モジュール/【アリクの瞳】

Last-modified: 2023-07-15 (土) 22:44:14

いつのころから谷は緑に覆われ、動物たちが麦穂の黄金色に輝く野原を走り回っていた。この平和な土地は王女アージェンタに統治され、人々は幸福に暮らしていた。そんなある日、城の上空にホワイトドラゴンに乗った1人の勇士が現われた。その夜、突然災いが振りかかり、この小さな王国は一晩にして滅亡してしまった。今では廃墟と伝説が残っているだけ。その伝説の幾つかには、今なお王宮のどこかに途方もない財宝が眠っていると言われている。

B3モジュール「アリクの瞳」日本語版裏表紙より

原題はPalace of the Silver Princess。製作者はジーン・ウェルズ。原語版は1981年にジーン・ウェルズによって執筆され、1981年にTSRによって黄褐色の外装折りたたみ地図カバーで出版された。カバーアートの担当はエロル・オータス。しかし、初版は刊行後間もなく、速やかに回収され破棄されている。後にイラストの描き直しと、ジーン・ウェルズとトム・モルドヴェイによる本文の書き直しが行われた後、1981年中に濃緑色のカバーで再出版された。
Palace of the Silver Princessは、宮殿の入口付近はゲームブック形式で記述され、初心者ダンジョンマスターとプレイヤーがどうすればよいか迷わずにすむようになっている。モジュールには32ページの本編とゲーム内で使う地図が外装カバーの裏側に用意されている。
改版された版は、1985年に『アリクの瞳』というタイトルで日本語で翻訳出版された。フロアタイル付きで、定価は2200円。


新和が発行したドラゴンマガジン3号では、このモジュールに関連するシナリオ魔獣テラルの復活が掲載された。

発売・回収・改訂版

ウィキペディアの記事によると、Palace of the Silver Princessの歴史はウィザーズ・オブ・ザ・コーストの公式サイト上の記事で詳述されている。
その記事によると、このモジュールのオリジナルの版は、TSRの重役であるケビン・ブルームがこれをめくり見て製品全ての回収とイラストの描き換えを命じたため、出版の直前に回収された。TSRはモジュールの内容と体裁に重大な欠陥があると発表し、TSRが発見することのできた全ての製品は返送され、破棄された。改定版はトム・モルドヴェイに執筆されてカバーの色や本文イラストが変更されており、遊びやすくなるよう再編集されている。
取り除かれたイラストにはローラ・ロスロフ(ジム・ロスロフの妻)による「女性が自分自身の毛髪で縛り上げられているというデカプスによる幻覚」が含まれているため、差し替えられたイラストは様々な憶測を呼んでいる。
また編集を担当したフランク・メンツァーの回想では、TSR社の重役である3人の人物を思わせるイラストがあったからとしている。
内容としては、オリジナル版は財宝、モンスター、罠の一覧が用意されており、所々空白になっている本文にダンジョンマスターが自分で記入するようになっていた。これは改定版以降では廃止されている。
日本語版「アリクの瞳」はさらに改定された版を基にしており、カバーは濃緑色になっている。
オレンジ色のカバーをしたオリジナル版は少数しか現存しておらず、1984年のGen Conゲームフェアにおけるオークションで1冊300ドルで落札されたという。

評価

Wikipediaの記事によると、White Dwarf誌でジム・バンブラがレビューしている。彼は新人への導入用に最適であり、当時ベーシック・ルール・セットに同梱していた「国境の城塞」と入れ換えるべきだと評している。10段階評価で最高評価を与えている。