Vやねん!

Last-modified: 2021-09-15 (水) 21:52:29

2008年9月3日に日刊スポーツ出版社から発売された阪神タイガースの優勝を祝うはずだった雑誌のタイトルのこと。
正式名称は『08激闘セ・リーグ優勝目前号 Vやねん!タイガース』。

 

なんJや野球chに限らず「縁起モノ」を出すと逆効果な場合も多いが、特にマスコミが強いインパクトを与えたことから現在も逆フラグの代名詞として使われている。


概要

2008年の阪神は春先から好調で、一時は2位と13ゲームもの大差を付けて首位を独走。
このペースなら優勝はまず確実だろうと踏んだ(と思われる)日刊スポーツは『セ・リーグ優勝目前号』と題打ち、特別雑誌の発売準備を進めていた。


Vやねん!発売時の状況

しかし後半戦になると阪神先発陣が疲弊。長いイニングを保たせられず*1、更に好調の新井貴浩が疲労骨折で戦線離脱した影響で春ほど打線が繋がらなくなり徐々に失速。
首位こそキープしていたがマジック点灯→消滅を繰り返し、2位・巨人との直接対決では大きく負け越すなどジワジワとその差を詰められていく。
そして『Vやねん!』発売の時点で2位・巨人とは5ゲーム差、マジック24(既に3度消滅、4度目の点灯)となっていた。*2
既にこの段階でファンからは「(『Vやねん!~』の発売は)見切り発車過ぎたのでは?」と不安視されていたのだが…。

V逸

『Vやねん!』発売以降も巨人は阪神とのゲーム差を縮め、ついに10月3日の東京ヤクルトスワローズ戦で阪神が5点リードをひっくり返されての敗戦*3を喫したことで、巨人は同率首位に並びかける。
一旦阪神は単独首位を奪い返すが勢いの差は歴然。5日後の巨人との直接対決で敗北した*4ことにより、首位陥落と同時に巨人にマジック2が点灯した。
さらに2日後、阪神は横浜ベイスターズ*5で敗れ、ヤクルトに勝った巨人のレギュラーシーズン優勝が確定してしまった*6

この13ゲーム差をひっくり返しての優勝は、最大11.5ゲーム差から逆転優勝の1996年の「メークドラマ」(命名・長嶋茂雄)になぞらえ、「メークレジェンド」と呼ばれて話題となった。これは最大ゲーム差逆転優勝のセ・リーグ新記録である*7
それと同時にひっくり返された阪神は「歴史的V逸」として名を残すことになり、後に残ったのは本商品の存在及び微妙な気まずさだけである。
ちなみに金本知憲はメークドラマの時には広島に、メークレジェンドの時には阪神に在籍しており、双方の被害に遭った唯一の選手である。逆に清水隆行はメークドラマ・メークレジェンドの両方で巨人に在籍しており、双方で逆転優勝を経験した唯一の選手である。


阪神・巨人貯金数推移グラフ


元サイト

クライマックスシリーズ

しかし「メークドラマ」達成時と違い、今のプロ野球にはクライマックスシリーズ(以下CS)があることから、阪神ファンはCSの逆転で日本シリーズ進出に期待を掛けた。

迎えたCSファーストステージは3位・中日ドラゴンズとの対戦で、第3戦までもつれ込み、引き分け以上でファイナルシリーズ進出という所まで近づく。
すると0-0で迎えた9回表、この回から登板した阪神の守護神・藤川球児タイロン・ウッズ痛恨の被弾。これが決勝点となり阪神は第1戦に続いて0-2の完封で敗北、同時にCS敗退が決定
藤川は岡田彰布監督(当時)*8が「絶対の信頼を寄せるストッパー」だったため、シーズン終盤では藤川の酷使*9が目立ち、ここ一番で頼り過ぎた事が大きな仇となった。
そして、

