推薦図書/性・性愛・聖婚関連/その他/た行

Last-modified: 2024-03-17 (日) 08:46:20
  • アリュージョニスト以外のネタバレに注意
  • サイバーカラテを実践しよう (知ってる作品があったら、説明を追記しよう)
  • 最下部のコメントボックスで作品紹介を書き込むと、誰かが追加してくれるかもしれません
  • 多分図書じゃなくてもいいと思うよ
  • 参照と類似は呪力です。高めよう。
  • ほんの少しでも推薦図書に見えたのならそれが推薦図書です(邪視)。追加しましょう。五十音順に並んでいます。
  • 編集カラテ入門
    • 発勁用意! 次の2行をコピペして、自分の文章で書き換えます。ここは、Webブラウザ以外のアプリでやるのがオススメ。

      ** タイトル

      -説明1

  • NOKOTTA! 文章が出来たら、Webブラウザに戻り、画面の一番上の「編集」を押します。
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  • COMBO! 「プレビュー」を押して、うまくいってるか確認します。まだこの段階では、誰にも見られません。
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性・性愛・聖婚関連/その他

対等な夫婦は幸せか 編:永井暁子 松平茂樹

  • さまざまな学問の研究者が、共働きの夫婦について研究した論をまとめた学術書(刊行2007年)
    • [双書ジェンダー分析] シリーズの13巻目
  • 「東京大学社会科学研究所付属日本社会研究情報センター」が毎年行っている研究会の成果の一部が、元になっている
  • さまざまな重要な指摘がなされており、
  • 「対等な夫婦関係はゴールではない」「夫婦の理想とする就業形態も、ライフステージと共に変化していく可能性がある」
  • 「何を対等とするかは、個人で異なる」「実態としては、対等そのものが目的ではない」といった共働き全体をめぐるものに加え、
  • 「出産後、親へ移行する際に、伝統的な夫婦のほうが役割分担で葛藤しにくい」
    • 「性別役割分業に否定的な妻でも、夫と同等以上の収入を得ている罪悪感や家族の結びつきへの責任感、夫との軋轢の回避などから、より多くの家事・育児を分担することが珍しくない」
    • といった共働きでは解消できないマイナス面も、きちんと分析されている
  • しかし同時に、性別役割分業が困難であることも記述されているし、男性に「関係中心の人」となりうる選択肢を用意することで、
    • 男女それぞれ、夫婦の戦略も広がりうることが推測されている
  • 最後に編纂者はまとめとして、夫婦が対等を目指すプロセス自体にこそ夫婦や家族は安定性を見出すことが出来るとしており、
    • それは、家族の愛情機能を夫婦が揃って目指すことであり、
    • それを実現させるために、男性を含めた働き方の自由度を増すような社会基盤の形成が、社会に求められているとしているのである
  • ただ、そもそも「幸福とはなにか」といった哲学や幸福論の範囲にまでは、踏み込めていないのは少し残念なところかもしれない
    • とはいえもともとは、共働きについて論じられたものなのだから、そこまで期待するのは過剰過ぎる話ではあるが
      電子化×

大ヒット『鬼滅の刃』の隠れた凄まじさ 「男らしさの描き方」の新しさに注目せよ 河野 真太郎

  • 「男らしさ」の描き方に着目した鬼滅分析記事
  • 助力者男性という系譜を利用することによる別の新たな「男らしさ」を表現するということが、そこでは行われている
  • だがここに、ひとつの問題がある。
    • フェミニズムに応答する、いわば意識の高い助力者男性というのは、現実においてはミドルクラス的でリベラルな男性性だということだ。
    • いわばそこには「勝ち組男性のフェミニズム」がある
    • だがこのことは、当の「勝ち組」にも苦難をもたらすし、「男性性を見つめ直す」ということ全体にも苦難をもたらす。
    • というのは、現在男性性をうまく「見つめ直す」ことができるのがリベラルなミドルクラス男性であるとして、彼らは同時に現在の超個人主義的な新自由主義社会の勝ち組なのであり、
    • 男性性をうまく見つめ直せることはあくまで個人的で特権的な能力において行われるからだ。
    • 男性性を個人で孤独に見つめ直さねばならない、そしてそれができないことは、「負け組」への転落を意味しうるという苦難。
    • そこには集団的(社会的)に男性性の問題を解決するという回路は存在しない。
  • 最後に示唆したいのは、『鬼滅の刃』が良くも悪くもなんらかの集団性を志向するとして、それはそのような男性性をめぐる個人主義のジレンマを乗り越えるためなのであり、その点でこの作品は「新しい」ということだ。
    • 少なくともこの作品の男性性や家父長制に見えるものへの志向は、これだけの複雑な媒介を経て生み出されている。
    • 子供たちがこの作品に惹かれる理由にも同等の複雑さがあると考えるべきだろう。
      HUFFPOST記事リンク

