新世界樹の迷宮発表

Last-modified: 2015-05-18 (月) 22:37:38

発表当初

世界樹の迷宮(以下初代と記載)は2007年1月18日に発売されたダンジョン探索型RPGである。
初代世界樹の迷宮はシンプルなシステムながらも難易度の高いバランス、
固定キャラクターものの多いゲーム業界に反逆するように汎用キャラクターに名前をつけるという少し懐かしいシステム、
そしてその中世ファンタジー然とした世界観を揺るがす驚愕の展開などが大変好評であり、以降シリーズ作としての地位を獲得した。
そしていよいよ発売から6年後の2013年4月頃、これのリメイクとなる作品を匂わせるティザーサイトがオープンされる。
 
ナンバリングを重ねるごとに徐々に向上してきたUIで初代をプレイできる、初代本来のストーリーを愛着のあった汎用キャラで再び冒険が出来るに違いない、
また初代を未プレイの別ナンバリングファンにとっても、初代をプレイできる良い機会である…等々、リメイクの報に心躍らせたユーザーも多かった。
 
…そしてしばらく後「新・世界樹の迷宮~ミレニアムの少女~」が発表された。
今までの世界樹シリーズにない固定キャラクターによるストーリーを何故か初代世界樹の迷宮の舞台で展開する(しかもタイトル、序盤の描写で色々ネタバレしている)
という、思い出ブレイカーにも程があるリメイクの発表に、一部のユーザーは困惑した。
公式サイドからは「新規ユーザーの取り入れ」という目的を掲げていたが、
初代のファン、ならびにナンバリングのファンをあまりにも無視したようなコンセプトに疑念の声が上がって行く事となる。
 

シリーズコンセプトの無視

発表直後から最も多く意見が出た問題点は「初代から受け継がれてきたシリーズコンセプトの無視」が挙げられる。
世界樹の迷宮シリーズには、1つの職業に4種用意されたキャラクターグラフィックを選択し、
自由に名前をつけるタイプのキャラメイク要素がある。
自由な職業選択でPTを組め、想像力をかきたてられる簡素なストーリーによって、
より自分のキャラクターに思い入れがしやすくなる要素として好評だった。
初代から歴代ナンバリングのファンには自分のキャラクターに愛着を持っていたり、少ない情報から考察し想像した世界観を大切にしている者も多かった。
 
ところが新世界樹の迷宮では、こういった「あえてそぎ落とした」要素を後から付け加えるように、
固定キャラによる固定ストーリー要素を追加することになる。
他にも「イラストは可愛い系だが内容は硬派」と好評だった世界樹シリーズの様々なコンセプトが新世界樹では消されてしまっている事が前情報の時点から発覚しており、
しかもそれを行う土壌をあえて初代の世界樹の迷宮で行っている点には発表当初から疑惑の声が多かった。
 
初代ディレクター新納一哉氏のインタビュー

コンセプトは根が深いんですけども、まず第一に、わかりやすいものを作りたいという気持ちがありました。

ニンテンドーDSになって、ある程度まで余計な、瑣末なことを入れなくても許されるという環境になってきたので、

ムービーやお話、イベントというものを、けっこうバリバリ削って、"下まで潜っていくことが目的である"ということをユーザーさんにわかってもらう。

さらにそのあとに、こちらで障害を用意して、プレイヤーを下に行かせないためのギミックを練る。

つまりユーザーさんは、それをクリアーして"下に潜っていけばいい"ということだけを考えていればゲームが成立するというものにしたいんです。
http://www.famitsu.com/interview/article/2006/06/23/668,1151049392,55508,0,0.html


 
新・世界樹の迷宮ブログ 小森D第一回目ブログ

自分自身が世界樹というタイトルを好きだからです。

この好きなタイトルを今後も発展させていきたい、もっと大勢の皆様に手にとって遊んでもらいたいと考えたときに間口を広げる必要があると思ったのです。

ですから、ナンバリングタイトルではなく新しいタイトルをつけて「コアなユーザーが」楽しめるゲームから「コアなユーザーもライトなユーザーも」楽しめるゲームを目指すことにしました。

キャラクターを固定し声優さんを起用したのもその為です。

演出面、シナリオ面を強化することで、これまで興味を持たなかった方々が世界樹というタイトルに目を向けてくれたら...、という想いからです。
http://blog.atlusnet.jp/ssq/2013/04/post-3.html

