ストーリー引用:宍戸 美鈴
キャラページのSTORYの書き方の検討2
皆さんご意見ありがとうございました ③で作っていきます
各EPISODEの題名を閉じた先に置いてもいいなあと思ったので確認
① ↓現行の書き方
STORY
EPISODE1 少年は挫折する「夢を追いかけてこの学校にやってきたのに……良い思い出になんてできるはずないじゃないか」
『一度くらいは若いうちに挫折を味わっておけ』
そう大人はよく言うけれど、それはすごく身勝手な意見じゃないかと僕は思う。
“良い思い出”なんかじゃない。僕にとっては“今”なんだ。
挫折してよかった、なんて簡単に割り切れない。
校内に13もある音楽室のうち最も古い、旧校舎の一番端っこにある『第1音楽室』。
その教室で一人きり、夕日を眺めながらそんなことを考えていた。
僕が通っている高校は音大付属の名門音楽学校だ。
県内外から実力を持った生徒が集まり、日夜切磋琢磨している。
理解のある家族の協力のおかげで、一通りの楽器は習わせてもらった。
どの先生達からも期待されていたし、自身で演奏もこなす作曲家を目指す僕は、その夢が叶うと信じて疑わなかった。
だから、この学校に入学できたことは本当に幸せだった。
――先月、事故に遭うまでは。
怪我をした右手が完治するまで、約1年という宣告。
この学校に通う上で1年演奏できないのは、すなわち“脱落”したことと同じだ。
音楽学校に通っているのに楽器の練習もできず、クラスにも居場所がない。放課後、それぞれの音楽室でみんなが腕を磨く中、まっすぐ帰る気にもなれず、こうして誰も寄り付かない第1音楽室でボロボロの椅子に座ってボンヤリする毎日。
「楽器、弾きたいな……」
無意識に独り言が出てきてしまったことに自分で驚きつつ、誰かに聞かれていないか慌てて周りを見回す。
さすが不人気ナンバーワンの第1音楽室。廊下の先まで人の気配は感じられなかった。
ホッとしながら、また窓の外に広がる夕日に視線を移す。
――きっとこうやって、卒業までひとりぼっちで腐って生きていくんだ。
先の見えた高校生活。
こんなの……“良い思い出”になんかなるもんか。
EPISODE2 少年は少女と出会う「明るくて、元気で、可愛いけれど……幽霊ってもっと怖いものじゃなかったっけ?」
EPISODE3 少年は少女の願いを聞く「この僕が部活を作って全国大会優勝!? ムリムリ。そんなのできるはずないじゃないか!」
② ↓EPISODE題名を閉じた先に置く
STORY
EPISODE1
少年は挫折する「夢を追いかけてこの学校にやってきたのに……良い思い出になんてできるはずないじゃないか」
『一度くらいは若いうちに挫折を味わっておけ』
そう大人はよく言うけれど、それはすごく身勝手な意見じゃないかと僕は思う。
“良い思い出”なんかじゃない。僕にとっては“今”なんだ。
挫折してよかった、なんて簡単に割り切れない。
校内に13もある音楽室のうち最も古い、旧校舎の一番端っこにある『第1音楽室』。
その教室で一人きり、夕日を眺めながらそんなことを考えていた。
僕が通っている高校は音大付属の名門音楽学校だ。
県内外から実力を持った生徒が集まり、日夜切磋琢磨している。
理解のある家族の協力のおかげで、一通りの楽器は習わせてもらった。
どの先生達からも期待されていたし、自身で演奏もこなす作曲家を目指す僕は、その夢が叶うと信じて疑わなかった。
だから、この学校に入学できたことは本当に幸せだった。
――先月、事故に遭うまでは。
怪我をした右手が完治するまで、約1年という宣告。
この学校に通う上で1年演奏できないのは、すなわち“脱落”したことと同じだ。
音楽学校に通っているのに楽器の練習もできず、クラスにも居場所がない。放課後、それぞれの音楽室でみんなが腕を磨く中、まっすぐ帰る気にもなれず、こうして誰も寄り付かない第1音楽室でボロボロの椅子に座ってボンヤリする毎日。
「楽器、弾きたいな……」
無意識に独り言が出てきてしまったことに自分で驚きつつ、誰かに聞かれていないか慌てて周りを見回す。
さすが不人気ナンバーワンの第1音楽室。廊下の先まで人の気配は感じられなかった。
ホッとしながら、また窓の外に広がる夕日に視線を移す。
――きっとこうやって、卒業までひとりぼっちで腐って生きていくんだ。
先の見えた高校生活。
こんなの……“良い思い出”になんかなるもんか。
EPISODE2
少年は少女と出会う「明るくて、元気で、可愛いけれど……幽霊ってもっと怖いものじゃなかったっけ?」
内容
EPISODE3
少年は少女の願いを聞く「この僕が部活を作って全国大会優勝!? ムリムリ。そんなのできるはずないじゃないか!」
内容
どれがいいと思います?