誰も教えてくれない大人の性の作法(メソッド) 坂爪真吾 藤見理沙

  • 現代ではまだ珍しい「パートナーを持たない」「非正規」「未妊」の方へ向けた話もある、大人のための性の本
  • 男性側と女性側、それぞれの視点から書かれた章もあり、真摯にリアルな性の問題へ向き合おうとしている
  • 制約こそが自由を担保するのであれば、私たちが性的に自由になるためには、性に関する作法(メソッド)を獲得する必要がある
    →グレンデルヒ、イアテム、ミヒトネッセ的なヒトやその邪視に負けないために必要な知識

男子のための恋愛検定 伏見憲明

  • 恋愛至上主義を否定しながらも、恋愛の価値を認め、すてきな恋愛をするための「恋愛力」や「恋愛資源」を蓄えることを勧める中学生以上向けの恋愛指南書
  • 恋愛に夢中になるには、生活に余裕がなければならないので、基本的に近代まで恋愛は上流階級のものだった
  • 「恋愛」はつい最近ブームになっただけで、ぼくらはいまその流れに身を置いているに過ぎない
    • 近代という時代の前までは、「恋」よりも神様や殿様のほうがみんなの関心の対象だった
  • 「恋」を極端に避けるのも、それはそれで問題
    • 人間修業の場としての「恋愛」に代わるものはなかなかない
    • 「恋愛」でもしないかぎり、自分という枠組みが揺るがされるような心の経験はあまりできないし、自身を外側から眺めざるをえない場面も与えられないだろう
    • 「恋愛」によって、人は心のの容量を増やすことが出来るから、無理にする必要はないけど、ひとつやふたつしておいても損はない
  • 「恋愛」は面倒な経験であると同時に、原理が単純なゲーム
    • ゲームの原理は、たがいの「恋愛資源」をめぐる欲望
    • 外見、コミュ力、学歴、お金や地位も「恋愛資源」となる
    • どこででも通用する恋愛資源があるわけでもなく、また誰にでも有効な「恋愛資源」があるわけでもない
    • 「恋愛」の相手を選ぶ時には、人はさまざまな面を総合して結論づけている
    • 「思いの純粋さだけを基準にしているのが正しくて、その他のことを考慮するのが打算だ」と非難するのは、人間というものを単純にとらえすぎているだろう
    • そもそも「恋心」自体、さまざまな「資源」によって複合的に作られる「イメージ」への「ときめき」や「好感」なのだから
  • 「恋」はしょせん、自分の欲望なのだ
    • 「恋」する思いには、そもそも純粋と不純はない
    • どの「資源」によって「恋心」が刺激され、思いが膨張していくのかはケースバイケースであり、それらの「資源」の間に優劣をつけるのはナンセンスである
  • 「恋愛力」というのがもしあるとしたら、それは「人間力」そのものなのだ
    • キミが「恋愛」に強くなろうとするのなら、「恋愛」以外の実力をつけることが早道なのである

男性のジェンダー形成 〈男らしさ〉の揺らぎのなかで 多賀太

  • 「ジェンダーの可変性」と「男性のジェンダー形成」に焦点を当てた研究の本
  • 専門書なので少し読みづらいが、さまざまなライフコースをたどってきた男性たちへの聞き取りをとおして男性内の多様性や男性の被抑圧性を描いているだけでなく、こうした視座からの研究の限界や既存研究との相補性もしっかりと考察している名著である
  • 従来の「性役割の社会科理論」は、ジェンダー秩序を可変的なものとしながらも、社会を不変で静態的なものとみなしやすく、また「生物学的な意味での〈オトコ〉が社会的に規定された〈男性〉となっていく過程」にもほとんど焦点を当てることはなかった
    • この本は、その点を補わんとするものである
    • 具体的には、性差別主義と反省差別主義が併存しそれらの勢力バランスが変化する「多元的変動社会」におけるジェンダー形成を想定し、ジェンダー形成過程の説明においても、これまで出会ってきた他者によって媒介されてきた規範を個人がいかに解釈してきたのか、によって説明するという、生活史的アプローチを採用している