  • 絶対的守護神が打たれて敗北
  • 全く噛み合わない打線
  • 結局V逸
  • MAKE(まけ=負け)レジェンド

とあってこの日の2ちゃんねる実況板、各所のブログや掲示板はお祭り騒ぎだったようで、そして事ある毎に本商品は「ネタ素材」として宣伝・投下され、

  • 何がVやねん!タイガース
  • V逸やねん!タイガース

など一部を改変された画像が出回り、笑いの種とされてしまったのである。

 

なお日刊スポーツ出版社は約1ヶ月後、『原巨人 奇跡の逆転V』をいけしゃあしゃあと出版している。

ちなみにこの「Vやねん!タイガース」は現在入手困難なレア物となっており、通販やオークションではプレミア価格で取引されていることもある。
また過去にも「Vやねん!タイガース」というタイトルの雑誌が発売されている。正式な名称は『永久保存版・阪神優勝記念 Vやねん‼タイガース こんなに打ってこんなに勝った』。発売されたのは阪神が日本シリーズ制覇を果たした1985年であり、こちらはリーグ優勝決定後に発売された。
そして出版したのは2008年と同じく日刊スポーツ社である


V逸とCS敗退の影響

2008年の各ポジションにおけるベストオーダーは以下の通りとなる。

打順名前守備位置満年齢
1赤星憲広中堅手32
2平野恵一二塁手29
3新井貴浩一塁手31
4金本知憲左翼手40
5葛城育郎右翼手31
6鳥谷敬遊撃手27
7矢野輝弘捕手40
8関本賢太郎三塁手30

この年の阪神は新井貴浩や平野恵一の移籍加入によってレギュラー陣が強力だった反面、内部からの新戦力の突き上げには乏しく、ドラフト戦略の不味さもあって予備戦力はゼロに等しかった*10。そのような中で優勝争いを演じたチームであったが、結果は現有戦力の消耗を招いただけに終わった。
翌2009年の真弓明信監督時代以降はチーム力の低下・主力選手の高齢化に直面したため*11戦力の更新が喫緊の課題となる*12。外部からの選手獲得は一定の成功を見たものの生え抜き選手の台頭に乏しく、和田豊監督3年目の2014年になるまでCS突破の壁に跳ね返され続けることとなる。


画像

  • 本家 Vやねん!タイガース2008
  • 元祖 Vやねん!タイガース1985
  • 改変1 何がVやねん!タイガース
  • 改変2 ビリやねん!タイガース
  • おまけ 原巨人 奇跡の逆転V


Vやで!

時は流れ2015年。この年、球団創立80周年を迎えた阪神は後半戦に入って調子を上げ、8月8日に首位へ立つ。多くのファンはこれを喜んだが、同時にこの年のセ・リーグは混戦模様を呈しており「楽観視できない」という意見が大勢を占めた。
しかし前半戦で横浜DeNAベイスターズを特集、見事に失速の立役者と見なされてしまった週刊ベースボールが「10年ぶりの歓喜へ!阪神大特集」「セ界制覇へ突き進め」「Vやで!タイガース」などと題し9月14日号での阪神特集を予告
 
それがまたもや盛大なフラグとなり、その後数日は持ちこたえた阪神だったがヤクルト・巨人の追い上げに遭い首位陥落。さらに黒星を重ねて3位へと順位を落とした挙句、首位争いどころか4位・広島東洋カープ*13とのCS争いをする羽目に。そもそもこの年の阪神は、シーズン途中までチーム成績(主に打率、得点、防御率等)がリーグ最下位で、最終的に3位だっただけでも凄いといえる。
そして9月27日、広島に2-5で敗れ阪神のリーグ優勝は完全消滅、阪神は2008年の二の舞を演じることとなってしまった。案の定である*14*15

  • 派生 Vやで!タイガース

下からVやねん!

