葛葉 ツカサ/リンネ

Last-modified: 2024-03-05 (火) 08:32:36

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※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。
・「限界突破の証」系統を除く、このページに記載されているすべてのスキルの効果ははCHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです。
 現在で該当スキルを使用することができません。
・CHUNITHM PARADISE LOSTまでのトランスフォーム対応キャラクター(専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター)は、
 RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

通常子狐大狐
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Illustrator:バチ子


名前葛葉ツカサ(くずのは つかさ)
年齢17歳
職業学生(高等科2年)/言ノ葉使い
特技周囲を気にせずにひとりでいられる
苦手諦め・虚無・不当に強いられる忍耐
CV前野智昭※チュウニズムではボイス無し
  • 入手方法:2017/08/03~2017/12/13期間中にmaimaiで「言ノ葉リンネコース」スタンプを70個(シート14枚)集めると入手。<終了済>
    • maimai(旧筐体)オンラインサービス終了により配信終了となっている。maimaiとの連動要素を参照。
  • トランスフォーム*1することにより「葛葉 ツカサ/子狐」「葛葉 ツカサ/大狐」へと名前とグラフィックが変化する*2
    PARADISE LOSTまでのトランスフォーム仕様

    PARADISE LOSTまでのトランスフォーム仕様

    • 専用スキル「コーーーーン!!」を装備することで「葛葉 ツカサ/子狐」、「怒りの遠吠え」を装備することで「葛葉 ツカサ/大狐」へと名前とグラフィックが変化する。
      • 上記の2スキルを装備していない場合、「葛葉 ツカサ/リンネ」へと名前とグラフィックが変化する。
    • CRYSTAL PLUS以降、RANK25にすることで装備したスキルに関係なく上記のグラフィックを自由に選択可能に。
  • 所有スキルではないが、「言ノ葉のコトワリ」「言の葉のコトダマ」も装備可能。
  • Memoirs of AIRのマップボーナス(+1)に名指しで指定されていた。
  • 言ノ葉Projectマップ11のマップボーナス(+2、キャラカテゴリと合計で+4)に名指しで指定されていた。

「言ノ葉Project 1stシーズン」のストーリーにおける主人公。
各章において「苦手」項目に該当する人物が登場している。難儀な気運の持ち主のようだ……。
チュウニズムには「葛葉 ツカサ」というキャラが複数存在するが、設定上は同一人物。言ノ葉プロジェクトは章ごとに別の名で区別されているため、チュウニズムでもこのように表記しているものと思われる。
葛葉 ツカサ【 カルマ / 遊戯 / 黒鎖 / 空威 / リンネ

「リンネ」は第五章「言ノ葉リンネ」を意味する。
スキル内容とか立ち絵変化がホンネ妖怪っぽい? その理由はSTORYを読めば分かる。

スキル

RANK獲得スキル
1コーーーーン!!
5
10怒りの遠吠え
15


※以降は他キャラクターが所有
-言ノ葉のコトワリ
-言の葉のコトダマ

コーーーーン!! [NORMAL] ※専用スキル

  • ホンネ妖怪お馴染みのダメージ半減+特定ノーツボーナスの効果。
    とは違って回数制限はないが、1回のボーナスが低すぎて5本到達すら困難。一応、WORLD'S ENDの一部の譜面なら6本到達が可能。
  • リンネ以外のツカサ(カルマ/遊戯/黒鎖/空威)は装備できない。
    効果
    参考理論値1:94920(5本+14920/22k)
    [条件:神威[MASTER]]
    参考理論値2:120936(6本+18936/24k)
    [条件:FREEDOM DiVE[WORLD'S END 狂]]
    GRADE上昇率
    初期値MISS時のダメージ軽減 (50%)
    TAP成功時にボーナス +20
    +1
    〃 +22
GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数

GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数

  • 水色の部分はWORLD'S ENDの特定譜面でのみ到達可能。
  • 灰色の部分は到達不能。
GRADE5本6本7本8本
初期値1000210033004600
+1910191030004182