キャラページのSTORYの書き方の検討1
どのレイアウトが一番いいか決められないので教えてください
ページの最後にアンケートがあります
①↓普通に#foldで閉じるだけ (現行の書き方)
STORY
EPISODE1 少年は挫折する「夢を追いかけてこの学校にやってきたのに……良い思い出になんてできるはずないじゃないか」
『一度くらいは若いうちに挫折を味わっておけ』
そう大人はよく言うけれど、それはすごく身勝手な意見じゃないかと僕は思う。
“良い思い出”なんかじゃない。僕にとっては“今”なんだ。
挫折してよかった、なんて簡単に割り切れない。
校内に13もある音楽室のうち最も古い、旧校舎の一番端っこにある『第1音楽室』。
その教室で一人きり、夕日を眺めながらそんなことを考えていた。
僕が通っている高校は音大付属の名門音楽学校だ。
県内外から実力を持った生徒が集まり、日夜切磋琢磨している。
理解のある家族の協力のおかげで、一通りの楽器は習わせてもらった。
どの先生達からも期待されていたし、自身で演奏もこなす作曲家を目指す僕は、その夢が叶うと信じて疑わなかった。
だから、この学校に入学できたことは本当に幸せだった。
――先月、事故に遭うまでは。
怪我をした右手が完治するまで、約1年という宣告。
この学校に通う上で1年演奏できないのは、すなわち“脱落”したことと同じだ。
音楽学校に通っているのに楽器の練習もできず、クラスにも居場所がない。放課後、それぞれの音楽室でみんなが腕を磨く中、まっすぐ帰る気にもなれず、こうして誰も寄り付かない第1音楽室でボロボロの椅子に座ってボンヤリする毎日。
「楽器、弾きたいな……」
無意識に独り言が出てきてしまったことに自分で驚きつつ、誰かに聞かれていないか慌てて周りを見回す。
さすが不人気ナンバーワンの第1音楽室。廊下の先まで人の気配は感じられなかった。
ホッとしながら、また窓の外に広がる夕日に視線を移す。
――きっとこうやって、卒業までひとりぼっちで腐って生きていくんだ。
先の見えた高校生活。
こんなの……“良い思い出”になんかなるもんか。
EPISODE2 少年は少女と出会う「明るくて、元気で、可愛いけれど……幽霊ってもっと怖いものじゃなかったっけ?」
第1音楽室が不人気なのは、設備が古いってことだけじゃない。
よくある七不思議のひとつみたいなもので、第1音楽室には少女の幽霊が現れる、という噂が絶えないからだ。
幸いにも僕はそういうものをまったく信じない性質だったおかげで、幽霊に怯えることもなくこうして悠々と使わせてもらってるのだけれど。
――だって、本当に幽霊や神様なんてものがいる世界だったら。
右手があっという間に治る奇跡があったっていいじゃないか。
子供じみたワガママな発想に自己嫌悪しながら、今度はわざと独り言を投げやりにつぶやいてみる。
「もうどうでもいいや。学校、やめちゃおうかな」
そんな独り言も、古い教室の壁に染み込んでいくだけで、誰にも届かないはずだった。
「やめればいいじゃない」
ビクリと肩を跳ねさせてから声のする方へ振り返ると、そこには同い年くらいの女の子が……宙に浮いていた。
とっくに代わったはずの昔使われていた旧制服。
長いストレートヘアー。
それに大きなリボンと三角巾。
「毎日毎日わざわざこんなとこに来てはウジウジウジウジ……こっちの気まで滅入ってくるわ!」
「……え? えっ、ええっ!?」
「あら? ちょっとあなた……もしかしてわたしが見えてるの?」
見えてるか見えてないかと言われたら、見えてる。
僕は目を見開いたまま、コクコクと頷いた。
「やっと話ができる人が現れたわ! この日をどれだけ待ったことか!」
「あの、その、もしかして……幽霊の方ですか?」
「ええ、その通りよ! よくぞ聞いてくれたわ! わたしは音楽室に住まうと言われる伝説の幽霊の宍戸美鈴! そうね……わたしのほうがお姉さんだから、美鈴さんって呼んでいいわ!」
幽霊の女の子――美鈴さんは、腰に手を当て仁王立ちになり、やたら自信満々にそう言い放った。
ちょこんとした小柄な女の子が精一杯胸を張っている姿を見て、思わず吹き出しそうになってしまう。