Vやねん!から10年後の2018年、今度はサンスポが開幕直前にオールカラー84ページからなる「Vやったるで!!タイガース」を発売したことでシーズン開始前から早くもファンは恐怖する。阪神はオープン戦から慢性的な打撃不振守備難などに苦しみオープン戦をぶっちぎりの最下位で終えファンを心配させる。開幕してからもちぐはぐな戦いぶりを見せ交流戦もこの年絶不調の楽天と紙一重のブービーだったためファンはますます不安を抱きそれが最後の最後に的中することになる。9月後半まで下位4チームによる3位争いに加わるものの、シーズン後半に入り投手陣は先発救援ともに崩壊*16し8月下旬から故障者が大量に続出*17。9月下旬以降は暗黒時代以上に弱いと言われる戦いぶり*18*19で一気に最下位まで転がり落ち10月3日には自力CS進出消滅、同8日にはそのまま最下位が確定。一時期最下位を独走していた中日との10.0ゲーム差をひっくり返しての奇跡的な最下位に「下からVやねん!*20と呼ばれ盛大にネタにされた。金本監督は3年間で最強の布陣と言っていたが、「下から最強、二軍が最強*21、打てなさ最強」と揶揄された。

あかん優勝してまう

2021年の阪神は開幕から好調で首位を堅持。交流戦を11勝7敗で勝ち越すも、リーグ再開時は投打共に失速気味であった。そんな中、6月20日の阪神-巨人戦(甲子園)の試合前にABCテレビが「虎バンスペシャル#あかん阪神優勝してまう」を放映。
それ以降の阪神は甲子園で6年ぶりにDeNAに三タテをくらうなど、放送された20日から翌週の27日までに2勝5敗。一方で2位の巨人は同じ期間で6戦全勝*22。最大8あったゲーム差が1.5まで縮まり、何かを思い出したファンが多数いた模様*23

それでも何とか首位陥落の危機を14度も乗りきってきた阪神だが8月後半になると佐藤輝明を始めとした主力選手の不振が重なり、迎えた8月29日、デーゲームで巨人とヤクルトがそれぞれ勝利し、残るナイターの対広島戦(マツダ)で阪神が3タテをくらったことにより、約5ヶ月守り続けた首位から遂に陥落。さらに勝率の関係で一気に3位にまで降格*24。巨人が1位、ヤクルトが2位に立った。しかしながら中日戦を挟んでの巨人との直接対決を2勝1分の好成績で乗り切り首位を奪還した

余談:1999年版「下からVやねん!」

実は1999年阪神の転落ぶりの方が2018年よりも激しい。この年から野村克也監督に率いられた阪神は開幕から好調を堅持し6月には中日と同率ながら1992年以来2209日ぶりの首位となり7年ぶりのAクラスあわよくば14年ぶりの優勝をファンから期待された。しかし、その後は好調の反動と選手層の薄さを露呈し負けに負けまくり*25、7月にはオールスターを挟んで9連敗を喫しあっという間に5位転落。さらに9月には球団タイ記録の12連敗を喫し一気に最下位に転落、最終的には借金25でシーズンを終え6月には同率首位だった中日*26から26ゲーム差も付けられた。また5月終了時点で阪神と5ゲーム差の最下位に沈んでいた横浜(3位)には全く歯が立たず最終的には11ゲーム差を付けられ、開幕から低調だった5位広島にさえも2ゲーム差を付けられてしまうという有り様だった。しかし、これでも借金31だった前年よりはマシである。
更に余談であるが、首位転落1週間前の6月12日と12連敗直前の9月10日の試合後のヒーローインタビューにて新庄剛志が「明日も勝つ!」と発言しており、そのことが「お立ち台での『明日も勝つ』は禁句」と認識されるきっかけとなった。