怒りの遠吠え [NORMAL] ※専用スキル

  • 本気姿のホンネ妖怪お馴染みのゲージ上昇+特定ノーツボーナスの効果
    ゲージブーストのおかげで5本到達がだいぶ緩くなったほか、譜面次第ではノーリスクで7本到達可能。もっとも、それが達成できる腕前なら即死スキルでもっと容易に稼げるのだが…。
    TAPが多い譜面の詳細はこちら?を参照。
  • リンネ以外のツカサ(カルマ/遊戯/黒鎖/空威)は装備できない。
    効果
    参考理論値1:109830(6本+7830/24k)
    [条件:神威[MASTER]]
    参考理論値2:138014(7本+12014/26k)
    [条件:FREEDOM DiVE[WORLD'S END 狂]]
    GRADE上昇率
    初期値ゲージ上昇UP (110%)
    TAP成功時にボーナス +24
    +1〃(120%)
    〃 +26
GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数

GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数

  • 水色の部分はWORLD'S ENDの特定譜面でのみ到達可能。
  • 灰色の部分は到達不能。
GRADE5本6本7本8本
初期値586150025003584
+1308115420773077


言ノ葉のコトワリ [GUARD] ※葛葉ツカサ専用スキル

  • ゲージ増加量UPに加え、一定回数のダメージを無効化する。初心者向けスキルと言えるがダメージ無効は5回限りであり、所有者2人を揃えると実態はゲージブーストに近くなる。育てる手間や汎用性に難があるが、ゲージブーストが揃っていない場合や、マップボーナスで防御系を指定された場合に使えるかもしれない。
    効果
    理論値:96000(5本+16000/22k
    共通一定回数ダメージを無効化 5回
    GRADE上昇率
    初期値ゲージ上昇UP (125%)
    +1〃 (130%)
    +2〃 (135%)
    +3〃 (140%)
    +4〃 (145%)
    +5〃 (150%)
    +6〃 (155%)
    +7〃 (160%)
    所有キャラ【葛葉 ツカサ(カルマ/遊戯)】
    他装備可能キャラ【葛葉 ツカサ(黒鎖/空威/リンネ)】
PLUSまでの旧仕様

AIRバージョンで仕様変更はされていないと思われる。

初期値ゲージ上昇UP (125%)
一定回数ダメージを無効化 5回
GRADE UPゲージ上昇UP 5%増加(最大160%)


言の葉のコトダマ [NORMAL] ※葛葉ツカサ専用スキル

  • 上昇率をやや削った代わりに、ゲージ上昇効果がなくならないゲージブースト・プラスというところ。ゲージ5本まで可能。所有者が揃っている場合は譜面を選ばないゲージ5本用のスキルとして運用可能。
  • 所持者は新規入手不可のため、両方揃っていない場合は別のスキルまでのつなぎと考えた方が良い。その場合、ゲージ上昇率が上回りMISS救済ボーナスもあるイザナギ?や、ダメージ軽減率が上回る運命探知の魔眼?があるのであればそちらの方が良い。
  • こちらは「言 "の" 葉」だが、仕様。
    効果
    理論値:96000(5本+16000/22k
    共通MISS20回以上の時
    MISS時のダメージ軽減(50%)
    GRADE上昇率
    初期値ゲージ上昇UP (125%)
    +1〃 (130%)
    +2〃 (135%)
    +3〃 (140%)
    +4〃 (145%)
    +5〃 (150%)
    +6〃 (155%)
    +7〃 (160%)
    所有キャラ【葛葉 ツカサ(黒鎖/空威)】
    他装備可能キャラ【葛葉 ツカサ(カルマ/遊戯/リンネ)】
PLUSまでの旧仕様

AIRバージョンで仕様変更はされていないと思われる。所有者は増えた。
PLUS時点ではゲージ4本止まりだった。

初期値ゲージ上昇UP (125%)
MISS20回以上の時MISS時のダメージ軽減(50%)
GRADE UPゲージ上昇UP 5%増加(最大140%)


ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 葛葉 ツカサ(リンネ)「『過去は所詮過去だろ?』……って今まで思ってたんだがな……俺は一体何者だ?」


 転入生。クールで不良めいた雰囲気を持ち、いつもあまり他者に関心を見せず、そっけなく振る舞う。
 彼は、意図せず他人の言葉や感情から『タテマエ』のバケモノを具現化させてしまう、厄介な力を持つ。
 だが同時に、同じ他人から『ホンネ』妖怪を引き出し自在に戦わせる陰陽の術にも熟達している。
 ホンネとタテマエ、表の自分と裏の自分……それを全部受け入れて生きることが、『人間らしさ』ということをツカサは今までの戦いから学んできている。

 「では俺は? 俺の表と裏はどこにある?」
 突如ツカサの前に姿を現した『妹』の存在は、彼に根源的な疑問を突き付けた。

 「俺は何故言ノ葉の力が使えるのか?」
 「俺は何故タテマエを生み出してしまうのか?」
 「俺は……一体何者なのか?」

 今……葛葉 ツカサの全てが解き明かされようとしていた。


EPISODE2 葛葉一族からの招待状「胡散臭い匂いしかしないが、あいつらまで行くというなら、俺もついて行くしかないか。やれやれ」


 俺はいつものメンバーと一緒に狗谷 愛がバイトをするハンバーガーショップに集まっていた。
 自称、俺の妹である葛葉 空から『相談がある』と言われていたからだ。空はいつになく神妙な顔つきで一通の封筒を取り出した。
 「これ……うちに届いていたの。ワタシ宛で」
 差出人は『葛葉一族』。ある祭りへの招待状らしい。
 「『葛葉』って言ったら……アンタと空ちゃんと同じ苗字じゃない。心当たりはあんの?」
 「いや……空、お前はどうだ?」
 「わかんない……父上、自分の過去のこと全然教えてくれないし、聞いちゃいけないムードなんだもん」
 俺は封筒を開け、中身を確認する。
 「『葛葉一族の現人神であるお狐様をご開帳するので是非ともお詣りにいらしてください』か……」
 「あら?」
 「『お狐様』って……?」
 鹿乃川 律と鈴乃音 舞が同時に首をかしげた。聞いてみると偶然にも地元の名士である鹿乃川家と、茶道の家元である鈴乃音家にもお狐様ご開帳の儀について参加の打診が来ていたらしい。
 「何かあったら、あたしたちも助けてあげるから……とりあえず参加してみたら?」
 「……どうしよう? お兄ちゃん」
 空の言葉は迷っていたが、その目は『真相を確かめたい』と言っていた。
 「……空、行ってみよう。俺もお前についていく」
 ……それに、なんとなくだが、この儀式に参加しなければならないと俺の心のどこかが叫んでいるような気がした。


EPISODE3 現人神『お狐様』「何でも願いを叶えてくれる『お狐様』か。そんなもんにすがるとは、人ってのは欲深いもんだな」


 いざ葛葉一族本家に足を踏み入れた俺と空はまず屋敷のスケールのデカさに驚いた。
 「……空、お前ここに来たことがあるのか?」
 「う、ううん……ワタシも初めて来た」
 空は明らかにビビッているようだ。
 そんな空の肩を軽い調子で叩く女が現れた。
 「はっろー★ 葛葉! 空ちゃん!」
 「ご機嫌よう。2人とも」
 「鈴乃音……鹿乃川」
 鈴乃音と鹿乃川は礼服で着飾っていたが、それでもいつもと変わらない彼女たちを見て空は安心したようだ。
 よく見ると、鈴乃音の後ろに狗谷の姿もあった。鈴乃音と比べると質素だが彼女も着物をきちんと来ている。
 「……何よ。鈴乃音に雇われたの。何か文句ある?」
 「……別に。意外と似合ってるな。その着物」
 「なっ……!?」
 とんでもない顔色になっている狗谷は放っておいて、鹿乃川と鈴乃音が葛葉一族について説明をしてくれた。
 「……聞いたところによると、昔から不思議な力を使って、権力者に寄り添ってる一族らしーよ」
 「ええ……特に現当主の『大奥様』の政治的手腕と何でも願いを叶える『お狐様』の力は絶大なのだとか」
 「ふーん……じゃあ、ここにいる奴らはみんなお狐様のご利益を期待して集まったってわけか」
 案内された大広間には脂ぎった表情の大人たちがずらりと並んでいた。よく見るとテレビで見たことのある顔もちらほらいるようだ。
 (……ここにいる奴らは既に地位や名声を十分得ているだろうに、これ以上を望むのか……人ってのは欲深いもんだな)