そして発売後、蓋をあけてみればウリにしていたはずのストーリーそのものの出来が微妙、
かつ初代の冒険者の行動を鼻で笑うような強引なストーリー展開、追加されたシステムの調整不足や滅茶苦茶な戦闘バランスに、初代のファンからは失望したとの声が上がる事になった。
 

発売までの背景

当時世界樹シリーズの制作に携わるアトラスは株式会社インデックスの一部門となっていた。
しかし株式会社インデックスの経営はゲーム部門以外思わしくなく、発表された頃は世界樹シリーズをはじめとしたアトラス製ゲームの発売すら危ぶまれていた時期であった。
新世界樹の続報が発表される中、株式会社インデックスに関しても粉飾決算疑惑などで徐々に雲行きが怪しくなっていき、
「世界樹シリーズどころかアトラス作品がこれで最後になる可能性があるのでは」という意見も多く散見された。
それゆえに、多くの者がシリーズ・メーカー存亡の危機にすがるような思いで新世界樹という見え透いた地雷を購入してしまったと予想される。
 
…その後新世界樹の発売日に株式会社インデックスは倒産、
その後アトラスはゲーム事業を別の会社から無事に支援を受けて持続することが決定するのだが、それは新1発売から暫くしての話になる。
 

体験版の配信

新世界樹の迷宮発売一週間ほど前、迷宮を2F分+追加ダンジョンの一部を探索出来る体験版が公開される。
しかしその体験版で選択できるモードはストーリーのみとなっていた。
そのあまりの見え透いた地雷っぷりに賢明な者は購入を控え難を逃れたものもいたが、前述の倒産騒動の中多少は目を瞑るスタンスの者も多かった。
また序盤のさわり部分である為、問題点として後ほど挙げられる部分も多くが隠れたままであり、体験版の時点で既に微妙とされる部分やバグも、
製品版では改善されるのではといった希望的憶測も飛び交った。(しかし結局は裏切られることになったのだが)

・OPアニメ「ハイランダー殿どうぞ」「冒険者は並べ」
・「体験版ではクラシックモードはありません」
・B1でレンツスとお絵描きお散歩、アゲハ一刀両断「流石ハイランダー」
・早速ネタバレ満載のグラズヘイムと頭痛持ち小娘、そして名前しか出てこない図書館
・プレイヤーより先に抜け道を発見するパートボイス
・「これはグリモアといって」剣装備やわらかメディの語る謎の石ころ
・もやもやしてないカマキリ「ギャア」 → ここからは本編でお楽しみください


と、不安要素しかなかったんだよね…。本編はもうちょい面白いはずだと思ったのが愚かだった
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/handygrpg/1411835962/985
 

発売日イベントと発売後の動き

倒産騒動であわただしい中発売された新世界樹だったが、発売日には東京での限定小冊子配布イベントなどもささやかに行われた。
ところが小冊子の数量があまりにも少なかったのか転売厨が多かったのか、午前10時ごろから始まり終了を夜と予定していたイベントは開始から2,3時間のうちに配布終了となる。会社員涙目である。
(なおこの小冊子は発売から1年後に一週間のみネット上でpdf配布された。)
 
やがて発売から一~二週間ほどで攻略が進み様々な問題点(特にクラシックモードのやりこみ関連の不遇っぷり)が発覚、
「ゲームそのものが楽しければ様々な要素に目をつぶれるがこれでは…」という意見が出始める。
また、発売前にはストーリーのみが搭載された体験版も配信され、体験版の時点でも既にグリモア関連でいくつかのバグが報告されていたが、
案の定多くのバグが治っておらず、本編での作りの粗い内容も徐々に浮きぼりになって行き、本格的な葬式がスタートするのであった。
 
やがてゲームカタログなどでのレビューでも評価や賛否両論を巡って、何が何でも擁護する信者とアンチ(含葬式スレ民)の間での論争が激化していき、
「悪い点もあるがキャラは気に入っている」「ストーリーはまぁまぁ楽しめたが問題点はある事にはある」などといった中立の立場(というかまともに公平な評価をしようとする人間)の肩身を狭くさせる事になった。
 
しかしながら、制作会社の倒産の危機など新1が発売された背景も慮り、
「キャラメイクもののシリーズで確実に賛否両論になると分かっていたが、キャラクターものを一応やってみる事でデータを取ってみたのだろう」という憶測から、
新世界樹1は試験作的なものだったとしてそれなりに寛容な意見を持つユーザーも新2発表前までは多く、表立って批判する声を窘める者も多かった。
ところがそういったファン間の亀裂は発売から1年後の新2発表、また小森Dの問題発言等によって徹底的に深まっていく事となる。