関連項目


*1 一応、下柳剛安藤優也と岩田稔が規定投球回到達し2桁勝利を達成しているので、前年よりはマシのレベルではある。
*2 9月5日には2リーグ制後初となる4度目のマジック消滅。最終的に7回のマジック点灯と消滅を繰り返した。
*3 磐石を誇っていた所謂JFK及びスコット・アッチソンが7、8回で計7失点の大炎上。
*4 試合は巨人が4回に李承燁の2点タイムリーで先制し、巨人の先発内海哲也-山口鉄也-豊田清-マーク・クルーンの継投で阪神を押し出し四球の1点に抑えた。
*5 余談だが、この年横浜から3タテを食らったのは阪神だけである。
*6 とはいえこの年の巨人は阪神とは逆に前半戦までは2005年や2012年、それに2017年の時程ではないにしろ不調で、特にオープン戦では「下からVやねん!」という有様だった。
*7 日本記録は1963年の南海ホークスが西鉄ライオンズ(いずれも当時)の逆転優勝を許した14.5ゲーム差。いずれも関西(当時南海は大阪が本拠地)球団が敗れたところが共通している。
*8 10月12日にV逸の責任を取り辞任することを表明していた。また、「Vやねん!」の存在は2021年に週刊ポストの取材を受けるまで全く知らなかったという。
*9 同点やセーブが付かない場面、8回からのイニング跨ぎ、さらにCS第2戦でも4点リードでの登板など。
*10 実際、新井が離脱した後は高橋光信がカバーしていたが得点力が激減している。また、前年に躍進した林威助と桜井広大が怪我などで振るわなかったことも影響した。
*11 上記のベストオーダーの場合だと、平均年齢は32.5歳となる。
*12 結局この課題は2019年まで解消できなかった。2020年以降はある程度改善されたが、真弓・和田監督時代において生え抜きスタメンの台頭に乏しかったことは、金本・矢野監督時代になって年齢層の偏り、特に中堅層の人材不足となってチームを苦しめることとなる。
*13 その広島も甲子園での田中広輔の幻のホームランもあり、3位阪神と0.5ゲーム差でCS進出を逃している。
*14 混戦の中での見切り発車過ぎる特集で、阪神の失速を見越した週刊ベースボール編集部が「Vやねん!」を念頭に半ばネタ的に作ったものとも囁かれている。そのせいか、謳い文句も「Vやねん!」と比べ控え目になっている。
*15 この年優勝したのはヤクルト。なお阪神は目の前で胴上げをされた。
*16 後半戦の救援陣防御率は「竜の死体」を抱える中日や「新生俺達」が大暴れしていた西武よりもさらに悪かった。
*17 この時離脱したのはメッセンジャー・秋山・糸井・陽川・北條・高橋遥・藤川・原口ら。
*18 9月25日時点で10月9日巨人戦までに9勝5敗すれば3位の可能性があったが、結果は最下位確定の8日までに2勝9敗2中止と言う惨状であった。
*19 少しフォローをすると2018年シーズンは悪天候や自然災害が多く、そのせいで多くの試合が中止になった。その代替試合が9月に一気に組まれたことにより凄まじい過密日程が発生。その中で選手が疲弊したせいでここまでの惨状になったという見方も強い。その点においては金本は不運だったと言える反面、無謀な采配さえなければ中日の惨状もあり大失速しても最下位はなかったという声もある。
*20 広島のマジック対象チームはAクラスに居たころの阪神であり、5位の中日は開幕からずっと低空飛行のままだったことを考えれば阪神が最下位でシーズンを終えること自体が逆ミラクルであり金本のクビが飛ぶのも残当といえる。
*21 阪神二軍はこの年優勝したことから。
*22 最終的に19日から29日まで8連勝。なお阪神と比べ1試合少ないのは、24日が移動日だったため。
*23 この事から阪神の最大の敵は巨人ではなく(一部の過激な)ファン、タニマチ、関西メディアと称された。
*24 55勝41敗3分 勝率.5729
*25 近年では2020年ヤクルトがこれに近い。
*26 山崎武司から逆転サヨナラ「Xムラン」を食らったのもこの時期である。