EPISODE4 予期せぬ再会「あれが『お狐様』? あれが空の本当の兄貴だって? それにこの感覚……俺はあいつを知っている?」


 「……これより『お狐様ご開帳の儀』を始めます」
 大奥様とやらの言葉で辺りは厳粛なムードに包まれる。そして座敷の上座の御簾が上げられると、そこには祭壇が設けられその上に1人の少年が座っていた。
 そいつの顔を見た瞬間、俺は心臓を直接手で鷲掴みされたような衝撃を覚える。
 (なんだ……この感じ!? 俺は……あいつを知っている!?)
 目の前の少年と俺は今ここで初めて会った……はずだ。だが、俺は彼が俺にとって『かけがえのない存在』であるということを本能で理解していた。
 「うっ、くっ! あくっ! くはぁっ……!」
 俺の心臓は激しく波打ち、自分の鼓動がうるさいくらいに頭の中で鳴り響く。
 「ツカサさん!?」
 俺の様子に気がついた鹿乃川たちが心配するが、息をするのも辛い俺は、彼女たちに答えることができない。
 そんな時、空の頭上に突如青年の姿になったカラス丸……熊野烏丸が姿を現した。
 「やあやあ! あそこに鎮座ましますは我が主の真の兄者殿! 『葛葉 銀』!」
 (葛葉……銀だって?)
 突如現れた熊野烏丸を見た、大奥様とやらは目ざとく空を見つけて仮面の奥でニヤリと笑った。
 「新たなお狐様の登場だ! 捕らえるんだよ!」
 空に向かって有象無象の葛葉一族が襲い掛かってくる。俺は咄嗟に空を庇った。
 だが、空を庇おうとしたのは俺だけではなかった。祭壇の上に祀られていた少年、銀もまた空に向かって手を伸ばしていた。


EPISODE5 変化するツカサ「思い出した。俺が何者で、どうして言葉が視えるのか? 俺は……『そっち側』の存在だったんだ!」


 銀という少年の全てを魅了し、それでいて全てを拒絶するような紅玉の瞳を間近で見た俺は、その中に吸い込まれるようにして過去の世界に意識が飛んだ。
 そこで俺は何故か怒り狂い、激情にかられるまま大勢の人を傷つけた。足元には沢山の躯が転がっていた。
 満月の光によって照らしだされたのは、地獄のような光景だった。
 ふと血だまりの中に俺の姿が映りこむ。そこにいる俺は人の姿をしていなかった。一匹の巨大な獣だった。
 (ああ……そうだ! 俺はッ! 俺はッ!)

 そのとき俺は全てを思い出した。
『自分がどうして言葉が視えるのか?』
『視えた言葉をタテマエとして具現化できるのか?』
『どうしてホンネを操れるのか?』。
 (……簡単なことだ。俺は『人間』ではなかったんだ。俺は最初から『そっち側』の存在だったッ……!)

