、2018年に戦力外通告を受け退団。

 

また中島は渡米後に活躍できないまま、2014年オフにオリックスと契約し日本球界に復帰した。

山口航輝エフェクト

2022年10月2日に行われた千葉ロッテマリーンズ対福岡ソフトバンクホークス戦で山口航輝が試合を決める逆転3ランを放ったことから始まったエフェクト。
こちらは「第5回WBCにおける日本優勝」という世界的な出来事にも影響を及ぼしているのが特徴。

2022年

10月2日、ロッテ対ソフトバンクにて山口航輝が泉圭輔から試合を決める逆転3ランを放ちソフトバンクが負ける。

同日の楽天戦で勝利したオリックス・バファローズが大逆転で優勝

その後ソフトバンクはCSファイナルステージまで進むもオリックスに敗れて敗退。オリックスは勢いそのままに日本シリーズも制し山口のおかげで26年ぶりの日本一となる。

2年連続で日本一を逃したソフトバンクは大型補強を実施。ロッテからロベルト・オスナを獲得*5*6

2023年

ソフトバンクに加入したオスナは当初シーズン前に行われるWBCメキシコ代表への参加意欲を見せていたが、ソフトバンク側が難色を示した結果オスナはメキシコ代表には選ばれず

その後開催されたWBC本戦でメキシコ代表は準決勝で日本代表と対戦。

9回1点ビハインドの場面でオスナの代わりに守護神を努めたジオバニー・ガジェゴスが炎上。大会中不振に苦しんでいた村上宗隆逆転サヨナラタイムリーを浴び、山口のおかげで日本は決勝進出。

日本は決勝・アメリカ戦に3-2で勝利し、山口のおかげで14年ぶりに世界一を奪還。

レギュラーシーズン開始。山口のせいで大型補強したソフトバンクは開幕こそ首位を独走するも、その後オリックス、ロッテに並ばれる。

5月27日、泉圭輔がロッテ戦に登板するも炎上。翌日の28日も登板するも1イニング2四球・2死球と大荒れ山口のせいでロッテ戦にトラウマを抱えてしまった泉は以降シーズンでの登板なし。

その後ソフトバンクはまさかの連敗街道突入。7月24日のロッテ戦、勝てば連敗脱出のところでここまでセーブ失敗なしのオスナが登板するも、角中勝也に逆転サヨナラ2ランホームランを浴び敗戦。ソフトバンクは山口のおかげで補強したはずのオスナの被弾で54年ぶりの12連敗を喫する

最終的にロッテとソフトバンクはわずか1毛差でロッテ2位・ソフトバンク3位になる。山口のおかげでロッテはCSファーストステージ本拠地開催権を獲得した。

CSファーストステージ第3戦、ロッテは延長10回表に3点を先制されるも、9回に登板したオスナが回跨ぎせず代わりに登板した津森宥紀から土壇場で藤岡裕大が同点3ランを放つと、その後登板した大津亮介からチャンスを作り安田尚憲がサヨナラタイムリーを放ち、山口のおかげで2年ぶりのファイナルステージ進出を決める。*7*8

11月6日、巨人・ソフトバンク間でウォーカー⇔泉圭輔・高橋礼のトレードが成立。泉は幼少期から巨人ファンであり、結果的にではあるが山口のおかげで巨人へ移籍する事ができた。

12月14日、ソフトバンクは西武からFA宣言した山川穂高を獲得。ちなみに山川は山口がホームランを放つ前日にサヨナラホームランを放ってソフトバンクの優勝を阻止している。

2024年

1月11日、FA移籍した山川の人的補償として和田毅が候補に上がる。和田はベテランながら前シーズンも先発ローテを守り抜いており若手からも慕われていたが、放出となるとチームにとって大きな痛手となるところであった。実際は甲斐野央が移籍したが、岩瀬式プロテクトの再来という声が上がる。

1月22日、NPB(日本野球機構)が現行のフリーエージェント(FA)について制度の見直しを山口のおかげで本格的に検討することとなった。上記の騒動による人的補償のあり方が要因と見られる。
同日、ウォーカーの抜けた巨人は新外国人としてルーグネッド・オドーアを獲得。

