バイナムエフェクト

Last-modified: 2024-11-12 (火) 15:11:12

元オリックス・バファローズのフレディ・バイナムによる一連の事象のこと。

2010年10月1日の対千葉ロッテマリーンズ戦でエラーをしたことから始まったとされており、「風が吹けば桶屋が儲かる」の野球版。
元となった言葉はカオス理論を説明する際に使われる「バタフライエフェクト」(バタフライ効果)だと思われる*1

解説

この年パ・リーグのレギュラーシーズンは福岡ソフトバンクホークスが優勝、埼玉西武ライオンズの2位が確定しており、クライマックスシリーズ(CS)最後の1枠を巡っては北海道日本ハムファイターズが全日程を終え74勝67敗3分、ロッテが1試合を残し74勝67敗2分と僅差であった。
ロッテは最終戦のオリックス戦に「勝てば日本ハムを上回ってCS出場」という大一番。そしてこの試合でオリックスの遊撃手として出場したのがバイナムであった。

試合は1回表にオリックスが2点を先制。
その裏ロッテは一死1塁から3番・井口資仁が遊ゴロを放つがバイナムは二塁へ悪送球して一死2・3塁となり、その後一気に3得点して逆転に成功、そのままロッテは5-4で勝利し土壇場でCS進出を決めた。

そしてこのバイナムの失策をきっかけに、日本のみならずMLBをも巻き込んで球界は数奇な運命を辿っていくのである。

2010年

CSファーストステージでロッテがレギュラーシーズン2位の西武を2連勝で撃破。
 ↓
ロッテは勢いそのままにCSファイナルステージでレギュラーシーズン優勝のソフトバンクを4勝3敗で返り討ちにして日本シリーズ進出。ソフトバンクは1勝のアドバンテージ、さらに第3戦で先に王手をかけながら3連敗を喫してCS敗退
 ↓
日本シリーズはロッテが中日ドラゴンズを4勝2敗1分で下し、バイナムのおかげで史上初となるレギュラーシーズン3位からの日本一に。
また、第6戦では『バブルへGO!!』事件が発生。
 ↓
ロッテ・西岡剛が「バイナムのおかげで日本一になって一区切りがついた。夢を追いかけたい」とポスティングシステムでのMLB移籍を表明しミネソタ・ツインズへ移籍
一方ロッテに敗れたソフトバンクは横浜ベイスターズからFAの内川聖一を獲得。球界を代表する畜生キャラが誕生する。

2011年

NPB

バイナムのせいで西岡を失ったロッテは前年の日本一から一転して最下位
シーズン途中にはサブローが巨人へ謎の放出、背景には井口さんサイドとの対立も取り沙汰されるなどチームがガタガタになる*2
 ↓
3位オリックスが勝つか引き分け、または4位西武が負ければオリックスのCS出場が決まる10月18日のレギュラーシーズン最終戦。西武は前年のCS進出をバイナムのせいで逃していた日本ハムと対戦。日本ハムはエースのダルビッシュ有の先発が予想されていたが、オリックスに対する昨年の報復と言わんばかりに登板を回避させる
結果西武が日本ハムに勝利、さらにオリックスもソフトバンクに敗れ、勝率にして1毛差で西武がCS出場を決める
 ↓
その後CSファーストステージで、日本ハムは西武にストレート負け*3
 ↓
その西武を破って日本シリーズに駒を進めたソフトバンクは中日を4勝3敗で下して「秋の風物詩の呪い」を払拭させ悲願の日本一*4

MLB

バイナムのおかげでツインズ入りした西岡はMLBの舞台でエラーを連発するなど大不振に陥り、チームも前年の中地区優勝から1年で地区最下位へ転落
 ↓
同年オフはMLBにおける日本人野手の評価が暴落。
 ↓
ポスティングでのMLB移籍を目指した西武・中島裕之はニューヨーク・ヤンキースとの交渉決裂で一転して残留、同じくポスティングのヤクルト・青木宣親はミルウォーキー・ブルワーズに交渉権を安く買い叩かれた上、入団テストを受けさせられる屈辱を味わう

2012年

MLB

西岡のせいで青木の評価は上がらず、ブルワーズは中堅手候補としてナイジャー・モーガンを用意。
 ↓
しかし青木大活躍、モーガンから正中堅手の座を奪い取りスタメン定着。日本人野手の評判が少し回復。
 ↓
昨年西岡のせいでおかえり君』となった中島が今度は海外FA権を行使、オークランド・アスレチックスに移籍。
同時にモーガンはブルワーズから放出される。