 全てを理解した俺の姿は、いまや人間の姿から解き放たれようとしていた。
 頭の上には大きな耳が現れて、ヘッドフォンが滑り落ちる。瞳は紅蓮の炎と同じ色に染まり……いつの間にか、あの満月の夜のように金毛の大狐の姿になっていた。
 「ぐぅっ、うぐっ、あぐっ! あああああーーッ!」
 突然の肉体の変化に俺はたまらず苦しんだ。そんな俺の姿を見て、仲間たちは驚きの声を上げて駆け寄った。
 「葛葉ッ!」
 そして……それは銀もまた同じだった。
 「ツカサ! しっかりしてくれ!」
 銀は大狐へと変わり果てた俺の身体をその細い体で支えようと必死だった。


EPISODE6 ホンネ妖怪 大狐ツカサ「俺はあいつ『銀』のホンネ妖怪だった。そのことを思い出した俺は、金毛の大狐に変化していたんだ」


 「ツカサ……大丈夫?」
 銀に触れられ、俺は自分という存在を改めて認識する。
 俺は……葛葉 ツカサは、葛葉 銀のホンネ妖怪だ。
 俺はこいつを守るために、この世に生まれてきたんだ。

 「あ、あの……ツカサさん、なのですよね?」
 「ちょっ……この狐、本当に葛葉なの?」
 「信じらんない……」
 鹿乃川たちは、驚きを隠せないようだったが、いつの間にか姿を現していた彼女たちのホンネ妖怪は、俺の変化をあっさりと受け入れているようだった。
 「ふむ……なるほどね」
 「ツカサ、僕たちのお仲間だったんだね★」
 「どうりで親しみやすいと思ったよ」
 「呵呵呵ッ! 然りッ!」
 ホンネの言葉を聞いた鹿乃川たちは落ち着きを取り戻したようだ。
 「そ、そうですね。餓鬼ちゃんたちと同じと思えば」
 「葛葉って元から人外っぽかったしねー」
 「……言えてる」
 (……酷い言われようだな)
 「ツカサお兄ちゃんがホンネってことは……そっちのお兄さんが、ワタシの本当のお兄ちゃん?」
 空は呆然と銀を見つめている。銀もまたためらいながらも空に向けて愛情を込めた眼差しを送っている。
 「ああ……空、大きくなったね。本当に……」

 だが、2人の感動の再開は無粋な怒声によって引き裂かれた。
 「……あの時の大狐だッ! 殺せッ! 殺せッ!」


EPISODE7 無限目鬼を止めなければ「俺の本体である銀は、全てに絶望して、タテマエ『無限目鬼』に飲み込まれた……何とかしないと」


 葛葉一族の精鋭たちが、俺に向かって容赦なく攻撃を仕掛けてきた。その攻撃は、空や鹿乃川たちをも巻き込もうとしていた。
 (まずいッ!)
 俺は咄嗟に彼女たちの盾になるが、葛葉一族の攻撃が激しく、俺は手も足も出ずにただ嬲られるだけだ。
 「ツカサッ! ……お願いだッ! 止めてくれッ! 彼は何もしないッ! あの時の大狐とは違うんだッ! だからッ! 攻撃を止めてくれーーッ!」
 銀の叫びは虚しく響いただけで、攻撃の手は一向に止まない。
 「ツカサは……僕の希望なんだ……お願いだ……ツカサだけは、許して……」
 銀の涙交じりの哀願は、あっさりと打ち砕かれた。
 「……希望? 許しだって? ……そんなものただの道具に過ぎないお前に初めからあるわけないだろう!」
 その言葉を聞いた銀の瞳から一切の光が消えうせた。
 「……そうか。僕は希望すら許されないのか。ならばいい。もう何も望まない。もう何もいらない……何も見たくない……全て消え去ってくれえぇーーッ!!」

 銀の身体から黒い陽炎が昇り立ち、それは中空で集まると全てを飲み込む穴となった。
 『無限目鬼』……出現した銀のタテマエは、まず銀自身を飲み込むと、不気味な蠢動をして、全てを葬り去ろうと触手を伸ばす。そして葛葉一族を捕らえると、本体へと取り込んで増殖を繰り返している。
 その触手は今にも仲間の元へと伸びようとしていた。
 (……くそッ!)
 俺は咄嗟に仲間たちを背に乗せ、その場から離脱した。