僕はこうして幽霊の女の子と出会った。
生まれて初めての心霊体験は、恐怖とはほど遠いなんだかほっこりしたものだった。
②↓①に加えて各エピソードを囲う
STORY
EPISODE1 少年は挫折する「夢を追いかけてこの学校にやってきたのに……良い思い出になんてできるはずないじゃないか」
『一度くらいは若いうちに挫折を味わっておけ』
そう大人はよく言うけれど、それはすごく身勝手な意見じゃないかと僕は思う。
“良い思い出”なんかじゃない。僕にとっては“今”なんだ。
挫折してよかった、なんて簡単に割り切れない。
校内に13もある音楽室のうち最も古い、旧校舎の一番端っこにある『第1音楽室』。
その教室で一人きり、夕日を眺めながらそんなことを考えていた。
僕が通っている高校は音大付属の名門音楽学校だ。
県内外から実力を持った生徒が集まり、日夜切磋琢磨している。
理解のある家族の協力のおかげで、一通りの楽器は習わせてもらった。
どの先生達からも期待されていたし、自身で演奏もこなす作曲家を目指す僕は、その夢が叶うと信じて疑わなかった。
だから、この学校に入学できたことは本当に幸せだった。
――先月、事故に遭うまでは。
怪我をした右手が完治するまで、約1年という宣告。
この学校に通う上で1年演奏できないのは、すなわち“脱落”したことと同じだ。
音楽学校に通っているのに楽器の練習もできず、クラスにも居場所がない。放課後、それぞれの音楽室でみんなが腕を磨く中、まっすぐ帰る気にもなれず、こうして誰も寄り付かない第1音楽室でボロボロの椅子に座ってボンヤリする毎日。
「楽器、弾きたいな……」
無意識に独り言が出てきてしまったことに自分で驚きつつ、誰かに聞かれていないか慌てて周りを見回す。
さすが不人気ナンバーワンの第1音楽室。廊下の先まで人の気配は感じられなかった。
ホッとしながら、また窓の外に広がる夕日に視線を移す。
――きっとこうやって、卒業までひとりぼっちで腐って生きていくんだ。
先の見えた高校生活。
こんなの……“良い思い出”になんかなるもんか。
EPISODE2 少年は少女と出会う「明るくて、元気で、可愛いけれど……幽霊ってもっと怖いものじゃなかったっけ?」
第1音楽室が不人気なのは、設備が古いってことだけじゃない。
よくある七不思議のひとつみたいなもので、第1音楽室には少女の幽霊が現れる、という噂が絶えないからだ。
幸いにも僕はそういうものをまったく信じない性質だったおかげで、幽霊に怯えることもなくこうして悠々と使わせてもらってるのだけれど。
――だって、本当に幽霊や神様なんてものがいる世界だったら。
右手があっという間に治る奇跡があったっていいじゃないか。
子供じみたワガママな発想に自己嫌悪しながら、今度はわざと独り言を投げやりにつぶやいてみる。
「もうどうでもいいや。学校、やめちゃおうかな」
そんな独り言も、古い教室の壁に染み込んでいくだけで、誰にも届かないはずだった。
「やめればいいじゃない」
ビクリと肩を跳ねさせてから声のする方へ振り返ると、そこには同い年くらいの女の子が……宙に浮いていた。
とっくに代わったはずの昔使われていた旧制服。
長いストレートヘアー。
それに大きなリボンと三角巾。
「毎日毎日わざわざこんなとこに来てはウジウジウジウジ……こっちの気まで滅入ってくるわ!」
「……え? えっ、ええっ!?」
「あら? ちょっとあなた……もしかしてわたしが見えてるの?」
見えてるか見えてないかと言われたら、見えてる。
僕は目を見開いたまま、コクコクと頷いた。
「やっと話ができる人が現れたわ! この日をどれだけ待ったことか!」
「あの、その、もしかして……幽霊の方ですか?」
「ええ、その通りよ! よくぞ聞いてくれたわ! わたしは音楽室に住まうと言われる伝説の幽霊の宍戸美鈴! そうね……わたしのほうがお姉さんだから、美鈴さんって呼んでいいわ!」
幽霊の女の子――美鈴さんは、腰に手を当て仁王立ちになり、やたら自信満々にそう言い放った。
ちょこんとした小柄な女の子が精一杯胸を張っている姿を見て、思わず吹き出しそうになってしまう。
僕はこうして幽霊の女の子と出会った。