痴漢外来 原田隆行

  • 依存症を専門とする心理学者が、痴漢犯罪者の治療に取り組んできた経験をもとにして書いた新書
  • 筆者は、性犯罪への対処には、処罰だけでなく「治療」も必要であり、その二つをセットで行わなければらない、と主張している
    • (処罰は処罰として行うべきだが)実効性がある痴漢犯罪対策のためにも、税金浪費の削減のためにも、治療は唯一の選択肢なのだ
  • 自ら積極的に治療に臨む性犯罪者たちの回復エピソードだけでなく、実際に、治療が再犯率を大幅に減少させているという先行研究もきちんと紹介されている
  • 豊富なデータ支えられた専門書に近い記述に加え、小説のように情感豊かなエピソードや被害者が抵抗できない理由にまで、しっかり触れられている名著である
  • 全ての痴漢が依存症だというわけではないが、継続して繰り返されるケースは、ほぼ間違いなく依存症である
    • 最初は性的な興味・関心から始められた犯行も、最後にはストレスや孤独の解消や自尊心の回復のための手段となり、最後には自らが苦痛を感じても止めることが出来なくなってしまうこともある
    • 依存症は、意志の力だけでは決して解決出来ないのだ
  • 治療の基本は、問題行動を防ぐ対処スキル(コーピング)の習得、そして認知行動療法と薬物療法(対症療法)のようだ
  • 文通による「弁証法的行動療法」
    • われわれは、まず自分の感情を正確に理解していないことが多い
    • 自分の怒りを受け止めて、自身を冷静に観察すると、怒り以外に感じている多くのことに気づくことが出来るのだ
  • 本書では触れられているだけだが、本人の内側から「変わりたい」というモチベーションを引き出す「動機づけ面接」というものもあるらしい
  • また、筆者は、エビデンスを重視した治療の必要性を呼びかけており、科学的に証明できないフロイトの精神分析などを否定してもいる
  • 他にも依存症の類例として、ドラッグと結びついてしまったセックスを捨ててパートナーとの暮らしを選んだゲイや、実父からの性暴力被害が原因でセックス依存症となり、今も見失った「愛」を学んでいる女性の例も載せられている
    電子化◯