EPISODE8 仲間と力を合わせて「無限目鬼を止めて銀を助けるために、あいつらは危険を顧みず、力と知恵を貸してくれた……すまないな」


 『無限目鬼』は爆発的に増殖していって、全てを飲み込んでいく。あまりの惨事に言葉を失う仲間たちに、俺は心に語りかける形で説明をした。
 (あれは……銀のタテマエだ。全てを受け入れてきた銀が、今その身にたまった全ての災厄を解き放っている……アイツの絶望が、そうさせているんだ)
 「そ、そうだ! ツカサお兄ちゃんは銀お兄ちゃんのホンネでしょう? ツカサお兄ちゃんの言葉なら無限目鬼に囚われた銀お兄ちゃんにも届くんじゃない?」
 (……ダメだ。今のままじゃ俺の言葉は銀には届かない。アイツの絶望はあまりにも深い……それこそ世界を飲み込んでしまうくらいに)
 「そんな……それじゃ一体どうすれば?」
 重い沈黙が立ち込める。それを破ったのは鹿乃川だった。
 「……いったん退いて体勢を立て直すべきでしょう。……定石に従うのであれば。ですが、それではあまりにも多くの犠牲者が出てしまいます……それはツカサさんも銀さんも望んでいないでしょう?」
 (ああ……)
 「じゃあ! 当たってぶつかって何とかするしかないじゃん! だーいじょぶ★ 葛葉ならやれるって!」
 「……私には銀さんの気持ちがちょっと分かる。誰にも愛されなくて、世に嫌われた孤独が……葛葉、銀さんのこと助けてあげてね」
 鹿乃川や鈴乃音、狗谷の言葉を受けて俺は頷いた。
 (……分かってる)
 「よーしっ! じゃあ銀お兄ちゃん救出作戦だー!」
 俺は仲間たちの力を借りて、銀の待つ無限目鬼の元へと向かっていった。


EPISODE9 無限目鬼の中で対峙する「銀、お前は本当は俺みたいな生活を望んでたんだろ?俺には分かるよ。俺はお前のホンネなんだから」


 仲間たちやホンネ妖怪たちの力を借りて、俺は1人、なんとか無限目鬼の中へと侵入することができた。
 無限目鬼の中は、漆黒よりも深く暗い闇が支配する空間で俺は自分の体毛の輝きだけを頼りに足を進めていく。
 するとようやく、膝を抱えて泣いている少年時代の銀の姿を発見した。
 (銀……さあ俺と一緒に戻ろう)
 だが銀は俺の言葉に耳を貸そうとはしない。
 「もういやなんだ。何も考えたくない。僕の価値は全てを諦めて、受け入れることなんだ……それなら、僕自身なんていなくてもいいじゃないか」
 俺は銀の言葉を聞いて唸った。
 (俺はお前のホンネなんだ! お前が本気でそんなこと願ってないってことぐらい分かってるッ!)
 俺はなおも続ける。
 (俺はお前の『希望』なんだろう? 俺は今までアイツらと、くだらなくて、甘っちょろくて、面倒極まりない……普通で幸せな学生生活ってやつを送ってきた。お前は本当はそういう生活を望んでいるはずだ)
 「でも僕は……また誰かを傷付けてしまうかもしれない。不完全な人間だから」
 (不完全の何が悪い。人は……不完全でどこか欠けているから、お互いを求めあい、愛し合うんだろう?)
 俺は自分の尻尾で銀を包み込んだ。いつか銀がマフラーで俺を温めてくれたように。
 「温かい……僕は、誰かと寄り添って生きてもいいんだろうか?」
 (……当たり前だろう?)
 俺の言葉を聞いた銀の身体は、月の光のような輝きを放ち、ホワイトホールを形成し始めた。


