2012年8月、MH3G(3DS版)にて発見されたシリーズ史上最大規模のバグ。
解説の為にやり方についても説明しているが、
セーブデータの破損が生じる可能性が大いに高いので、決して安易な考えで試さないように。
目次
概要
- 特定の操作を行うことで、本来は存在しないマイセットが登場する。
もう少し踏み込んだ説明をすると、- マイセット画面でマイセット09~16に行く。
- 十字キーの下とタッチパネル上のマイセット17~24を同時にタッチ。
- 本来存在しないマイセット25~32が出現する。
- この方法で作り出した登録件数は17~24とは同化しておらず文字通り新しい件数となる。
このバグセットに登録した装備はまたバグらせれば呼び出すことができ、上書きはされていない。
つまり、マイセットを増設することができるということなのだ。
- 一見するとマイセットが増える有益なバグに感じるかもしれないが、
このマイセットを呼び出したり、使用したりするとセーブデータに不具合が生じる。- まず、防具の欄になぜか武器が入っていたりするなど明らかに表示がおかしい。
さらに、モンスターの討伐数が9999(カンスト)になってしまったり、
逆に0になってしまったり、ギルドカードには載っているのにモンスターリストからは消えていたりもする。
勲章の入手フラグが壊れたという報告もある。
村クエスト「ジャギィノスの群れを狩れ」という依頼をクリアしたあと、リザルト画面で- 「峯山の水晶石」(ジエン・モーラン討伐の証)
- 「煉獄の指輪」(グラン・ミラオス討伐の証)
- 「月迅竜の羽織」(ナルガクルガ希少種狩猟の証)
もう一度言うが受けたクエストはジャギィノス5匹の討伐クエストである。 - まず、防具の欄になぜか武器が入っていたりするなど明らかに表示がおかしい。
原因と思われる事象
- 本来のマイセットの仕様から完全に外れているものを装備していたり、
ゲームの進行から明らかに外れた勲章の獲得など本来あり得ない現象が起きていることになるが、
その原因はどこにあるのだろうか?
- ゲーム中に存在しないものを出現させるというのはバグやデータ改造でも原則として不可能だが、
何が原因で起きているかということについては、少々の知識があればある程度推測することができる。- 可能性として挙げられる1つ目のシナリオとしては、
「マイセットはデータ上24個よりも多く保存できるが、
24個に制限した(残りの部分は空きデータとした)」というものがある。
ゲームにおいて数値は16進数に向いた数値の範囲内で保存されるのが基本であるため、
このようなことは他のゲームでもよくあることである*1*2。 - もう1つ考えられるシナリオは、
「格納しているマイセットのプログラムを保存する領域は24個までしか用意されていなかったが、
バグにより25個目以降のデータ領域を参照することになり、
本来マイセット以外の目的で格納されているデータ領域を
無理矢理マイセットとして上書きしてしまっている」という捉え方である。
配列変数の添字に対して範囲チェックを行っていない場合に、
想定外の添字*3によって
その配列変数以外の形で格納されていたデータを配列変数の内容として読み出してしまった、ということである。
このような「配列の添字が想定外の値になり、
それにより別の目的で使われているはずのデータを無理矢理使用しているケース」というのは、
古くは「スーパーマリオブラザーズ」の-1面*4などのケースが存在している。
前述の異常状態が発生したということなのだろう。
カプコンが把握したまま残したもの、というわけではない可能性が高い。 - 可能性として挙げられる1つ目のシナリオとしては、
注意点
- 本記事含め、ネット上に出回っている正しい手順を行った上で正しい用法を守らないと
フリーズしてしまうことが確認されている。
また、未確認ではあるがバグを行った状態のセーブデータをWiiU版に転送すると、
マイセットのデータに不都合が生じるため失敗する可能性が高い。
バグデータは3DSのみで扱うようにしよう。
- このバグに関して、カプコンから見解等は出されていない。
再現性があり、内容的に「仕様」とは言い逃れできないものではあるが、
偶発的に起こる可能性は低くゲームの進行に直接影響は及ぼさないため、
ピアスバグとは異なり修正パッチは配布されなかったのだろう。
- いずれにせよ、現段階で間違いなく言えることは
セーブデータが破損する恐れがあるので、安易に手を出してはいけないという事だけである。
余談
- バグ発見から約11年後の2023年12月、このバグマイセットが再び話題となった。
人力でゲームのリアルタイムアタックを実演するイベントの中でも、
日本最大規模と名高い「RTA in Japan」が2023年冬に開催した『RTA in Japan Winter 2023』にて、
MH3Gの下位村クエクリア*5をプレイする走者がこのバグ技で最速狩猟を披露したのである。
バグマイセットを用いて特定の手順を踏むと、ハンターの装備に関係するIDをある程度自由に選ぶことが可能になり、
それによって繚乱の対弩を呼び出したり、攻撃力22162*6、素で斬れ味紫のグラフィックのない無属性双剣を呼び出すなど、
ハンター諸氏じゃなくても訳が分からない現象を発生させて高速クリアするという、驚愕のRTAが披露された。
ハンターがTポーズをとりながら数多のモンスターを瞬殺するというのは、
「正しいモーションデータが存在しない、無という名の双剣*7」を装備している事に起因しており、
言葉で説明しても意味不明かつシュールでインパクトのある絵面が広がっていた。- Tポーズ現象はモンハンに限らず、3Dモデルを採用したゲームではよくある事象である。
ゲーム内データでは、3Dモデルにおける人体骨格の初期ポーズとして、
両脚を垂直に、両腕を水平にピンと伸ばし直立する…即ち「Tポーズ」が採用されており、
これに正しいモーションデータを与える事で3Dモデルは正しいモーションで動く仕組みになっているのだが、
何らかの要因*8によって想定されていないデータが呼び出されると、
「適切なモーションデータが存在しない」が故に、Tポーズを取ってしまう現象が発生するのである。
このRTAで披露された際に何度も見ることになったTポーズは、
こう言ったゲームの構造から来る仕組みで発生しているのである。
- このバグ技によって、開始から村緊急ナバルデウス撃退まで1時間47分*9でクリアすることができた模様。
ナバルデウス戦に至ってはエリア1で撃退ラインまで体力を削りきり、最後は石ころ1発で撃退させてしまった。
イベント会場の観客や配信チャットは常に驚きと賞賛の連続であった。
- 余談も余談だが、G級武器を遥かに凌駕した性能を持つTポーズ…ということで、
この双剣(?)は親しみと畏怖を込めT級武器と揶揄されるのだった。
- Tポーズ現象はモンハンに限らず、3Dモデルを採用したゲームではよくある事象である。
関連項目
シリーズ/モンスターハンター3G
ゲーム用語/バグ
システム/マイセット
モンハン用語/ピアスバグ - MH3Gに存在する別のバグ
モンハン用語/お守りテーブルバグ - 同上
モンハン用語/装備グラフィック変更バグ - MHPの装備関連バグ