2013年

NPB

相変わらずの死刑囚扱いに耐えかねた西岡NPB出戻りを決断
 ↓
阪神が西岡を獲得。
同時にFA移籍した平野恵一の人的補償で、オリックスから高宮和也を獲得。
 ↓
阪神の補強に対抗する横浜DeNAは、外野手の助っ人外国人としてFAになっていたモーガンを獲得。
彼の奮闘もあり、横浜DeNAは2007年以来となる最下位脱出を果たす
阪神も西岡を原動力に2位に。

MLB

中島は活躍どころかメジャー昇格もできずサクラメント中島と化す。

その後

NPB

西岡は翌2014年の大怪我以降パフォーマンスが低下。同年の日本シリーズでは線犯となるなど話題を提供し続け、2018年に戦力外通告を受け退団。

また中島は渡米後に活躍できないまま、2014年オフにオリックスと契約し日本球界に復帰した。

山口航輝エフェクト

2022年10月2日に行われたロッテ対ソフトバンク戦で山口航輝が試合を決める逆転3ランを放ったことから始まったエフェクト。
こちらは「第5回WBCにおける日本優勝」という世界的な出来事にも影響を及ぼしているのが特徴。

2022年

10月2日、ロッテ対ソフトバンク戦にて山口航輝が泉圭輔から試合を決める逆転3ランを放ちソフトバンクが敗北。

同日の楽天戦で勝利したオリックスが最終戦で大逆転優勝

その後ソフトバンクはCSファイナルステージまで進むも首位オリックスに撃破され敗退。オリックスは勢いそのままにヤクルトとの日本シリーズも制し山口のおかげで26年ぶりの日本一を掴む。

2年連続で日本一を逃したソフトバンクは大型補強を敢行。ロッテからロベルト・オスナを獲得*5*6


2023年

ソフトバンクに加入したオスナは当初シーズン前に行われるWBCメキシコ代表への参加意欲を見せていたが、ソフトバンク側が難色を示した結果オスナはメキシコ代表には選ばれなかった

その後開催されたWBCでメキシコ代表は準決勝で日本代表と対戦。9回1点ビハインドの場面でオスナの代わりに守護神を努めたジオバニー・ガジェゴスが炎上。大会中不振に苦しんでいた村上宗隆逆転サヨナラタイムリーを浴び、山口のおかげで日本は決勝に進出。

日本は決勝のアメリカ戦に3-2で勝利し、山口のおかげで14年ぶりに世界一を奪還した。

関連項目

Tag: オリックス ロッテ ソフトバンク 日ハム 西武 阪神 MLB


*1 「バタフライエフェクト」とは「北京の蝶の羽ばたきがニューヨークに嵐を起こす」というカオス理論の複雑さを表した比喩に由来する言葉で、一見して関係ない様に見える些細な事柄が最終的に大きな結果をもたらすという例えにも使われる。
*2 同年オフにFA宣言し、ロッテに復帰した。巨人での在籍日数は僅か154日だった。
*3 この年の日本ハムの対西武戦成績は12勝11敗1分、オリックス戦成績は13勝9敗2分けであり、数字だけ見ればCSでオリックスと対戦していればファイナルステージに進めた可能性が高かった。
*4 ただしNPBチームとして初のアジアシリーズ敗退
*5 他にもソフトバンクは日本ハムから近藤健介、DeNAから嶺井博希をそれぞれFAで獲得したほか、阪神からジョー・ガンケル、元日本ハムでMLB帰りの有原航平を獲得した。
*6 中日は当時不振に陥っていた京田陽太とDeNAの捕手・戸柱恭孝とのトレードを模索していたとの噂があるが、嶺井が移籍した関係で捕手の戸柱ではなく、福敬登の離脱からによる左投手を確保させる観点から実際は砂田毅樹がトレードに出された。ところがその砂田は思うような活躍ができず、中日は新たに日ハムと左腕の斎藤綱記・宇佐見真吾↔山本拓実・郡司裕也のトレードを行った。現在斎藤は中日の貴重な左腕中継ぎ投手としてチームを支えている。なお、DeNAに残留となった戸柱は同球団の主力として活躍。2024年、別のバタフライエフェクトの影響により、7年ぶりに進出した日本シリーズでは戸柱の活躍もあってDeNAは26年ぶりの日本一となった。