3月26日、オープン戦を低調な成績で終えたオドーアに対し阿部慎之助監督が二軍での調整を指示したところオドーアはこれを拒否し退団。

4月8日、巨人はオドーアの抜けた穴を埋めるべく日本球界復帰を決断した筒香嘉智を調査、獲得決定的とスポーツニッポンが報じるが、筒香は15日に古巣DeNAへ復帰。

5月10日、筒香争奪戦にも敗れた巨人は新外国人としてエリエ・ヘルナンデスを獲得。

5月21日~5月22日、先発のポンセが3.0回12失点の大炎上。中継ぎもソフトバンクの勢いを止められず結果的に21-0の大敗を喫する。打線もソフトバンク投手陣に手が出なかった。
しかし、次の日も、先発の荘司が0.1回5失点の大炎上。中継ぎもまたソフトバンクに打たれ結果的に12-0のまたも大敗。山川に2ホーマーも浴びるという屈辱も見せた。打線もまたソフトバンク投手陣に手が出ず、なんと山口のせいで二試合で33-0というあの33-4を超える得点差に到達する。

5月26日、山川の抜けた西武は開幕から下位に沈み、この日の試合を持って松井稼頭央監督が休養に入り、異例となる現場外の人間であった渡辺久信GMが代行を務める。

5月30日、ソフトバンクとの交流戦開幕からデビューとなったヘルナンデスが同カード3戦目で来日1号となる3ランを放ち勝利に貢献。

6月4日、ロッテ戦の3回裏、ヘルナンデスの安打を皮切りに巨人はセ・リーグタイ記録となる9者連続安打、1イニング12安打を記録。ロッテは山口のせいで歴史的な大敗を喫する。

7月5日、ソフトバンク・野村大樹と西武の育成選手・齋藤大将のトレードが成立。育成選手のトレードは史上初であり、また齋藤はこの時点で既に29歳と決して若手とは言えない年齢であったため、人的補償騒動のお詫び説が上がった。

関連項目


*1 「バタフライエフェクト」とは「北京の蝶の羽ばたきがニューヨークに嵐を起こす」というカオス理論の複雑さを表した比喩に由来する言葉で、一見して関係ない様に見える些細な事柄が最終的に大きな結果をもたらすという例えにも使われる。
*2 同年オフにFA宣言し、ロッテに復帰した。巨人での在籍日数は僅か154日だった。
*3 この年の日本ハムの対西武戦成績は12勝11敗1分、オリックス戦成績は13勝9敗2分けであり、数字だけ見ればCSでオリックスと対戦していればファイナルステージに進めた可能性が高かった。
*4 ただしNPBチームとして初のアジアシリーズ敗退
*5 他にもソフトバンクは日本ハムから近藤健介、横浜DeNAから嶺井博希をそれぞれFAで獲得したほか、阪神からジョー・ガンケル、MLB帰りの有原航平を獲得。
*6 中日は当時不振に陥っていた京田陽太とDeNAの捕手・戸柱恭孝とのトレードを模索していたとの噂があるが、嶺井が移籍した関係で捕手の戸柱ではなく、福敬登の離脱からによる左投手を確保させる観点から実際は砂田毅樹がトレードに出された。ところがその砂田は思うような活躍ができず、中日は新たに日ハムと左腕の斎藤綱記・宇佐見真吾↔山本拓実・郡司裕也のトレードを行った。現在斎藤は中日の貴重な左腕中継ぎ投手としてチームを支えている。なお、DeNAに残留となった戸柱は同球団の主力として活躍。2024年、別のバタフライエフェクトの影響により、7年ぶりに進出した日本シリーズでは戸柱の活躍により、DeNAは26年ぶりの日本一となった。
*7 なお、当の山口本人は初戦第2戦と共に無安打に終わり、第3戦では出場機会すらなかった。
*8 なお、この試合が長くZOZOマリンスタジアムで場内アナウンスを続けてきた谷保恵美氏の最後の試合となり、ロッテは山口のおかげで谷保氏の有終の美を飾ることに成功した。