艦これ 二次創作小説「十六夜の空」

Last-modified: 2015-01-22 (木) 13:01:56

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小説「十六夜の空」第一話

20XX年世界は海底より突如現れた謎の怪物群(人類側呼称:深海棲艦)の攻撃によりなすすべもなく各国の海軍は消滅

かつての大国アメリカやロシアも例外ではなく制海権を奪われ各国は孤立していく

怪物群は大きさもさることながら数で圧倒しており海軍が消滅した各国では太刀打ちできるわけでもなく離島のあちこちに怪物群の橋頭堡が築かれ更に孤立していく

しかし人類側もこの事態を指を咥えて見ていた訳ではなく、事態を憂慮したした一部の科学者達は怪物群に対抗すべく方法を模索しはじめた

そんな時一人の科学者が怪物群の組織サンプルとかつての軍艦の遺物を触媒に遺伝子工学を駆使して人間でありながら軍艦と同等の力を持つ艦娘と呼ばれる兵器を作り上げたのだった

はじめのうちは非人道的である非難されたが、その成果は目覚しいものがあり瞬く間に本土近海の制海権を奪取

細々ながらシーレーンが確保されるようになると世論が傾き次々と艦娘達が実戦投入されるようになる

増加していく艦娘達の処遇を考えあぐねた日本国は艦娘達を組織的に運用するべく鎮守府と呼ばれる拠点と絶対的指揮権を持つ司令官(提督)を編成

更なる反攻作戦の足がかりとすべく行動を開始した

人類の反抗は始まったばかりである

20XX年某月1日

「新型駆逐艦ですか?」

初老の男の脇に控える女性が男性に疑問を投げかける

彼女は艦娘で空母型の翔鶴、この鎮守府の秘書艦を勤めている、初老の男はこの鎮守府の司令官で提督

「ああそうだ、近々行われる反攻作戦に対し敵制空権内を強攻突破できるよう作られた駆逐艦だ」

「ですが何故このタイミングで?」

「MI作戦が発動された・・・・」

MI島、東方海域における深海棲艦の一大拠点で前線大規模泊地でもある

かつて数十年前にミッドウェー海戦と呼ばれる海戦により太平洋戦争の趨勢を決めるターニングポイントでもあった

その意味でも乾坤一擲是非この要所であるMI島を押さえたいというのが上の狙いだという事である

それを聞いた翔鶴はかつての記憶かはたまたデジャブなのか脳裏にあの光景がよぎる

国内では勝った勝ったと大騒ぎの中、帰ってこない1航戦と2航戦の先輩達

結果は赤城、加賀、飛龍、蒼龍を失う大敗

その後は坂道を転がり落ちるかのような負け戦

そして最後は運命のマリアナ沖海戦で・・・・

「しかし!!急すぎます!敵大規模拠点の制圧なんて!」

普段上げたことのない大声を上げた翔鶴に驚きつつも諭すようにつぶやく

「上からの命令だ・・・上は何もわかっちゃおらん・・・敵に対する反攻拠点が出来た途端神にでもなったかのように何でも出来ると思っておる・・・」

「しかし!!」

「判ってくれ・・・絶対的権限があるとは言えそれは指揮権のみ・・・上の命令には逆らえん・・・わしが反対しても上は首をすげ替えてでもこの作戦を遂行するじゃろ」

翔鶴はそれを聞いて唇をかみ締めながら

「わかりました、提督がそこまで覚悟の上なら私は何も申しません」

「判ってくれ・・・わしも孫くらいのおぬしらを死地に追いやって辛いんじゃ・・・」

「提督・・・・」

「わしはな、せめておぬしらが笑顔で帰って来れる様精一杯指揮するだけじゃ」

そう言った提督の顔は窺い知れないが何かを達観したような悟ったような複雑な表情をしていた

「それでその新型駆逐艦は何時こちらに来るのです?」

「数日のうちにはこちらに来る事になっておる。そんときは面倒見てやってくれ」

「わかりました」

ドンドンドン

やや乱暴にドアがノックされ返事も待たずにドアが開かれる

「翔鶴姉いる?」

入ってきた彼女は翔鶴と姉妹艦の瑞鶴、幸運艦と呼ばれる空母で大人しい翔鶴とは対照的な活発的な女性だ

「コラ!返事くらい待たんか」

「ごめ~ん翔鶴姉遅いからつい」

「まったく・・・・」

「だってえ提督もう昼時だよ、翔鶴姉もお昼食べにいこ」

「もう瑞鶴ったら」

慌しく去っていく2人を見ながらつい苦笑し再び手元の資料に目を移す

「さあ忙しくなるぞ、わしはあの子達が全員無事帰って来るよう最善を尽くさなければ」

誰に言うまでもなく呟くと手元にある電話の受話器を上げ

ダイヤルして相手に用件を伝えるそれが終わると再びどこかへ電話をかけた

20XX年某月5日

「いよいよか・・・」

壁に掛けられたカレンダーの赤丸を眺めながら呟き出迎えの為に執務室を出る

途中翔鶴とそれについてきた瑞鶴と合流、3人揃って桟橋へ向う

「しかしのお、瑞鶴までなんでおるんじゃ?」

「瑞鶴が一緒に行くって聞かなくて」

「だってえ、提督や翔鶴姉に仲間ハズレにされたら嫌じゃない」

困った顔をしながら答える翔鶴と駄々っ子のように答える瑞鶴

「2人とも仲が良いんじゃな、うらやましいのお」

「そりゃあ姉妹艦ですもん」

当たり前の事じゃないと言いたげな顔をする瑞鶴

「ちょうど船が港に着いたようじゃな」

見るとフェリーが桟橋に到着し喧騒と共に乗客が降りていく様子が見えた

降りていく乗客が落ち着き始めるとこちらに気付いたのかやや小柄な女性がこちらに小走りに駆け寄って来た

「はじめまして提督」

「うむ、遠くからごくろうじゃったのお」

そう言うと見事な海軍式敬礼をしながら挨拶をする

「防空駆逐艦秋月、只今を以って着任しましたよろしくお願いします」

「遠路はるばるご苦労様です」

「あ・・・あの」

「私は翔鶴、ここの鎮守府の秘書艦をしているのよ。貴方の面倒も頼まれているからこれからよろしくね」

「ハイ」

「ねえねえ」

「ふぇ?」

いきなり瑞鶴に話しかけられ素っ頓狂な返事をしてしまう

「その子可愛いわね何て言うの?」

「長10cm連装砲ちゃんです。私の自慢の子なんです」

「へえ、島風の連装砲ちゃんみたいなものかしら?」

「島風さんですか?会ったことありませんがもし会ったら長10cm連装砲ちゃんとお友達になれそうですね」

微笑ましく3人の様子を見守りながらも、これなら2人に任せても安心だと確信した提督であった

「まあ、立ち話もなんだ・・・・続きは鎮守府に帰ってからにせえ。秋月さんも長旅で疲れておろうに」

「そうですね秋月さん瑞鶴、鎮守府に戻りましょう」

「はい」

「待ってよ~翔鶴姉」

仲良く並ぶ3人の背を見ながら確信にも似た希望抱き鎮守府への道を急ぐ提督たちであった

続く

(第一話あとがき)

艦これと違い秋月の着任をAL/MI作戦前という設定にしました

見切り発車で書き始めた長編物なので色々おかしな部分もあるとは思いますがどうかご容赦ください

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