生まれて初めての心霊体験は、恐怖とはほど遠いなんだかほっこりしたものだった。
③#accordionを使う
※#accordionでは太字・斜体が使えません
STORY
EPISODE1 少年は挫折する「夢を追いかけてこの学校にやってきたのに……良い思い出になんてできるはずないじゃないか」
『一度くらいは若いうちに挫折を味わっておけ』
そう大人はよく言うけれど、それはすごく身勝手な意見じゃないかと僕は思う。
“良い思い出”なんかじゃない。僕にとっては“今”なんだ。
挫折してよかった、なんて簡単に割り切れない。
校内に13もある音楽室のうち最も古い、旧校舎の一番端っこにある『第1音楽室』。
その教室で一人きり、夕日を眺めながらそんなことを考えていた。
僕が通っている高校は音大付属の名門音楽学校だ。
県内外から実力を持った生徒が集まり、日夜切磋琢磨している。
理解のある家族の協力のおかげで、一通りの楽器は習わせてもらった。
どの先生達からも期待されていたし、自身で演奏もこなす作曲家を目指す僕は、その夢が叶うと信じて疑わなかった。
だから、この学校に入学できたことは本当に幸せだった。
――先月、事故に遭うまでは。
怪我をした右手が完治するまで、約1年という宣告。
この学校に通う上で1年演奏できないのは、すなわち“脱落”したことと同じだ。
音楽学校に通っているのに楽器の練習もできず、クラスにも居場所がない。放課後、それぞれの音楽室でみんなが腕を磨く中、まっすぐ帰る気にもなれず、こうして誰も寄り付かない第1音楽室でボロボロの椅子に座ってボンヤリする毎日。
「楽器、弾きたいな……」
無意識に独り言が出てきてしまったことに自分で驚きつつ、誰かに聞かれていないか慌てて周りを見回す。
さすが不人気ナンバーワンの第1音楽室。廊下の先まで人の気配は感じられなかった。
ホッとしながら、また窓の外に広がる夕日に視線を移す。
――きっとこうやって、卒業までひとりぼっちで腐って生きていくんだ。
先の見えた高校生活。
こんなの……“良い思い出”になんかなるもんか。
EPISODE2 少年は少女と出会う「明るくて、元気で、可愛いけれど……幽霊ってもっと怖いものじゃなかったっけ?」
第1音楽室が不人気なのは、設備が古いってことだけじゃない。
よくある七不思議のひとつみたいなもので、第1音楽室には少女の幽霊が現れる、という噂が絶えないからだ。
幸いにも僕はそういうものをまったく信じない性質だったおかげで、幽霊に怯えることもなくこうして悠々と使わせてもらってるのだけれど。
――だって、本当に幽霊や神様なんてものがいる世界だったら。
右手があっという間に治る奇跡があったっていいじゃないか。
子供じみたワガママな発想に自己嫌悪しながら、今度はわざと独り言を投げやりにつぶやいてみる。
「もうどうでもいいや。学校、やめちゃおうかな」
そんな独り言も、古い教室の壁に染み込んでいくだけで、誰にも届かないはずだった。
「やめればいいじゃない」
ビクリと肩を跳ねさせてから声のする方へ振り返ると、そこには同い年くらいの女の子が……宙に浮いていた。
とっくに代わったはずの昔使われていた旧制服。
長いストレートヘアー。
それに大きなリボンと三角巾。
「毎日毎日わざわざこんなとこに来てはウジウジウジウジ……こっちの気まで滅入ってくるわ!」
「……え? えっ、ええっ!?」
「あら? ちょっとあなた……もしかしてわたしが見えてるの?」
見えてるか見えてないかと言われたら、見えてる。
僕は目を見開いたまま、コクコクと頷いた。
「やっと話ができる人が現れたわ! この日をどれだけ待ったことか!」
「あの、その、もしかして……幽霊の方ですか?」
「ええ、その通りよ! よくぞ聞いてくれたわ! わたしは音楽室に住まうと言われる伝説の幽霊の宍戸美鈴! そうね……わたしのほうがお姉さんだから、美鈴さんって呼んでいいわ!」
幽霊の女の子――美鈴さんは、腰に手を当て仁王立ちになり、やたら自信満々にそう言い放った。
ちょこんとした小柄な女の子が精一杯胸を張っている姿を見て、思わず吹き出しそうになってしまう。
僕はこうして幽霊の女の子と出会った。