痴漢とはなにか 牧野雅子

  • 痴漢についての書籍や雑誌の内容をまとめている本
  • 膨大な内容をしっかりまとめているうえに、元警察官である著者の経歴を活かした独自の調査内容も含まれる
  • それに加え、巻末には痴漢被害者としての著者の体験談も載せられており、痴漢について考察するには欠かせない内容となっている
  • 雑誌内容の時代による変遷の分析、実際に行われている痴漢抑止の取り組み、冤罪の実態
  • 更には、男性の痴漢被害者の存在が無視されていることや、実際に冤罪や詐欺もあることにももしっかり触れているのは、実に素晴らしい
  • また、痴漢被害者が、なぜスムーズに痴漢を告発できないか、そしてなぜなかなか痴漢加害者が逮捕されないかを、しっかり明記してあるし、
  • 警察の非情で不正義なシステム、メディアや男性社会文化の悪意と無責任もしっかり批判している
  • 夏になって薄着が増えても、逆に痴漢は減る(学生が電車に乗らなくなるため?)ことや、痴漢で捕まっても無罪になった例が多いことなど、
    • 俗説を検証しているのも良い
  • ただ、資料としてはともかく、ノンフィクションとしては欠点が目立つのが惜しいところ
    • まず、資料の扱いが不十分である
      • 大量に引用された男性誌の痴漢肯定記事は、あまりに下品かつ傲慢で、読み進めるのが難しい
      • 引用するにしても、ここまで大量に乗せる必然性は本当にあったのだろうか?
      • それに、雑誌は内容だけでなく、それが「どう読まれていたのか」こそが重要なはずである
      • それがただの悪質な冗談や覗き見趣味に過ぎなかったのか、それとも真剣に加害の参考書として用いられていたのかは、(難しいにしても)きちんと調査するべきだっただろう
    • 次に、タイトルの疑問をきちんと追求していないことにも不満が残る
      • この本には、内容に学術的な裏付けがほとんど無く、インタビューや実地調査に至っては皆無である
      • 本当に問題を追求したいのなら、加害者への聞き取りは不可欠であろうに、そもそもそれを考えつきもしていなさそうな点は不備として否定しきれない
      • (過去の被害経験から)筆者自身がそれを行うことは難しいにしても、専門家に依頼するなど調査する代替手段はいくらでもあったはずだ
    • そして最大の問題が、男性社会文化だけに責任を負わせる、著者のジェンダー・イデオロギーに偏った視座である
      • 筆者は、「強姦神話」として「痴漢が男性の本能である性欲によって起こり、したがって男性はみな痴漢の動機を有している」という「本能が悪い」説は、誤った認識だと言うが、
      • 全ては「男性文化のせい」であるとしたうえで、それが正しいか検証を行わない「文化が全部悪い」説という、筆者自身のスタンスも、実質的にそうした「神話」と大差がないのだ
      • それは確かに、男性向け雑誌記事には痴漢を扇動し援助さえするような邪悪な記事も多かったことは、資料からよく分かる
      • しかし、それも時代とともに改善され、やがて痴漢冤罪記事に取って代わられているのも、また資料から読み取れる事実なのだ
      • 確かに、メディアの責任は否定できないだろう
      • けれど、そのメディアでさえ、時代とともにより女性に親和的に変化しているのだ
      • 「邪悪な文化」が全ての元凶ならば、この変化は一体どう説明するべきなのだろうか?
  • ただ、そうした筆者の「男女善悪二元論」にも、感情的には弁護の余地はある
    • かつて筆者は、たまたま居合わせた上司や親の助力によって、痴漢を捕まえた
    • しかし、それは「勇敢で強い(そして恐ろしい)婦警」として周囲から讃えられ、そうとしか観られないような状況を生んでしまった
    • 著者は、ただ自分の恐怖や苦しみに共感し、理解してもらいたかっただけだったのに、周囲の願望や世界観はそれを拒絶したのだ
    • そんな周囲の反応の中で、最も筆者が恐れたのが周囲の女性の声、男性からの伝聞で知った「筆者が痴漢騒ぎで調子に乗っている」という悪評だった
    • そうした穿った見方は、男女に関わらず誰でも持ちうるもの
    • だがそれは、痴漢騒ぎで心が弱っていた筆者には、到底受け入れることが出来ないものであった
    • 一番共感してくれるはずの女性には、そんなことを絶対に言ってほしくない、言うはずがないに違いない
    • 著者は、その悪評が嘘だと決めつけ、「女性は絶対的な味方であり、自分に共感と理解を示してくれる善である」という善悪二元論の世界観に逃げ込むしか無かったのだ
    • それがおそらく、筆者の世界観と不十分な調査・考察スタイルの原因なのだろう
  • 最後に、この本が社会を改善するためのメッセージに成り得ていないのは、残念なところである
    • 著者は、痴漢抑止のための社会変革をしっかりと呼びかけることが出来てはいない
    • 警察出身者であり、さらに被害経験を持つ著者であれば、警察、ひいては行政・立法府に対して、本格的な改善を呼びかけられたはずである
    • 痴漢抑止のため、具体的にどういった法律や取り組みが必要なのか、どこにどう責任を問い、どう働きかければ社会を変えていけるのか
      • 筆者ならば、その明確な筋道を見出すか、あるいはせめてそのヒントだけでも示唆することは可能だったはずだ
    • けれど、残念ながらこの本では、そうした試みはあまりみられない
      • それはおそらく、上記の通り筆者が「全ては男性社会の邪悪な文化が悪い」と考えていることに起因するのだろう
      • 男性社会という、責任者不在の曖昧な存在を犯人にしてしまっては、どんな働きかけも無意味である
    • そのため、この本には散発的な批判に終始し、ほとんど井戸端の愚痴やそれこそ雑誌記事のような内容にとどまっている
    • 実は筆者はすでにそうした挑戦に挫折してしまった後なのかもしれない
    • だが、それでもこうして本を出すなら、ぜひともそうした呼びかけをしてほしかったところである
      電子化◯

毒婦の誕生 悪い女と性欲の由来 朝倉喬司

  • 明治十年代にノンフィクションの小説などで流行った「毒婦」という概念の話
  • ドラマティックな個々のエピソードを詳しく追求している
  • 「毒婦」が強い性欲と結び付けられたことは、自意識を確立する過程でネガティブな面を切断処理したがった「日本の思春期」として解釈されている
    • 思春期の少年が、己にとって最も身近な家族から「「違和的なるもの」を発見しそれとの葛藤を経て成長するように、日本は「賊」としての「毒婦」を発見したのだ
  • 西洋における「邪悪な女性像」を研究している本としては、『〈悪女〉の文化誌』などがある
    電子化×