EPISODE10 最後の最後で……「あいつらのホンネ妖怪の力も借りて、無限目鬼から何とか銀を脱出させられた。だが最後でヘマしたな」


 無限目鬼は急速に収縮し始めた。
 (まずいッ! 銀ッ! 俺の背に乗れッ!)
 俺は銀を口で咥えて背に乗せると、無限目鬼の中を一気に駆け抜けた。だが……それでも間に合わない。ようやく見えた出口はもはや閉まる直前だった。
 (そんなッ! あともう少しなのにッ!)
 もはや脱出は不可能と思われたそのとき……。
 「……べっこうあめ! ちとせあめ! キャンディケイン! あ、あと……えーい! なんでもいいからなんか固いあめ! ありったけ出てこーいッ!」
 なんとそうくの背に乗ったナルキが飴の柱を出現させ、つっかえ棒をして、出口が閉まるのを防いでいた。
 「ツ、ツカサ―! はやくー! はやくー!」
 「あまり長くは持たないよ!」
 (お前ら……分かったッ!)
 ナルキとそうくのおかげで、なんとか出口は閉じずにいた。だが涙目になって叫ぶナルキと冷や汗をかきながら踏ん張るそうくの背に無限目鬼の髪の触手が迫る。
 すると間一髪のところで熊野烏丸の背に乗ったキヌが無限目鬼の口に飛び込んできて、鮮やかな剣技によって触手を切り裂いた。
 「呵呵呵ッ! 乗り物として扱われるのは慮外千万だが、甘んじて受け入れよう! 我は『天才』ゆえな!」
 「……ほら葛葉! こいつに早く捕まりな!」
 キヌが放ったのはいつも俺が着けていたマフラーだ。俺はマフラーを咥えると、銀にもしっかりと捕まるように指示する。ホンネたちに勢いよく引っ張られ、俺と銀は一気に無限目鬼の中から脱出しようとしたのだが……。
 急に銀の背後に無数の目玉が浮かんだかと思うと、目玉の中から長い髪の毛が生まれ、銀の身体を絡め取った。


EPISODE11 終わりの言ノ葉 巡る縁「俺が消えるくらいでそんなに泣くな……お前らはもう俺がいなくても大丈夫だ。縁が合えばまた会おうぜ」


 「うわぁっ!?」
 (銀ッ! ……クソッ!)
 俺は銀にまとわりつく髪の毛だけを炎で焼き切り、目玉を全て潰すと、銀の身体を背で受け止めた。
 (……大丈夫かッ!? 銀ッ!)
 タテマエの攻撃を受けた銀は、生命力を失っていた。
 (……銀、しっかりしろ!)
 俺は自分の霊気を銀に分け与えると、再びマフラーに銀をしっかり結びつけ仲間に向かって合図した。俺の声にマフラーを引いた仲間たちは先に銀の身体を受け止め、次に俺に向かって脱出するように叫んだのだが……。
 (……くっ!)
 銀に大量の霊気を分け与えた影響で、俺は一瞬反応が遅れてしまう……その隙を、無限目鬼は見逃さなかった。
 (ぐわあぁっ!?)
 無限目鬼の出口に突如無数の牙が現れ、脱出する瞬間の俺の尻尾を引きちぎってしまった。
 (ぐっ……! ……往生際が悪いんだよッ! 消え果てろッ! 俺のタテマエ……無限目鬼ッ!)
 俺は高く吠え、紅蓮の炎で無限目鬼を焼き尽くした。
 「ツカサッ!? 大丈夫ッ!? しっかりしてッ!」
 銀たちが俺に駆け寄ってくる……霊力を生み出す源である尻尾を失った俺は、もはや彼らに言葉を駆けることができなかったが……それでも心は満たされていた。
 (俺は……自分の役目を果たすことができたんだ)
 遠くからホンネの本体である少女たちが、俺たちの元へ懸命に走ってくる姿がボンヤリとした俺の瞳に映る。
 (もう銀ひとりぼっちじゃない……ああ良かった)
 ……俺はうっすらと微笑みを浮かべ、これから始まる幸福を想いながら……そっと目蓋を閉じたのだった。




■ 楽曲
┗ 全曲一覧(1 / 2) / ジャンル別 / 追加日順 / 定数順 / Lv順
WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧


コメント


*1 RANK15で解放
*2 なお、このキャラの入手時の名義は「葛葉 ツカサ/子狐」である