生まれて初めての心霊体験は、恐怖とはほど遠いなんだかほっこりしたものだった。
④ ②と③の合わせ技
STORY
EPISODE1 少年は挫折する「夢を追いかけてこの学校にやってきたのに……良い思い出になんてできるはずないじゃないか」
『一度くらいは若いうちに挫折を味わっておけ』
そう大人はよく言うけれど、それはすごく身勝手な意見じゃないかと僕は思う。
“良い思い出”なんかじゃない。僕にとっては“今”なんだ。
挫折してよかった、なんて簡単に割り切れない。
校内に13もある音楽室のうち最も古い、旧校舎の一番端っこにある『第1音楽室』。
その教室で一人きり、夕日を眺めながらそんなことを考えていた。
僕が通っている高校は音大付属の名門音楽学校だ。
県内外から実力を持った生徒が集まり、日夜切磋琢磨している。
理解のある家族の協力のおかげで、一通りの楽器は習わせてもらった。
どの先生達からも期待されていたし、自身で演奏もこなす作曲家を目指す僕は、その夢が叶うと信じて疑わなかった。
だから、この学校に入学できたことは本当に幸せだった。
――先月、事故に遭うまでは。
怪我をした右手が完治するまで、約1年という宣告。
この学校に通う上で1年演奏できないのは、すなわち“脱落”したことと同じだ。
音楽学校に通っているのに楽器の練習もできず、クラスにも居場所がない。放課後、それぞれの音楽室でみんなが腕を磨く中、まっすぐ帰る気にもなれず、こうして誰も寄り付かない第1音楽室でボロボロの椅子に座ってボンヤリする毎日。
「楽器、弾きたいな……」
無意識に独り言が出てきてしまったことに自分で驚きつつ、誰かに聞かれていないか慌てて周りを見回す。
さすが不人気ナンバーワンの第1音楽室。廊下の先まで人の気配は感じられなかった。
ホッとしながら、また窓の外に広がる夕日に視線を移す。
――きっとこうやって、卒業までひとりぼっちで腐って生きていくんだ。
先の見えた高校生活。
こんなの……“良い思い出”になんかなるもんか。
EPISODE2 少年は少女と出会う「明るくて、元気で、可愛いけれど……幽霊ってもっと怖いものじゃなかったっけ?」
第1音楽室が不人気なのは、設備が古いってことだけじゃない。
よくある七不思議のひとつみたいなもので、第1音楽室には少女の幽霊が現れる、という噂が絶えないからだ。
幸いにも僕はそういうものをまったく信じない性質だったおかげで、幽霊に怯えることもなくこうして悠々と使わせてもらってるのだけれど。
――だって、本当に幽霊や神様なんてものがいる世界だったら。
右手があっという間に治る奇跡があったっていいじゃないか。
子供じみたワガママな発想に自己嫌悪しながら、今度はわざと独り言を投げやりにつぶやいてみる。
「もうどうでもいいや。学校、やめちゃおうかな」
そんな独り言も、古い教室の壁に染み込んでいくだけで、誰にも届かないはずだった。
「やめればいいじゃない」
ビクリと肩を跳ねさせてから声のする方へ振り返ると、そこには同い年くらいの女の子が……宙に浮いていた。
とっくに代わったはずの昔使われていた旧制服。
長いストレートヘアー。
それに大きなリボンと三角巾。
「毎日毎日わざわざこんなとこに来てはウジウジウジウジ……こっちの気まで滅入ってくるわ!」
「……え? えっ、ええっ!?」
「あら? ちょっとあなた……もしかしてわたしが見えてるの?」
見えてるか見えてないかと言われたら、見えてる。
僕は目を見開いたまま、コクコクと頷いた。
「やっと話ができる人が現れたわ! この日をどれだけ待ったことか!」
「あの、その、もしかして……幽霊の方ですか?」
「ええ、その通りよ! よくぞ聞いてくれたわ! わたしは音楽室に住まうと言われる伝説の幽霊の宍戸美鈴! そうね……わたしのほうがお姉さんだから、美鈴さんって呼んでいいわ!」
幽霊の女の子――美鈴さんは、腰に手を当て仁王立ちになり、やたら自信満々にそう言い放った。
ちょこんとした小柄な女の子が精一杯胸を張っている姿を見て、思わず吹き出しそうになってしまう。
僕はこうして幽霊の女の子と出会った。
生まれて初めての心霊体験は、恐怖とはほど遠いなんだかほっこりしたものだった。
どれがいいと思います?